2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 脳血管障害、高血圧(収縮期圧160mmHg以上、拡張期圧100mmHg以上)、脳圧亢進症及び重症の心代償不全の患者[一過性の血圧上昇作用、脳圧亢進作用がある。]
2.3 痙攣発作の既往歴のある患者[痙攣を誘発することがある。]
2.4 外来患者[麻酔前後の管理が行き届かない。]
手術、検査および処置時の全身麻酔および吸入麻酔の導入
通常、ケタミンとして、初回体重1kg当り5〜10mgを筋肉内注射し、必要に応じて初回量と同量又は半量を追加投与する。
8.1 本剤の使用に際しては、一般の全身麻酔と同様に適応、投与法、用量は医師が判断し、麻酔開始より患者が完全に覚醒するまで、患者の全身状態を専任の医師が注意深く監視すること。
また、呼吸・循環管理等ができるような整備された手術の状態で使用すること。
8.2 麻酔を行う際にはあらかじめ絶食させておくこと。
8.3 麻酔前に酸素吸入器、吸引器具、挿管器具等の人工呼吸のできる器具を手もとに準備しておくこと。
8.4 麻酔を行う際には原則として麻酔前投薬を行うこと。
8.5 手術が内臓の痛覚路への侵襲を含む場合、他の鎮痛剤を併用すること。
8.6 本剤には筋弛緩作用がほとんどないので、開腹術等には、筋弛緩剤の併用がすすめられる。
8.7 本剤による麻酔時には咽喉頭反射が維持されているので、咽喉頭に機械的刺激を与えないこと。従って、咽頭、喉頭及び気管支の手術、処置には筋弛緩剤の使用その他の方法により反射を除くこと。
8.8 麻酔中は気道に注意して呼吸・循環に対する観察を怠らないこと。
8.9 麻酔の深度は手術、検査に必要な最低の深さにとどめること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 急性心不全(頻度不明)
11.1.2 呼吸抑制(2.5%)、無呼吸(頻度不明)、舌根沈下(頻度不明)
過量投与した場合に起こることがあるので、緩徐に注射すること。
なお、呼吸抑制の症状があらわれた場合には、補助呼吸を行うなど適切な処置を行うこと。
11.1.3 痙攣(0.4%)
喉頭痙攣、声門痙攣又は全身痙攣等が起こることがあるので、このような症状があらわれた場合には筋弛緩剤を投与の上、気管内挿管のもとに調節呼吸を行うなど、適切な処置を行うこと。
11.1.4 覚醒時反応(頻度不明)
夢のような状態、幻覚あるいは興奮、錯乱状態等が起こることがあり、通常数時間で回復するが、まれに24時間以内に再び起こることがある。
覚醒時反応を防ぐには、回復期の早期に患者に話しかけたりするような不必要な刺激は避け、完全に覚醒するまで患者のバイタルサインを監視するなど、全身状態の観察を十分に行うこと。また、ジアゼパム、ドロペリドール等の前投薬を行うことが望ましい。
興奮、錯乱状態等の激しい覚醒時反応に対する処置としては、短時間作用型又は超短時間作用型バルビツール酸系薬剤の少量投与、あるいはジアゼパム投与を行うことが望ましい。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 1.5%以上 | 1.5%未満 | 頻度不明 |
| 循環器 | | 不整脈、低血圧 | 徐脈、血圧下降注)、血圧上昇注) |
| 呼吸器 | | | 過呼吸 |
| 中枢神経系 | 頭痛 | | 筋緊張亢進、不随意運動、めまい・ふらつき |
| 精神神経系 | 夢 | 興奮、精神症状 | 呻吟 |
| 感覚器 | | 流涙 | 複視、眼振、眼内圧上昇 |
| 過敏症 | 発疹 | | 皮膚紅斑 |
| 消化器 | 悪心・嘔吐、食思不振 | 唾液分泌過多 | 口渇、腹痛 |
| その他 | 発熱、発汗、悪寒 | 顔面潮紅 | しゃっくり、なきじゃくり、眼瞼浮腫 |
14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 バルビツール酸系薬物のナトリウム塩及びジアゼパムと混合すると沈殿を生じるので、同じ注射筒を使用しないこと。
14.1.2 本剤は筋注用にのみ使用すること。
14.1.3 筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響を避けるため、以下の点に配慮すること。
・神経走行部位を避けるよう注意して注射すること。
・繰り返し注射する場合には、同一注射部位を避けること。
・注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き部位を変えて注射すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
外国において、乱用により依存性が生じたとの報告がある。
16.1 血中濃度
イヌにケタミン5mg/kg、10mg/kgを筋注し、5、15、30分、1、2、4、6時間後の血中濃度を測定した結果、投与後5分で最高値に達し、5mg/kgでは1.2±0.2μg/mL、10mg/kgでは2.9±0.6μg/mLを示した。1時間までは急激な減少を示し、その後は徐々に減少し、5mg/kgでは30〜60分、10mg/kgでは1〜2時間で0.4〜0.5μg/mL以下の微量となった
3)。
16.3 分布
16.3.1 血漿蛋白結合率
In vitroにおいて、成人血漿における血漿蛋白結合率は47%であった
4)(外国人データ)。
16.4 代謝
ケタミンの主代謝経路は、肝臓においてチトクロームP450によりノルケタミンとなる。また、ヒドロオキシノルケタミンやデヒドロノルケタミンなどに変化するが、薬理活性はほとんどない。ノルケタミンだけがケタミンの1/3〜1/5の麻酔作用をもつ
5)。
16.5 排泄
ラットにケタミン54mg/kgを筋注したところ、24時間以内に50%以上が尿中並びに糞便中に排泄された。
本剤は厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、1回14日分を限度として投与する。