医療用医薬品 : スピリーバ

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医薬品情報


総称名 スピリーバ
一般名 チオトロピウム臭化物水和物
欧文一般名 Tiotropium Bromide Hydrate, Tiotropium Bromide
製剤名 チオトロピウム臭化物水和物製剤
薬効分類名 長時間作用性吸入気管支拡張剤
薬効分類番号 2259
ATCコード R03BB04
KEGG DRUG D01929 チオトロピウム臭化物水和物
商品一覧 米国の商品
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報


禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 取扱い上の注意 包装 主要文献

商品情報 詳細

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
スピリーバ吸入用カプセル18μg Spiriva Inhalation Capsules18μg 日本ベーリンガーインゲルハイム 2259709G1027 193.8円/カプセル 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

閉塞隅角緑内障の患者[眼内圧を高め、症状を悪化させるおそれがある。]

前立腺肥大等による排尿障害のある患者[更に尿を出にくくすることがある。]

アトロピン及びその類縁物質あるいは本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

効能・効果及び用法・用量

効能・効果

慢性閉塞性肺疾患慢性気管支炎肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解

効能・効果に関連する使用上の注意

本剤は急性増悪の治療を目的として使用する薬剤ではない。

用法・用量

通常、成人には1回1カプセル(チオトロピウムとして18μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具(ハンディヘラー)を用いて吸入する。

用法・用量に関連する使用上の注意

本剤は吸入用カプセルであり、必ず専用の吸入用器具(ハンディヘラー)を用いて吸入し、内服しないこと。[「適用上の注意」の項参照]

本剤は吸入製剤であり、消化管からの吸収率は低いため、内服しても期待する効果は得られない。したがって、内服しないよう患者に十分注意を与えること。

使用上の注意

慎重投与

心不全、心房細動、期外収縮の患者、又はそれらの既往歴のある患者[心不全、心房細動、期外収縮が発現することがある。「重大な副作用」の項参照]

腎機能が高度あるいは中等度低下している患者(クレアチニンクリアランス値が50mL/min以下の患者)[本剤は腎排泄型であり、腎機能低下患者では血中濃度の上昇がみられる。「薬物動態」の項参照]

前立腺肥大のある患者[排尿障害が発現するおそれがある。]

重要な基本的注意

本剤は急性増悪の治療を目的としておらず、慢性閉塞性肺疾患に基づく症状を安定させるためには、本剤を継続して投与する必要がある。ただし、用法・用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当ではないと考えられるので、漫然と投与を継続せず中止すること。

本剤の吸入後、即時型過敏症(血管浮腫を含む)が発現することがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

吸入薬の場合、薬剤の吸入により気管支痙攣が誘発される可能性があるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

本剤の投与時に、本剤が眼に入らないように患者に注意を与えること。また、結膜の充血及び角膜浮腫に伴う赤色眼とともに眼痛、眼の不快感、霧視、視覚暈輪あるいは虹輪が発現した場合、急性閉塞隅角緑内障の徴候の可能性がある。これらの症状が発現した場合には、可及的速やかに医療機関を受診するように患者に注意を与えること。

腎機能が低下している高齢者に対して本剤を投与する場合には、治療上の有益性と危険性を勘案して慎重に投与し、有害事象の発現に注意すること。[「慎重投与」、「高齢者への投与」、「薬物動態」の項参照]

副作用

副作用発現状況の概要

国内において、362例の慢性閉塞性肺疾患患者を対象に第III相臨床試験が実施され、このうち、177例に本剤18μgが投与された。177例中、副作用が報告された症例は35例(19.77%)であった。主な副作用は、口渇18例(10.17%)であった。

承認時までにプラセボあるいは実薬を対照として国内及び海外で実施された比較試験において3,696例の慢性閉塞性肺疾患患者に本剤18μgが投与された。主な副作用は、口渇であった。試験の投与期間は異なるが、全体の集計では、口渇の頻度は6.17%(228例)であった。

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

心不全、心房細動、期外収縮

心不全(1%未満注))、心房細動(1.13%注))、期外収縮(1%未満注))が発現することがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[「慎重投与」の項参照]

注)国内の臨床試験の頻度に基づく。なお、海外で実施された比較試験では、心不全及び期外収縮の発現率はプラセボ群と同様であった。

イレウス

イレウス(頻度不明)が発現することがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

閉塞隅角緑内障(頻度不明)

閉塞隅角緑内障を誘発することがあるので、視力低下、眼痛、頭痛、眼の充血等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

アナフィラキシー(頻度不明)

アナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)が発現することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

 1%以上1%未満
 霧視注)、眼圧上昇注)
皮膚発疹(2.26%)脱毛、そう痒、蕁麻疹注)
中枢神経系浮動性めまい(1.95%)注) 不眠
感覚器 味覚倒錯、嗅覚錯誤
消化器口渇(10.17%)、便秘(1.13%)、消化不良(1.13%)口内炎、舌炎
代謝高尿酸血症(1.13%) 
循環器 頻脈注)、上室性頻脈注)、動悸注)
血液 好酸球増多、白血球減少
呼吸器咽喉刺激感(4.27%)注)、咳嗽(3.57%)注) 呼吸困難、喘鳴、嗄声、鼻出血注)、咽頭炎
泌尿器 血尿、排尿障害、夜間頻尿、クレアチニン上昇、腎機能異常、尿閉注)
一般的全身障害 過敏症(血管浮腫を含む)注)
注)海外臨床試験成績の頻度に基づき記載。(国内では自発報告のため頻度不明)

高齢者への投与

一般に高齢者では腎クリアランス等の生理機能が低下しており、血中濃度が上昇するおそれがあるので、副作用の発現に注意すること。また、臨床試験で口渇は高齢者でより高い発現率が認められている。[「重要な基本的注意」、「薬物動態」の項参照]

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で胎児に移行することが認められている。]

授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。[使用経験がない]

過量投与

本剤を高用量投与した場合、抗コリン作動性の徴候及び症状が発現する可能性がある。しかし、健康成人(海外)に本剤282μgを単回吸入投与したとき、全身性の抗コリン作用による副作用は認められなかった。健康成人(海外)に本剤1日1回141μgを反復吸入投与したとき、口渇とともに両眼の結膜炎が発現し、投与期間中に消失した。慢性閉塞性肺疾患患者(海外)に1日最大量36μgを4週間吸入投与した反復投与試験において、本剤による副作用として用量依存的に観察されたのは口渇のみであった。
また、海外の市販後において、過量投与例が報告されている。女性患者が2.5日間に30カプセル(540μg)を吸入したもので、精神状態の変化、振戦、腹痛及び重度の便秘が発現した。この患者は入院し、本剤の投与は中止された。便秘には浣腸処置が施された。患者は回復し、その日のうちに退院した。
本剤の経口投与後の生物学的利用率は低いので、経口摂取による急性中毒の発現の可能性は低いと考えられる。

適用上の注意

投与法

本剤は必ず専用の吸入用器具(ハンディヘラー)を用いて吸入させること。内服しても効果はみられない。
本剤を処方する医師は以下の内容について正しく理解した上で、本剤を患者に交付する際には、正しい使用方法を必ず交付前に説明すること。

[使用方法]

本剤は吸入用カプセルであり、必ず専用の吸入用器具(ハンディヘラー)を用いて吸入させること。内服しないよう患者に十分注意を与えること。

次の順序で使用する。

ハンディヘラーの各部の名称

キャップ

マウスピース(吸入口)

基部(本体)

ボタン

カプセル充填部(穴)

キャップを完全に開け、内部にあるマウスピースを開ける。(キャップが開きにくい場合はボタンを押す)

吸入の直前に1カプセルだけブリスターから取り出し、図のようにカプセル充填部に挿入する。カプセルの方向(頭部、胴部の上下)はどちらでもよい。

マウスピースをカチッと音がするまでしっかり閉める。キャップは開けたままにする。

マウスピースを上向きにして、側面のボタンを確実に一度だけ押してからはなす。これでカプセルに穴があき、薬を吸入することができるようになる。

息をはき出す。

注意:マウスピースをくわえたまま息をはき出さないこと。

ハンディヘラーを口元に持ち、マウスピースを唇でしっかりとくわえる。頭をあげたまま、ゆっくり、深く、カプセルがふるえる音が聞こえる、あるいはふるえを感じる程度の速さで息を吸い込む。肺いっぱいに深く息を吸い込み、苦しくならない程度の間息を止め、ハンディヘラーを口からはなす。ゆっくりと息をはき出す。カプセル内の薬を完全に吸入するため、5)と6)の手順をもう一度繰り返す。

再びマウスピースを開ける。カプセル充填部の穴を下にして、使い終わったカプセルを捨てる。マウスピース及びキャップを閉めて、ハンディヘラーを保管する。

ハンディヘラーは月に一度洗浄する。

キャップ及びマウスピースを開ける。ボタンを上へ押し上げて基部を開ける。ハンディヘラー内部に付着している粉末を水またはぬるま湯ですすぐ。キャップ、マウスピース及び基部が開いた状態のまま、ガーゼ等の上で水をよく拭い、十分に乾燥する。24時間置いておくと十分に乾燥するので、次の吸入に使用できる。マウスピースに付着した汚れは軽く湿らせたガーゼ等でふきとる。

カプセルの取り出し方

ブリスターを中央のミシン目にそってふたつに切り離す。

底面のアルミシートをゆっくりと1カプセルが取り出せるようになるまではがす(一度に全てはがさず、必ず使用直前に1カプセルずつ取り出す)。
誤ってアルミシートを次のカプセルまではがしたときは、そのカプセルは廃棄する(吸湿により吸入量の低下が起こる可能性がある)。

カプセルを取り出す。

その他の注意

本剤と短時間作用型抗コリン性気管支拡張剤(イプラトロピウム臭化物水和物、オキシトロピウム臭化物等)との併用に関しては、臨床試験成績はなく、併用による有効性及び安全性は確立していないことから、併用は推奨できない。

薬物動態

吸収

健康成人(海外)にチオトロピウム108μg注)を吸入投与したときの生物学的利用率は19.5%であった。[1]また、健康成人(海外)にチオトロピウム64μgを経口投与注)したときの生物学的利用率は2〜3%であり、消化管からほとんど吸収されなかった。[1]

慢性閉塞性肺疾患患者(海外)にチオトロピウム18μgを1日1回反復吸入投与したとき、定常状態における最高血漿中濃度(Cmax)は17〜19pg/mLであり、最小血漿中濃度(Cmin)は3〜4pg/mLであった。[2]

分布

ヒト血漿蛋白との結合率(in vitro試験)は72%であった。[3]
分布容積は32L/kgであった(海外)。[1]

<参考>

14C-チオトロピウム10mg/kgを気管内投与した場合、肺、消化管の他に肝臓、腎臓、膵臓に高い放射能濃度が認められたが、脳には移行しなかった(ラット[4])。また、乳汁中に移行した(ラット[5])。

代謝

健康成人(海外)にチオトロピウム14.4μgを静脈内投与注)したとき、尿中未変化体排泄率は投与量の74%であり、チオトロピウムの代謝はわずかであった。[1]主要代謝物として、血漿中において非酵素的にエステル結合が加水分解され、N-メチルスコピン及びジチニールグリコール酸の生成がみられた。[6]これらの代謝物はムスカリン受容体に親和性を示さなかった。[7]また、ヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞を用いた試験でチトクロームP-450によって酸化された代謝物及びそのグルタチオン抱合体がわずかにみられた。[8][9]この代謝はCYP2D6及び3A4の阻害薬により抑制されたことから、チオトロピウムの消失のごく一部にCYP2D6及び3A4が関与していると考えられた。[8]チオトロピウムは治療濃度以上であっても、CYP1A1、1A2、2B6、2C9、2C19、2D6、2E1及び3Aのいずれの活性に対しても影響を与えなかった。[10]

排泄

吸入投与後の終末相における尿中未変化体排泄速度から算出した消失半減期は5〜6日であった(海外)。[1][11]血漿中濃度は投与開始後2〜3週間で定常状態に達し、その後の蓄積性はみられなかった(海外)。[2][11]

健康成人(海外)にチオトロピウム14.4μgを静脈内投与注)したとき、全身クリアランスは880mL/minであった。また、尿中未変化体排泄率は74%であった。[1]

高齢者における薬物動態

高齢者(海外)では、チオトロピウム18μgを吸入投与後の腎クリアランスは低下した(腎クリアランスは58歳以下の慢性閉塞性肺疾患患者で326mL/min、69歳以上の慢性閉塞性肺疾患患者で163mL/min)が、これは加齢に伴う腎機能の低下によるものと考えられた。[11]

若年健康成人(平均年齢32.1歳、海外)にチオトロピウム108μgを吸入投与したときの尿中未変化体排泄率は14%であったが[1]、慢性閉塞性肺疾患患者(平均年齢63.8歳、海外)にチオトロピウム18μgを吸入投与したときの尿中未変化体排泄率は7%であり[2]、若年健康成人に比較して低い値であった。一方、高齢者(海外)にチオトロピウム18μgを1日1回反復吸入投与後のAUC0-4hは非高齢者(海外)に比較して43%高い値を示した。非高齢者及び高齢者における薬物動態パラメータは以下のとおりであり[11]、個体間変動を考慮すると、血漿中未変化体濃度に加齢による大きな差はないと考えられた。[11]

チオトロピウム反復吸入投与後の薬物動態パラメータ[11]

 例数投与後5分の血漿中未変化体濃度
(pg/mL)
AUC0-4h
(pg・hr/mL)
投与後4時間までの尿中未変化体排泄率
(% of dose)
腎クリアランス
(mL/min)
非高齢者
(45〜58歳)
129.63
(2.50〜47.5)
18.2
(10.0〜61.7)
1.97
(0.45〜5.67)
326
(117〜724)
高齢者
(69〜80歳)
1315.3
(5.60〜34.8)
26.1
(10.5〜56.0)
1.42
(0.215〜4.51)
163
(20.5〜477)
幾何平均値表中括弧内の数値は範囲を示す

腎機能低下患者における薬物動態

他の腎排泄型の薬剤と同様、腎機能低下患者(海外)においては、チオトロピウムの静脈内投与[12]及び吸入投与[2]後の血漿中未変化体濃度は上昇し、腎クリアランスは低下した。軽度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50〜80mL/minの患者、海外)において、チオトロピウム4.8μgを静脈内投与後のAUC0-4hは健康成人(海外)に比較して39%高い値を示した。[12]また、高度あるいは中等度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50mL/min未満の患者、海外)においては血漿中未変化体濃度は約2倍高い値を示した(AUC0-4hは82%高かった)。[12]

健康成人及び腎機能低下患者における薬物動態パラメータは以下のとおりであった。[12]

チオトロピウム単回静脈内投与後の薬物動態パラメータ[12]

 例数クレアチニンクリアランス
(mL/min)
Cmax
(pg/mL)
AUC0-4h
(pg・hr/mL)
総尿中未変化体排泄率
(% of dose)
腎クリアランス
(mL/min)
健康成人6>80147
(103〜186)
55.5
(43.2〜69.4)
60.1
(44.8〜76.5)
435
(348〜497)
腎機能低下患者550〜80200
(129〜287)
77.1
(60.9〜105)
59.3
(49.7〜74.0)
246
(150〜341)
730〜50223
(162〜314)
101
(69.4〜156)
39.9
(25.9〜65.3)
124
(98.3〜171)
6<30223
(176〜269)
108
(76.3〜145)
37.4
(34.2〜41.7)
85.7
(68.4〜128)
幾何平均値表中括弧内の数値は範囲を示す

注)本剤の承認された用法・用量は、チオトロピウムとして1日1回18μg吸入投与である。

臨床成績

国内臨床試験成績

慢性閉塞性肺疾患患者27例を対象とした国内第II相試験[13]及び慢性閉塞性肺疾患患者362例(本剤18μg投与177例)を対象とした国内第III相二重盲検比較試験[14]、長期投与試験[15]の結果、本剤の有用性が認められた。本剤の1日1回18μg吸入投与における臨床試験成績の概要は次のとおりであった。

肺機能検査値に対する成績

本剤は投与後速やかに肺機能検査値(FEV1)を上昇させ、その効果は投与後24時間持続した。[13]また、本剤はオキシトロピウム臭化物に比し、肺機能検査値(トラフFEV1)を有意に上昇させた。[14][15]

チオトロピウムのトラフFEV1に対する成績

試験薬剤症例数FEV1
投与前値(L)
トラフFEV1変化量(L)P値
(分散分析)
第III相二重盲検比較試験(4週投与)チオトロピウム630.99±0.040.12±0.02P=0.0001
オキシトロピウム670.97±0.050.02±0.02
第III相長期投与試験(1年投与)チオトロピウム1000.96±0.040.09±0.02P=0.0005
オキシトロピウム460.94±0.05−0.02±0.03
平均値±SE

呼吸困難に対する成績

本剤はオキシトロピウム臭化物に比し、呼吸困難(息切れの程度を点数化して評価)を有意に改善した。[14][15]

急性増悪に対する成績

本剤投与時の急性増悪の回数及び急性増悪の日数はオキシトロピウム臭化物に比し、少なかった。[15]また、本剤はオキシトロピウム臭化物に比し、急性増悪が発現するまでの期間を遅延させた。[15]

生活の質(QOL)に関する成績

St.George's Respiratory QuestionnaireによるQOLに関する調査において、本剤はオキシトロピウム臭化物に比し、QOLを有意に改善した。[15]

海外臨床試験成績

慢性閉塞性肺疾患患者2,663例(本剤1日1回18μg吸入投与1,308例)を対象とした1年投与によるプラセボ及びイプラトロピウム臭化物水和物対照二重盲検比較試験4試験[16][17]及び6ヵ月投与によるサルメテロールキシナホ酸塩対照二重盲検比較試験2試験[18][19][20]等により、肺機能検査値、呼吸困難、急性増悪及び生活の質(QOL)について検討した。

肺機能検査値に対する成績

本剤はプラセボ及びイプラトロピウム臭化物水和物に比し、肺機能検査値(トラフFEV1)を有意に改善した。[16][17]また、サルメテロールキシナホ酸塩と比較した場合、6ヵ月間の投与期間を通じトラフFEV1の改善がみられ、6ヵ月目で有意であった。[18]投与後のFEV1の反応についても、本剤はイプラトロピウム臭化物水和物及びサルメテロールキシナホ酸塩に比し有意に高い改善を示した。[17][18]一方、慢性閉塞性肺疾患患者121例を対象とした二重盲検比較試験の結果、本剤の朝投与と夜投与に差はみられず、いずれもプラセボに比べ、肺機能検査値(FEV1)を有意に改善した。[21]

チオトロピウムのトラフFEV1に対する成績

試験薬剤症例数FEV1投与前値(L)トラフFEV1変化量(L)P値
(分散分析)
プラセボ対照二重盲検比較試験
(1年投与)
チオトロピウム5181.01±0.020.11±0.01P=0.0001
プラセボ3280.99±0.02−0.04±0.01
イプラトロピウム対照二重盲検比較試験
(1年投与)
チオトロピウム3291.21±0.020.12±0.01P=0.0001
イプラトロピウム1611.14±0.03−0.03±0.02
サルメテロール対照二重盲検比較試験
(6ヵ月投与)
プラセボ3621.08±0.02−0.03±0.01P=0.0001
チオトロピウム3861.11±0.020.09±0.01
P=0.0125
サルメテロール3881.07±0.020.05±0.01
平均値±SE

呼吸困難に対する成績

本剤はプラセボ及びイプラトロピウム臭化物水和物に比し、呼吸困難(MahlerらのBaseline Dyspnea IndexとTransitional Dyspnea Indexを用いて評価)を有意に改善した。[16][17]サルメテロールキシナホ酸塩と比較しても同程度の改善を示した。[18]

急性増悪に対する成績

本剤はプラセボ及びイプラトロピウム臭化物水和物に比し、急性増悪の回数を有意に減少し、最初の急性増悪が発現するまでの期間を有意に遅延させた。[16][17]サルメテロールキシナホ酸塩と比較しても急性増悪の回数や入院回数は少なかったが、有意差はなかった。[18]

生活の質(QOL)に関する成績

St.George's Respiratory QuestionnaireによるQOLに関する調査において、本剤はプラセボ及びイプラトロピウム臭化物水和物に比し、QOLを有意に改善した。[16][17]サルメテロールキシナホ酸塩との比較では、Totalスコアには有意差はなかったが、Impactスコアは6ヵ月目で有意に改善した。[19][20]

[16][17][18][19][20][21]は外国人でのデータ]

薬効薬理

気管支収縮抑制作用

摘出標本(モルモット[22]、ヒト[22])において、メサコリンあるいはフィールド電気刺激による収縮反応に対して抗コリン作用によると考えられる用量依存的な気管支収縮抑制作用を示す。また、生体位(モルモット[23]、ウサギ[24]、イヌ[24])においても、アセチルコリンにより誘発した気管支収縮に対して抗コリン作用によると考えられる用量依存的な収縮抑制作用を示す。

作用持続時間

摘出標本(モルモット[22][25])におけるフィールド電気刺激による収縮に対する抑制作用及び生体位(モルモット[23][25])におけるアセチルコリンによる気管収縮に対する抑制作用はイプラトロピウム臭化物水和物及びオキシトロピウム臭化物よりも持続的である。また、摘出標本(ヒト[22])及び生体位(イヌ[24])においても、気管支収縮抑制作用は持続的である。

作用機序

チオトロピウムは長時間持続型の選択的ムスカリン受容体拮抗薬であり、ムスカリン受容体のサブタイプであるM1〜M5受容体にほぼ同程度の親和性を示す。[7]気道においては、気道平滑筋のM3受容体に対するアセチルコリンの結合を阻害して気管支収縮抑制作用を発現する。非臨床試験(摘出標本及び生体位)において示された気管支収縮抑制作用は用量依存的であり、この作用は24時間以上持続する。[24][25]この長時間持続する作用は本剤の受容体を用いた結合実験において得られた結果(M3受容体からの解離がきわめて遅いこと)に基づくと考えられ、この解離はイプラトロピウム臭化物水和物よりもさらに遅い。[26]摘出標本を用いた検討により、気管支収縮に対する抑制作用(M3受容体拮抗作用)はアセチルコリン遊離増強作用(M2受容体拮抗作用)に比べ持続することが明らかとなっている。このことから、M3受容体からの解離はM2受容体からの解離に比べて遅いと考えられ[22]、レセプターの解離速度の面からはM3受容体に対する選択性が高いと考えられる。

有効成分に関する理化学的知見

一般名チオトロピウム臭化物水和物
一般名(欧名)Tiotropium Bromide Hydrate
一般名(欧名)Tiotropium Bromide
化学名(1α,2β,4β,5α,7β)-7-[(Hydroxydi-2-thienylacetyl)oxy]-9,9-dimethyl-3-oxa-9-azoniatricyclo[3.3.1.02,4]nonane bromide monohydrate
分子式C19H22BrNO4S2・H2O
分子量490.43
性状白色〜帯黄白色の粉末である。
本品は水にやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくい。
KEGG DRUGD01929

取扱い上の注意

患者には専用の吸入用器具(ハンディヘラー)及び使用説明書を渡し、使用方法を指導すること。

1ブリスター(7カプセル)は2列で構成されており、列の間にミシン目が入っている。ミシン目以外の場所で切り離さないこと。

カプセルを取り出す際は、ブリスターをミシン目にそって切り離し、吸入の直前に1カプセルだけブリスターから取り出すように指導すること。誤ってアルミシートを次のカプセルまではがしたときは、そのカプセルは廃棄するように指導すること(吸湿により吸入量の低下が起こる可能性がある)。また、カプセルを使い始めたブリスターは、残りのカプセルを続けて使い切るように指導すること(「適用上の注意」の項参照)。

本剤のカプセル内容物は少量であり、カプセル全体に充填されていない。

本剤は温度25度を超えるところに保存しないこと。冷凍しないこと。

包装

14カプセル(7カプセル×2、ハンディヘラー1個)

28カプセル(7カプセル×4)

28カプセル(7カプセル×4、ハンディヘラー1個)

主要文献


1. Feifel U et al,  社内資料 健康成人でのバイオアベイラビリティ試験
2. Serby C W et al,  社内資料 海外1年間投与二重盲検比較試験(205.117試験)
3. Sauer A,  社内資料 薬物動態試験(分布:血漿蛋白結合)
4. Richter I,  社内資料 非臨床薬物動態試験(分布:全身オートラジオグラフィ)
5. Oiwa Y et al,  社内資料 非臨床薬物動態試験(排泄:乳汁中移行)
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作業情報


改訂履歴

2013年4月 改訂
2014年11月 第10版 改訂

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[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2019/4/17 版