1.1 本剤の臨床試験において、カテーテル挿入等により外傷を生じた後のBCG投与による播種性BCG感染に起因したと考えられる死亡例が認められており、米国においても同様の症例が報告されている。したがって、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)、生検及びカテーテル挿入により外傷を生じた直後には本剤を投与すべきではなく、外傷の治癒の状態を観察しながら、7日から14日間間隔をあけて投与すること。また、本剤の投与は緊急時に十分措置できる医療施設及び膀胱癌の治療に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。[
14.2.1参照]
1.2 本剤の臨床試験において、咳嗽及び皮疹等を伴ったアナフィラキシーに起因したと考えられる死亡例が認められているので、このような症状があらわれた場合は本剤の投与を中止し、直ちに抗ヒスタミン剤又はステロイド剤の投与とともに抗結核剤による治療が必要である。
1.3 本剤は生菌製剤であり、米国において院内感染の報告があるので、十分に注意し適切に取扱うこと。
2.1 AIDS、白血病、悪性リンパ腫等併発疾患により免疫抑制状態にある患者及び先天性又は後天性免疫不全の患者[本剤に対する免疫応答が低下するばかりでなく播種性BCG感染を招くおそれがある。]
2.2 HIVキャリアの患者[本剤に対する免疫応答が低下するばかりでなく播種性BCG感染を招くおそれがある。]
2.3 活動性の結核症が明白である患者[重篤な副作用を招くおそれがある。]
2.4 熱性疾患、尿路感染症又は肉眼的血尿が存在している患者[重篤な副作用を招くおそれがある。]
2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[
9.5参照]
2.6 BCG全身性過敏症反応の既往がある患者[重篤な副作用を招くおそれがある。]
2.7 免疫抑制剤及び免疫抑制量の副腎皮質ステロイド剤を投与中の患者[
10.1参照]
2.8 抗癌療法(例えば細胞傷害性薬剤療法、放射線照射)中の患者[
10.1参照]
5.1 本剤は癌の予防薬ではない。
5.2 浸潤性の膀胱癌(組織学的深達度T2以上)は本剤の適応外であるので、投与前に必ず生検等を実施し、浸潤性ではないことを確認してから投与を開始すること。
5.3 本剤の治療投与によって治癒したものに対する維持療法についての有効性・安全性は確立されていない。
本剤は膀胱内注入にのみ用いられるべきで、経皮接種又はいかなる経路(皮内、皮下、筋肉内、静脈内等)でも注射をしてはならない。
8.1 本剤の使用に際しては、患者又はそれに代わる適切なものに、病状、使用方法及び投与期間、予想される副作用の内容並びに問題ある副作用発生時の担当医師への報告の必要性等についてよく説明し、理解させた後に使用すること。
8.2 本剤の投与に際しては、尿路粘膜を損傷しないように、また、泌尿器系統を汚染しないように注意すること。
8.3 毎回の本剤注入後、副作用による自他覚症状の有無及びその程度について患者を監視しなければならない。
8.4 患者に対し副作用、例えば発熱、悪寒、倦怠感、インフルエンザ様症状、疲労の増強に注意し、もしこれらの症状及び重篤な泌尿器における副作用、例えば灼熱感、排尿痛、尿意ひっ迫、頻尿又は関節痛、咳嗽、皮疹等があらわれた場合には直ちに医師に報告するよう指導すること。
8.5 本剤の使用開始に先立ちツベルクリン反応検査を実施しておくことが望ましい。
8.6 本剤注入後の最初の排尿にあたっては、十分に排尿ができるように座位で排尿させるようにし、また立ちくらみによる事故を避けるため、急激に立ち上がらないようにすることが望ましい。また、本剤注入後の最初の排尿は、適当な容器(蓄尿容器等)に採り、BCG感染のおそれがないよう消毒した後、廃棄すること。[
14.3.1、
14.3.2参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 結核既往歴のある患者又はツベルクリン反応強陽性の患者
9.1.2 薬剤アレルギーを起こしたことのある患者
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には本剤による治療中は避妊させること。[
9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本剤の動物(ラット)における生殖・発生試験については、妊娠前及び妊娠初期投与試験のみ実施し、特に異常は認められていないが
1)、妊婦に対する本剤の膀胱内注入は妊娠の維持にも問題があり好ましくない。[
2.5、
9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤が母乳中に排泄されるかどうかは知られていないが、多くの薬剤が母乳へ排泄されており、授乳中の乳児が本剤により重篤な副作用を受ける可能性がある。
9.7 小児等
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 BCG感染
本剤は生菌製剤であり、播種性BCG感染、局所性BCG感染、異所性BCG感染を起こす可能性がある。また、敗血症、肝炎、脳脊髄膜炎、膀胱炎、腎盂腎炎、腎炎、前立腺炎、精巣上体炎、動脈瘤等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うとともにイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール等の抗結核剤併用療法を行うこと。なお、BCGはピラジナミドに感受性を示さない。
(1)播種性BCG感染(頻度不明)
本剤の臨床試験において、カテーテル挿入等により外傷を生じた後のBCG投与による播種性BCG感染に起因したと考えられる死亡例が認められており、48時間以上続くインフルエンザ様熱性症状、39℃以上の発熱、反復投与によって激しさを増す全身症状又は肝機能検査値異常の持続は播種性BCG感染を示唆するものである。
(2)局所性BCG感染
投与局所の膀胱(2.0%)及び管腔等で連続する前立腺(0.5%)、尿管(頻度不明)、腎盂(頻度不明)、腎(頻度不明)、精巣上体(頻度不明)等でのBCG感染が報告されている。
(3)異所性BCG感染(頻度不明)
11.1.2 間質性肺炎(頻度不明)
本剤の投与中に、発熱、咳嗽、呼吸困難等の自覚症状とともに胸部X線異常と低酸素血症を伴う死亡例を含む重篤な間質性肺炎があらわれることがある。このような場合には本剤の投与を中止し、速やかにステロイド剤の投与等適切な処置を行うこと。
しかし、播種性BCG感染との鑑別が困難な場合にはステロイド剤とともに抗結核剤投与を行うことが望ましい。
11.1.3 全身性遅延型過敏性反応(頻度不明)
本剤の臨床試験において、咳嗽及び皮疹等を伴ったアナフィラキシーに起因したと考えられる死亡例が認められている。
全身性遅延型過敏性反応によると思われる副作用が認められた場合は本剤の投与を中止し、直ちに抗ヒスタミン剤又はステロイド剤の投与とともに抗結核剤による治療が必要である。
11.1.4 萎縮膀胱(頻度不明)
11.1.5 腎不全(頻度不明)
11.1.6 ライター症候群(結膜炎、多発性関節炎等)(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 10%以上 | 10%未満 | 頻度不明 |
| 泌尿器注1) | 排尿痛(57.6%) 頻尿(56.6%) 肉眼的血尿(29.3%) 尿混濁(21.2%) 膀胱容量減少(18.7%) 排尿困難(15.2%) | 尿道痛、残尿感 | 膀胱タンポナーデ(膀胱内血腫による)、尿道狭窄、切迫性尿失禁 |
| 泌尿器注1) | 尿沈渣〔白血球〕(59.1%) 尿沈渣〔赤血球〕(38.1%) 尿蛋白(29.8%) 尿潜血(28.7%) 尿糖(10.1%) | | |
| 生殖器注2) | | 陰茎浮腫 | |
| 腎臓注3) | | 血清クレアチニン上昇、BUN上昇 | |
| 肝臓注4) | | 肝機能検査値異常[Al-P、AST、ALT、γ-GTP、LDHの上昇] | 肝機能障害 |
| 血液 | 白血球数の増加又は減少(17.5%) 赤血球沈降速度の異常(14.1%) | 赤血球数の増加又は減少、血色素量減少 | ヘマトクリット減少、血小板数減少、血清総蛋白低下、血清電解質異常[Na、K、Cl] |
| 皮膚注5) | | 蕁麻疹、発疹、皮疹 | |
| 精神神経系 | | 倦怠感 | 頭痛、頭重感 |
| 呼吸器 | | 肺炎 | 咳嗽 |
| 消化器 | | 悪心、食欲不振、口内炎、ストレス性胃潰瘍による出血 | 嘔吐、下痢 |
| 発熱注6) | 発熱(33.8%) | 悪寒戦慄 | 体熱感 |
| その他注7) | | 関節痛、下腹部痛、下腹部重圧感、消耗、衰弱 | 腰痛、筋肉痛、鼠径部リンパ節腫脹、結膜炎 |
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤は弱毒化したMycobacterium bovisであり、通常の取り扱いにより医療従事者が感染することは考えられないが、生菌製剤であるので、無菌的技法で使用すべきであり、本剤の取り扱い時にはゴム手袋及びマスクをつけること。もし、誤って手指等の外傷部に本剤が接触したときは、外傷部を直ちにアルコール等で消毒すること。
14.1.2 懸濁の際は、バイアル内の本剤の乾燥状態を確かめた後、バイアル頭部のプラスチック製上ブタをはずし、ゴム栓及びその周辺をアルコール綿で消毒すること。本剤に添付の溶剤を注入し、しばらく(1分間)静置後静かに振って懸濁する。泡立っていると正確な用量の吸引ができなくなるため、泡立ちは避けること。バイアルから懸濁液の全量を注射筒に吸引し、日本薬局方生理食塩液を更に加え均等なBCG希釈液とする。
14.1.3 本剤は懸濁後、すみやかに使用すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤の投与に先立つ尿道カテーテルの挿入は尿路系に損傷を与えないよう、十分に注意して行うこと。もし、誤って損傷が生じたら本剤の注入は、7日から14日間間隔をあけて行うこと。[
1.1参照]
14.2.2 本剤の注入はできるだけゆっくりと行うこと。
14.3 薬剤廃棄時の注意
14.3.1 本剤と接触したすべての容器、器具等は煮沸消毒か、適切な消毒液等に浸し、消毒した後処分すること。[
8.6参照]
14.3.2 本剤注入後の最初の排尿の消毒の方法としては、例えば、排尿に半量の10%次亜塩素酸ナトリウム液(ハイポライト等)を加えて15分間置いておく方法などがある。なお、10%次亜塩素酸ナトリウム液を排尿に加えた際に塩素ガスが発生することがあるので、十分に換気を行うこと。[
8.6参照]
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相試験
原発性又は再発性表在性膀胱腫瘍あるいは膀胱上皮内癌(CIS)の患者を対象とし、本剤80mg及び120mgを日局生理食塩液40mLに懸濁し
注)膀胱内注入後、原則として2時間膀胱内に保持、これを週1回、原則として8週投与を行い、有効性及び安全性を検討した。
本剤の承認用量である80mg投与群での有効性及び安全性は以下のとおりである。
5)
| | 症例数 | CRa) | PRb) | 有効例数(CR+PR) | 有効率% |
| 例数(%) | 例数(%) |
| 表在性膀胱癌 | 25 | 17(68.0) | 7(28.0) | 24 | 96.0 |
| 膀胱上皮内癌※ | 11 | 7(63.6) | 3(27.3) | 10 | 90.9 |
| 計 | 36 | 24(66.7) | 10(27.8) | 34 | 94.4 |
国内第II相試験において、対象症例38例中の副作用発現率は86.8%(33例)であった。
主な副作用としては膀胱刺激症状が主体であり、頻尿65.8%、排尿痛57.9%、肉眼的血尿36.8%、尿混濁23.7%、排尿困難18.4%であった。その他の副作用は発熱42.1%、膀胱容量減少23.7%であった。臨床検査値異常では尿沈渣〔白血球〕56.8%、尿沈渣〔赤血球〕54.1%、尿潜血44.2%、尿蛋白42.9%等であった。
17.1.2 国内第III相試験
原発性又は再発性表在性膀胱腫瘍あるいは膀胱上皮内癌(CIS)の患者を対象とし、本剤80mgを日局生理食塩液40mLに懸濁し
注)膀胱内注入後、原則として2時間膀胱内に保持、これを週1回、原則として8週投与を行い、有効性及び安全性を検討した。
治療投与試験パートにおける有効性及び安全性は以下のとおりである。
5)6)
| | 症例数 | CRa) | PRb) | 有効例数(CR+PR) | 有効率% |
| 例数(%) | 例数(%) |
| 表在性膀胱癌 | 125 | 82(65.6) | 27(21.6) | 109 | 87.2 |
| 膀胱上皮内癌※ | 32 | 27(84.4) | 2(6.3) | 29 | 90.6 |
| 計 | 157 | 109(69.4) | 29(18.5) | 138 | 87.9 |
国内第III相試験において、対象症例160例中の副作用発現率は76.3%(122例)であった。
主な副作用としては膀胱刺激症状が主体であり、排尿痛57.5%、頻尿54.4%、肉眼的血尿27.5%、尿混濁20.6%、排尿困難14.4%であった。その他の副作用は発熱31.9%、膀胱容量減少17.5%であった。臨床検査値異常では尿沈渣〔白血球〕59.7%、尿沈渣〔赤血球〕34.0%、尿蛋白26.6%、尿潜血24.2%等であった。
注)本剤の調製法は、本品1本(80mg)に添付の溶剤(日本薬局方生理食塩液)2mLを加え40mg/mLの懸濁液とする。これに日本薬局方生理食塩液39mLを更に加え均等なBCG希釈液を調製する。
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 表在性膀胱癌患者を対象としたTURBT後の補助療法の臨床試験
表在性膀胱癌(単発かつ初発例及び異型度G3症例を除く)に対する、TURBT実施後の補助療法における、本剤の有効性を検討することを目的として、本剤群39例(80mgを週1回、6回膀胱内投与)及びドキソルビシン塩酸塩群40例(20mg/40mLを週1回、2回膀胱内投与後、2週間毎に1回、7回膀胱内投与し、さらに月1回、8回投与)の無作為化比較試験が行われた。本試験では、事前に計画されていない中間解析が行われた結果、非再発率は本剤群で71.8%(95%信頼区間:55.1%、85.0%)、ドキソルビシン塩酸塩群で42.5%(95%信頼区間:27.0%、59.1%)であった(カットオフ日:2003年3月31日)。
ただし、本中間解析における有意水準の設定根拠は不明であるため、本剤の有効性について統計学的に意味を示すことはできない。
図 無再発生存曲線(本剤群対ドキソルビシン塩酸塩群)
<イムノブラダー膀注用80mg>
80mg 1バイアル
(添付溶剤:日本薬局方生理食塩液 2mL 1アンプル)
<イムノブラダー膀注用40mg>
40mg 1バイアル
(添付溶剤:日本薬局方生理食塩液 1mL 1アンプル)