5.1 適用の前に十分な検査を実施し、高コレステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。その際、LDL-コレステロール値を確認することが望ましい。
LDL-コレステロール値は、トリグリセリド値が400mg/dL以下のときは次式より求めることができる。
LDL-コレステロール=総コレステロール−(トリグリセリド/5+HDL-コレステロール)
また、トリグリセリド値が400mg/dLを超える場合は超遠沈法等により測定する(トリグリセリドが極端な高値を示す例の中には、総コレステロールが高値を示してもLDL-コレステロールは正常値を示す場合がある)。
なお、本剤は家族性高コレステロール血症ホモ接合体のLDL受容体完全欠損例では効果は期待できないと考えられる。
5.2 糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群等の疾患の合併、血清脂質に悪影響を与える薬剤の服用、アルコール多飲等の二次的要因により高脂血症を呈している場合は原疾患の治療、薬剤の切り替え、アルコール摂取の制限等を可能な限り実施した上で本剤での治療を考慮すること。
通常、成人にはコレスチミドとして1回1.5gを1日2回、朝夕食前に水とともに経口投与する。
ただし、症状、服用状況を考慮して朝夕食後投与とすることもできる。なお、年齢、症状により適宜増減するが、最高用量は1日4gとする。
コレバイン錠500mg
7.1 朝夕食後投与の成績は一般臨床試験によるものであり、原則として朝夕食前投与とする。
7.2 1回あたりの製剤量は以下のとおりである。
| \ | 1回投与量(1.5g) |
| コレバイン錠500mg | 3錠 |
コレバインミニ83%
7.1 朝夕食後投与の成績は一般臨床試験によるものであり、原則として朝夕食前投与とする。
7.2 1回あたりの製剤量は以下のとおりである。
| \ | 1回投与量(1.5g) |
| コレバインミニ83% | 1.81g |
8.1 あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、肥満がある場合にはその是正につとめること。更に運動療法や、高血圧・喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分に考慮すること。
8.2 便秘又は便秘の増悪により腹痛、嘔吐等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、緩下剤の併用あるいは本剤を減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[
9.1.1、
11.2参照]
8.3 投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。また、本剤の投与により血中トリグリセリド値が上昇することがあるので、血中トリグリセリド値を定期的に検査し、異常上昇例に対しては投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
8.4 脂溶性ビタミン(A、D、E、K)あるいは葉酸塩の吸収阻害が起こる可能性があるので、長期間投与の際にはこれらの補給を考慮すること。
8.5 類薬(コレスチラミン)で、長期間の大量投与により高クロール性アシドーシスがあらわれたとの報告があるので十分注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 便秘の患者又は便秘を起こしやすい患者
症状を悪化させ、腹痛、嘔吐等があらわれるおそれがある。なお、症状が悪化した場合、腸閉塞に至るおそれがある。[
8.2、
11.1.1参照]
9.1.2 腸管狭窄のある患者
9.1.3 腸管憩室のある患者
9.1.4 嚥下困難のある患者
誤って気道に入った本剤が膨潤し、呼吸困難を起こした症例が報告されている。[
14.1.1参照]
9.1.5 痔疾患を有する患者
9.1.6 消化管潰瘍又はその既往歴のある患者
9.1.7 出血傾向を有する患者
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 胆道の完全閉塞した患者
投与しないこと。本剤の血清コレステロール低下作用は、主に腸管内で胆汁酸と結合してその糞中排泄量を増大させることにより発現するため効果が期待できない。[
2.1参照]
9.3.2 肝疾患・肝機能障害又はその既往歴のある患者(胆道の完全閉塞した患者を除く)
9.7 小児等
9.8 高齢者
9.8.1 便秘、腹部膨満感等の消化器症状が発現しやすい。[
11.1.1参照]
9.8.2 誤って気道に入った本剤が膨潤し、呼吸困難を起こした症例が報告されている。[
14.1.1参照]
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 腸管穿孔、腸閉塞(いずれも頻度不明)
11.1.2 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 5%以上 | 0.1〜5%未満 | 頻度不明 |
| 消化器 | 便秘注)(12.1%)、腹部膨満 | 腹痛、嘔気、嘔吐、下痢、鼓腸放屁、口内乾燥、舌荒れ、痔の悪化、血便、排便痛 | 消化不良、食欲不振、口内炎 |
| 肝臓 | | 肝機能障害(AST、ALT、γ-GTP、ALP、LDH、ビリルビンの上昇等) | |
| 皮膚 | | そう痒、発疹、肌荒れ、丘疹 | |
| 循環器 | | 動悸、狭心症状、不整脈 | |
| 筋骨格系 | | CK上昇、関節痛、背部痛(頸部痛、腰痛等) | 筋肉痛 |
| 血液 | | ヘモグロビン減少、白血球数減少、赤血球数減少、ヘマトクリット減少 | |
| その他 | | アミラーゼ上昇、頭痛、浮腫(顔面、四肢等)、胸痛、鼻出血、ピリピリ感、苦味、コリンエステラーゼ上昇 | 血糖低下、倦怠感、めまい、頻尿、しびれ感 |
15.2 非臨床試験に基づく情報
類薬(コレスチラミン)で、動物実験(ラット)において既知発ガン物質によって誘発される腸腫瘍の発生頻度が上昇するとの報告がある。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験
高コレステロール血症患者に、コレスチミドとして1回1.5gを1日2回(朝・夕食前)12週間経口投与した第III相比較対照試験における全般改善度の改善率(改善以上)は71.4%(70/98例)であった。
治療終了時の血清脂質値の変化率の平均は、総コレステロール値で12.0%の低下、LDL-コレステロール値で21.9%の低下であり、HDL-コレステロール値は8.4%の上昇であった。
副作用発現頻度は25.5%(28/110例)であった。主な副作用は便秘14.5%(16/110例)、腹部膨満感8.2%(9/110例)であった
5)。
17.1.2 国内臨床試験
本剤の国内臨床症例における血清総コレステロール値の変動を食前後投与で比較すると次のようになった
5)6)7)8)9)10)11)12)13)。
| 投与方法 | 第I相試験 | 第II相以降の全試験 | 食後投与 オープン試験 |
| 食前投与 | 18.9%低下 (n=6) | 10.9%低下 (n=534) | − |
| 食後投与 | 16.5%低下 (n=6) | − | 13.5%低下 (n=31) |
17.1.3 国内一般臨床試験(HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用試験)
HMG-CoA還元酵素阻害剤プラバスタチンナトリウム単独使用中の家族性高コレステロール血症患者に、コレスチミドとして1回1.5gを1日2回(朝・夕食前)12週間経口投与したところ、本剤投与開始時に対する総コレステロール及びLDL-コレステロールの低下率は、それぞれ9〜13%(n=9〜12)及び14〜18%(n=9〜12)であった。
副作用発現頻度は18.8%(3/16例)であった。副作用の内訳は便秘、腹部膨満感いずれも12.5%(2/16例)であった
14)。
17.1.4 国内一般臨床試験(HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用試験)
HMG-CoA還元酵素阻害剤プラバスタチンナトリウム単独使用中の冠動脈疾患を合併した高コレステロール血症患者に、コレスチミドとして1回1.5gを1日2回(朝・夕食前)12週間経口投与したところ、本剤投与開始時に対する総コレステロール及びLDL-コレステロールの低下率は、それぞれ11〜16%(n=6〜7)及び19〜27%(n=6〜7)であった。
副作用発現頻度は38.5%(5/13例)であった。副作用の内訳は便秘23.1%(3/13例)、腹部膨満感15.4%(2/13例)であった
15)。