2.1 QT延長症候群の患者[本剤の作用によりQT時間が更に延長し、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)を誘発させるおそれがある。]
2.2 アミオダロン注射剤、フィンゴリモド塩酸塩又はエリグルスタット酒石酸塩を投与中の患者[
10.1参照]
生命に危険のある下記の不整脈で他の抗不整脈薬が無効か、又は使用できない場合
<単回静注法>
通常、成人にはニフェカラント塩酸塩として1回0.3mg/kgを5分間かけて心電図の連続監視下に静脈内に投与する。
<維持静注法>
単回静注が有効で効果の維持を期待する場合には、通常、成人にはニフェカラント塩酸塩として1時間あたり0.4mg/kgを等速度で心電図の連続監視下に静脈内に投与する。
<用法共通>
なお、年齢、症状により適宜増減する。
投与に際しては、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で溶解して使用する。
7.2 本剤は同時に使用する薬剤や調製条件によっては、配合変化を生じることがあるので、薬剤の選択及び調製条件等に十分注意して使用すること。[
14.2.2参照]
8.1 単回静注は必ず5分間かけて徐々に投与すること。急速に投与した場合、血中濃度の急激な上昇によって過度のQT時間の延長、心拍数の低下又は洞停止、更には心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、心室細動等の催不整脈作用が発現するおそれがある。[
7.1、
9.8、
16.1参照]
8.2 本剤の投与中は必ず心電図の連続監視と臨床症状の観察等を行うこと。特に、過度のQT時間の延長が認められた場合(0.6秒を超える場合)には、直ちに減量するか又は投与を中止すること。[
7.1、
13.1、
13.2参照]
8.3 本剤の投与終了後は少なくとも1時間の心電図等の連続監視にて経過観察を十分に行うこと。
8.4 経口投与が困難な場合や、緊急の場合に使用すること。なお、引き続き不整脈治療が必要で経口投与が可能となった後は、速やかに経口投与薬剤に切りかえること。
8.5 他の抗不整脈薬と併用する場合には、有効性、安全性が確立していないので十分な観察を行いながら投与すること。[
10.2参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 著明な洞性徐脈のある患者
9.1.2 刺激伝導障害(房室ブロック、洞房ブロック、脚ブロック等)のある患者
9.1.3 血清カリウム低下のある患者
心室頻拍(Torsades de pointesを含む)等の催不整脈作用が発現するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者
本剤の血漿中未変化体濃度の上昇又は血中半減期の延長が生じるおそれがある。また、腎機能障害を増悪させるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
本剤の血漿中未変化体濃度の上昇又は血中半減期の延長が生じるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。動物(ラット)に50mg/kgを反復投与した場合、胎児の短尾等の催奇形作用が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
9.8 高齢者
血漿中未変化体濃度の上昇又は血中半減期の延長が生じるおそれがある。肝・腎機能が低下していることが多い。[
7.1、
8.1、
16.1参照]
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 催不整脈(3%以上)
心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、心室細動、心室性期外収縮、心房細動、心房粗動等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止するとともにリドカイン、硫酸マグネシウムの静注、直流通電等適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 1〜3%未満 | 0.1〜1%未満 | 頻度不明 |
| 循環器注) | QT時間延長 | 洞停止、QRS拡大 | 洞性徐脈、徐脈、房室ブロック |
| 皮膚 | | 発疹 | 皮膚潰瘍形成、皮下組織膿瘍 |
| 肝臓 | ALT上昇、LDH上昇 | γ-GTP上昇、Al-P上昇、総ビリルビン上昇 | AST上昇 |
| 腎臓 | | | BUN上昇、血中クレアチニン上昇 |
| 血液 | | 血小板減少、白血球増加、リンパ球減少、好中球増多 | 貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値減少) |
| 代謝異常 | | 総蛋白低下、アルブミン低下、Cl低下、K上昇、Na低下、K低下、尿酸上昇 | |
| 消化器 | | 下痢、口渇 | |
| その他 | ほてり | 胸部不快感、胸内熱感、注射部疼痛、あくび、頭重感 | CK上昇、静脈炎、注射部炎症、注射部発赤腫脹、注射部硬結、注射部膿瘍 |
14.1 薬剤調製時の注意
溶解後は速やかに使用すること。やむを得ず保存する場合、又は維持静注に供する場合、溶解後24時間を経過したものは使用しないこと(生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液にて溶解した液は、室温散乱光下で調製後24時間まで安定であった)。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 静脈内投与により静脈炎、注射部反応(疼痛、炎症、発赤腫脹、硬結等)、注射部膿瘍、皮膚潰瘍形成、皮下組織膿瘍があらわれることがあるので、十分注意すること。これらの症状があらわれた場合には投与部位の変更、投与濃度の調節等適切な処置を行うこと。なお、血管外漏出によると考えられる症例も報告されているので、投与時には十分注意すること。
14.2.2 同時に投与する薬剤によっては、本剤の溶解液又は調製濃度により、使用途上において注入ラインに結晶が析出することがあるので注意すること。結晶析出を認めた場合には速やかに新しい輸液セット(三方活栓を含む)に交換するなど適切な処置を行うこと。[
7.2参照]
16.1 血中濃度
健康成人男子に本剤0.1〜0.4mg/kg
注)を5分間かけて単回静注したところ(各5〜6例)、血漿中未変化体濃度は投与終了直後に最高値を示し、その後二相性に消失した。0.3mg/kg静注時のβ相の消失半減期は1.53時間であった。
AUCは投与量に比例して増加し、その他のパラメータは投与量によらずほぼ一定であり、線形性が認められた
1)。
健康成人男子(6例)に本剤0.4mg/kg/時間を維持静注した場合、血漿中未変化体濃度は投与開始後約4時間で定常状態に達し、投与終了後は単回静注時と同様に二相性に消失した
2)。[
7.1、
8.1、
9.8参照]
ニフェカラント塩酸塩静注時の血漿中未変化体濃度の経時的推移
| 投与群 | T1/2β(hr) | Vc(L/kg) | Cl(L/hr/kg) | AUC0-∞(ng・hr/mL) |
| 単回静注※1) | 1.53±0.23 | 0.13±0.01 | 0.85±0.09 | 321±37 |
| 維持静注※2) | 1.15±0.08 | 0.14±0.04 | 0.78±0.05 | 3776±345 |
16.3 分布
16.4 代謝
健康成人男子に本剤を静注したところ、主たる血漿中代謝物はグルクロン酸抱合体(M-GC)であった
1)2)。
16.5 排泄
健康成人男子に本剤0.1〜0.4mg/kg
注)を5分間かけて単回静注したところ(各5〜6例)、24時間後までの未変化体及び代謝物の尿中排泄率の合計は投与量の46.9〜55.5%であった
1)。未変化体が投与量の27.8〜31.7%、M-GCが14.8〜18.9%であり、チトクロームP450が関与すると考えられるその他の代謝物の排泄率は合計3.3〜5.5%であった
1)。なお、チトクロームP450の分子種は、CYP3A4、2D6、1A1が主であり、他にCYP2B6、2C9、2C18、2C19も関与することが確認されている
3)。健康成人男子(6例)に本剤0.4mg/kg/時間を維持静注した場合の尿中排泄率は、単回静注時とほぼ同様であった
2)。
注)本剤の承認された単回静注法の用量は0.3mg/kgである。
18.1 作用機序
18.1.1 心筋活動電位に対する作用(in vitro)
イヌのプルキンエ線維の活動電位立ち上がり速度に影響することなく、活動電位持続時間を濃度依存性に延長させた
8)。
18.1.2 心筋有効不応期に対する作用
イヌの心房筋及び心室筋の有効不応期を用量依存性に延長させた
9)。
18.1.3 心室筋の細胞膜電流に対する作用(in vitro)
イヌのプルキンエ線維の活動電位持続時間を延長させる濃度でK
+チャネルを遮断した(ウサギ心室筋)
10)が、Na
+及びCa
++チャネルには作用しなかった(モルモット心室筋)
11)。
18.1.4 臨床電気生理学的作用
心室性期外収縮患者に本剤を投与したところ、心室の単相活動電位持続時間及び有効不応期の有意な延長が認められたが、心室内伝導速度には影響を及ぼさなかった
12)。
18.2 抗不整脈作用
イヌのリエントリー性不整脈である心筋梗塞後の心室頻拍及び心室細動の誘発を抑制し
13)、心臓突然死の発生を予防した
14)。一方、自動能亢進型のモデル不整脈に対する効果は弱かった
13)。
18.3 心電図及び血行動態への作用
イヌにおいて用量依存性に心拍数を低下させ、またQT時間を延長させた。血圧及び心筋収縮性(左心室内圧上昇速度)には影響を及ぼさなかった
9)。
18.4 臨床における血行動態への作用
基礎心疾患に伴う低心機能を呈する難治性心室頻拍例においては、心拍出量及び心係数を有意に上昇させた
5)。また、心筋梗塞後の患者において、心機能への影響は認められなかった
15)16)。