医療用医薬品 : ベタナミン

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医薬品情報


総称名 ベタナミン
一般名 ペモリン
欧文一般名 Pemoline
製剤名 ペモリン錠
薬効分類名 精神神経用剤
薬効分類番号 1179
ATCコード N06BA05
KEGG DRUG
D00744 ペモリン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2020年8月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ベタナミン錠10mg (後発品) BETANAMIN Tablets 三和化学研究所 1179023F1035 6.8円/錠 向精神薬(第三種), 処方箋医薬品注)
ベタナミン錠25mg (後発品) BETANAMIN Tablets 三和化学研究所 1179023F2023 13.6円/錠 向精神薬(第三種), 処方箋医薬品注)
ベタナミン錠50mg (後発品) BETANAMIN Tablets 三和化学研究所 1179023F3020 30.2円/錠 向精神薬(第三種), 処方箋医薬品注)

1. 警告

海外の市販後報告において、重篤な肝障害を発現し死亡に至った症例も報告されていることから、投与中は定期的に血液検査等を行うこと。[8.311.1.1参照]

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 過度の不安、緊張、興奮性、焦躁、幻覚、妄想症状、強迫状態、ヒステリー状態、舞踏病のある患者[中枢神経刺激作用により症状を悪化させるおそれがある。]
2.2 重篤な肝障害のある患者[9.3.111.1.1参照]
2.3 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
2.4 甲状腺機能亢進のある患者[循環器系に影響を及ぼすおそれがある。]
2.5 不整頻拍、狭心症、動脈硬化症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
2.6 てんかん等の痙攣性疾患の患者[痙攣閾値を低下させるおそれがある。]
2.7 本剤に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

<ベタナミン錠10mg>
○軽症うつ病、抑うつ神経症
○次の疾患に伴う睡眠発作、傾眠傾向、精神的弛緩の改善
<ベタナミン錠25mg>
次の疾患に伴う睡眠発作、傾眠傾向、精神的弛緩の改善
<ベタナミン錠50mg>
次の疾患に伴う睡眠発作、傾眠傾向、精神的弛緩の改善

6. 用法及び用量

ベタナミン錠10mg
<軽症うつ病、抑うつ神経症>
軽症うつ病、抑うつ神経症にはペモリンとして通常成人1日10〜30mgを朝食後経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
<ナルコレプシー、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患>
ナルコレプシー、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患にはペモリンとして通常成人1日20〜200mgを朝食後、昼食後の2回に分割経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
ベタナミン錠25mg
<ナルコレプシー、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患>
ナルコレプシー、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患にはペモリンとして通常成人1日20〜200mgを朝食後、昼食後の2回に分割経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
ベタナミン錠50mg
<ナルコレプシー、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患>
ナルコレプシー、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患にはペモリンとして通常成人1日20〜200mgを朝食後、昼食後の2回に分割経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 大量投与により、覚醒効果があるので、不眠に注意し、夕刻以後の服薬は原則として避けること。
8.2 投与後15〜30分で、一過性に逆説的傾眠を生じることがあるので、投与には十分に注意すること。
8.3 重篤な肝障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うこと。[1.、11.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 てんかんの既往歴のある患者
痙攣閾値を低下させるおそれがある。
9.1.2 高血圧の患者
血圧を上昇させるおそれがある。
9.1.3 開放隅角緑内障の患者
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者
本剤は主に腎で排泄されるため副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
投与しないこと。肝障害が強くあらわれ致死的になるおそれがある。[2.211.1.1参照]
9.3.2 肝機能障害又はその既往歴のある患者
肝機能障害が強くあらわれるおそれがある。[11.1.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。
9.7 小児等
外国で小児への投与により致死的な急性肝不全が起こったとの報告、また、長期投与により発育抑制があらわれたとの報告がある。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
昇圧剤昇圧剤の作用を増強するおそれがある。本剤の交感神経刺激作用によると考えられる。
MAO阻害剤MAO阻害剤の作用を増強するおそれがある。本剤の交感神経刺激作用によると考えられる。
グアネチジン降圧作用を減弱するおそれがある。本剤が交感神経遮断作用に拮抗すると考えられる。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 重篤な肝障害(頻度不明)
肝不全を起こすことがある。[1.、2.28.39.3.19.3.2参照]
11.1.2 薬物依存(頻度不明)
長期投与により薬物依存を生じることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満頻度不明
過敏症  発疹
精神神経系不眠焦躁感、頭痛、逆説的傾眠、肩こり、不安めまい、幻覚、興奮、刺激性、運動亢進
消化器口渇食欲不振、嘔気、便秘、胃部不快感 
循環器 頻脈、心悸亢進 
その他 発汗、疲労発熱

13. 過量投与

13.1 症状
頻脈、幻覚、激越、情動不安などがあらわれることがある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
イヌ、サルを用いた動物実験で、経口投与により涙中のリゾチーム活性の低下、角膜の混濁、潰瘍が報告されている。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<ナルコレプシー、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患に伴う睡眠発作、傾眠傾向、精神的弛緩の改善>
17.1.1 国内一般臨床試験
ナルコレプシー28例、近縁傾眠疾患13例の計41例を対象とした臨床試験の結果(投与法:1日20〜500mg朝・昼2回分割投与、2週〜7年5カ月)、全般改善率は、71.4%(著効+有効)であった。症状別では、ナルコレプシーの4主徴のうち、特に睡眠発作及び傾眠傾向、精神的弛緩に高い改善率が得られた1)
副作用発現頻度は61.0%(25/41例)であった。主な副作用は、夜間入眠困難22.0%(9/41例)、口渇14.6%(6/41例)、食欲減退12.2%(5/41例)、頭痛12.2%(5/41例)、胃症状9.8%(4/41例)であった。
注)本剤のナルコレプシー、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患における承認された用法及び用量は、通常成人1日20〜200mgを朝食後、昼食後の2回に分割経口投与である。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は、中枢神経系のドーパミン作動性ニューロンの神経終末でのドーパミン取り込み阻害による神経伝達促進作用を有する2)
18.2 ナルコレプシー及び近縁傾眠疾患に対する作用
ナルコレプシー及び近縁傾眠疾患に対して、覚醒作用、全般的精神賦活作用、大脳皮質の賦活作用と脳幹の鎮静作用を有する3)4)5)6)7)8)9)10)(ラット、マウス、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒト[健康成人])。
18.3 うつ病、うつ状態に対する作用
うつ病、うつ状態に対して、中枢興奮作用に基づく抗うつ作用を有する11)(マウス)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ペモリン

一般的名称 ペモリン
一般的名称(欧名) Pemoline
化学名 2-Imino-5-phenyl-4-oxazolidinone
分子式 C9H8N2O2
分子量 176.17
融点 245〜248℃
物理化学的性状 本品は白色の結晶性の粉末で、においはない。
本品はN,N-ジメチルホルムアミドにやや溶けにくく、酢酸(100)に溶けにくく、水、無水酢酸、エタノール(95)、アセトン又はクロロホルムにほとんど溶けない。
本品は水酸化ナトリウム試液に溶ける。
KEGG DRUG D00744

22. 包装

<ベタナミン錠10mg>
100錠(PTP10錠×10)
<ベタナミン錠25mg>
100錠(PTP10錠×10)
<ベタナミン錠50mg>
100錠(PTP10錠×10)

23. 主要文献

  1. 本多 裕, 新薬と臨牀, 27, 1017-1037, (1978)
  2. 高橋康郎, 日病薬誌, 30 (12), 1397-1402, (1994)
  3. Dren AT,et al., Pharmacologist., 11, 264, (1969)
  4. Dren AT,et al., Fed Proc., 28, 641, (1969)
  5. Hartmann E, Biol Psychiatry., 1, 243-257, (1969) »PubMed
  6. Rojas-Ramirez JA,et al., Int J Neuropharmac., 8, 177-180, (1969) »PubMed
  7. Lienert GA,et al., Arzneim-Forsch., 7, 436-439, (1957) »PubMed
  8. Schmidt L, Arzneim-Forsch., 6, 423-426, (1956) »PubMed
  9. Tomasi L,et al., Psychopharmacologia(Berl)., 34, 155-162, (1974)
  10. Boissier JR,et al., Therapie., XXII, 1307-1316, (1967)
  11. Lee CM,et al., J Med Chem., 19, 731-733, (1976) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社三和化学研究所 コンタクトセンター
〒461-8631 名古屋市東区東外堀町35番地
電話:0120-19-8130
FAX:052-950-1305
製品情報問い合わせ先
株式会社三和化学研究所 コンタクトセンター
〒461-8631 名古屋市東区東外堀町35番地
電話:0120-19-8130
FAX:052-950-1305

25. 保険給付上の注意

本剤は、厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付、平成18年厚生労働省告示第107号一部改正)に基づき、投薬量は1回30日分を限度とされています。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社三和化学研究所
〒461-8631 名古屋市東区東外堀町35番地

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版