医療用医薬品 : サアミオン

List   Top

医薬品情報


総称名 サアミオン
一般名 ニセルゴリン
欧文一般名 Nicergoline
薬効分類名 脳循環・代謝改善剤
薬効分類番号 2190
ATCコード C04AE02
KEGG DRUG
D01290 ニセルゴリン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2023年7月 改訂(第1版 D8)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
サアミオン錠5mg SERMION Tablets 田辺三菱製薬 2190021F1348 14.4円/錠 処方箋医薬品注)
サアミオン散1% SERMION Powder 田辺三菱製薬 2190021B1095 21.5円/g 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
頭蓋内出血後、止血が完成していないと考えられる患者[出血を助長するおそれがある。]

4. 効能または効果

脳梗塞後遺症に伴う慢性脳循環障害による意欲低下の改善

6. 用法及び用量

ニセルゴリンとして、通常成人1日量15mgを3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

サアミオン錠5mg
7.1 本剤の投与期間は、臨床効果及び副作用の程度を考慮しながら慎重に決定するが、投与12週で効果が認められない場合には投与を中止すること。
7.2 成人1日量の剤形換算は、以下のとおりである。
成人1日量(15mg)
サアミオン錠5mg3錠
サアミオン散1%
7.1 本剤の投与期間は、臨床効果及び副作用の程度を考慮しながら慎重に決定するが、投与12週で効果が認められない場合には投与を中止すること。
7.2 成人1日量の剤形換算は、以下のとおりである。
成人1日量(15mg)
サアミオン散1%1.5g

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児及び出生児の発育抑制が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜1%未満頻度不明
消化器食欲不振、下痢、便秘、悪心、腹痛、口渇 
肝臓 肝機能障害
循環器めまい、立ちくらみ動悸、ほてり
精神神経系眠気、倦怠感、頭痛、耳鳴不眠
過敏症発疹、そう痒蕁麻疹

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
<錠>
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
外国人のデータでは健康成人に本剤15mgを経口投与した場合、吸収は速やかで、血漿中濃度(総放射活性)は投与2〜4時間後に最高(57〜96ng eq./mL)に達した。
16.3 分布
16.3.1 組織移行性
3H-ニセルゴリン(5mg/kg)をSD系雄ラットに経口投与した時、全身の放射能は投与後30〜60分の時点で最高値を示し、肝臓、唾液腺、腎臓、肺及び心筋で高く、血液及び筋肉では中程度、脳では低かった1)
16.3.2 蛋白結合率
ヒト血漿蛋白への3H-ニセルゴリンの結合率は10〜100ng/mLの濃度範囲で93〜95%であった1)(in vitro、限外濾過法)。
16.5 排泄
健康成人に本剤5mg 8錠を経口投与したとき、大部分が代謝物として排泄され、24時間までの尿中排泄率は51%であった2)
注)本剤の承認用法及び用量は、通常成人1日量15mgを3回に分けて経口投与である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内再評価試験
プラセボを対照薬とする二重盲検比較試験において、本剤の脳梗塞後遺症に伴う意欲低下及び精神症候全般改善度に有意差が認められた。
評価項目薬剤群改善以上(%)検定
精神症候全般改善度サアミオン30/87(34.5)P=0.000
プラセボ12/89(13.5)
意欲低下全般改善度サアミオン26/87(29.9)P=0.003
プラセボ8/85(9.4)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
脳血管を選択的に拡張し脳血流を増加させると共に、血小板凝集抑制作用、赤血球変形能改善作用及びPAF産生能抑制作用等により血液流動性を改善し脳循環を改善する。また、脳内アセチルコリン系及びドーパミン系の神経伝達機能を促進し、脳虚血時のグルコース、ATP及びピルビン酸等の各種脳エネルギー関連物質の代謝改善作用により脳代謝を改善する3)4)5)6)7)8)9)10)
18.2 脳循環改善作用
18.2.1 脳血管障害患者において、内頸及び椎骨動脈の血流量増加11)12)が、また、虚血病巣部での脳血流増加13)が認められている。
18.2.2 ネコの内顎動脈血流量を用量依存的に増加させる14)
18.3 血液流動性改善作用
健康成人3)及び脳血管障害患者15)において、ADP、コラーゲン等による血小板凝集抑制作用及び赤血球変形能亢進作用が認められている。
18.4 神経伝達系に対する作用
18.4.1 ラットにおいて、加齢により低下した脳内コリンアセチルトランスフェラーゼ(CAT)活性及びムスカリン性アセチルコリン受容体の結合能を大脳皮質及び海馬において回復させる16)
18.4.2 ラットにおいて、加齢により低下した海馬のアセチルコリン遊離を回復させる17)
18.4.3 アセチルコリンエステラーゼ(AChE)に選択的なコリンエステラーゼ阻害活性を有し、マウスにおいて、脳内AChE活性阻害と海馬アセチルコリン量の増加作用を示す4)
18.4.4 ラットにおいて、連続経口投与によりドーパミンの代謝回転の促進作用が認められている5)
18.5 脳エネルギー代謝改善作用
18.5.1 マウスの脳虚血モデル6)及び低酸素モデル18)において、脳エネルギー代謝障害に対し改善作用を示す。
18.5.2 成熟及び老齢ラットの脳梗塞モデル19)において、グルコースの取込み及び消費に対し改善作用を示す。
18.6 脳神経機能改善作用
18.6.1 マウスの脳虚血モデル6)及び低酸素モデル18)において、脳障害に対し保護作用を示す。
18.6.2 ラット海馬CA1領域神経細胞において、低閾値(T-type)カルシウムチャンネル遮断作用を示す20)
18.6.3 スナネズミの一過性脳虚血モデルにおいて、海馬CA1領域神経細胞の遅発性壊死を抑制する21)
18.6.4 老齢ラットの脳梗塞モデル19)及びマウスのスコポラミンによる健忘症モデル22)において、学習・記憶障害に対し改善作用を示す。
18.7 脳波改善作用
脳血管障害患者において、脳波異常の改善が認められている15)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ニセルゴリン

一般的名称 ニセルゴリン
一般的名称(欧名) Nicergoline
化学名 [(8R,10S)-10-Methoxy-1,6-dimethylergolin-8-yl]methyl 5-bromopyridine-3-carboxylate
分子式 C24H26BrN3O3
分子量 484.39
融点 約136℃(分解).
物理化学的性状 白色〜淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。アセトニトリル、エタノール(99.5)又は無水酢酸にやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。光によって徐々に淡褐色となる。
KEGG DRUG D01290

20. 取扱い上の注意

<散>
容器開封後は遮光し湿気を避けて保存すること。

22. 包装

<サアミオン錠5mg>
100錠[10錠(PTP)×10]、500錠[10錠(PTP)×50]
<サアミオン散1%>
100g[乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. 藤原充雄,他, 応用薬理, 32 (1), 31-48, (1986)
  2. 河合喜孝,他, 基礎と臨床, 20 (2), 1054-1064, (1986)
  3. 葛谷文男,他, 薬理と治療, 11 (9), 3627-3635, (1983)
  4. Matsuoka Y,et al., Basic,Clinical,and Therapeutic Aspects of Alzheimer's and Parkinson's Diseases.Vol.2, 415-419, (1990)
  5. Moretti,A.et al., Proof of Therapeutical Effectiveness of Nootropic and Vasoactive Drugs., 103-110, (1985)
  6. 新冨敬一,他, 日薬理誌, 87 (4), 427-434, (1986) »PubMed
  7. 田辺三菱製薬(株):ニセルゴリンの血管平滑筋に対する作用特性(社内資料)
  8. Moretti A., Arzneimittelforschung., 29 (8a), 1213-1223, (1979) »PubMed
  9. Nagakawa Y,et al., Arzneimittelforschung., 40 (8), 862-864, (1990) »PubMed
  10. 仲村恒敬,他, 医学のあゆみ, 154 (7), 447-448, (1990)
  11. 宮崎 学, 薬理と治療, 12 (1), 401-407, (1984)
  12. 宮崎 学, 薬理と治療, 13 (11), 6817-6821, (1985)
  13. 谷本道則,他, 薬理と治療, 13 (4), 2075-2084, (1985)
  14. 新冨敬一,他, 日薬理誌, 87 (5), 537-549, (1986) »PubMed
  15. 浮田義一郎,他, 薬理と治療, 13 (4), 2085-2096, (1985)
  16. 小川紀雄,他, Geriatric Medicine., 27 (8), 1198-1204, (1989)
  17. Carfagna N,et al., Neurosci Lett., 197 (3), 195-198, (1995) »PubMed
  18. 新冨敬一,他, 日薬理誌, 87 (4), 445-456, (1986) »PubMed
  19. Le Poncin-Lafitte M,et al., Gerontology., 30 (2), 109-119, (1984) »PubMed
  20. Takahashi K,et al., Br J Pharmacol., 100 (4), 705-710, (1990) »PubMed
  21. 岩崎 仁,他, 薬理と治療, 18 (5), 1995-2004, (1990)
  22. 工藤幸司,他, 薬理と治療, 13 (11), 6489-6493, (1985)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
〒541-8505 大阪市中央区道修町3-2-10
電話:0120-753-280
製品情報問い合わせ先
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
〒541-8505 大阪市中央区道修町3-2-10
電話:0120-753-280

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
田辺三菱製薬株式会社
大阪市中央区道修町3-2-10

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版