医療用医薬品 : ハイゼット

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医薬品情報


総称名 ハイゼット
一般名 ガンマオリザノール
欧文一般名 Gamma Oryzanol
製剤名 ガンマオリザノール錠
薬効分類名 高脂血症治療剤
心身症(更年期障害、過敏性腸症候群)治療剤
薬効分類番号 1129 2189
KEGG DRUG
D01221 ガンマ-オリザノール
KEGG DGROUP
DG01946 脂質低下薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2022年11月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ハイゼット錠25mg Hi-z tablets 25mg 大塚製薬 2900002F4065 6.3円/錠
ハイゼット錠50mg Hi-z tablets 50mg 大塚製薬 2900002F5274 6.9円/錠

4. 効能または効果

高脂質血症
○心身症(更年期障害、過敏性腸症候群)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ

5. 効能または効果に関連する注意

<高脂質血症>
適用の前に十分な検査を実施し、高脂質血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。

6. 用法及び用量

<高脂質血症>
ガンマオリザノールとして、通常成人1日300mgを3回に分けて食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<心身症(更年期障害、過敏性腸症候群)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ>
ガンマオリザノールとして、通常成人1日10〜50mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
ただし、過敏性腸症候群に用いる場合は、1日最高50mgまでとする。

8. 重要な基本的注意

<高脂質血症>
8.1 あらかじめ高脂質血症の基本である食事療法を行い、更に運動療法や高血圧・喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分に考慮すること。
8.2 投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝障害又はその既往歴のある患者
症状を増悪させるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
精神神経系めまい・ふらつき、浮上感眠気頭痛・頭重感、いらいら感等
消化器嘔気・嘔吐、腹痛、下痢、便秘、腹部膨満感、食欲不振腹部不快感、腹鳴、胸やけ、げっぷ、無味感、口内炎等 
過敏症発疹、そう痒、皮膚異常感潮紅等 
循環器血圧上昇 動悸等
肝臓  AST、ALT上昇等の肝機能障害
その他 倦怠感、体のほてり、不快感、夜間頻尿口渇、浮腫、脱力感

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
ラット中期発がんモデルで、ガンマオリザノールを0.2%以上の濃度で飼料に混ぜて与えると肺腫瘍発生頻度を上昇させたとの報告があるが1)2)、0.04%の濃度では肺腫瘍発生頻度は上昇しなかったことが報告されている2)。ガンマオリザノールは微生物試験系(in vitro)及び染色体試験系(in vivo)では変異原性を示さず、また、マウス(ガンマオリザノール200〜2,000mg/kg/day、78週間混餌投与)、ラット(ガンマオリザノール200〜2,000mg/kg/day、104週間混餌投与)のがん原性試験では、腫瘍誘発性は認められなかった。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人9例にガンマオリザノール75mg注)、300mg及び600mg注)を食後単回経口投与した時、ガンマオリザノールの吸収は緩慢であるが、その血漿中濃度には良好な用量依存性が認められた3)
16.5 排泄
ガンマオリザノールは尿中には未変化体として排泄されず、主に代謝物のフェルラ酸として排泄された3)
注)本剤の1日用量は、高脂質血症300mg、心身症(更年期障害、過敏性腸症候群)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ10〜50mgである。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<高脂質血症>
17.1.1 国内臨床試験
多施設二重盲検比較試験を含む臨床試験において、ガンマオリザノール300mg/日投与により血清総コレステロールが10%以上低下した症例は37.2%(346/929例)であり、トリグリセライドが20%以上低下した症例は35.9%(331/923例)であった。血清HDL-コレステロールは前値45mg/dL未満例において有意に上昇した。また、血清過酸化脂質も低下した。長期投与(1年〜2年、118例)は全投与期において、安定した血清総コレステロール低下作用を示した4)5)6)
<心身症(更年期障害、過敏性腸症候群)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ>
17.1.2 国内臨床試験
総計315例について実施された多施設二重盲検比較試験を含む臨床試験の結果、更年期障害、過敏性大腸症候群に対する有効率はそれぞれ68.6%(83/121例)、68.4%(108/158例)であった7)8)9)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
血清総コレステロール低下の作用機序としては、コレステロールの消化管吸収抑制作用が主作用であり、コレステロール合成の阻害作用及びコレステロールの異化排泄促進作用の関与も考えられている10)11)
18.2 脂質代謝
18.2.1 血清脂質低下作用
高コレステロール食摂取マウス、ラット、ウサギの血清総コレステロールを有意に低下させた。このコレステロール低下作用はVLDL-コレステロール及びLDL-コレステロールの低下に基づくものであった。また、ウサギにおいてはリン脂質の有意な低下も認められた10)12)13)
18.2.2 血清過酸化脂質低下作用
ガンマオリザノール300mg/日の投与により高脂質血症患者の血清過酸化脂質を有意に低下させた14)
18.2.3 肝臓脂質に対する効果
高コレステロール食摂取ラット、ウサギの肝臓コレステロール、特にエステル型コレステロールの低下作用を示した。ラットにおいては中性脂肪も有意に低下させた12)13)
18.2.4 動脈壁における効果
高コレステロール食摂取ラットにおいて動脈壁内の中性コレステロールエステラーゼ活性を有意に亢進し、アシル-CoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ活性を有意に抑制することにより、動脈壁内のエステル型コレステロールの蓄積を阻止する方向に作用することが示唆された15)。また、高コレステロール食摂取ウサギの大動脈に形成される粥状硬化病変は、血清脂質の低下に伴い軽減した13)
18.2.5 血小板凝集抑制作用
高コレステロール食摂取ウサギにガンマオリザノールを経口投与することにより、ADPによる血小板の最大凝集率を有意に抑制した16)
18.3 内分泌・自律神経系
18.3.1 卵巣を摘出したマウスにおいて発情作用を示した17)
18.3.2 ラット間脳のノルアドレナリン代謝回転の抑制傾向を示し、ノルアドレナリン含量の増加作用を示した18)
18.3.3 ラットにストレスを負荷することにより生じる胃潰瘍及び消化管運動の亢進に対して抑制作用を示した19)20)
18.3.4 インスリン及び2-デオキシ-D-グルコースで迷走神経を刺激することにより生じるラットの胃液分泌亢進に対して抑制作用を示した21)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ガンマオリザノール

一般的名称 ガンマオリザノール
一般的名称(欧名) Gamma Oryzanol
分子式 C40H58O4
分子量 602.89
物理化学的性状 白色〜淡黄色の結晶又は結晶性の粉末で、におい及び味はない。アセトン、クロロホルム又はベンゼンにやや溶けやすく、メタノール又はエタノール(95)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01221

22. 包装

<ハイゼット錠25mg>
PTP
500錠(10錠×50)
<ハイゼット錠50mg>
PTP
500錠(10錠×50)

23. 主要文献

  1. 福島昭治 ほか, 第49回日本癌学会総会, (1990)
  2. 林 修次 ほか, 第50回日本癌学会総会, (1991)
  3. 小富正昭 ほか, 社内資料(ヒトにおける薬物動態), (1983)
  4. 味村啓司 ほか, Geriat Med., 20 (12), 2089-2096, (1982)
  5. 石垣健一, 新薬と臨床, 31 (6), 969-976, (1982)
  6. 中村治雄 ほか, 基礎と臨床, 15 (8), 3866-3870, (1981)
  7. 佐藤芳昭 ほか, 産婦人科の世界, 26 (5), 615-617, (1974)
  8. 並木正義 ほか, 臨床と研究, 61 (1), 222-230, (1984)
  9. 並木正義 ほか, 臨床と研究, 63 (5), 1657-1669, (1986)
  10. 三谷公亙 ほか, 動脈硬化, 11 (2), 411-416, (1983) »DOI
  11. 中村治雄, RADIOISOTOPES., 15 (6), 371-374, (1966) »DOI
  12. 篠宮正樹 ほか, 動脈硬化, 10 (6), 1069-1075, (1983) »DOI
  13. 平松和子 ほか, 動脈硬化, 9 (5), 813-820, (1981) »DOI
  14. 和田一成 ほか, Geriat Med., 19 (8), 1183-1186, (1981)
  15. 篠宮正樹 ほか, 動脈硬化, 10 (1), 137-141, (1982) »DOI
  16. 野崎宏幸 ほか, 動脈硬化, 9 (5), 829-834, (1981) »DOI
  17. 西野 廣, 社内資料(発情ホルモン様作用), (1975)
  18. 金田秀夫 ほか, 日薬理誌, 75 (4), 399-403, (1979) »PubMed
  19. 板谷公和 ほか, 日薬理誌, 72 (4), 475-481, (1976) »PubMed
  20. 桧山隆司, 応用薬理, 16 (6), 1095-1101, (1978)
  21. 水田和孝 ほか, 日薬理誌, 74 (4), 517-524, (1978) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
大塚製薬株式会社 医薬情報センター
〒108-8242 東京都港区港南2-16-4 品川グランドセントラルタワー
電話:0120-189-840
FAX:03-6717-1414
製品情報問い合わせ先
大塚製薬株式会社 医薬情報センター
〒108-8242 東京都港区港南2-16-4 品川グランドセントラルタワー
電話:0120-189-840
FAX:03-6717-1414

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
大塚製薬株式会社
東京都千代田区神田司町2-9

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版