抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与及び放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)
5.1 本剤を抗悪性腫瘍剤の投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)に対して使用する場合は、強い悪心、嘔吐が生じる抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)の投与に限り使用すること。
5.2 本剤を放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)に対して使用する場合は、強い悪心、嘔吐が生じる全身照射や上腹部照射等に限り使用すること。
5.3 抗悪性腫瘍剤投与後、本剤の効果が不十分で悪心、嘔吐が発現した場合には、他の制吐療法(注射剤の投与等)を考慮すること。
通常、成人にはグラニセトロンとして1回2mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
7.1 本剤を抗悪性腫瘍剤の投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)に対して使用する場合は、抗悪性腫瘍剤の投与1時間前に投与し、癌化学療法の各クールにおける本剤の投与期間は6日間を目安とする。
7.2 本剤を放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)に対して使用する場合は、放射線照射の1時間前に投与する。
抗悪性腫瘍剤投与後、本剤の効果が不十分で悪心、嘔吐が発現した場合には、他の制吐療法(注射剤の投与等)を考慮すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 フェニルケトン尿症の患者
<細粒剤>(アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)に関する注意)
細粒剤はアスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)を含有する。
9.1.2 消化管通過障害の症状のある患者
本剤投与後観察を十分に行うこと。本剤の投与により消化管運動の低下があらわれることがある。
9.5 妊婦
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠前及び妊娠初期投与(ラット、0.25〜100mg/kg経口)試験では、100mg/kg投与群で胎児の骨格異常の軽度増加及び雌で協調運動機能低下がみられたが、親動物の生殖能、次世代児の発育・生殖能及び第二世代児に対する影響はみられなかった。胎児の器官形成期投与(ラット、0.25〜125mg/kg経口)、周産期及び授乳期投与(ラット、0.25〜100mg/kg経口)の各試験において、雌雄の生殖能、次世代児の発育・生殖能に影響はなく、催奇性もみられなかった。
1)
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。授乳中のラットに
14C標識グラニセトロン塩酸塩3mg/kgを静脈内投与し、乳児に哺乳させた際の乳児の胃(乳汁を含む内容物)中の放射能を測定したところ、投与量の0.5%以下であった。
2)
9.7 小児等
9.8 高齢者
一般に、高齢者には副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。なお、国内で実施された第II相及び第III相臨床試験において、65才以上の高齢者での副作用発現は112例中3例(発熱1例、頭痛2例)であった。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(そう痒感、発赤、胸部苦悶感、呼吸困難、血圧低下等)があらわれるとの報告がある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 1%未満 | 頻度不明 |
| 過敏症 | | 発疹 |
| 精神神経系 | 頭痛 | |
| 消化器 | 便秘 | |
| 肝臓 | | AST(GOT)、ALT(GPT)上昇等の肝機能検査値異常 |
| その他 | | 発熱 |
15.3 がん原性
マウス及びラットに1、5、50mg/kgを2年間経口投与し対照群と比較した。マウスでは50mg/kg群の雄で肝細胞がん、50mg/kg群の雌で肝細胞腺腫の増加がみられた。また、ラットでは5mg/kg以上群の雄及び50mg/kg群の雌で肝細胞腫瘍の増加がみられた。しかし、1mg/kg群(臨床用量の25倍に相当する)では、マウス及びラットとも肝細胞腫瘍の増加は認められなかった。
18.1 作用機序
ラット又はモルモット脳標本を用いて、各種受容体に対するグラニセトロン塩酸塩の親和性を検討したところ、本剤は5-HT3受容体に対しては極めて高い親和性を示したが(Ki値=0.26nM)、5-HT1(5-HT1A、5-HT1B/C、5-HT1C)、5-HT2、ドパミンD2、アドレナリンα1、α2及びβ、ベンゾジアゼピン、ピクロトキシン並びにヒスタミンH1、オピオイドμ、κ及びδの各受容体に対する親和性はほとんど認められなかった(5-HT1C受容体以外の受容体:Ki値>1000nM、5-HT1C受容体:IC50値>10000nM)。
5-HTによる5-HT3受容体を介した一過性の徐脈(von Bezold-Jarischreflex)に対する作用を麻酔ラットで検討したところ、グラニセトロン塩酸塩はこの反射を用量依存的に抑制した。
18.2 抗悪性腫瘍剤誘発嘔吐の抑制
18.2.1 シスプラチン誘発嘔吐の抑制
フェレットにグラニセトロン塩酸塩を経口投与し、15分後にシスプラチン10mg/kgを静脈内投与したところ、グラニセトロン塩酸塩0.005mg/kg以上で嘔吐回数の有意な減少及び嘔吐潜伏時間の有意な延長が認められた。
18.2.2 ドキソルビシンとシクロホスファミド併用による誘発嘔吐に対する作用
フェレットにドキソルビシン6mg/kgとシクロホスファミド80mg/kgを静脈内投与する15分前にグラニセトロン塩酸塩0.5mg/kgを経口投与したところ、嘔吐回数の有意な減少及び嘔吐潜伏時間の有意な延長が認められた。
26.1 製造販売元
太陽ファルマ株式会社
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-6-5