医療用医薬品 : パルミコート

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医薬品情報


総称名 パルミコート
一般名 ブデソニド
欧文一般名 Budesonide
製剤名 ブデソニド吸入用懸濁剤
薬効分類名 吸入ステロイド喘息治療剤
薬効分類番号 2290
ATCコード R01AD05 R03BA02
KEGG DRUG D00246 ブデソニド
商品一覧 商品一覧(他薬効を含む) 米国の商品 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報


禁忌 原則禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 取扱い上の注意 包装 使用方法 主要文献

商品情報 詳細

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
パルミコート吸入液0.25mg Pulmicort Respules 0.25mg アストラゼネカ 2290701G4020 256.7円/管 処方箋医薬品
パルミコート吸入液0.5mg Pulmicort Respules 0.5mg アストラゼネカ 2290701G5026 341.3円/管 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[症状を増悪するおそれがある。]

本剤の成分に対して過敏症(接触性皮膚炎を含む)の既往歴のある患者

原則禁忌

次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること

結核性疾患の患者[症状を増悪するおそれがある。]

効能・効果及び用法・用量

効能効果

気管支喘息

用法用量

通常、成人にはブデソニドとして0.5mgを1日2回または1mgを1日1回、ネブライザーを用いて吸入投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日の最高量は2mgまでとする。

通常、小児にはブデソニドとして0.25mgを1日2回または0.5mgを1日1回、ネブライザーを用いて吸入投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日の最高量は1mgまでとする。

用法用量に関連する使用上の注意

症状の緩解がみられた場合は、治療上必要最小限の用量を投与すること。

本剤を吸入する際には、ジェット式ネブライザーを使用すること。なお、ネブライザーは機種により使用法・性能[1][2]が異なるため、患者に対してその使用法をよく指導し、習熟させること。なお、必要に応じて、患者の保護者またはそれに代わり得る適切な者にもその使用法をよく指導し、習熟させること。

使用上の注意

慎重投与

感染症の患者[症状を増悪するおそれがある。]

重度な肝機能障害のある乳幼児患者[本剤は主に肝臓で代謝されるため血中濃度が上昇する可能性がある。]

重要な基本的注意

本剤は気管支拡張剤並びに全身性ステロイド剤のように既に起きている発作を速やかに軽減する薬剤ではないので、毎日規則正しく使用すること。なお、通常本剤の効果は投与開始から2〜8日で認められ、最大効果は4〜6週間の継続投与で得られる。

本剤の投与開始前には、患者の喘息症状を比較的安定な状態にしておくこと。特に、喘息発作重積状態又は喘息の急激な悪化状態のときには原則として本剤は使用しないこと。

気管支粘液の分泌が著しい患者には、本剤の肺内での作用を確実にするため本剤の吸入に先立って、分泌がある程度減少するまで他剤を使用することが望ましい。

本剤の投与期間中に発現する急性の発作に対しては、短時間作用性気管支拡張剤等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。また、その薬剤の使用量が増加したり、効果が十分でなくなってきた場合には、喘息の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し治療を求めるように患者に注意を与えると共に、そのような状態がみられた場合には、生命を脅かす可能性があるので、本剤の増量あるいは気管支拡張剤・全身性ステロイド剤を短期間併用し、症状の軽減に合わせて併用薬剤を徐々に減量すること。

喘息患者において、感染を伴う喘息症状の増悪がみられた場合には、ステロイド療法の強化と感染症の治療を考慮すること。

本剤の投与を突然中止すると喘息の急激な悪化を起こすことがあるので、投与を中止する場合には患者の喘息症状を観察しながら徐々に減量すること。

全身性ステロイド剤と比較して可能性は低いが、本剤の高用量を長期間投与する場合には、副腎皮質機能低下等の全身作用が発現する可能性があるので、定期的に検査を行うことが望ましい。また、異常が認められた場合には、患者の喘息症状を観察しながら徐々に減量するなど適切な処置を行うこと。

全身性ステロイド剤の減量は本剤吸入開始後症状の安定をみて徐々に行うこと。減量にあたっては一般のステロイド剤の減量法に準ずる。

長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている患者では副腎皮質機能不全が考えられるので、全身性ステロイド剤の減量中並びに離脱後も副腎皮質機能検査を行い、外傷、手術、重症感染症等の侵襲には十分に注意を払うこと。
また、必要があれば一時的に全身性ステロイド剤の増量を行うこと。

本剤を含む吸入ステロイド剤投与後に、潜在していた基礎疾患であるChurg-Strauss症候群にみられる好酸球増多症がまれにあらわれることがある。この症状は通常、全身性ステロイド剤の減量並びに離脱に伴って発現しており、本剤との直接的な因果関係は確立されていない。本剤の投与期間中は、好酸球数の推移や、他のChurg-Strauss症候群症状(しびれ、発熱、関節痛、肺の浸潤等の血管炎症状等)に注意すること。

全身性ステロイド剤の減量並びに離脱に伴って、鼻炎、湿疹、蕁麻疹、眩暈、動悸、倦怠感、顔のほてり、結膜炎等の症状が発現・増悪することがあるので、このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。

全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤の投与により小児の成長遅延をきたすおそれがある。本剤を小児に長期にわたり投与する場合には、身長等の経過の観察を十分に行うこと。(「その他の注意」の項参照)

相互作用

相互作用序文

本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。

薬物代謝酵素用語

CYP3A4

併用注意

CYP3A4阻害剤
イトラコナゾール等
副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれる可能性がある。CYP3A4による本剤の代謝が阻害されることにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。(【薬物動態】の項参照)

副作用

副作用発現状況の概要

国内で実施された成人気管支喘息患者を対象とした臨床試験において、安全性評価対象例中本剤が投与された症例105例中15例(14.3%)に副作用が認められた。内訳は、口腔咽頭不快感5例(4.8%)、口腔咽頭痛2例(1.9%)等であった。(用法・用量追加承認時)

国内(2試験)および米国(8試験)で実施された乳幼児気管支喘息患者を対象とした臨床試験において、安全性評価対象例1,554例中164例(10.6%)に副作用が認められた。その主な症状は、カンジダ症44例(2.8%)、精神運動亢進16例(1.0%)、口腔カンジダ症14例(0.9%)、咽喉頭疼痛11例(0.7%)であった。
また、そのうち国内では、安全性評価対象例61例中7例9件に副作用が認められており、その症状は口唇炎1例(1.6%)、口内炎2例(3.3%)、口腔カンジダ症3例(4.9%)、皮膚炎1例(1.6%)、接触性皮膚炎1例(1.6%)であった。(承認時)

乳幼児気管支喘息患者を対象とした特定使用成績調査の総症例数783例中、副作用が報告されたのは61例(7.8%)であった。その主な副作用は気管支炎9例(1.1%)、喘息9例(1.1%)、上気道の炎症8例(1.0%)であった。(再審査終了時)

その他の副作用

 1〜5%未満1%未満頻度不明
過敏症注1)  発疹、蕁麻疹、接触性皮膚炎、血管浮腫等の過敏症状 
口腔・呼吸器口腔カンジダ症、感染咽喉頭症状(刺激感、疼痛)、咳嗽、嗄声、鼻出血、味覚異常気管支痙攣注2)
消化器 悪心 
精神神経系 落ち着きのなさ、行動障害、神経過敏、うつ病、不眠 
その他 皮膚挫傷 
承認時までの臨床試験及び特定使用成績調査で認められなかった副作用については頻度不明とした。注1)このような症状があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。注2)短時間作用性気管支拡張剤を投与するなどの適切な処置を行うこと。

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[動物実験で催奇形作用が報告されている。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、6ヵ月未満の乳児に対する安全性は確立していない(国内での使用経験がない)。

過量投与

過量投与により副腎皮質系機能が低下することがあるので、このような場合には患者の症状を観察しながら徐々に減量するなど適切な処置を行うこと。

適用上の注意

吸入前

本剤はネブライザーを用いて吸入する薬剤であり、その使用法、吸入法を十分に説明すること。(「取扱い上の注意」の項参照)

泡立てない程度に揺り動かして粒子をよく再懸濁させて使用すること。

吸入時には新しいアンプルを使用し、既に開管したアンプルの残液は使用しないこと。

吸入後

口腔カンジダ症又は嗄声の予防のため、本剤吸入後に、うがい、または口腔内をすすぐこと。うがい、口腔内のすすぎが困難な患者にかぎり、水分を取らせること。

フェイスマスクを使用する場合には、口のまわりに薬剤が付着して残る可能性があるので水で顔を洗うこと。

ネブライザー内の残液は使用しないこと。

配合使用

他剤との配合使用については、有効性・安全性が確認されていないことから、配合せず個別に吸入させることが望ましい。

なお、必要に応じて、保護者またはそれに代わり得る適切な者に対しても十分に説明し、指導すること。

その他の注意

6ヵ月〜4歳の日本人気管支喘息患者計61例を対象とした国内の臨床試験において(対照群なしのオープン試験)、投与96週までの評価で肺炎が計9例(14.8%)、気管支肺炎が計6例(9.8%)に報告されている。なお、本剤開始前の2〜4週間の観察期間で、気管支肺炎は認められなかったが、肺炎が1例(1.6%)に認められた[3][4]。また、6ヵ月〜12ヵ月の外国人気管支喘息患者計141例を対象とした米国のプラセボ対照二重盲検試験では、12週間の投与期間で、プラセボ群(49例)では報告はなかったが、肺炎が本剤投与群(92例)で計3例(3.3%)に報告された[5]

外国における疫学調査で、吸入ステロイド剤投与によりまれに白内障が発現することが報告されている[6][7]

海外で実施された二重盲検試験において、ブデソニド群(パルミコートタービュヘイラー1日400μg)ならびにプラセボ群にランダムに割り付けられた軽〜中程度の喘息罹患児(5-13歳)の平均身長を評価したところ、投与開始2年後の時点ではブデソニド群の平均身長がプラセボ群に比べて低かった(プラセボ群と比較した平均身長差:−1.3cm)[8]。また、その後の長期観察を行った疫学調査においても、成人期(女性18歳以上、男性20歳以上)の平均身長に同様の差が認められた(プラセボ群と比較した成人期の平均身長差:−1.2cm、95%信頼区間:−1.9,−0.5)[8]

薬物動態

血漿中濃度

外国人の成人気管支喘息患者に本剤1mgを1日2回ネブライザー注1)より吸入投与したとき、血漿中ブデソニド濃度は吸入開始後、約40分で最高濃度に達し、その後速やかに消失した。定常状態における薬物動態パラメータを以下に示す[9]

AUC(nmol・h/L)Cmax(nmol/L)Tmax(min)t1/2(h)
5.98(72.6)1.97(70.9)39.9(13.9)3.89(30.9)
22例の幾何平均値(%CV)、但しTmaxは算術平均値(SD)

外国人の小児気管支喘息患者(3〜6歳、n=10)に本剤1mgをネブライザー注1)より単回吸入投与したとき、血漿中ブデソニド濃度は速やかに最高濃度に達した。AUCは4.6nmol・h/L、終末相の半減期は2.3時間であり、これらは外国人成人に同量を吸入投与したときの薬物動態パラメータと同様の値を示した。外国人の小児気管支喘息患者(3〜6歳)における全身の利用率は約6%であった[10]

注1)パリ・マスター・ネブライザーシステム(パリLCプラスネブライザー及びパリ・マスター・コンプレッサーの組み合わせ)を用いて投与

分布

外国人の小児気管支喘息患者(3〜6歳)における定常状態の分布容積は3L/kgであり、外国人健康成人と顕著な違いはなかった[10]。in vitro試験において、ヒト血漿蛋白質との結合率は、1〜100nmol/Lの濃度範囲で約90%であった[11]

代謝

外国人の健康成人男子に3H標識ブデソニド100μgを静脈内投与したときの血漿及び尿中の主要代謝物は、16α-ヒドロキシプレドニゾロン及び6β-ヒドロキシブデソニドであり、尿中に未変化体は検出されなかった[12]
これらの主要代謝物の糖質コルチコイド活性は未変化体の1%以下であった[13]。代謝にはチトクロームP450のCYP3A4が関与する[14]

排泄

外国人の健康成人男子に3H標識ブデソニド100μgを静脈内投与したとき、96時間までに投与量の57%が尿中に、34%が糞中に排泄された[12]

薬物相互作用

外国人の健康成人にブデソニド3mg(カプセル剤)とケトコナゾール200mgを併用経口投与したとき、ブデソニドの平均AUCはブデソニド単剤投与時に比べて6.8倍上昇した[15]。また、ブデソニド1000μg(加圧式定量噴霧吸入器)を吸入時にイトラコナゾール200mgを経口投与したとき、ブデソニドの平均AUCはブデソニド単剤投与時に比べて4.2倍上昇した[16]

臨床成績

[成人]

国内で実施された第III相試験において、日本人成人気管支喘息患者105例に対し、低用量群では観察期間にパルミコートタービュヘイラー200μg1日2回を4週間投与した後、治療期間に本剤0.5mg1日2回又は1.0mg1日1回を6週間投与注1)し、高用量群では観察期間にパルミコートタービュヘイラー400μg1日2回を4週間投与した後、治療期間に本剤1.0mg1日2回を6週間投与注1)した結果、全体(低用量群+高用量群)における朝のPEF値の変化量注2)(平均値±標準偏差[95%信頼区間])は3.3±21.4L/min[−0.9,7.4]であり、対応する用量において両製剤の類似性が示された[17]

注1)パリ・ターボボーイ・ネブライザーシステム(パリLCプラスネブライザー及びパリ・ボーイN・コンプレッサーの組み合わせ)を用いて投与

注2)観察期におけるパルミコートタービュヘイラー投与最終2週間の平均値と治療期における本剤投与最終2週間の平均値との差

[小児]

国内で実施された臨床試験成績(オープン試験)は以下のとおりであった。

無作為割付並行群間試験成績[3]

吸入ステロイド剤を必要とする小児気管支喘息患者(6ヵ月〜5歳未満)61例に本剤0.25mg1日2回、0.5mg1日1回を6週間投与注3)し、その時点で十分効果が得られていない症例については、0.5mg1日2回、1mg1日1回に増量し、計12週間投与したとき、1週間あたりの喘息発作頻度は投与前(平均値±標準偏差)9.92±4.83回から12週後2.93±4.57と有意に減少した(変化量−6.99±5.69、95%信頼区間[−8.46,−5.52]、p<0.001[paired t-test])。また、24週後では2.91±5.08回であった。

長期投与試験成績[4]

「(1)無作為割付並行群間試験」の継続投与試験であり、長期投与時における安全性の検討を主目的として、「(1)無作為割付並行群間試験」を完了した患者を対象に0.25〜1.0mg/日(1日1回又は2回分割投与)の用量にて本剤の投与注3)を行った。用量の増減あるいは用法の変更については治験責任医師等の判断により実施された。長期投与時における喘息コントロールの全般的評価については、72週時(「(1)無作為割付並行群間試験」から通算して96週)で「非常に良好」あるいは「良好」とされた患者の割合は86.8%(33/38例)であった。

注3)パリ・ターボボーイ・ネブライザーシステム(パリLCプラスネブライザー及びパリ・ボーイ・コンプレッサーの組み合わせ)を用いて投与

薬効薬理

喘息抑制作用

ブデソニドは、喘息モデルへの吸入投与により、即時型及び遅発型喘息反応(ヒツジ[18])並びにアセチルコリン(イヌ[19])及びセロトニン(ラット[20])吸入刺激による気道過敏反応をそれぞれ抑制した。

外国人の成人気管支喘息患者を対象とした臨床薬理試験において、ブデソニド(1日用量1000μg、加圧式定量噴霧式吸入器)の吸入投与により、即時型及び遅発型喘息反応[21]を抑制した。また、1日用量1600μgをタービュヘイラーによって吸入投与したとき、メタコリン、メタ重亜硫酸ナトリウム及び5'-AMPによる気道収縮反応[22]を抑制した。更に、ブデソニド(1日用量1200μg、加圧式定量噴霧式吸入器)の吸入投与により、気道上皮病変の改善[23]並びに治療開始後1年以内に気道過敏反応性の改善[24]が認められた。同様に、外国人の小児気管支喘息患者において、ヒスタミンPD20(FEV1(1秒率:努力肺活量のうち、呼出開始のはじめ1秒間に呼出される量)を20%低下させるヒスタミン吸入誘発量)にて測定した気道過敏性は、ブデソニド(1日用量600μg、加圧式定量噴霧式吸入器)による吸入投与で、22ヵ月間継続して改善が認められた[25]

抗炎症作用

ブデソニドは、in vitro試験系において、喘息の肺気道炎症反応で重要な役割を果たす各種炎症性メディエーターの産生及び遊離を抑制した[26]。また、ブデソニドは、各種動物モデルにおいて、吸入、気管内又は局所投与により、気道内好酸球数増加[19][20]、血管透過性亢進[27]、炎症性肺浮腫形成[28]及び気道粘液繊毛輸送能低下[29]に対して抑制作用を示した。

ブデソニドは、外国人健康成人の皮膚血管収縮試験(皮膚蒼白度を指標)において、ベクロメタゾンプロピオン酸エステルの約2倍の局所抗炎症作用を示した[30]。また、外国人の成人気管支喘息患者への吸入投与により、気道上皮における好酸球及びリンパ球等の炎症細胞を減少させた[23]

ラットにおいて、吸入ブデソニドは気道組織の細胞内で不活性な脂肪酸エステルを生成し、不活性なエステル体は気道内局所に長時間保持され[31][32]、細胞内リパーゼの作用によって活性なブデソニドが徐々に遊離され、持続的な局所抗炎症作用を示した[33][34][35]

全身への影響

ブデソニドは、モルモット、マウスなどの動物モデルにおいて、ベクロメタゾンプロピオン酸エステルに比して、局所投与時の抗炎症作用が強く、下垂体−副腎機能抑制を含む全身作用は弱かった[36][37]

外国人の健康成人を対象とした臨床薬理試験において、ブデソニド(1日用量800及び2500μg、加圧式定量噴霧吸入器)の吸入投与による健康成人の骨代謝及び下垂体−副腎機能に及ぼす影響はベクロメタゾンプロピオン酸エステルより弱かった[38]。更に、外国人成人気管支喘息患者にタービュヘイラーを用いて1日用量1600μgを6週間吸入投与しても下垂体−副腎機能に影響を与えなかった[39]

外国人の小児気管支喘息患者(7〜15歳)を対象とした臨床薬理試験において、ブデソニド又はベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして200μg、400μg又は800μgを漸増法により加圧式定量噴霧吸入器を介して各4週間連続して吸入投与したとき、ベクロメタゾンプロピオン酸エステルでは24時間尿中コルチゾール排泄の用量依存的な抑制がみられたが、ブデソニドではみられなかった[40]。本剤を外国人小児気管支喘息患者(6ヵ月〜8歳)に1日1.0mgまで12週間吸入投与したとき、下垂体−副腎機能に影響を及ぼさなかった[41]
また、外国人小児気管支喘息患者(5〜16歳)において、喘息の重篤度に応じて調整した用量のブデソニド(平均用量504μg)を3〜6年間、加圧式定量噴霧吸入器とスペーサー、又はタービュヘイラーを介して吸入投与したとき、非ステロイド療法を受けた対照群に比較して、X-線吸光光度法によって測定した骨塩量に影響はみられなかった[42]

有効成分に関する理化学的知見

一般名ブデソニド
一般名(欧名)Budesonide
化学名(+)-[(RS)-16α,17α-butylidenedioxy-11β,21-dihydroxy-1,4-pregnadiene-3,20-dione]
分子式C25H34O6
分子量430.53
融点約240℃(分解)
性状ブデソニドは白色〜微黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノールにやや溶けやすく、アセトニトリル又はエタノール(95)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUGD00246

取扱い上の注意

薬剤交付時

本剤の投与に際しては、医師の指示による用法・用量を守るよう指示すること。また医師の指示なしで吸入量の増減、吸入の中止を行わないよう注意させること。

本剤は既に起こっている発作を抑える薬剤ではないことを説明すること。

包装中に添付している患者用説明文書「パルミコート吸入液をご使用の皆さまへ」の内容を患者の保護者等に説明のうえ、その文書を本剤とともに患者あるいはその保護者等に渡すこと。

なお、必要に応じて、保護者またはそれに代わり得る適切な者に対しても十分に説明し、指導すること。

使用及び保管

アルミ袋開封後、2ヵ月以内に使用すること。
未使用のアンプルは、光を避けるため、必ずアルミ袋に保管すること。また、凍結を避けて保存すること。

本剤の投与に際しては、必ずネブライザーを用いて吸入し、直接飲まないこと。

注射用、点眼用として使用しないこと。

小児の手の届かないところに保管すること。

包装

パルミコート吸入液0.25mg

2mL×30アンプル(アルミピロー包装1袋5アンプル入り×6袋)

パルミコート吸入液0.5mg

2mL×30アンプル(アルミピロー包装1袋5アンプル入り×6袋)

使用方法

アンプル上部を持ち、前後にさくように1回分のアンプルを切り離す。

注意

容器の下部から切り離すと容器の口が開封することがあるので、下から切り離さないこと。

使用直前にアンプル上部を持ち、泡立てない程度の強さで円を描くようにアンプルを振り、粒子をよく再懸濁させる。

アンプルを垂直に立て、上部をねじり切って開封する。

アンプルの開口端をネブライザーの薬液ボトルの中に入れ、薬液すべてを搾り出す。

注意

ネブライザーの使用方法は、製造元の使用説明書を参照すること。

主要文献


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[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2019/1/23 版