医療用医薬品 : ピレチア

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医薬品情報


総称名 ピレチア
一般名 プロメタジンメチレンジサリチル酸塩
プロメタジン塩酸塩
欧文一般名 Promethazine Methylenedisalicylate
Promethazine Hydrochloride
製剤名 プロメタジン製剤
薬効分類名 抗ヒスタミン剤
抗パーキンソン剤
薬効分類番号 1169 4413
ATCコード D04AA10 R06AD02
KEGG DRUG
D03290 プロメタジンメチレンジサリチル酸塩
KEGG DGROUP
DG00385 プロメタジン
DG01482 ヒスタミンH1受容体拮抗薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年5月 作成(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ピレチア錠(5mg) PYRETHIA Tablets 高田製薬 4413002F1031 6.5円/錠
ピレチア錠(25mg) PYRETHIA Tablets 高田製薬 4413002F2054 5.9円/錠
ピレチア細粒10% PYRETHIA Fine granules 高田製薬 4413002C1035 9.5円/g 劇薬

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 フェノチアジン系化合物及びその類似化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
2.3 バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制剤の作用を延長し増強させる。]
2.4 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
2.5 前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者[排尿困難を悪化させることがある。]
2.6 2歳未満の乳幼児[9.7.111.1.2参照]

4. 効能または効果

パーキンソニスム
○麻酔前投薬
○人工(薬物)冬眠
○感冒等上気道炎に伴うくしゃみ・鼻汁・咳嗽
○皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、薬疹、中毒疹)
○枯草熱
アレルギー性鼻炎
○じん麻疹
○血管運動性浮腫
○振せん麻痺
○動揺病

5. 効能または効果に関連する注意

抗パーキンソン剤は、フェノチアジン系化合物、ブチロフェノン系化合物等による口周部等の不随意運動(遅発性ジスキネジア)を通常軽減しない。場合によっては、このような症状を増悪、顕性化させることがある。

6. 用法及び用量

プロメタジン塩酸塩として、通常成人1回5〜25mgを1日1〜3回経口投与する。
振せん麻痺、パーキンソニスムには1日25〜200mgを、適宜分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように十分注意すること。
8.2 制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 開放隅角緑内障の患者
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
9.1.2 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者
悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい。[11.1.1参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害を悪化させるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.7.1 2歳未満の乳幼児
投与しないこと。小児(特に2歳未満)に投与した場合、乳児突然死症候群(SIDS)及び乳児睡眠時無呼吸発作があらわれたとの報告がある1)。また、外国で、2歳未満の乳幼児への投与により致死的な呼吸抑制が起こったとの報告がある。[2.611.1.2参照]
9.7.2 2歳以上の幼児、小児
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。2歳以上の幼児、小児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に、生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
抗コリン作用を有する薬剤
フェノチアジン系化合物、三環系抗うつ剤等
臨床症状:相互に抗コリン作用を増強することがある。更には、腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがある。なお、この悪心・嘔吐は、本剤及び他のフェノチアジン系化合物等の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
措置方法:減量するなど慎重に投与すること。また、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。
共に抗コリン作用を有する。
中枢神経抑制剤
バルビツール酸誘導体・麻酔剤等
相互に中枢神経抑制作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。共に中枢神経抑制作用を有する。
アルコール相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。共に中枢神経抑制作用を有する。
降圧剤
カルシウム拮抗剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤等
相互に降圧作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。共に降圧作用を有する。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明)
抗精神病薬及び抗うつ剤との併用において、本剤及び併用薬の減量又は中止により、発熱、無動緘黙、意識障害、強度の筋強剛、不随意運動、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には、体冷却、水分補給等の全身管理等の適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇があらわれることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下があらわれることがある。[9.1.2参照]
11.1.2 乳児突然死症候群(SIDS)(頻度不明)、乳児睡眠時無呼吸発作(頻度不明)[2.69.7.1参照]
注)発現頻度は、再評価の結果を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
過敏症 発疹、光線過敏症
肝臓 肝障害
血液 白血球減少、顆粒球減少
精神神経系眠気、めまい、倦怠感、頭痛、耳鳴、視覚障害、不安感、興奮、神経過敏、不眠、痙攣 
消化器悪心・嘔吐、口渇、食欲不振、下痢、腹痛 
循環器血圧上昇、低血圧、頻脈、起立性低血圧 
その他発汗、咳嗽、振戦 

13. 過量投与

13.1 症状
傾眠、意識消失等の中枢神経抑制、低血圧、口渇、瞳孔散大、呼吸障害、錐体外路症状等である。その他、幻覚、痙攣等の中枢神経興奮作用があらわれることがある。
13.2 処置
アドレナリンは更に血圧低下を引き起こすおそれがあるので使用しないこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
<錠>
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人6名にプロメタジン塩酸塩25mg、50mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータを表16-1に示す2)(外国人によるデータ)。
表16-1 薬物動態パラメータ
投与量(mg)nCmax(ng/mL)tmax(hr)AUC0-24(ng・hr/mL)t1/2(hr)
25611.2±2.62.7±0.6111.7±17.212.7±2.4
50639.2±8.22.5±0.6333.3±45.913.7±2.1
16.2 吸収
16.2.1 吸収率
80%以上3)
16.2.2 生物学的利用率
25%3)
16.3 分布
蛋白結合率
76〜80%4)(外国人によるデータ)
16.4 代謝
16.4.1 肝臓で主にプロメタジンスルホキシドとデスメチルプロメタジンに代謝される3)(外国人によるデータ)。
16.4.2 肝での初回通過効果
3)(外国人によるデータ)
16.4.3 肝代謝には主にCYP2D6が関与する5)in vitro)。
16.5 排泄
16.5.1 尿中には主としてプロメタジンスルホキシドが排泄される3)(外国人によるデータ)。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
プロメタジンは強力な抗ムスカリン作用を持っており、抗動揺病効果を有するH1拮抗薬である6)
18.2 抗ヒスタミン作用
モルモットにあらかじめ抗ヒスタミン剤を投与することにより、ヒスタミンによる死亡を阻止することができるが、この方法によるとジフェンヒドラミンの約30倍、トリペレナミンの約15倍の抗ヒスタミン作用を示した7)
18.3 抗アナフィラキシー作用
モルモットの羊血清によるアナフィラキシーを強く阻止した7)8)
18.4 抗パーキンソン作用
トレモリンにより惹起されるマウスの振戦に対して、トリヘキシフェニジルの約2.8倍の抑制作用を示した9)
18.5 神経系に対する作用
中枢神経抑制作用、強化麻酔・催眠増強・鎮痛・体温下降・制吐作用、中等度の副交感神経抑制・軽度の交感神経抑制作用、局所麻酔・鎮痙・血圧降下作用を有する10)11)12)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. プロメタジンメチレンジサリチル酸塩

一般的名称 プロメタジンメチレンジサリチル酸塩
一般的名称(欧名) Promethazine Methylenedisalicylate
化学名 ※1:(2RS)-N,N-Dimethyl-1-(10H-phenothiazin-10-yl)propan-2-ylamine 5,5'-methylenedi(2-hydroxybenzoate)
※2:(2RS)-N,N-Dimethyl-1-(10H-phenothiazin-10-yl)propan-2-ylamine 3,5'-methylenedi(2-hydroxybenzoate)
※3:(2RS)-N,N-Dimethyl-1-(10H-phenothiazin-10-yl)propan-2-ylamine 3-(3-carboxy-4-hydroxybenzyl)-5,5'-methylenedi(2-hydroxybenzoate)
分子式 ※1:C34H40N4S2・C15H12O6
※2:C34H40N4S2・C15H12O6
※3:C51H60N6S3・C23H18O9
分子量 ※1:857.09
※2:857.09
※3:1291.64
融点 約211℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄色の結晶性の粉末である。
酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
理化学知見その他 19.1 ピレチア細粒
KEGG DRUG D03290

19.2. プロメタジン塩酸塩

一般的名称 プロメタジン塩酸塩
一般的名称(欧名) Promethazine Hydrochloride
化学名 (2RS)-N,N-Dimethyl-1-(10H-phenothiazin-10-yl)propan-2-ylamine monohydrochloride
分子式 C17H20N2S・HCl
分子量 320.88
融点 約223℃(分解)
物理化学的性状 白色〜淡黄色の粉末である。
水に極めて溶けやすく、エタノール(95)又は酢酸(100)に溶けやすく、無水酢酸にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
光によって徐々に着色する。
水溶液(1→25)は旋光性を示さない。
理化学知見その他 19.2 ピレチア錠
KEGG DRUG D00480

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

<ピレチア細粒10%>
100g[プラスチック瓶、バラ、乾燥剤入り]
500g[アルミ袋、バラ]
<ピレチア錠(5mg)>
100錠[プラスチック瓶、バラ]
1000錠[プラスチック瓶、バラ]
<ピレチア錠(25mg)>
100錠[10錠(PTP)×10]
1000錠[10錠(PTP)×100]
1000錠[プラスチック瓶、バラ]

23. 主要文献

  1. Buck,M.L.et al., Ann.Pharmacother., 25, 244-247, (1991)
  2. Moolenaar,F.et al., Int.J.Pharm., 9, 353-357, (1981)
  3. Taylor,G.et al., Br.J.Clin.Pharmacol., 15, 287-293, (1983) »PubMed
  4. DiGregorio,G.J.et al., J.Pharm.Sci., 69 (12), 1457-1459, (1980) »PubMed
  5. Nakamura,K.et al., Pharmacogenetics., 6, 449-457, (1996) »PubMed
  6. たか折修二他監訳, グッドマン・ギルマン薬理書(第12版), 431-432, (2013)
  7. Hamburger,J.et al., Presse Med., 58 (4), 661-662, (1947)
  8. Halpern,B.N., Arch.Int.Pharmacodyn.Ther., 74 (3,4), 314-333, (1947) »PubMed
  9. Hitomi,M.et al., Arzneim.-Forsch., 22 (6), 953-961, (1972) »PubMed
  10. Kopera,J.et al., Br.J.Pharmacol., 9, 392-401, (1954)
  11. 城戸良之助他, 応用薬理, 2 (2), 173-179, (1968)
  12. 峰下銕雄他, 基礎と臨床, 5 (2), 325-340, (1971)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
高田製薬株式会社 文献請求窓口
〒336-8666 さいたま市南区沼影1丁目11番1号
電話:0120-989-813
FAX:048-816-4183
製品情報問い合わせ先
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26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
高田製薬株式会社
さいたま市西区宮前町203番地1

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版