<高ビリルビン血症(閉塞性黄疸を除く)における肝機能の改善>
肝臓に対し、胆汁酸の抱合体形成に関与して胆汁酸分泌を亢進させる。さらに、肝細胞保護作用、肝細胞賦活作用(肝細胞の再生促進、肝ATPの増加)を有しており、これらの作用により、肝機能異常を改善する。
<うっ血性心不全>
心臓に対し、心筋におけるCa2+動態を調節することで心筋の収縮力を調節するとともに、心筋保護・心筋代謝改善作用を合わせ持ち、心機能の低下を包括的に改善させる。
<MELAS症候群における脳卒中様発作の抑制>
MELAS症候群の発症機序と発症における体内のタウリンの関与について、現時点で詳細に解明されていないものの、タウリン大量投与によりタウリン修飾が改善することでミトコンドリアの機能を改善する機序が考えられる。MELASモデル培養細胞をタウリン存在下で培養した結果、酸素消費量及びミトコンドリアの膜電位で改善が認められたことから、脳軟膜における小動脈の血管内皮細胞及び血管平滑筋細胞等におけるミトコンドリアの機能異常がタウリンにより改善すると考えられる。
ウサギに経口投与した場合、肝胆汁量及び総胆汁量は投与後3〜6時間で約2倍に増加し、また単位胆汁量中胆汁酸濃度、単位時間内胆汁酸排泄量は、ともに増加した
9)。
四塩化炭素及び黄リン投与による肝障害ウサギに経口投与し、その肝機能の経過を観察したところ、Al-P、γ-グロブリン、BSP、血清コレステロール/血清コレステロールエステル比を改善させた。
また、病理組織学的検討では、肝臓の毒性障害を急速に改善し、肝細胞の再生を促進して組織像を改善させた。さらに慢性障害群においては間質の結合組織増殖を抑制した
10)。
ラット灌流肝を用いた実験において、虚血や低酸素時にみられる肝ATPの低下を軽減することにより、胆汁分泌などの肝細胞機能維持に働いた
11)。
ウサギ生体心臓において、心拍数には影響を与えず心拍出量を増加させた
12)。また、摘出モルモット心室筋を用いた実験により低Ca
2+状態では陽性変力作用を、また高Ca
2+状態では陰性変力作用を示したことから、タウリンは細胞外液中のCa
2+濃度に応じて二相性の作用を示しCa
2+modulatorとしての役割を果たすと考えられた
13)14)。
300beats/min駆動時の摘出ラット心臓においてATP産生を亢進させた
15)。また、虚血モルモット心筋からの酵素流出を抑制し、虚血からの細胞保護作用を示した
16)。
ウサギを用いた大動脈弁閉鎖不全による慢性うっ血性心不全において死亡率の低下を示した
17)。
MELASモデル培養細胞(Cybrid細胞)において、酸素消費量、膜電位、酸化状態の改善が認められた
18)(
in vitro)。