2.1 重篤な肺機能障害、胸部レントゲン写真上びまん性の線維化病変及び著明な病変を呈する患者[肺機能障害、線維化病変等が増悪することがある。][
9.1.1参照]
2.2 本剤の成分及び類似化合物(ペプロマイシン)に対する過敏症の既往歴のある患者
2.3 重篤な腎機能障害のある患者[
9.2.1参照]
2.4 重篤な心疾患のある患者[循環機能が低下し、間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある。][
9.1.3参照]
2.5 胸部及びその周辺部への放射線照射を受けている患者[
10.1参照]
患部に1日1回Occlusive Dressing Therapy(以下ODTと略す)(閉鎖密封療法)すること。ODTが困難な場合は1日2〜3回単純塗布する。標準的な用量は病巣の大きさ、状態にもよるが、患部100cm2(10cm×10cm)につき1〜2.5g(ブレオマイシン硫酸塩として5〜12.5mg(力価))とする。
7.1 本剤は副作用発現の個人差が著しく、比較的少量の投与でも副作用があらわれることがある。なお、投与にあたっては、患者の状態・症状に応じて低用量から開始すること。
7.2 本剤は軟膏剤であるが、他のブレオマイシン注射剤の「7.用法及び用量に関連する注意」として下記の記載がなされているので過量にならぬよう十分注意すること。
ペプロマイシンを投与された患者に対するブレオマイシンの投与量は、原則として投与されたペプロマイシン量とブレオマイシン量の和でもって総投与量とすること。ペプロマイシン及び他のブレオマイシン製剤の投与を受けた患者に本剤を投与した場合、毒性が相加することが考えられる。
8.1 間質性肺炎又は肺線維症の発現は、肺に基礎疾患を有する患者や高齢者の場合には、低用量でも発現頻度が高いので十分な注意を要する。[1.、
9.1.1、
9.8、
11.1.1参照]
8.2 本剤の投与にあたっては、発熱、咳、労作性呼吸困難等の臨床症状の観察を十分に行い、胸部レントゲン検査異常及び捻髪音(ラ音)の有無を検討し、可能な施設においては肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO
2)、動脈血酸素分圧(PaO
2)、一酸化炭素拡散能(DLco)などの検査を行い、投与中及び投与後およそ2ヵ月位までについてもこれらの検査を定期的に行うこと。[1.、
11.1.1参照]
8.3 A-aDO
2、PaO
2などの検査は可能な限り1週に1度測定し、A-aDO
2、PaO
2がそれぞれ2週連続して拡大又は低下したときには投与を中止する。具体的にはA-aDO
2、PaO
2が投与前値より10Torr以上悪化したときは、他の臨床症状とあわせて十分な観察を行い、副作用の疑いのある場合には、直ちに投与を中止し、ステロイド等の投与を開始すること。また、DLcoについては投与前値の15%以上の低下をみたときは同様の処置を行うこと。
なお、投与前に肺機能検査値に低下のみられる患者にやむを得ず投与を必要とする場合には、慎重に経過を観察するとともに、検査値の低下がみられたときは直ちに本剤の投与を中止すること。[1.、
11.1.1参照]
8.4 感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 肺障害の既往歴又は合併症がある患者(重篤な肺機能障害、胸部レントゲン写真上びまん性の線維化病変及び著明な病変を呈する患者を除く)
間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある。[
2.1、
8.1参照]
9.1.2 胸部に放射線照射を受けた患者
間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある。
9.1.3 心疾患のある患者(重篤な心疾患のある患者を除く)
副作用が強くあらわれるおそれがある。[
2.4参照]
9.1.4 水痘患者
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害患者
投与しないこと。排泄機能が低下し、間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある。[
2.3参照]
9.2.2 腎機能障害患者(重篤な腎機能障害患者を除く)
9.3 肝機能障害患者
9.4 生殖能を有する者
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。動物実験(マウス、ラット)で催奇形性が報告されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中への移行は不明である。
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 小児に投与する場合には、副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。
9.8 高齢者
間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を起こすことがある。ブレオマイシンの注射剤における間質性肺炎又は肺線維症等の重篤な肺症状の発現率は、50歳未満5.9%、50歳代8.1%、60歳代10.9%、70歳以上15.5%と年齢が高くなるに従い高かった。[
8.1参照]
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺炎・肺線維症(0.1%未満)
肺機能検査で異常が認められた場合、あるいは咳嗽、労作性呼吸困難、捻髪音(ラ音)等の肺症状があらわれた場合は、直ちに投与を中止し、副腎皮質ホルモンの投与と適切な抗生物質等による治療を行うこと。[1.、
8.1-
8.3参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上注1) | 1〜5%未満注1) | 頻度不明 |
過敏症 | | | 過敏症状 |
皮膚 | 疼痛注2) | 発赤、皮膚炎、色素沈着、びらん | |
14.1 薬剤塗布時の注意
14.1.1 眼には接触させないこと。粘膜周辺に使用する場合には慎重に行うこと。
14.1.2 手で塗布する場合には塗布後直ちに手を洗うこと。
15.1 臨床使用に基づく情報
外国でブレオマイシンの全身投与と他の抗悪性腫瘍剤との併用により、心筋梗塞、脳梗塞等が発現したとの報告がある。