本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
2.1 心機能異常又はその既往歴のある患者[心筋障害があらわれることがある。]
2.2 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
通常、成人はダウノルビシン塩酸塩として1日量体重1kg当たり0.4〜1.0mg(力価)を、小児はダウノルビシン塩酸塩として1日量体重1kg当たり1.0mg(力価)を連日あるいは隔日に3〜5回静脈内又は点滴静注し、約1週間の観察期間をおき、投与を反復する。
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人はダウノルビシン塩酸塩として1日25〜60mg(力価)/m2(体表面積)を2〜5回、小児はダウノルビシン塩酸塩として1日25〜45mg(力価)/m2(体表面積)を2〜4回、連日あるいは1〜6日間をあけて静脈内投与し、骨髄機能が回復するまで休薬する。この方法を1コースとし、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
他の抗悪性腫瘍剤との併用の場合、本剤の投与量、投与スケジュール、併用薬等について、学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。
8.1 骨髄機能抑制、心筋障害等の重篤な副作用が起こることがあるので頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、心機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。[
9.1.1、
9.1.2、
9.1.4、
11.1.1、
11.1.2、
11.1.4参照]
8.2 本剤の総投与量が25mg/kgを超えると、重篤な心筋障害を起こすことが多くなるので十分に注意すること。[
9.1.4、
11.1.1参照]
8.3 感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。
8.4 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度測定及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[
11.1.5参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 骨髄機能抑制のある患者
9.1.2 感染症を合併している患者
9.1.3 水痘患者
9.2 腎機能障害患者
9.3 肝機能障害患者
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[
9.5、
15.2.2参照]
9.4.2 男性には、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。[
15.2.2参照]
9.4.3 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(マウス)で催奇形性が報告されている。[
9.4.1参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。本剤は乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。
9.7 小児等
9.8 高齢者
用量に留意して患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能等の生理機能が低下していることが多い。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.2 骨髄抑制(5%以上)
11.1.3 ショック(0.1%未満)
11.1.4 ネフローゼ症候群(0.1%未満)[
8.1参照]
11.1.5 腫瘍崩壊症候群(頻度不明)
異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。[
8.4参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 5%以上又は頻度不明 | 0.1〜5%未満 |
| 心臓 | 心電図異常、頻脈等 | − |
| 過敏症 | 発熱、発疹等 | − |
| 肝臓 | AST、ALT、Al-P上昇、黄疸等 | − |
| 腎臓 | − | BUN上昇、蛋白尿等 |
| 消化器 | 潰瘍性口内炎、食欲不振、悪心・嘔吐等 | − |
| 皮膚 | 脱毛等 | − |
| 精神神経系 | 倦怠感、頭痛、眩暈等 | − |
| その他 | 悪寒、呼吸困難 | − |
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 使用に際しては、1バイアル20mg(力価)に10mLの日局生理食塩液を加え軽く振盪して完全に溶かしてから静脈内注射する。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 静脈内投与により血管痛、静脈炎、血栓を起こすおそれがあるので、注射部位、注射方法等に十分注意し、注射速度をできるだけ遅くすること。
14.2.2 静脈内投与に際し薬液が血管外に漏れると注射部位に硬結、壊死を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないよう慎重に投与すること。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
15.1.2 本剤の尿中排泄により尿が赤色になることがある。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 ラットに静脈内投与した実験で、乳腺腫瘍、腎腫瘍が、マウスに皮下投与した実験で局所の腫瘍が発生したとの報告がある。
15.2.2 細菌を用いた復帰突然変異試験及び哺乳類細胞を用いた
in vitro小核試験において、いずれも陽性の結果が報告されている
1)2)3)。[
9.4.1、
9.4.2参照]
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
急性白血病患者における寛解率は46.6%(41/88例)であった。
投与群別では、本剤単独群37.0%(10/27例)、副腎皮質ホルモン併用群37.8%(14/37例)、他抗白血病・悪性腫瘍剤併用群70.8%(17/24例)であった。
17.2 製造販売後調査等
副作用調査された総症例302例で報告された副作用の種類は33種類、症状累計521件であった。その主なものは、消化管障害97件32.12%、一般的全身症状(発熱、悪寒、倦怠感、胸内苦悶等)79件26.16%、皮膚障害(脱毛、発疹等)60件19.87%、心臓障害(心不全、頻脈)11件3.64%、血管障害(血管炎、血管痛等)13件4.30%、血液障害(白血球減少、赤血球減少、血小板減少等)212件70.20%、骨髄組織障害21件6.95%、肝障害16件5.30%、腎障害7件2.32%、その他5件1.66%であった。(副作用頻度調査終了時)