医療用医薬品 : クアゼパム

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医薬品情報


総称名 クアゼパム
一般名 クアゼパム
欧文一般名 Quazepam
製剤名 クアゼパム錠
薬効分類名 睡眠障害改善剤
薬効分類番号 1124
ATCコード N05CD10
KEGG DRUG
D00457 クアゼパム
KEGG DGROUP
DG03202 睡眠薬
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年9月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
クアゼパム錠15mg「YD」 (後発品) QUAZEPAM TABLETS 陽進堂 1124030F1045 21.7円/錠 向精神薬(第三種向精神薬), 習慣性医薬品注1), 処方箋医薬品注2)
クアゼパム錠20mg「YD」 (後発品) QUAZEPAM TABLETS 陽進堂 1124030F2041 27.8円/錠 向精神薬(第三種向精神薬), 習慣性医薬品注1), 処方箋医薬品注2)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 急性閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させるおそれがある。]
2.3 重症筋無力症の患者[重症筋無力症の症状を悪化させるおそれがある。]
2.4 睡眠時無呼吸症候群の患者[呼吸障害を悪化させるおそれがある。]
2.5 リトナビルを投与中の患者[10.1参照]

4. 効能または効果

不眠症
○麻酔前投薬

6. 用法及び用量

<不眠症>
通常、成人にはクアゼパムとして1回20mgを就寝前に経口投与する。
なお、年齢、症状、疾患により適宜増減するが、1日最高量は30mgとする。
<麻酔前投薬>
手術前夜:通常、成人にはクアゼパムとして1回15〜30mgを就寝前に経口投与する。
なお、年齢、症状、疾患により適宜増減するが、1日最高量は30mgとする。

7. 用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 本剤を投与する場合、反応に個人差があるため少量から投与を開始すること。やむを得ず増量する場合は観察を十分に行いながら慎重に行うこと。ただし、30mgを超えないこととし、症状の改善に伴って減量に努めること。
<不眠症>
7.2 就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中において一時的に起床して仕事等をする可能性があるときは服用させないこと。

8. 重要な基本的注意

8.1 食後の服用を避けること。[10.1参照]
8.2 本剤の影響が翌朝以後に及び、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.3 連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期投与を避けること。本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討すること。[11.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期等で呼吸機能が高度に低下している患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。炭酸ガスナルコーシスを起こしやすい。[11.1.3参照]
9.1.2 衰弱患者
作用が強くあらわれるおそれがある。
9.1.3 心障害のある患者
心障害が悪化するおそれがある。
9.1.4 脳に器質的障害のある患者
作用が強くあらわれるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
薬物の体内蓄積による副作用の発現に注意すること。一般に排泄が遅延する傾向がある。
9.3 肝機能障害患者
薬物の体内蓄積による副作用の発現に注意すること。一般に排泄が遅延する傾向がある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.1 妊娠中に他のベンゾジアゼピン系薬剤の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。
9.5.2 ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。
9.5.3 分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。本剤15mgを健康成人に経口投与した時に投与量の約0.1%が母乳中へ移行するとの報告がある1)。新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)で報告されており、また黄疸を増強する可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。運動失調等の副作用が発現しやすい。

10. 相互作用

相互作用序文
本剤は、主として肝代謝酵素CYP2C9、CYP3A4で代謝される。
薬物代謝酵素用語
CYP2C9
薬物代謝酵素用語
CYP3A4
10.1 併用禁忌
食物
8.1参照]
過度の鎮静や呼吸抑制を起こすおそれがある。難溶性薬物である本剤は、胃内容物の残留によって吸収性が向上し、未変化体及びその代謝物の血漿中濃度が空腹時の2〜3倍に高まることが報告されている。
リトナビル
ノービア
2.5参照]
過度の鎮静や呼吸抑制を起こすおそれがある。リトナビルのチトクロームP450に対する競合的阻害作用により、併用した場合、本剤の血中濃度が大幅に上昇することが予測される。
10.2 併用注意
アルコール
(飲酒)
相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。ともに中枢神経抑制作用を有する。
中枢神経抑制剤
フェノチアジン誘導体
バルビツール酸誘導体等
相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。ともに中枢神経抑制作用を有する。
MAO阻害剤相互に中枢神経抑制作用を増強することがある。ともに中枢神経抑制作用を有する。
シメチジン本剤の作用が増強されることがある。シメチジンのチトクロームP450に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害されるおそれがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 依存性(頻度不明)
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び投与期間に注意し慎重に投与すること。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与中止により、痙攣発作、譫妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。[8.3参照]
11.1.2 刺激興奮、錯乱(いずれも頻度不明)
11.1.3 呼吸抑制、炭酸ガスナルコーシス(いずれも頻度不明)
呼吸機能が高度に低下している患者に投与した場合、炭酸ガスナルコーシスを起こすことがあるので、このような場合には気道を確保し、換気を図るなど適切な処置を講ずること。[9.1.1参照]
11.1.4 精神症状(幻覚、妄想等)、意識障害、思考異常、勃起障害、興奮、運動失調、運動機能低下、錯乱、協調異常、言語障害、振戦(いずれも頻度不明)
11.1.5 一過性前向性健忘、もうろう状態(いずれも頻度不明)
本剤を投与する場合には少量から開始するなど、慎重に行うこと。なお、十分に覚醒しないまま、車の運転、食事等を行い、その出来事を記憶していないとの報告がある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上1〜5%未満1%未満頻度不明
精神神経系眠気・傾眠ふらつき、頭重感めまい、頭痛、ぼんやり感抑うつ、神経過敏、健忘、不眠、昏迷、心悸亢進、尿失禁、歩行異常、リビドー減退、感情鈍麻、魔夢、多幸感、不安、運動過多、知覚異常、味覚倒錯、口内乾燥
肝臓  AST、ALT、LDHの上昇肝機能障害、黄疸
消化器  口渇、悪心、食欲不振、胃痛、腹痛嘔気・嘔吐、消化不良、下痢、便秘、口臭
過敏症  発疹 
骨格筋 倦怠感下肢倦怠感、膝脱力等の筋緊張低下症状 
  眼瞼浮腫(眼痛)眼の異常、視力異常
   耳鳴
皮膚   そう痒
その他  発汗無力、疲労、悪寒、排尿困難、尿閉、ほてり、潮紅

13. 過量投与

13.1 処置
本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、投与前にフルマゼニルの使用上の注意を必ず読むこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
投与した薬剤が特定されないままフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、遅延するおそれがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
<クアゼパム錠15mg「YD」>
クアゼパム錠15mg「YD」とドラール錠15をクロスオーバー法によりそれぞれ1錠(クアゼパムとして15mg)、健康成人男子20名に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された2)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-72(ng・hr/mL)Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2(hr)
クアゼパム錠15mg「YD」244.5±90.320.8±5.62.7±1.119.0±9.6
ドラール錠15251.8±95.122.4±8.72.8±1.418.9±11.9
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
<クアゼパム錠20mg「YD」>
クアゼパム錠20mg「YD」とドラール錠20をクロスオーバー法によりそれぞれ1錠(クアゼパムとして20mg)、健康成人男子28名に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-72(ng・hr/mL)Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2(hr)
クアゼパム錠20mg「YD」299.1±113.926.1±13.22.4±1.224.0±8.5
ドラール錠20323.4±132.927.5±12.52.8±1.320.6±7.9
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
不眠症及び麻酔前投薬(手術前夜)を対象とした二重盲検比較試験においてクアゼパムの有用性が認められた。
これらの試験を含む国内臨床試験における有効率は以下のとおりであった4)5)6)7)8)
対象症例数有効率(%)
不眠症111/177例62.7
麻酔前投薬(手術前夜)131/189例69.3
242/366例66.1

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
下部脳幹を起源とする睡眠導入機構を介して作用すること、ベンゾジアゼピン1受容体に対する親和性が高いことから、この受容体を介する覚醒系の抑制と睡眠に関係した神経系の刺激に関与すると考えられる9)10)
18.2 終夜睡眠ポリグラフィ
健康成人男子にクアゼパム15mg及び30mgの経口投与で総睡眠時間の延長傾向が認められた。また、服薬中止時の反跳性不眠及びREM睡眠の反跳はみられない11)12)13)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. クアゼパム

一般的名称 クアゼパム
一般的名称(欧名) Quazepam
化学名 7-Chloro-5-(2-fluorophenyl)-1,3-dihydro-1-(2,2,2-trifluoroethyl)-2H-1,4-benzodiazepine-2-thione
分子式 C17H11ClF4N2S
分子量 386.79
物理化学的性状 白色〜淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。
無水酢酸に溶けやすく、メタノール及びエタノール(99.5)にやや溶けやすく、水にはほとんど溶けない。
KEGG DRUG D00457

22. 包装

<クアゼパム錠15mg「YD」>
100錠[10錠(PTP)×10]
<クアゼパム錠20mg「YD」>
100錠[10錠(PTP)×10]

23. 主要文献

  1. Hilbert,J.M.et al., J Clin Pharmacol., 24 (10), 457-462, (1984) »PubMed
  2. (株)陽進堂社内資料:生物学的同等性試験(錠15mg)
  3. (株)陽進堂社内資料:生物学的同等性試験(錠20mg)
  4. 筒井末春 他, 臨床医薬, 8 (1), 31-53, (1992)
  5. 筒井末春 他, 臨床医薬, 8 (2), 335-356, (1992)
  6. 筒井末春 他, 臨床医薬, 8 (2), 357-374, (1992)
  7. 山村秀夫 他, 薬理と臨床, 3 (9), 1575-1590, (1993)
  8. 山村秀夫 他, 薬理と治療, 19 (12), 4957-4973, (1991)
  9. Iorio,L.C.et al., Life Sciences., 35 (1), 105-113, (1984) »PubMed
  10. Wamsley,J.K.et al., Clin Neuropharmacol., 8 (Suppl. 1), S26-40, (1985)
  11. 田中正敏 他, 臨牀と研究, 67 (2), 561-570, (1990)
  12. Kales,A.et al., J Clin Pharmacol., 20, 184-192, (1980) »PubMed
  13. Mamelak,M.et al., J Clin Pharmacol., 24, 65-75, (1984) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本ジェネリック株式会社 お客さま相談室
〒108-0014 東京都港区芝五丁目33番11号
電話:0120-893-170
FAX:0120-893-172
製品情報問い合わせ先
日本ジェネリック株式会社 お客さま相談室
〒108-0014 東京都港区芝五丁目33番11号
電話:0120-893-170
FAX:0120-893-172

25. 保険給付上の注意

本剤は厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、投薬量は1回30日分を限度とされています。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社陽進堂
富山県富山市婦中町萩島3697番地8号
26.2 販売元
日本ジェネリック株式会社
東京都港区芝五丁目33番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版