医療用医薬品 : 5−FU

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医薬品情報


総称名 5−FU
一般名 フルオロウラシル
欧文一般名 Fluorouracil
製剤名 フルオロウラシル軟膏
薬効分類名 抗腫瘍外用剤
薬効分類番号 4223
ATCコード L01BC02
KEGG DRUG
D00584 フルオロウラシル
KEGG DGROUP
DG02018 代謝拮抗薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2022年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
5−FU軟膏5%協和 5-FU Ointment 5% Kyowa 協和キリン 4223701M1047 225.1円/g 劇薬, 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

皮膚悪性腫瘍(有棘細胞癌基底細胞癌、皮膚附属器癌、皮膚転移癌、ボーエン病、パジェット病、放射線角化腫、老人性角化腫、紅色肥厚症、皮膚細網症、悪性リンパ腫の皮膚転移)

6. 用法及び用量

本剤適量を1日1〜2回患部に塗布する。
原則として閉鎖密封療法(ODT)を行うのが望ましい。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。静脈内投与による動物実験(ラット、マウス)で多指症、口蓋裂等の催奇形作用が報告されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 皮膚塗布部の激しい疼痛(頻度不明)
皮膚塗布部の激しい疼痛が認められた場合にはステロイド軟膏を併用するか投与を中止すること。
注)発現頻度は1976年4月までの副作用頻度調査を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満頻度不明
皮膚色素沈着、発赤、局所の出血傾向爪の変形、皮膚炎光線過敏症、爪の変色

14. 適用上の注意

14.1 薬剤塗布時の注意
14.1.1 眼には接触させないこと。粘膜周辺に使用する場合には慎重に行うこと。
14.1.2 手で塗布する場合には塗布後直ちに手を洗うこと。
14.1.3 塗布部はなるべく日光にあたらないようにすること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
フルオロウラシルの異化代謝酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)欠損等の患者がごくまれに存在し、このような患者にフルオロウラシル系薬剤を投与した場合、投与初期に重篤な副作用(口内炎、下痢、血液障害、神経障害等)が発現するとの報告がある。

16. 薬物動態

16.2 吸収
5% 5-FU-6-14C軟膏をヒトの正常部皮膚及び病態皮膚に1.4〜1.83mg/cm2塗布したとき、72時間後の未吸収放射能は正常皮膚87.7〜95.3%、病態皮膚6.2〜70.3%で、病態皮膚で吸収が良好であることが確認された1)(外国人データ)。
16.4 代謝
ラット背部に5-FU-6-14Cを塗布したときの尿中放射性代謝産物は、未変化体5-FUが尿中放射能の約7.9%、FUPA(α-fluoro-β-ureidopropionic acid)が約13.5%、FGPA(α-fluoro-β-guanidopropionic acid)が約5.8%、FBAL(α-fluoro-β-alanine)が約66.1%排泄されていることが確認された2)
16.5 排泄
5% 5-FU-6-14C軟膏をヒトの正常部皮膚及び病態皮膚に1.4〜1.83mg/cm2塗布したとき、72時間後の尿中からの累積回収放射能は正常部皮膚塗布の場合0.3〜1.1%、病態皮膚塗布では15.8〜61.2%であって皮膚吸収の傾向と相関した尿中排泄が認められた1)(外国人データ)。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
国内15施設において実施された、皮膚腫瘍及び他の皮膚疾患患者を対象とした臨床試験のうち、皮膚悪性腫瘍患者における本剤単独使用での結果は以下のとおりであった。なお、効果判定は主治医判定によるが、びらん形成後に塗布を中止し、その後腫瘍の大きさが1/2以上縮小したものを有効として有効率を算定した3)4)5)6)
対象疾患有効率(有効例/症例数)
有棘細胞癌71.4%(15/21)
基底細胞癌94.1%(16/17)
皮膚附属器癌100.0%(2/2)
皮膚転移癌33.3%(2/6)
ボーエン病89.5%(17/19)
パジェット病83.3%(10/12)
放射線角化腫100.0%(4/4)
老人性角化腫75.0%(3/4)
紅色肥厚症100.0%(2/2)
皮膚細網症75.0%(3/4)
悪性リンパ腫の皮膚転移100.0%(3/3)
81.9%(77/94)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
5-FUの抗腫瘍効果は主としてDNAの合成阻害に基づくと考えられており、腫瘍細胞内に取り込まれた5-FUがウラシルと同じ経路で代謝を受けて生じるF-deoxy UMPがチミジル酸合成酵素上で、deoxy UMPと拮抗してチミジル酸の合成を抑制することにより、DNAの合成が阻害されると考えられている。
他方、5-FUはウラシルと同じくRNAにも組み込まれてF-RNAを生成することや、リボゾームRNAの形成を阻害することも知られており、これらのことも本剤の抗腫瘍効果発現に関与すると考えられている7)8)
18.2 抗腫瘍性
NCI(National Cancer Institute,米国)抗癌剤スクリーニングモデルのいずれに対してもやや有効以上の抗腫瘍性を示した9)(マウス移植腫瘍でのデータ)。
実験腫瘍投与経路抗腫瘍効果
T/C(%)効果効果判定基準
腹水型腫瘍Leukemia L1210(白血病)腹腔内1802+T/C≧125%
Leukemia P388(白血病)腹腔内2202+≧120
Melanoma B16(メラノーマ)腹腔内140≧125
Lewis Lung carcinoma(肺癌)静脈内150≧140
Colon 26(大腸癌)腹腔内2002+≧130
固形腫瘍Colon 38(大腸癌)皮下03+≦42
CD8F1(乳癌)皮下03+≦42

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. フルオロウラシル

一般的名称 フルオロウラシル
一般的名称(欧名) Fluorouracil
化学名 5-Fluorouracil
分子式 C4H3FN2O2
分子量 130.08
融点 約282℃(分解)
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。
溶解性 N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、水にやや溶けにくく、エタノール(95)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
分配係数 logP'OCT=−1.00
(測定法:フラスコシェイキング法、n-オクタノール/pH7.4緩衝溶液)
KEGG DRUG D00584

22. 包装

5g[1本(チューブ入り)]

23. 主要文献

  1. Erlanger M.et al., Dermatologica., 140, 7-14, (1970)
  2. 大石孝義ほか, 薬学雑誌, 93, 749-755, (1973) »DOI
  3. 池田重雄ほか, 薬物療法, 4, 1417-1445, (1971)
  4. 石原和之, 臨床皮膚科, 25, 995-1002, (1971)
  5. 野平睦子, 薬物療法, 4, 1789-1793, (1971)
  6. 三木吉治, 皮膚, 11, 408-435, (1969) »DOI
  7. Hartmann KU.et al., J Biol Chem., 236, 3006-3013, (1961)
  8. Spiegelman S.et al., Cancer., 45, 1129-1134, (1980)
  9. Goldin A.et al., Eur J Cancer., 17, 129-142, (1981)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
協和キリン株式会社 くすり相談窓口
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-2
電話:0120-850-150 受付時間 9:00〜17:30(土・日・祝日及び弊社休日を除く)
製品情報問い合わせ先
協和キリン株式会社 くすり相談窓口
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-2
電話:0120-850-150 受付時間 9:00〜17:30(土・日・祝日及び弊社休日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
協和キリン株式会社
東京都千代田区大手町1-9-2

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版