急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後6時間以内)
本剤1バイアルを20mLの日本薬局方 生理食塩液又は日本薬局方 ブドウ糖注射液に溶解(6,000単位/mL)し、通常、ウロキナーゼとして480,000〜960,000単位を24,000単位/4mL/分で冠状動脈内に注入する。
なお、症状により適宜増減する。
8.1 本剤による治療は適切な救急体制のもと、血行動態等を十分観察しながら行うこと。
8.2 デフィブロチドナトリウム投与後24時間以内は本剤を投与しないことが望ましい。[
2.6、
8.3、
10.1参照]
8.3 本剤投与後24時間以内はデフィブロチドナトリウムを投与しないこと。[
2.6、
8.2、
10.1参照]
8.4 本剤の投与並びに本剤と血液凝固阻止作用を有する薬剤、血小板凝集抑制作用を有する薬剤又は他の血栓溶解剤との併用により出血の危険性が増大するので、出血の有無を十分確認するとともに血液凝固能(出血時間、プロトロンビン時間等)等の血液検査、臨床症状の観察を頻回に行うこと。[
9.1.3、
10.2、
11.1.1参照]
8.5 冠状動脈内血栓の溶解にて血流が再開通することにより、不整脈があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。[
11.1.4参照]
8.6 本剤は賦形剤として精製ゼラチンを含有している。ゼラチン含有製剤の投与により、ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、口唇浮腫、喉頭浮腫等)があらわれたとの報告があるので、問診を十分に行い、投与後は観察を十分に行うこと。[
9.1.5参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 出血を惹起するおそれのある以下の患者[
11.1.1参照]
・大手術、臓器生検、血管穿刺(動注療法、動脈穿刺等)後、日の浅い患者(10日以内)
・外傷後、日の浅い患者(10日以内)
・脳血管障害の既往歴のある患者
・消化管潰瘍、消化管の憩室炎、大腸炎のある患者
・活動性結核のある患者
・月経期間中又は分娩・流早産後、日の浅い患者(10日以内)
・糖尿病性出血性網膜症又は他の出血性眼疾患のある患者
9.1.2 左心房内血栓の疑いのある患者(心房細動を伴う僧帽弁狭窄症患者等)、亜急性細菌性心内膜炎又は急性心膜炎のある患者
9.1.3 血液凝固阻止作用を有する薬剤、血小板凝集抑制作用を有する薬剤又は他の血栓溶解剤を投与している患者[
8.4、
10.2参照]
9.1.4 本剤又は組織培養ウロキナーゼに対して過敏症の既往歴のある患者
9.1.5 ゼラチン含有製剤又はゼラチン含有の食品に対して過敏症の既往歴のある患者[
8.6参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎障害のある患者
代謝、排泄能の低下により、本剤の作用が増強することがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害のある患者
代謝、排泄能の低下により、本剤の作用が増強することがある。
9.5 妊婦
妊娠早期又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ウサギ)で胎児死亡が報告されている。また、本剤の線維素溶解作用からみて、胎盤早期剥離が起こる可能性が考えられる。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
9.8.1 75歳以上の高齢者
他の血栓溶解剤において、特に脳出血の危険性が高まるとの報告がある。[
11.1.1参照]
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 重篤な出血(0.2%未満)、出血性ショック(頻度不明)
11.1.2 心破裂(頻度不明)
11.1.3 ショック(頻度不明)
血圧低下、呼吸困難、胸内苦悶、脈拍の異常、発汗等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.4 重篤な不整脈(頻度不明)
心室細動、心室頻拍等の重篤な不整脈があらわれることがある。[
8.5参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満 | 頻度不明 |
過敏症 | | 発疹、蕁麻疹等 |
出血傾向 | 血尿、歯肉出血、カテーテル挿入部の出血等 | |
肝臓 | | AST・ALTの上昇等 |
消化器 | 嘔気・嘔吐 | 食欲不振 |
その他 | 不整脈、血圧低下 | 発熱、悪寒、頭痛、倦怠感 |
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験
国内64施設において発症後6時間以内の急性心筋梗塞患者234例
注)を対象として実施されたプラセボを対照とした二重盲検比較試験において、ウロキナーゼ96万単位を1回24万単位ずつ4回に分けて冠状動脈内に繰り返し注入した。有効性解析対象例数210例において、ウロキナーゼ投与群の有用率は64.5%(69/107例)であり、プラセボ投与群の8.7%(9/103例)に比し有意に優れていた(P<0.01)。
本剤投与群の副作用発現頻度は、2.5%(3/121例
注))であった。副作用は、嘔気1.7%(2/121例)、消化管出血0.8%(1/121例)であった
2)。
17.1.2 国内一般臨床試験
急性心筋梗塞患者329例
注)を対象として、ウロキナーゼ96万単位を1回24万単位ずつ4回に分けて冠状動脈内に繰り返し注入した。有効性解析対象例数301例において、ウロキナーゼ投与により、完全閉塞群では79.0%(166/210例)の再開通率が、また狭窄群では72.5%(66/91例)の改善率が得られ、更に心電図所見、胸痛等の臨床所見においても改善が認められた。
また、慢性期(約1ヵ月後)の心機能検査において、急性期に再開通させた群では閉塞群に比し左室駆出率及び心筋局所壁運動の改善が認められた。
副作用発現頻度は、4.9%(16/329例
注))であった。主な副作用は、血尿1.5%(5/329例)、嘔吐及び歯肉出血各0.9%(3/329例)であった
3)4)。
注)発症から投与までの時間が6時間を超えた症例等を含む。