医療用医薬品 : バクトロバン |
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総称名 | バクトロバン |
一般名 | ムピロシンカルシウム水和物 |
欧文一般名 | Mupirocin Calcium Hydrate |
薬効分類名 | 鼻腔内MRSA除菌剤 |
薬効分類番号 | 6119 |
ATCコード | D06AX09 R01AX06 |
KEGG DRUG |
D02195
ムピロシンカルシウム水和物
商品一覧 米国の商品 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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バクトロバン鼻腔用軟膏2% | Bactroban Nasal Ointment | グラクソ・スミスクライン | 6119700M1035 | 540.7円/g | 処方箋医薬品 |
次の者には投与しないこと
本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある者
<適応菌種>
<適応症>
次の患者及び個人の保菌する鼻腔内のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の除菌
通常、適量を1日3回鼻腔内に塗布する。
使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、必要な最小限の期間(3日間程度)の投与にとどめ、漫然と長期にわたり投与しないこと。
慎重投与
鼻腔内に損傷部位のある者
アレルギー疾患の既往歴のある者
重要な基本的注意
本剤は、うがい、手洗い等の他の適切なMRSA感染対策を講じた上で、適用すること。
「易感染患者」については、厚生省「院内感染対策の手引き−MRSAに注目して−」1)で定義されている易感染患者(次の(1)〜(6)に示す患者)を参考に、自らの鼻腔内に保菌するMRSAにより患者が内因性のMRSA感染症を発症する危険性が高い場合に使用すること。
高齢者、特に寝たきりの高齢患者
免疫不全状態にある患者(悪性腫瘍患者、糖尿病患者、免疫抑制剤又は抗癌剤投与患者等)
侵襲が大きく、長時間を要する手術患者(心臓、大血管手術、腹部大手術患者等)
IVH施行患者
気管内挿管等による長期呼吸管理患者
広範囲の熱傷又は外傷患者
鼻腔内にMRSAを保菌する入院患者については、易感染患者から隔離するなど、易感染患者との接触を断つ措置を講ずること。やむを得ず、隔離することが困難な場合に本剤の適用を考慮すること。
鼻腔内にMRSAを保菌する医療従事者については、医師、看護婦等で、易感染患者と頻回に接することが避けられない場合に本剤の適用を考慮すること(医療従事者は、保険給付上、薬剤給付の対象とならない。)。
副作用
副作用発現状況の概要
国内の第II、III相臨床試験において本剤が1回以上塗布された224例において、副作用は1例も認められなかった。(承認時)
使用成績調査3149例中21例(0.67%)に臨床検査値の変動を含む副作用が報告された。その主なものは鼻炎8例(0.25%)、鼻汁8例(0.25%)であった(再審査終了時)。
その他の副作用
投与部位に軽度の局所反応(鼻炎様症状、刺激感等)が報告されている(0.53%)。
皮膚の過敏症(発疹、発赤、そう痒等)が報告されている(頻度不明注))。
注)自発報告または海外のみで認められている副作用については頻度不明とした。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には、使用上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳中の投与に関する安全性は確立していないので、授乳婦に投与する場合には、授乳を中止させること。
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。なお、使用成績調査において、15歳未満379例(出生後4週未満156例を含む。)に使用された結果、副作用発現症例はなかった。
適用上の注意
投与部位
眼科用として角膜、結膜には使用しないこと。
熱傷、各種皮膚潰瘍(褥瘡、糖尿病性壊疽、外傷性皮膚欠損等)の際の皮膚における創面感染には使用しないこと。
本剤を健康成人5例に対し、両鼻腔内に1回各0.1g1日3回、3日間連続塗布したところ、ムピロシン及び主代謝物であるmonic acidは血清中及び尿中から検出されず、鼻腔内粘膜より極めて吸収されにくいことが確認された。
臨床効果3)
国内第III相臨床試験においてMRSAの鼻腔内保菌者に対し、本剤を1日3回、3日間塗布した際の除菌効果(消失率)は、次のとおりであった。
被験者区分 | 最終塗布翌日 | 最終塗布1週間後 |
医療従事者 | 74/79(93.7%) | 76/77(98.7%) |
入院患者 | 37/50(74.0%) | 41/48(85.4%) |
合計 | 111/129(86.0%) | 117/125(93.6%) |
皮膚安全性試験4)
健康成人30例を対象に、鼻腔内粘膜安全性試験及び皮膚刺激性単純パッチテストを行った結果、次のとおりであった。
鼻腔内粘膜安全性試験
軟膏基剤(プラセボ軟膏)を対照薬として1回約30mgずつ、1日3回、3日間の鼻腔内粘膜塗布比較試験を実施した結果、両群ともに鼻粘膜の異常は認められず、また、臨床検査及び理学的検査等すべての検査項目においても異常は認められなかった。
単純パッチテスト
背部皮膚に本剤及び軟膏基剤(プラセボ軟膏)、対照薬として白色ワセリン及びポビドンヨード製剤の各々約50mgずつをパッチ絆プレートを用いて閉塞塗布し、皮膚刺激性の検討を行った結果、本剤の皮膚刺激指数は、24時間、48時間の閉塞塗布とも0であり、皮膚刺激性に問題はないと考えられた。
抗菌作用3)
ムピロシンは、MRSAに対し優れた抗菌力を発揮する。国内で臨床分離されたMRSA(519株)に対する90%最小発育阻止濃度(MIC90)は0.2μg/mLであり、すべての株が0.39μg/mL以下で発育を阻止された。
作用機序5)
ムピロシンは、細菌の蛋白合成の初期段階において、イソロイシルtRNA合成酵素−イソロイシン−AMP複合体の生成を阻害する。その結果、ムピロシンは細菌のリボゾームにおけるペプチド合成を阻害し、細菌内での蛋白合成を抑制することによって抗菌活性を示す。
保険給付上の注意
本剤は「効能・効果」のうち
『(1)MRSA感染症発症の危険性の高い免疫機能の低下状態にある患者(易感染患者)』および『(2)易感染患者から隔離することが困難な入院患者』の鼻腔内のMRSA除菌を目的として使用した場合にのみ薬剤給付されます。
『(3)易感染患者に接する医療従事者』の鼻腔内MRSAの除菌に使用する場合には、薬剤給付の対象となりません。
バクトロバン鼻腔用軟膏2%
3g(チューブ入)×5
用法・用量
通常、適量を1日3回鼻腔内に塗布する。
綿棒の先にチューブからあずき粒程度の薬剤をとります。
あずき粒程度の薬剤をとる
まず、片側の鼻腔内に塗布し、次にもう片方の鼻腔内にも同じ量を塗布します。
右の鼻腔内に塗布
左の鼻腔内にも、同じ量を塗布
薬剤を均一に伸ばすため、塗布後、両側の鼻翼の上からよくマッサージします。
鼻翼をよくマッサージする
1. | 厚生省国立病院課・国立療養所課 監修, 院内感染対策の手引き−MRSAに注目して−, (1992) 南江堂 |
2. | 秋元 純ほか, 薬理と治療, 21 (8), 249-261, (1993) |
3. | 清水喜八郎ほか, 日環感, 11 (1), 7-15, (1996) |
4. | 川島 眞ほか, 薬理と治療, 24 (1), 85-92, (1996) |
5. | Hughes J,et al., Biochem.J., 176, 305-318, (1978) »PubMed »DOI |
改訂履歴 |
2015年2月 改訂 (第9版) |
文献請求先 |
グラクソ・スミスクライン株式会社 |
業態及び業者名等 |
グラクソ・スミスクライン株式会社 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2020/12/16 版 |