医療用医薬品 : チャンピックス

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医薬品情報


総称名 チャンピックス
一般名 バレニクリン酒石酸塩
欧文一般名 Varenicline Tartrate
製剤名 バレニクリン酒石酸塩錠
薬効分類名 α4β2ニコチン受容体部分作動薬(禁煙補助薬)
薬効分類番号 7990
ATCコード N07BA03
KEGG DRUG D06282 バレニクリン酒石酸塩
商品一覧 米国の商品 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報


禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 包装 保険給付上の注意 主要文献

商品情報 詳細

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
チャンピックス錠0.5mg CHAMPIX Tablets 0.5mg ファイザー 7990003F1028 136.4円/錠 劇薬 , 処方箋医薬品
チャンピックス錠1mg CHAMPIX Tablets 1mg ファイザー 7990003F2024 244.2円/錠 劇薬 , 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果及び用法・用量

効能効果

ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助

効能効果に関連する使用上の注意

ニコチン依存症の診断については、ニコチン依存症に係わるスクリーニングテスト(TDS)により診断すること。[1]

本剤の使用にあたっては、患者に禁煙意志があることを確認すること。

用法用量

通常、成人にはバレニクリンとして第1〜3日目は0.5mgを1日1回食後に経口投与、第4〜7日目は0.5mgを1日2回朝夕食後に経口投与、第8日目以降は1mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。
なお、本剤の投与期間は12週間とする。

用法用量に関連する使用上の注意

本剤は原則として、他の禁煙補助薬と併用しないこと。[本剤の有効性及び安全性は単剤投与により確認されており、他の禁煙補助薬と併用した際の有効性は検討されておらず、安全性についても経皮吸収ニコチン製剤との併用時に副作用発現率の上昇が認められている(「薬物動態」の項参照)。]

患者が禁煙を開始する日を設定すること。その日から1週間前に本剤の投与を始めること。

本剤による12週間の禁煙治療により禁煙に成功した患者に対して、長期間の禁煙をより確実にするために、必要に応じ、本剤をさらに延長して投与することができる。その場合にはバレニクリンとして1mgを1日2回、朝夕食後に12週間投与すること。[「臨床成績」の項参照]

最初の12週間の投与期間中に禁煙に成功しなかった患者や投与終了後に再喫煙した患者で、再度本剤を用いた禁煙治療を実施する場合には、過去の禁煙失敗の要因を明らかにし、それらの要因への対処を行った後のみに、本剤の投与を開始すること。

本剤の忍容性に問題がある場合には、0.5mg1日2回に減量することができる。

重度の腎機能障害患者(クレアチニン・クリアランス推定値:30mL/分未満)の場合、0.5mg1日1回で投与を開始し、その後必要に応じ、最大0.5mg1日2回に増量すること。[「薬物動態」の項参照]

使用上の注意

慎重投与

統合失調症、双極性障害、うつ病等の精神疾患のある患者[精神症状を悪化させることがある。]

重度の腎機能障害のある患者[重度の腎機能障害のある患者では血中濃度が高くなるおそれがある(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「相互作用」及び「薬物動態」の項参照)。]

血液透析を受けている患者[十分な使用経験がないため、本剤を投与する際には十分に観察を行うこと(「薬物動態」の項参照)。]

重要な基本的注意

医師等により、禁煙治療プログラムに基づいた指導の下に本剤を適切に使用すること。

禁煙は治療の有無を問わず様々な症状(不快、抑うつ気分、不眠、いらだたしさ、欲求不満、怒り、不安、集中困難、落ち着きのなさ、心拍数の減少、食欲増加、体重増加等)を伴うことが報告されており[2]、基礎疾患として有している精神疾患の悪化を伴うことがある。

抑うつ気分、不安、焦燥、興奮、行動又は思考の変化、精神障害、気分変動、攻撃的行動、敵意、自殺念慮及び自殺が報告されている。本剤との因果関係は明らかではないが、これらの症状があらわれることがあるので、本剤を投与する際には患者の状態を十分に観察すること。なお、本剤中止後もこれらの症状があらわれることがある。また、これらの症状・行動があらわれた場合には本剤の服用を中止し、速やかに医師等に連絡するよう患者に指導すること。

めまい、傾眠、意識障害等があらわれ、自動車事故に至った例も報告されているので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。[「副作用」の項参照]

本剤の投与の有無にかかわらず、禁煙により生じる生理的な変化のため、下記のような薬剤の薬物動態や薬力学が変化し、用量調節が必要になる場合がある。

テオフィリン、ワルファリン、インスリン等

また、喫煙によりCYP1A2の活性が誘導されるため、禁煙を開始後、CYP1A2の基質となる薬剤の血漿濃度が上昇する可能性がある。

相互作用

併用注意

シメチジン本剤は主として腎排泄される。シメチジンとの併用により、本剤の腎クリアランスが低下して全身曝露量が増加するおそれがあるので、重度の腎機能障害のある患者で併用する場合は注意すること。[「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照]シメチジンが尿細管における本剤の輸送を阻害し、腎クリアランスを低下させる。また、本剤は腎排泄される。

副作用

副作用発現状況の概要

国内後期第II相用量反応試験、国内再投与試験、外国後期第II相用量反応試験、外国第III相比較検証試験及び外国禁煙維持療法試験において、本剤0.25、0.5及び1mgを1日2回投与された安全性評価対象例3,627例中2,415例(66.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、嘔気1,033例(28.5%)、不眠症591例(16.3%)、異常な夢472例(13.0%)、頭痛419例(11.6%)及び鼓腸302例(8.3%)であった。(承認時までの調査の集計)

国内で実施された使用成績調査において、安全性評価対象例3,254例中711例(21.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、嘔気398例(12.2%)、便秘90例(2.8%)、不眠症55例(1.7%)、胃炎51例(1.6%)、嘔吐39例(1.2%)及び頭痛36例(1.1%)であった。(再審査終了時)

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明注))

皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑等があらわれることがあるので、皮疹等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

血管浮腫(頻度不明注))

顔面、舌、口唇、咽頭、喉頭等の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

意識障害(頻度不明注))

意識レベルの低下、意識消失等の意識障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明注))

AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

注:自発報告のため頻度不明

その他の副作用

 5%以上0.5%以上5%未満0.5%未満頻度不明注)
感染症及び寄生虫症 上気道感染気管支炎 
代謝及び栄養障害 食欲不振、食欲亢進多飲症 
精神障害異常な夢、不眠症リビドー減退、易刺激性、感情不安定、激越、睡眠障害、不安、抑うつ、落ち着きのなさ精神緩慢、気分変動、思考異常、不快気分精神障害、攻撃的行動、敵意
神経系障害頭痛傾眠、振戦、注意力障害、味覚異常、嗜眠協調運動異常、構語障害、感覚鈍麻記憶障害、健忘、一過性健忘、痙攣
心臓障害  心房細動、動悸、狭心症 
血管障害 ほてり、高血圧  
眼障害  眼痛、羞明、暗点、結膜炎 
耳及び迷路障害  耳鳴 
呼吸器、胸郭及び縦隔障害 咽喉刺激感、咳嗽呼吸困難、嗄声、鼻漏、気道うっ血、副鼻腔うっ血、いびき 
胃腸障害便秘、嘔気、鼓腸胃食道逆流性疾患、胃不快感、下痢、口内乾燥、消化不良、軟便、腹痛、腹部膨満、嘔吐おくび、胃炎、歯肉痛、吐血、血便排泄、口内炎イレウス
皮膚及び皮下組織障害 ざ瘡、そう痒症、発疹紅斑、多汗症 
筋骨格系及び結合組織障害 筋痛、筋痙攣関節硬直、関節痛、背部痛 
腎及び尿路障害 頻尿・夜間頻尿糖尿、多尿 
生殖系及び乳房障害  月経過多、性機能不全 
全身障害及び投与局所様態 胸痛、倦怠感、口渇、無力症、めまい胸部不快感、発熱浮腫、末梢性浮腫
臨床検査 肝機能検査値異常(AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、ALP上昇、血中ビリルビン上昇)心電図ST部分下降、心電図T波振幅減少、心拍数増加、血小板数減少、体重増加 
注:自発報告のため頻度不明発現頻度は、承認時の国内及び外国第II相/第III相試験の結果に基づいている。

高齢者への投与

本剤は主として腎排泄される。高齢者では腎機能が低下していることが多いため、注意すること。腎機能を確認し、重度腎機能障害が認められた場合には、用量調節を行うこと。[「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照]

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。バレニクリン15mg/kg/日をラットの妊娠〜授乳期間中に経口投与したところ、出生児に体重及び受胎能の低下と聴覚性驚愕反応の亢進が認められた。また、妊娠ウサギにバレニクリン30mg/kg/日を経口投与したところ、胎児の体重低下が認められた。]

授乳婦

授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。[ヒト母乳中への本剤の移行は不明であるが、動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。]

小児等への投与

小児等に対する安全性は確立していない。

過量投与

症状

過量投与例の報告はないが、臨床試験において10mg単回投与した全例で嘔吐が認められた。

処置

本剤の過量投与に対する解毒剤はないため、過量投与時は慎重に経過を観察し、輸液等の対症療法を行うこと。なお、過量投与後の透析の臨床経験はないが、バレニクリンは透析により除去されることが示されている。[「薬物動態」の項参照]

適用上の注意

薬剤交付時

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

その他の注意

海外で実施された心血管疾患を有する患者703例を対象とした本剤の有効性評価のためのランダム化二重盲検比較試験において、全試験期間における心血管イベント(心血管死、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患)の発生割合は本剤投与群では7.1%(25/353)、プラセボ投与群では5.7%(20/350)[リスク差:1.4%、95%信頼区間−2.3%〜5.0%]であったとの報告がある[3]。また、上記試験を含む15のランダム化二重盲検比較試験の心血管イベント発生に関する安全性メタ解析において、投与期間及び投与期間+30日における主要心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)の発生割合及びハザード比は以下の通りであった。

投与期間[発生割合:本剤投与群0.17%(7/4190)、プラセボ投与群0.07%(2/2812)、ハザード比:2.83、95%信頼区間0.76〜10.55][4]

投与期間+30日[発生割合:本剤投与群0.31%(13/4190)、プラセボ投与群0.21%(6/2812)、ハザード比:1.95、95%信頼区間0.79〜4.82][4][5]

なお、安全性メタ解析に用いた主要心血管イベントは、主として心血管疾患を有する等の高リスク患者で起きたものである。

ラット自己摂取試験の結果から、バレニクリンは強化作用を有するが、その程度はニコチンより弱いことが示された[6]。また、臨床試験成績から本剤が乱用される可能性は低いことが示された[7]

バレニクリンを2年間投与したがん原性試験において、雄ラットでは、褐色脂肪腫が5mg/kg/日で65例中1例及び15mg/kg/日で65例中2例にみられた[8]。本所見とヒトとの関連性は明らかではない。

薬物動態

血中濃度

単回投与[9]

健康成人男性喫煙者14例にバレニクリン0.25、0.5、1及び2mgを食後単回投与した時の最高血漿中濃度(Cmax)はそれぞれ1.32、2.45、4.97及び9.96ng/mL、血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)はそれぞれ26.2、50.0、104及び226ng・h/mLであり、用量の増加に伴い増加した。最高血漿中濃度到達時間(Tmax)の平均値はいずれの投与量においても約3時間であった。血漿中濃度半減期(t1/2)の平均値は0.25、0.5、1及び2mg投与に対し、それぞれ13.1、14.5、18.4、及び19.3時間であった。

投与量(mg)nCmax(ng/mL)Tmax(h)t1/2(h)AUC(ng・h/mL)
0.25121.32±0.112.75±1.0613.1±2.1026.2±3.88
0.5112.45±0.242.36±0.9214.5±2.4050.0±5.88
1124.97±0.562.75±0.7518.4±3.15104±10.8
2119.96±1.253.09±1.3819.3±2.17226±46.9
(平均値±標準偏差)

注:本剤の承認用量は1回1mgまでである(「用法・用量」の項参照)。

反復投与[10]

健康成人男性喫煙者12例にバレニクリン0.5及び1mg1日2回を14日間反復経口投与した時、バレニクリン濃度は投与4日目には定常状態に達し、単回投与試験の結果から予想される蓄積を上回る値は認められなかった。

薬物動態パラメータ0.5mg投与群(n=8)1mg投与群(n=8)
投与1日目投与14日目投与1日目投与14日目
AUCτ(ng・h/mL)21.79±3.0258.48±10.3842.68±6.14116.00±29.27
Cmax(ng/mL)2.62±0.325.94±1.065.29±0.8911.95±2.86
Tmax(h)3.13±0.993.50±0.932.50±0.933.13±0.64
t1/2(h)NA27.98±4.52NA24.21±3.46
Racτ 2.700±0.4002.697±0.316
CLr(mL/min)79.02±14.8483.70±14.8699.25±23.6690.46±19.97
(平均値±標準偏差)*:1日2回投与の1回目投与間隔(0〜12時間)における値NA:算出せずRacτ:累積係数は投与14日及び1日目の投与のAUC0-12から算出したCLr:腎クリアランス

食事の影響(外国人データ)[11]

健康成人喫煙者12例にバレニクリン1mgを空腹時及び食後に単回経口投与し、薬物動態を比較した。Cmax及びAUCは空腹時投与と食後投与の間で同等の値を示したことから、バレニクリンの薬物動態に対する食事の影響はない。

分布・代謝・排泄[12][13][14][15][16][17]

ヒト血漿蛋白結合率は低く(20%以下)、高齢者及び腎機能障害患者の試験から得られたヒト血漿蛋白結合率も同様であった。

In vitroにおいてヒト肝ミクロソーム分画及びヒトリコンビナントUGTとバレニクリンをインキュベーションした時、ヒト肝ミクロソームでは代謝されず、UGT2B7によりN-カルバモイルグルクロン酸抱合体のみが生成された。

バレニクリンの腎排泄は主として糸球体濾過によるものであるが、有機カチオントランスポーターOCT-2を介した尿細管からの分泌排泄も一部寄与している。

健康成人男性(外国人)6例に14C-標識バレニクリン1mgを単回経口投与した時、投与148時間後までに投与放射能の87.1%及び0.9%が、それぞれ尿中及び糞中に排泄された。尿中に排泄された放射能のほとんどが未変化体(投与放射能の80.5%、尿中に排泄された放射能の91.6%)であったことから、経口投与されたバレニクリンの吸収率は高く、肝代謝をほとんど受けずに主として未変化体として尿中排泄される。

腎機能障害患者(外国人データ)[15]

軽度の腎機能障害を有する被験者(クレアチニン・クリアランス(CLCR)推定値:50mL/分<CLCR≦80mL/分)では、バレニクリンの薬物動態に対する腎機能障害の影響は認められなかった。中等度(CLCR推定値:30mL/分≦CLCR≦50mL/分)及び重度(CLCR推定値:CLCR<30mL/分)の腎機能障害を有する被験者では、腎機能が正常な被験者(CLCR推定値:CLCR>80mL/分)と比較してバレニクリンの全身曝露量がそれぞれ1.5倍及び2.1倍に増加した。また、週3回3時間の透析を行っている腎疾患を有する被験者では、バレニクリンの全身曝露量が2.7倍に増加した。なお、血液透析での除去率を検討した結果、血液透析は健康被験者における腎機能とほぼ同程度の排泄効果があると考えられた。

薬物動態パラメータ試験群対照群幾何平均値(LS平均)注1)(%)比の90%信頼区間
試験群対照群
AUC0-τ 注2)(ng・h/mL)軽度正常58.6855.55105.64(79.35,140.65)
中等度84.38151.92(114.11,202.26)
重度114.91206.88(155.38,275.43)
透析患者注3) 150.79271.48(203.91,361.44)
Cmax(ng/mL)軽度正常3.673.9991.92(70.33,120.15)
中等度4.83120.98(92.56,158.13)
重度6.10152.97(117.04,199.94)
透析患者注3) 7.30183.03(140.04,239.23)
LS平均:最小2乗平均注1:(試験群/対照群)×100注2:0.5mg1日1回投与後のAUC0-24注3:透析患者:週3回の血液透析を行っている腎疾患患者

肝機能障害患者

バレニクリンはその大部分が未変化体として尿中に排泄され、ほとんど肝代謝を受けないことから、バレニクリンの薬物動態は肝障害の影響を受けないことが予測される。

高齢者(外国人データ)[14]

健康高齢男女喫煙者16例(65〜75歳)にバレニクリンを反復投与(1mg1日1回又は1日2回7日間)した時、バレニクリンの高齢喫煙者における薬物動態は、非高齢喫煙者と同様であった。

小児(外国人データ)[18]

12〜17歳の喫煙者22例にバレニクリン0.5及び1mgを単回投与した時、バレニクリンの薬物動態はほぼ用量に比例し、全身曝露量及び腎クリアランスは、健康成人被験者と同様であった。

相互作用

In vitro試験[19][20]

バレニクリンは肝ミクロソームによるチトクロームP450酵素(1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4/5)の基質代謝を阻害しなかった(IC50>6,400ng/mL)。また、バレニクリンはヒト肝細胞のチトクロームP450酵素1A2及び3A4の活性を誘導しなかった。ヒト腎トランスポーター(hOCT-2、hOAT-1、hOAT-3、hOCTN-1又はhOCTN-2)を発現させたヒト胎児腎細胞への取り込みを検討した結果、バレニクリンはhOCT-2の基質であることが示され、シメチジン(1mM、OCT-2の阻害剤)によってバレニクリンの取り込みは部分的に阻害された。

臨床試験(外国人データ)

シメチジン[13]

健康成人喫煙者12例にシメチジンを反復投与(300mg1日4回5日間)し、2日目にバレニクリン2mgを単回併用投与した時のバレニクリンの薬物動態は、バレニクリン単独投与時に比べて全身曝露量が約29%増加し(90%信頼区間:21.5%、36.9%)、投与48時間後までの腎クリアランスは約25%低下した。

注:本剤の承認用量は1回1mgまでである(「用法・用量」の項参照)。

その他の薬剤[21][22][23]

メトホルミン、ジゴキシン及びワルファリンとの相互作用について臨床成績により検討しているが、バレニクリン併用による薬物動態学的相互作用は認められなかった。

他の禁煙補助薬との併用(外国人データ)

ニコチン代替療法[24]

喫煙者22例に経皮吸収ニコチン製剤(21mg/日)とバレニクリン(1mg1日2回)を併用反復投与(ニコチン14日間反復貼付期間中3日目からバレニクリン反復投与)した時、ニコチンの薬物動態に対する影響はなかったが、14日目に測定した最高血圧の平均値に統計的に有意な低下(平均2.6mmHg)が認められた。副作用は経皮吸収ニコチン製剤単独投与群17例中14例(82.4%)、併用投与群22例中17例(77.3%)に認められた。嘔気、頭痛、嘔吐、浮動性めまい、消化不良及び疲労は併用投与群で多く認められ、その発現率は経皮吸収ニコチン製剤単独投与群で嘔気7例(41.2%)、頭痛4例(23.5%)、嘔吐2例(11.8%)、浮動性めまい1例(5.9%)、消化不良1例(5.9%)及び疲労3例(17.6%)、併用投与群で嘔気14例(63.6%)、頭痛11例(50.0%)、嘔吐7例(31.8%)、浮動性めまい7例(31.8%)、消化不良5例(22.7%)及び疲労6例(27.3%)であったが、いずれの有害事象も安全性上の問題は認められなかった。なお、これらの有害事象は他の試験のバレニクリン単独投与でも認められている。また、本試験で検討したニコチン代替療法を含め、本剤を他の禁煙補助薬と併用した場合の安全性及び有効性に関する試験は行われていない。

臨床成績

国内外臨床試験成績

国内後期第II相用量反応試験[25]

禁煙を希望する喫煙者を対象とした12週間投与の二重盲検比較試験において、主要評価項目の第9〜12週の4週間持続禁煙率は、バレニクリン1mg1日2回投与群で65.4%(85/130例)、プラセボ群で39.5%(51/129例)であり、バレニクリン1mg1日2回投与群はプラセボ群と比較して統計的に有意に高かった。また、第9〜52週の持続禁煙率もプラセボ群と比較して優れていた。さらに、プラセボ群と比べて、離脱症状、タバコに対する切望感、喫煙から得られる満足感を軽減した。

薬剤名第9〜12週の4週間持続禁煙率注1) 第9〜52週の持続禁煙率注2)
%(n/N)オッズ比注3)(95%信頼区間)p値注3) %(n/N)オッズ比注3)(95%信頼区間)p値注3)
バレニクリン
1mg1日2回
65.4(85/130)2.98(1.78,4.99)<0.000134.6(45/130)1.81(1.04,3.17)0.0355
バレニクリン
0.5mg1日2回
55.5(71/128)1.94(1.17,3.22)0.009528.9(37/128)1.38(0.78,2.46)0.2645
バレニクリン
0.25mg1日2回
54.7(70/128)1.88(1.14,3.12)0.013427.3(35/128)1.25(0.70,2.23)0.4456
プラセボ39.5(51/129)23.3(30/129)
注1:主要評価項目注2:副次的評価項目注3:対プラセボ

外国後期第II相用量反応試験[26][27]

禁煙を希望する喫煙者を対象とした12週間投与の二重盲検比較試験において、主要評価項目の第9〜12週の4週間持続禁煙率は、バレニクリン1mg1日2回投与群ではプラセボ群と比較して統計的に有意に高かった。また、第9〜52週の持続禁煙率もプラセボ群と比較して優れていた。

薬剤名第9〜12週の4週間持続禁煙率注1) 第9〜52週の持続禁煙率注2)
%(n/N)オッズ比注3)(95%信頼区間)p値注3) %(n/N)オッズ比注3)(95%信頼区間)p値注3)
バレニクリン
1mg1日2回
55.0(71/129)10.23(5.24,19.98)<0.000125.6(33/129)9.02(3.33,24.43)<0.0001
バレニクリン
0.5mg1日2回
41.1(53/129)5.34(2.75,10.36)<0.000118.6(24/129)5.76(2.09,15.89)0.0001
プラセボ12.4(15/121)4.1(5/121)
注1:主要評価項目注2:副次的評価項目注3:対プラセボ

国内外の後期第II相用量反応試験において、第9〜12週の4週間持続禁煙率及び第9〜52週持続禁煙率はバレニクリンの用量に依存して上昇した。

国内再投与試験[28]

バレニクリンを再投与した際の安全性を評価する目的で、国内後期第II相用量反応試験の第9〜12週に持続禁煙できなかった喫煙者42例に本剤を12週間再投与したところ、安全性に問題がないことが示された。報告された有害事象とその発現頻度及び重症度は、国内後期第II相用量反応試験と同様であった。また、本剤の再投与により持続禁煙に成功した被験者が認められた。

外国第III相比較検証試験(2試験)[29][30][31]

12週間投与のプラセボを対照とした2つの二重盲検比較試験において、主要評価項目の第9〜12週の4週間持続禁煙率は、バレニクリン1mg1日2回投与群でプラセボ群と比較して統計的に有意に高かった。

試験薬剤名第9〜12週の4週間持続禁煙率注1) 第9〜52週の持続禁煙率注2)
%(n/N)オッズ比注3)(95%信頼区間)p値注3) %(n/N)オッズ比注3)(95%信頼区間)p値注3)
試験1バレニクリン
1mg1日2回
44.4(155/349)3.91(2.74,5.59)<0.000122.1(77/349)3.13(1.97,4.97)<0.0001
プラセボ17.7(61/344)8.4(29/344)
試験2バレニクリン
1mg1日2回
44.0(151/343)3.85(2.69,5.50)<0.000123.0(79/343)2.66(1.72,4.11)<0.0001
プラセボ17.7(60/340)10.3(35/340)
注1:主要評価項目注2:副次的評価項目注3:対プラセボ

外国第III相禁煙維持療法試験[32][33]

バレニクリン1mg1日2回を非盲検下で12週間投与し、第12週までに禁煙できた患者にバレニクリン1mg1日2回又はプラセボを二重盲検下で12週間追加投与し、禁煙維持に対する本剤の有効性及び安全性を評価した。主要評価項目の第13〜24週の持続禁煙率は、バレニクリン1mg1日2回投与群で70.6%(425/602例)であり、プラセボ群の49.8%(301/604例)と比較して統計的に有意に高かった。

薬剤名第13〜24週持続禁煙率注1) 第13〜52週持続禁煙率注2)
%(n/N)オッズ比注3)(95%信頼区間)p値注3) %(n/N)オッズ比注3)(95%信頼区間)p値注3)
バレニクリン
1mg1日2回
70.6(425/602)2.47(1.95,3.15)<0.000144.0(265/602)1.35(1.07,1.70)0.0126
プラセボ49.8(301/604)37.1(224/604)
注1:主要評価項目注2:副次的評価項目注3:対プラセボ

外国臨床試験において、最大3%の患者でバレニクリンの投与終了によって易刺激性、喫煙衝動、抑うつ、あるいは不眠症の増強が認められた。

薬効薬理

ニコチン受容体結合能[34][35]

バレニクリンはヒト大脳皮質のα4β2ニコチン受容体に高親和性に結合するが(Ki値=0.15nmol/L)、その他検討したニコチン受容体(α3β4、α7、α1βγδ受容体)やムスカリン受容体及びコリントランスポーターにはほとんど結合しなかった。

ニコチン受容体部分作動薬作用[34][36][37][38]

本剤の禁煙に対する効果は、α4β2ニコチン受容体の部分作動薬作用(刺激作用と拮抗作用)によって発現すると考えられる。

バレニクリンは、ニコチンと同様、アフリカツメガエル卵母細胞やヒト胎児腎細胞に発現させたヒトα4β2ニコチン受容体の内向き電流を惹起し、ラット線条体切片やラット側坐核のドパミン遊離及びドパミン代謝回転を亢進させたが、その作用はニコチンより弱かった。

バレニクリンは、ニコチンと併用するとニコチン作用を抑制した。特に、ラット側坐核におけるニコチンによるドパミン遊離作用を抑制した。

ニコチン摂取の抑制作用[39]

バレニクリンはニコチン依存ラットにおけるニコチン自己摂取行動を抑制した。

有効成分に関する理化学的知見

一般名バレニクリン酒石酸塩
一般名(欧名)Varenicline Tartrate
化学名7,8,9,10-Tetrahydro-6H-6,10-methanoazepino[4,5-g]quinoxaline mono[(2R,3R)-tartrate]
分子式C13H13N3・C4H6O6
分子量361.35
性状バレニクリン酒石酸塩は、白色〜微黄色の結晶性の粉末であり、水に溶けやすく、N,N-ジメチルアセトアミドに溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
KEGG DRUGD06282

包装

チャンピックス スタート用パック

(0.5mg×11錠、1mg×14錠)×1パック

チャンピックス スタート用パック

(0.5mg×11錠、1mg×14錠)×5パック

チャンピックス錠0.5mg

14錠(PTP)×2シート

チャンピックス錠1mg

14錠(PTP)×2シート

チャンピックス錠1mg

14錠(PTP)×6シート

チャンピックス錠1mg

14錠(PTP)×50シート

保険給付上の注意

本製剤の薬剤料注)については、ニコチン依存症管理料の算定に伴って処方された場合に限り算定できることとする。また、処方箋による投薬の場合においては、処方箋の「備考」欄に「ニコチン依存症管理料の算定に伴う処方である。」と記載すること。

注:[用法・用量に関連する使用上の注意](3)又は(4)の処方に係る投与については、算定することは出来ない。

1.にかかわらず、ニコチン依存症管理料を算定する禁煙治療を行っている患者が、何らかの理由により入院治療を要することとなった場合、ニコチン依存症管理料の施設基準を届け出ている保険医療機関に入院し、患者本人の強い禁煙意志に基づき禁煙治療を継続した場合に限り、当該禁煙治療に要した本剤の薬剤料を、入院している保険医療機関において算定して差し支えない。
当該薬剤料の算定に当たっては、外来で実施されていた禁煙治療の内容を十分に踏まえ、継続して計画的な禁煙指導を行うために本剤が処方された場合に算定が認められるものであること。
また、診療報酬請求の際には、診療報酬明細書の摘要欄に、「外来にてニコチン依存症管理料の算定患者に対し処方」と記載すること。
なお、入院の期間は、ニコチン依存症管理料の算定期間である12週間には含めないものとし、また、当該入院中の処方については、ニコチン依存症管理料を算定できる治療回数である5回には含めない。

主要文献


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21. 社内資料:メトホルミンとの薬物相互作用
22. 社内資料:ジゴキシンとの薬物相互作用
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33. 社内資料:外国第III相禁煙維持療法試験
34. 社内資料:ニコチン受容体結合作用
35. 社内資料:種々の受容体結合作用
36. 社内資料:ニコチン受容体の部分作動薬作用
37. 社内資料:ニコチン受容体の部分作動薬作用(ドパミン遊離促進作用)
38. 社内資料:ニコチン受容体の部分作動薬作用(ドパミン遊離抑制作用)
39. 社内資料:ニコチン自己摂取抑制作用

作業情報


改訂履歴

2017年7月 改訂
2019年2月 第13版 改訂

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[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2019/5/22 版