医療用医薬品 : ポプスカイン

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医薬品情報


総称名 ポプスカイン
一般名 レボブピバカイン塩酸塩
欧文一般名 Levobupivacaine Hydrochloride, levobupivacaine
製剤名 レボブピバカイン塩酸塩注射剤
薬効分類名 長時間作用性局所麻酔剤
薬効分類番号 1214
ATCコード N01BB10
KEGG DRUG D01287 塩酸レボブピバカイン
商品一覧 相互作用情報
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報 2019年10月 改訂 (第6版)


禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 臨床成績 薬効薬理 理化学的知見 取扱い上の注意 包装 本剤の容器(ポリエチレンアンプル)の開封方法 主要文献

商品情報 組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ポプスカイン0.25%注25mg/10mL POPSCAINE 0.25% inj.25mg/10mL 丸石製薬 1214407A1024 333円/管 劇薬 , 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

[共通(術後鎮痛、伝達麻酔)]

本剤の成分又はアミド型局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者

[術後鎮痛]

大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある。]

注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある。]

敗血症の患者[敗血症性の髄膜炎を生じるおそれがある。]

効能・効果及び用法・用量

効能効果

術後鎮痛、伝達麻酔

効能効果に関連する使用上の注意

[伝達麻酔]

子宮頸管傍ブロックへは使用しないこと(「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)。

用法用量

術後鎮痛には、手術終了時に、通常、成人に6mL/時(レボブピバカインとして15mg/時)を硬膜外腔に持続投与する。
なお、期待する痛覚遮断域、手術部位、年齢、身長、体重、全身状態等により4〜8mL/時の範囲で適宜増減する。

伝達麻酔には、通常、成人に1回40mL(レボブピバカインとして100mg)までを目標の神経あるいは神経叢近傍に投与する。複数の神経ブロックを必要とする場合でも、総量として60mL(レボブピバカインとして150mg)を超えないこと。
なお、期待する痛覚遮断域、手術部位、年齢、身長、体重、全身状態等により適宜減量する。

用法用量に関連する使用上の注意

[共通(術後鎮痛、伝達麻酔)]

本剤に血管収縮剤(アドレナリン)を添加しても、作用持続時間の延長は認められない(「臨床成績」の項参照)。

[術後鎮痛]

血圧低下、運動障害等の副作用の発現が増加するおそれがあるので、本剤6mL/時を超える投与速度で硬膜外に投与する場合は、患者の状態を考慮しながら慎重に判断し、注意深く観察を行うこと。

持続投与開始時に手術部位(手術創傷部位及び手術操作部位)に痛覚遮断域が到達していない場合は、ポプスカイン等の局所麻酔剤を硬膜外腔に単回投与し、適切な痛覚遮断域を確保すること。

あらかじめ痛覚遮断域を確保するために、術前又は術中からポプスカイン等の局所麻酔剤を投与することが望ましい。

術後に局所麻酔剤を単回投与する場合は、血圧低下に注意しながら投与すること。

使用上の注意

慎重投与

[共通(術後鎮痛、伝達麻酔)]

高齢者(「2.重要な基本的注意」、「5.高齢者への投与」及び「薬物動態」の項参照)

全身状態が不良な患者[生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。](「2.重要な基本的注意」の項参照)

心刺激伝導障害のある患者[症状を悪化させることがある。]

重篤な肝機能障害又は腎機能障害のある患者[中毒症状が発現しやすくなる。]

[術後鎮痛]

中枢神経系疾患

髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄・脊椎に腫瘍又は結核等のある患者[硬膜外麻酔により病状が悪化するおそれがある。]

血液凝固障害や抗凝血剤投与中の患者[出血しやすく、血腫形成や脊髄への障害を起こすことがあるので、やむを得ず投与する場合は観察を十分に行うこと。]

脊柱に著明な変形のある患者[脊髄や神経根の損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難であるので、やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行うこと。]

妊産婦(「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

腹部腫瘤のある患者[仰臥位性低血圧を起こすことがあり、麻酔範囲が広がりやすい。麻酔中はさらに増悪することがあるので、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと。]

重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者[血圧低下や病状の悪化が起こりやすいので、患者の全身状態の観察を十分に行うこと。]

重要な基本的注意

[共通(術後鎮痛、伝達麻酔)]

まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。なお、事前の静脈路確保が望ましい。

本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の諸点に留意すること。

患者のバイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸数等)及び全身状態の観察を十分に行うこと。

できるだけ必要最少量にとどめること。追加投与及び持続投与時には過量投与時の発現症状(「8.過量投与」の項参照)に注意すること。

注射針が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。血管内へ誤投与された場合、中毒症状が発現することがあり、また、くも膜下腔へ誤投与された場合、全脊椎麻酔となることがある。(「4.副作用」、「8.過量投与」の項参照)

前投薬や術中に投与した鎮静剤、鎮痛剤等による呼吸抑制が発現することがあるので、これらの薬剤を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい。なお、高齢者、小児、全身状態が不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと。

本剤を他のアミド型局所麻酔剤と併用する際には、中毒症状が相加的に起こることに留意して投与すること。

注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。

[術後鎮痛]

本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の諸点に留意すること。

試験的に注入(test dose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認すること。

麻酔範囲が予期した以上に広がることにより、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制を来すことがあるので、麻酔範囲に注意すること。

[伝達麻酔]

本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の諸点に留意すること。

注射の速度はできるだけ遅くすること。

血管の多い部位(頭部、顔面、扁桃等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与すること。

本剤を全身麻酔剤と併用する際には、血圧がより低下しやすいので、留意して投与すること。

相互作用

相互作用序文

本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4及びCYP1A2で代謝される。

薬物代謝酵素用語

CYP3A4

薬物代謝酵素用語

CYP1A2

併用注意

CYP3A4阻害剤(ケトコナゾール、エリスロマイシン、リトナビル、サキナビル、ベラパミル塩酸塩等)及びCYP1A2阻害剤(シメチジン、フルボキサミン、キノロン系抗菌剤等)本剤の血中濃度が上昇することがある。本剤の代謝には主にCYP3A4及びCYP1A2が関与しているため、CYP3A4及びCYP1A2阻害剤との併用で、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。
ジゴキシンレボブピバカインによる中毒症状が発現しやすくなる。ラットを用いた研究で、ジゴキシンとの併用により、本剤のラセミ体であるブピバカインの中毒閾値が低下したとの報告がある。
アミド型局所麻酔剤中毒症状が相加的に起こるおそれがある。他の局所麻酔剤との併用で中毒症状が相加的に起こることが考えられる。
クラスIII抗不整脈剤(アミオダロン等)心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと。作用が増強することが考えられる。
催眠鎮静剤(デクスメデトミジン塩酸塩等)鎮静・麻酔・鎮痛作用が増強し、血圧低下、心拍数低下、呼吸数低下などの症状があらわれるおそれがあるので、併用する場合には投与速度を減速するなど慎重に投与すること。抜管後に他の鎮静剤、鎮痛剤などと併用する場合は、鎮静効果が相加的に増強するおそれがあるので、本剤あるいは他の鎮静剤、鎮痛剤の投与量を減量するなどの注意が必要である。相互に作用(鎮静・麻酔・鎮痛作用、循環動態への作用)を増強すると考えられる。

副作用

副作用発現状況の概要

国内における硬膜外麻酔及び術後鎮痛(持続硬膜外投与)の試験では、安全性評価対象症例190例中119例207件の副作用が認められた。主な副作用は血圧低下86例(45.3%)、嘔吐32例(16.8%)であった。(承認時)
また、国内における伝達麻酔の試験では、安全性評価対象症例189例中15例19件の副作用が認められた。主な副作用は嘔吐6例(3.2%)であった。(効能追加承認時)

製造販売後における術後鎮痛での使用成績調査では、安全性解析対象症例542例中76例104件の副作用が認められた。主な副作用は、血圧低下20例(3.7%)、悪心23例(4.2%)、嘔吐17例(3.1%)及び感覚鈍麻11例(2.0%)であった。
また、製造販売後における伝達麻酔での使用成績調査(ポプスカイン0.25%注及び0.5%注の合計)では、安全性解析対象症例632例中66例71件の副作用が認められた。主な副作用は、血圧低下52例(8.2%)であった。(再審査終了時)

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

ショック

徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こすおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。

意識障害、振戦、痙攣

意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「8.過量投与」の項参照)

異常感覚、知覚・運動障害

注射針又はカテーテルの留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性の異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的な異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害、硬膜外麻酔及び術後鎮痛では膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがある。

その他の副作用

 5%以上1%以上5%未満1%未満頻度不明
循環器系血圧低下 徐脈、洞性徐脈、上室性頻脈、心室性期外収縮、ST低下狭心症、期外収縮、頻脈、高血圧、固有心室調律
呼吸器系  鼻閉、呼吸抑制、酸素飽和度低下喘息、呼吸困難、低換気、低酸素症、呼吸障害、肺出血
中枢・末梢系 感覚鈍麻頭痛、頭部不快感、運動機能障害、運動障害、耳鳴浮動性めまい、錯感覚、麻痺、感覚障害、傾眠、昏迷、失神、振戦、運動低下、脳浮腫、脳症
消化器系悪心、嘔吐 腹痛便秘、下痢、便失禁、吐血
血管系  出血、総蛋白減少潮紅、静脈炎、末梢性虚血
泌尿器系  排尿困難、膀胱膨満乏尿、尿失禁、尿閉、尿流量減少、アルブミン尿、血尿、無尿、ビリルビン尿
皮膚   そう痒症、多汗症、発疹、紅斑性皮疹、水疱性皮膚炎
血液・リンパ系   白血球数減少、低カリウム血症、血液量減少、好塩基球数増加
精神神経系  悪寒発熱、激越、不安、無感情、錯乱状態、幻覚
筋骨格筋系   背部痛、筋痙縮、筋力低下、四肢痛
肝臓  AST(GOT)/ALT(GPT)/γ-GTP/ALPの増加高ビリルビン血症
腎臓   尿検査異常
その他   処置疼痛、胸痛、注射部位疼痛、疼痛、創部分泌、偶発的針穿刺
※:海外臨床試験で認められた副作用は頻度不明とした

高齢者への投与

一般に高齢者では、麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下しているので、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等慎重に投与すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

[共通(術後鎮痛、伝達麻酔)]

妊婦等

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

[術後鎮痛]

妊産婦

妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等慎重に投与すること。[妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい。麻酔中はさらに増悪することがある。](「1.慎重投与」の項参照)

[伝達麻酔]

妊産婦

子宮頸管傍ブロックへは使用しないこと。子宮頸管傍ブロックにより胎児の徐脈を起こすことが知られている。

小児等への投与

小児等に対する安全性は確立していない。(使用経験がない)

過量投与

局所麻酔剤の過量投与や血管内誤投与又は非常に急速な吸収等による血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に血管内誤投与となった場合には、数分以内に発現することがある。その症状は、主に中枢神経系及び心血管系の症状としてあらわれる。
また、腕神経叢ブロックや坐骨神経ブロック等の伝達麻酔や硬膜外麻酔で、蘇生術が困難及び死亡に至った報告がある。

徴候、症状

中枢神経系の症状

初期症状として視覚障害、聴覚障害、口周囲の知覚麻痺、眩暈、ふらつき、不安、刺痛感、感覚異常があらわれる。また、構音障害、筋硬直、攣縮等があらわれる。症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがある。より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある。

心血管系の症状

血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系の抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。
これらの心血管系の症状は、鎮静下又は全身麻酔下において、中枢神経系症状を伴わずに発生することがある。

処置

呼吸を維持し、酸素を十分投与することが重要である。必要に応じて人工呼吸を行う。
振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。心機能抑制に対しては、カテコールアミン等の昇圧剤を投与する。心停止を来した場合には直ちに心マッサージ等の蘇生術を開始する。

適用上の注意

投与経路

局所静脈内麻酔(Bier's block)として投与しないこと。

投与時

参考までに伝達麻酔法の一般的な推奨容量を記す。

麻酔法容量
三叉神経ブロック※1 0.5〜1mL
星状神経節ブロック※2 5〜10mL
肋間神経ブロック※1 1神経あたり2〜3mL
(最大20〜25mL)
腰部交感神経節ブロック※1,2 10mL
大腰筋筋溝ブロック※3,4 15〜30mL
胸膜腔局所麻酔※1 20mL
腕神経叢ブロック1) 2) 30〜40mL
指神経ブロック3) 4mL
大腿神経ブロック4) 20〜30mL
坐骨神経ブロック4) 20〜30mL
※1:「図解局所麻酔法マニュアル」吉矢生人、根岸孝明監訳より引用※2:「麻酔科入門」吉矢生人、真下節編集より引用※3:「局所麻酔マニュアル」花岡一雄編集より引用※4:「ミラー麻酔科学」武田純三監修より引用

その他の注意

球後麻酔、眼球周囲麻酔に際し、類薬(リドカイン塩酸塩等)で持続性の眼筋運動障害が発現することが報告されている。(本邦における本剤での球後麻酔、眼球周囲麻酔に対する使用経験はない)

薬物動態

血漿中濃度

術後鎮痛(持続硬膜外投与)5)

全身麻酔による下腹部開腹手術の患者8名に0.25%10mL(25mg)をボーラス投与し、引き続いて0.25%288mL(720mg)を6mL/時の投与速度で48時間持続硬膜外投与(総量として745mg)を行った。投与終了時の平均血漿中未変化体濃度は、2.93μg/mLであった。

硬膜外投与6)

レボブピバカイン0.5%15mL(75mg)、0.5%20mL(100mg)、0.75%10mL(75mg)、0.75%15mL(112.5mg)及び0.75%20mL(150mg)を下腹部あるいは下肢手術を受ける患者に硬膜外腔へ投与した時、血漿中未変化体濃度は約0.3〜0.5時間後に最高に達し、約9〜16時間の半減期で消失した(図1及び表1)。

図1 硬膜外投与時のレボブピバカイン血漿中未変化体濃度(平均値±標準偏差)

表1 硬膜外投与時におけるレボブピバカインの薬物動態パラメータ

投与群0.5%15mL0.5%20mL0.75%10mL0.75%15mL0.75%20mL
評価例数107887
Cmax
(μg/mL)
0.868±0.3230.881±0.3110.722±0.1620.987±0.1951.055±0.435
Tmax
(h)
0.325±0.2370.357±0.1340.344±0.1290.500±0.3270.429±0.278
T1/2
(h)
11.2±5.911.8±5.69.7±6.210.0±5.916.2±12.9
CL
(L/h)
14.0±4.215.1±3.815.7±5.417.3±3.717.9±8.3
Vd
(L)
205±77255±114201±96232±91312±113
AUC0-∞
(μg・h/mL)
5.90±2.106.92±1.525.21±1.526.77±1.4810.71±6.18
平均値±標準偏差

伝達麻酔(腕神経叢投与)7)

レボブピバカイン0.25%20mL(50mg)、0.25%30mL(75mg)、0.25%40mL(100mg)、0.5%20mL(100mg)、0.5%30mL(150mg)及び0.5%40mL(200mg)を腋窩部腕神経叢ブロックによる上肢手術を受ける患者に腋窩部神経血管鞘内へ投与した時、血漿中未変化体濃度は約0.3〜0.4時間後に最高に達し、約11〜16時間の半減期で消失した(図2及び表2)。

注)本剤0.5%製剤の伝達麻酔に対し承認されている用法・用量は、1回30mLまでである。

図2 腕神経叢投与時のレボブピバカイン血漿中未変化体濃度(平均値±標準偏差)

表2 腕神経叢投与時におけるレボブピバカインの薬物動態パラメータ

投与群0.25%20mL0.25%30mL0.25%40mL0.5%20mL0.5%30mL0.5%40mL
評価例数1212111178
Cmax
(μg/mL)
0.560±0.2020.789±0.3011.094±0.5891.079±0.3441.597±0.3362.513±1.707
Tmax
(h)
0.333±0.1230.375±0.2260.386±0.1310.364±0.1310.357±0.1340.375±0.267
T1/2
(h)
14.6±9.711.4±8.216.2±23.512.2±4.412.3±4.912.2±9.4
CL
(L/h)
15.7±7.415.2±5.816.7±7.214.8±4.217.1±6.319.1±7.0
Vd
(L)
283±170201±86253±118264±120281±90314±191
AUC0-∞
(μg・h/mL)
4.84±5.215.93±3.179.25±10.737.33±2.3910.12±4.3712.39±6.44
平均値±標準偏差

静脈内投与8)9)

健康成人男子及び男性健康高齢者にレボブピバカイン0.25%8mL(20mg)を1mL/minの投与速度で前腕部皮下静脈内に投与した時、血漿中未変化体濃度は速やかに低下し、最高血中濃度は、それぞれ、1.27及び1.29μg/mL、消失半減期は2.1及び2.5時間、クリアランスは543.9及び380.0mL/minであり高齢者で排泄が遅延する可能性が示唆された。

 評価例数Cmax
(μg/mL)
T1/2
(h)
CL
(mL/min)
健康成人男子61.272.1543.9
男性健康高齢者61.292.5380.0
平均値

※:本剤は静脈内投与では承認されていない。

分布10)

in vitroにおける14C-レボブピバカインの血漿蛋白結合率は、0.1μg/mLの濃度では94.8%であり、10μg/mLの濃度では74.5%と高濃度で血漿蛋白結合の飽和がみられた。また、精製蛋白に対する結合率では、ヒト血清アルブミン、ヒトα1-酸性糖蛋白及びヒトグロブリンに対する結合率は0.1μg/mLでそれぞれ49.7%、82.0%及び11.1%、10μg/mLでそれぞれ53.7%、55.0%及び8.3%であり、ヒトα1-酸性糖蛋白において蛋白結合の飽和が認められた。

代謝8)9)

本剤は主として肝代謝酵素CYP3A4及びCYP1A2で代謝を受け、CYP3A4はデスブチル体、CYP1A2は3-ヒドロキシ体への代謝に関与することが示されている。
健康成人男子及び男性健康高齢者にレボブピバカイン0.25%8mL(20mg)を1mL/minの投与速度で前腕部皮下静脈内に投与したところ、静脈内投与後の尿中主要代謝物としてデスブチル体、3-ヒドロキシ体及び4-ヒドロキシ体が検出された。

排泄8)9)

健康成人男子及び男性健康高齢者にレボブピバカイン0.25%8mL(20mg)を1mL/minの投与速度で静脈内投与した結果、投与終了後48時間までに、未変化体、代謝物であるデスブチル体、3-ヒドロキシ体(抱合体を含む)及び4-ヒドロキシ体(抱合体を含む)が、健康成人男子でそれぞれ0.18%、3.01%、5.18%及び0.25%が、男性健康高齢者でそれぞれ0.26%、3.37%、6.38%及び0.27%が尿中に排泄された。

 評価例数未変化体デスブチル体3'-OH体4'-OH体
健康成人男子60.18%3.01%5.18%0.25%
男性健康高齢者60.26%3.37%6.38%0.27%

臨床成績

術後鎮痛(持続硬膜外投与)11)

全身麻酔と硬膜外麻酔の併用による下腹部開腹手術患者87例(レボブピバカイン群42例、ロピバカイン群45例)を対象にレボブピバカイン及びロピバカイン0.75%6〜10mL(45〜75mg)を術前に硬膜外投与し、術中は必要に応じて0.75%5mL(37.5mg)を追加投与、術後投与にはレボブピバカイン0.25%126mL(315mg)、ロピバカイン0.2%126mL(252mg)をそれぞれ6mL/時の投与速度で21時間持続硬膜外投与した比較臨床試験(穿刺部位:L1-2)を実施した。その結果、主要評価項目であるPPSにおける覚醒確認後0〜21時間のペンタゾシンの使用量(平均値±標準偏差)は、本剤群20.8±25.7mg、ロピバカイン群23.5±21.6mgであり、本剤群のロピバカイン群に対する非劣性が検証された(片側p=0.013、△上乗せによる2標本t検定、△=9.3mg)。両群間の差とその95%信頼性区間は−2.7mg[−13.2,7.8]であった。さらに、鎮痛剤を必要としなかった症例の割合は、レボブピバカイン44.4%(16/36例)、ロピバカイン20.5%(9/44例)であり、レボブピバカインが有意に多かった。また、痛覚神経遮断域(無痛域)の皮膚分節数はレボブピバカインがロピバカインに比して多く、運動神経遮断効果は時間経過に沿って改善された。覚醒確認後21時間の痛覚神経遮断の推移及び運動神経遮断の程度の推移を図3及び図4に示した。

図3 痛覚神経遮断:最高位・最低位の推移(平均値±標準偏差)

図4 運動神経遮断の程度の推移:Bromage Scaleの推移

伝達麻酔

[国内第III相比較試験]1)

伝達麻酔(腋窩部腕神経叢ブロック)による上肢手術患者61例(レボブピバカイン群31例、ブピバカイン群30例)を対象に、レボブピバカイン0.25%40mL(100mg)の知覚神経遮断効果についてブピバカイン0.25%40mL(100mg)を対照薬として用いた臨床試験を実施した。その結果、主要評価項目であるPPSでの知覚神経遮断における痛覚消失効果の平均作用持続時間(平均値±標準偏差)※は、本剤群8.86±1.53時間、ブピバカイン群8.44±1.82時間であり、本剤群のブピバカイン群に対する非劣性が検証された(片側p=0.0014、△上乗せによる2標本t検定、△=1時間)。両群間の差とその95%信頼区間は0.42時間[−0.49,1.33]であった。

[国内第III相一般試験]2)

伝達麻酔(腋窩部腕神経叢ブロック)による上肢手術患者24例を対象にレボブピバカイン0.5%30mL(150mg)を投与し、その知覚神経遮断効果を評価する臨床試験を実施した。その結果、主要評価項目であるFASでの知覚神経遮断における痛覚消失効果の平均作用持続時間(平均値±標準偏差)※は9.09±2.91時間であり、95%信頼区間は[7.86,10.31]であった。

※橈骨、正中、尺骨、筋皮、内側前腕皮及び内側上腕皮の6つの各神経支配領域での作用持続時間の平均値を示す。

アドレナリンとの併用12)

外国人背部手術患者117例(各群39例)を対象に二重盲検下で0.5%レボブピバカイン単独、0.5%レボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)又は0.5%レボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)を15〜20mL硬膜外腔に投与し麻酔効果について比較した。ITT集団における知覚神経ブロック及び運動神経ブロックの作用持続時間は下表のとおりであり、いずれにおいても3群間で統計学的に有意な差は認められなかった。

感覚神経遮断の持続時間(ITT集団)

投与群評価症例数平均値±標準偏差
(min)
最小値
(min)
最大値
(min)
投与群比較P値
レボブピバカイン単独35186.3±66.990.0375.0レボブピバカイン単独vsレボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)0.294
レボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)36200.3±65.575.0360.0レボブピバカイン単独vsレボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)0.365
レボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)37202.4±62.2105.0375.0レボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)vsレボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)0.890
*:ANOVA Bonferroni-Holm procedure

運動神経遮断の作用持続時間(ITT集団)

投与群評価症例数平均値±標準偏差
(min)
最小値
(min)
最大値
(min)
投与群比較P値
レボブピバカイン単独13204.4±63.9135.0345.0レボブピバカイン単独vsレボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)0.890
レボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)19238.6±109.9122.0635.0レボブピバカイン単独vsレボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)0.323
レボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)18206.1±62.6130.0345.0レボブピバカイン+アドレナリン(1:400,000)vsレボブピバカイン+アドレナリン(1:200,000)0.353
*:ANOVA Bonferroni-Holm procedure

薬効薬理

レボブピバカインの局所麻酔剤としての特徴

レボブピバカインは、ブピバカインのS(−)−エナンチオマーであり、ブピバカインと同様、長時間作用性局所麻酔剤に属する。レボブピバカインは、ブピバカイン、ロピバカインと同様にラット摘出脊髄後根神経節を用いた試験において、細胞外活動電位を抑制した。その効力比はブピバカインで1.08、ロピバカインで0.28であった13)

局所麻酔作用

局所麻酔作用に対するレボブピバカインとブピバカインとの比較14)

ラットへ0.25、0.5及び1.0%を硬膜外投与したところ、痛覚神経遮断作用は、その強度及び持続性ともにブピバカインと比べ有意な差は認められず、その効力比は約1であった。また、運動神経遮断作用の持続時間は0.25%でブピバカインと比して有意に短く、その効力比は0.78であった。

局所麻酔作用に対するレボブピバカインとロピバカインとの比較15)

ラットへ0.5及び1.0%を硬膜外投与したところ、痛覚神経遮断作用は、その強度及び持続性ともにロピバカインの約2倍であった。また、運動神経遮断の作用持続時間は1.0%でロピバカインの約1.5倍であった。

中枢神経系及び心循環器系への影響

中枢神経系に対する影響16)

イヌに2mg/kg/分の投与速度で静脈内投与し、痙攣誘発用量を求めたところ、レボブピバカインで5.34mg/kg、ブピバカインで4.23mg/kg、ロピバカインで6.43mg/kgであり、有意な差は認められなかった。

心循環系に対する影響17)

イヌにレボブピバカイン、ブピバカイン、ロピバカインを痙攣誘発量の2倍量(それぞれ10.68mg/kg、8.46mg/kg、12.86mg/kg)を投与することにより全例に痙攣を誘発し、その後痙攣に対する処置(ペントバルビタール投与及び酸素吸入)を施したところ、レボブピバカインでは不整脈の発現例は認められなかったが、ブピバカインでは6例中2例で発現(内1例死亡)、ロピバカインでは6例中3例で発現(内2例死亡)した。

有効成分に関する理化学的知見

一般名レボブピバカイン塩酸塩
一般名(欧名)Levobupivacaine Hydrochloride
一般名(欧名)levobupivacaine
化学名(2S)-1-Butyl-N-(2,6-dimethylphenyl)piperidine-2-carboxamide monohydrochloride
分子式C18H28N2O・HCl
分子量324.89
融点約258℃
性状白色の粉末で、水又はエタノール(99.5)にやや溶けやすい。
KEGG DRUGD01287

取扱い上の注意

ポリエチレンアンプルの開封方法については、次頁図の説明を参照すること。

ポリエチレンアンプルを複数の患者に使用しないこと。また、残液は廃棄すること。

包装

10mL×10アンプル[ポリエチレンアンプル]

本剤の容器(ポリエチレンアンプル)の開封方法

手順1

Aの部分を片手でつまみ、首の部分に溜まっている薬液を軽く振って落とす。

手順2

ポリエチレンアンプル本体のBの部分を片手で持ち、もう片方の手でCの部分を矢印の方向にねじって取り外す。このとき、薬液が飛び出すおそれがあるので強く握らない。

主要文献


1. 丸石製薬:MR8A2(塩酸レボブピバカイン注)の伝達麻酔(腕神経叢ブロック)における第III相比較臨床試験(MR8A2-13)治験総括報告書
2. 丸石製薬:MR8A2(塩酸レボブピバカイン注)の伝達麻酔(腕神経叢ブロック)における第III相一般臨床試験(MR8A2-14)治験総括報告書
3. 丸石製薬:MR8A2(塩酸レボブピバカイン注)の伝達麻酔(指神経ブロック)における第III相一般臨床試験(MR8A2-15)治験総括報告書
4. 丸石製薬:MR8A2(塩酸レボブピバカイン注)の伝達麻酔(下肢末梢神経ブロック)における第III相一般臨床試験(MR8A2-16)治験総括報告書
5. 丸石製薬:MR8A2(塩酸レボブピバカイン注)の持続硬膜外投与(術後鎮痛)における薬物動態試験(MR8A2-11)−治験総括報告書
6. 丸石製薬:MR8A2(塩酸レボブピバカイン注)の硬膜外麻酔における第II相臨床試験(MR8A2-02)治験総括報告書
7. 丸石製薬:MR8A2(塩酸レボブピバカイン注)の伝達麻酔(腕神経叢ブロック)における第II相臨床試験(MR8A2-03)治験総括報告書
8. 丸石製薬:MR8A2(塩酸レボブピバカイン注)薬物動態試験−健常成人男子における単回静脈内投与(MR8A2-07)−治験総括報告書
9. 丸石製薬:MR8A2(塩酸レボブピバカイン注)薬物動態試験−高齢者における単回静脈内投与(MR8A2-08)−治験総括報告書
10. 丸石製薬:14C-Levobupivacaineのラット,イヌ及びヒトにおけるin vitroでの血漿蛋白結合(PBC03-86)最終報告書
11. 丸石製薬:MR8A2(塩酸レボブピバカイン注)の持続硬膜外麻酔による術後鎮痛に関する第III相臨床試験(MR8A2-10)治験総括報告書
12. 丸石製薬:A Double-blind,Randomised,Controlled Study to Assess the Efficacy and Safety of 0.5% Levobupivacaine with Epinephrine 1:400,000,0.5% Levobupivacaine with Epinephrine 1:200,000,and 0.5% Levobupivacaine Alone Administered as an Epidural Block to Patients Undergoing Back Surgery(ICR031306)
13. 丸石製薬:ラット脊髄神経根細胞外活動電位に対する各種局所麻酔薬の薬効比較(020625)最終報告書
14. 丸石製薬:塩酸レボブピバカインのラットへの硬膜外及び脊椎内投与による局所麻酔作用(SR00077)最終報告書
15. 丸石製薬:塩酸レボブピバカインのラットへの硬膜外投与による局所麻酔作用−塩酸ロピバカインとの比較−(SR01120)最終報告書
16. 丸石製薬:Comparative acute systemic toxicity of intravenously administered Levobupivacaine,Bupivacaine and Ropivacaine in the dog(D1249-057PH)最終報告書
17. 丸石製薬:Treatment of acute systemic toxicity after the rapid intravenous injection of Levobupivacaine,Bupivacaine and Ropivacaine in the conscious dog(D1249-058PH)最終報告書

作業情報


改訂履歴

2018年3月 改訂
2019年10月 改訂 (第6版)

文献請求先

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丸石製薬株式会社
538-0042
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業態及び業者名等

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[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2020/5/20 版