フルドロコルチゾン酢酸エステルとして、通常1日0.02〜0.1mgを2〜3回に分けて経口投与する。
なお、新生児、乳児に対しては0.025〜0.05mgより投与を開始することとし、年齢、症状により適宜増減する。
年齢により感受性が変化するので、特に新生児・乳児期から血清電解質、レニン活性、血圧等を定期的に測定し、至適投与量に注意すること。
8.1 本剤は強力な鉱質コルチコイド作用を有するので、本剤の投与にあたっては次の注意が必要である。
8.1.1 投与に際しては適応、症状を十分に考慮すること。
8.1.2 本剤は、維持量を決定するまでは血圧は頻回(1日1回以上)に、血清電解質は必要に応じて測定して、投与量を適宜増減する。
8.1.3 本剤の投与により、高血圧、高ナトリウム血症、低カリウム血症、浮腫等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には減量するなど適切な処置を行うこと。また、食塩摂取量にも注意すること。
8.1.4 長期投与する場合には、血圧、血清電解質濃度の定期的な測定を行うこと。
8.2 特に、本剤投与中に水痘又は麻疹に感染すると、致命的な経過をたどることがあるので、次の注意が必要である。[
11.1.1参照]
8.2.1 本剤投与前に水痘又は麻疹の既往や予防接種の有無を確認すること。
8.2.2 水痘又は麻疹の既往のない患者においては、水痘又は麻疹への感染を極力防ぐよう常に十分な配慮と観察を行うこと。感染が疑われる場合や感染した場合には、直ちに受診するよう指導し、適切な処置を講ずること。
8.2.3 水痘又は麻疹の既往や予防接種を受けたことがある患者であっても、本剤投与中は、水痘又は麻疹を発症する可能性があるので留意すること。
8.3 連用により眼内圧亢進、緑内障、後嚢白内障を来すことがあるので、定期的に検査をすることが望ましい。[
9.1.1、
11.1.6参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 以下の患者には治療上やむを得ないと判断される場合を除き投与しないこと。
(1)高血圧症の患者
ナトリウム・水貯留作用等により、高血圧症が増悪するおそれがある。
(2)有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者
免疫機能抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。[
11.1.1参照]
(3)消化性潰瘍の患者
粘膜防御能の低下等により、消化性潰瘍が増悪するおそれがある。[
11.1.3参照]
(4)精神病の患者
中枢神経系に影響し、精神病が増悪するおそれがある。[
11.1.4参照]
(5)結核性疾患の患者
免疫機能抑制作用により、結核性疾患が増悪するおそれがある。[
11.1.1参照]
(6)単純疱疹性角膜炎の患者
免疫機能抑制作用により、単純疱疹性角膜炎が増悪するおそれがある。[
11.1.1参照]
(7)後嚢白内障の患者
(8)緑内障の患者
(9)血栓症の患者
血液凝固促進作用により、血栓症が増悪するおそれがある。[
11.1.7参照]
(10)最近行った内臓の手術創のある患者
(11)急性心筋梗塞を起こした患者
9.1.2 感染症の患者(有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者を除く)
免疫機能抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。[
11.1.1参照]
9.1.3 糖尿病の患者
糖新生促進作用等により血糖が上昇し、糖尿病が増悪するおそれがある。[
11.1.2参照]
9.1.4 骨粗鬆症の患者
骨形成抑制作用等により、骨粗鬆症が増悪するおそれがある。[
11.1.5参照]
9.1.5 うっ血性心不全のある患者
9.1.6 甲状腺機能低下のある患者
9.1.7 脂肪肝の患者
9.1.8 脂肪塞栓症の患者
脂質代謝に影響し、脂肪塞栓症が増悪するおそれがある。
9.1.9 重症筋無力症の患者
9.1.10 B型肝炎ウイルスキャリアの患者
本剤の投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意すること。異常が認められた場合には、本剤の減量を考慮し、抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと。副腎皮質ホルモン剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの増殖による肝炎があらわれることがある。なお、投与開始前にHBs抗原陰性の患者において、B型肝炎ウイルスによる肝炎を発症した症例が報告されている。[
11.1.1参照]
9.2 腎機能障害患者
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝硬変の患者
脂質代謝に影響し、肝硬変が増悪するおそれがある。また、慢性肝疾患患者では、血中半減期の延長がみられ、副作用が起こりやすい。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤を投与すること。本剤の動物実験による催奇形試験は実施されていないので、妊婦、胎児への影響に関する安全性は確立していない。類似化合物(糖質コルチコイド)の動物実験で催奇形作用が報告されており、また、新生児に副腎不全を起こすことがある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。類似化合物(糖質コルチコイド)で母乳中へ移行することがある。
9.7 小児等
9.7.1 観察を十分に行うこと。小児等の発育抑制があらわれることがある。
9.7.2 長期投与した場合、頭蓋内圧亢進症状があらわれることがある。
9.8 高齢者
長期投与した場合、感染症の誘発、糖尿病、骨粗鬆症、高血圧症、後嚢白内障、緑内障等の副作用があらわれやすい。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。特に本剤を長期投与したり、ヒドロコルチゾン等の糖質コルチコイドと併用する場合にあらわれやすい。
11.1.1 誘発感染症(頻度不明)、感染症の増悪(頻度不明)
また、B型肝炎ウイルスの増殖による肝炎があらわれることがある。また、進行性多巣性白質脳症(PML)が認められることがあるので、本剤の投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知機能障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、構音障害、失語等の症状があらわれた場合には、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、適切な処置を行うこと。[
8.2、
9.1.1、
9.1.2、
9.1.10参照]
11.1.2 続発性副腎皮質機能不全(頻度不明)
、糖尿病(頻度不明)[
9.1.3参照]
11.1.3 消化性潰瘍(頻度不明)
、膵炎(頻度不明)[
9.1.1参照]
11.1.4 精神変調(頻度不明)
、うつ状態(頻度不明)
、痙攣(頻度不明)[
9.1.1参照]
11.1.5 骨粗鬆症(頻度不明)
、大腿骨及び上腕骨等の骨頭無菌性壊死(頻度不明)
、ミオパシー(頻度不明)[
9.1.4参照]
11.1.6 緑内障(頻度不明)
、後嚢白内障(頻度不明)[
8.3、
9.1.1参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。特に本剤を長期投与したり、ヒドロコルチゾン等の糖質コルチコイドと併用する場合にあらわれやすい。
| | 5%以上 | 5%未満 | 頻度不明 |
| 内分泌 | | | 月経異常 |
| 消化器 | | 悪心・嘔吐、腹部膨満感 | 下痢、胃痛、胸やけ、口渇、食欲亢進 |
| 精神神経系 | | | 多幸症、不眠、頭痛、めまい |
| 筋・骨格 | | | 筋肉痛、関節痛 |
| 脂質・たん白質代謝 | | 満月様顔貌 | 野牛肩、窒素負平衡、脂肪肝 |
| 体液・電解質 | 血圧上昇(16.4%)、高ナトリウム血症(14.0%) | 浮腫、低カリウム血症 | 低カリウム性アルカローシス |
| 眼 | | | 中心性漿液性網脈絡膜症等による網膜障害、眼球突出 |
| 血液 | | | 白血球増多 |
| 皮膚 | | | ざ瘡、多毛、脱毛、色素沈着、皮下溢血、紫斑、線条、そう痒、発汗異常、顔面紅斑、創傷治癒障害、皮膚菲薄化・脆弱化、脂肪織炎 |
| 過敏症 | | 発疹 | |
| その他 | | | 発熱、疲労感、息切れ、ステロイド腎症、体重増加、精子数及びその運動性の増減 |
15.1 臨床使用に基づく情報
副腎皮質ホルモン剤を投与中の患者に生ワクチン又は弱毒生ワクチンを接種して神経障害、抗体反応の欠如が起きたとの報告がある。
18.1 作用機序
本剤は鉱質コルチコイド作用を有する合成副腎皮質ホルモンである。デオキシコルチコステロン(DOC)やアルドステロンと類似の電解質代謝作用を示し、尿細管におけるNaの再吸収促進、Kの排泄促進作用を有する。
18.2 電解質代謝に対する作用
本剤は副腎摘出イヌにおいてデオキシコルチコステロン(DOC)と類似の作用を示し、Naの貯留とKの排泄を増加し、Na貯留作用はデオキシコルチコステロン酢酸エステル(DOCA)の4.7倍であり、アルドステロンと同等の効果を示した
3)。
18.3 糖質代謝に対する作用
本剤の副腎摘出ラットにおける肝グリコーゲン蓄積作用は、コルチゾン酢酸エステルの10.7倍であった
3)。