医薬品情報
| 総称名 |
グラニセトロン |
| 一般名 |
グラニセトロン塩酸塩 |
| 欧文一般名 |
Granisetron Hydrochloride |
| 製剤名 |
グラニセトロン塩酸塩ゼリー剤 |
| 薬効分類名 |
5-HT3受容体拮抗型制吐剤 |
| 薬効分類番号 |
2391 |
| ATCコード |
A04AA02 |
| KEGG DRUG |
|
| JAPIC |
添付文書(PDF)
|
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添付文書情報2024年3月 改訂(第1版)
| 販売名 |
欧文商標名 |
製造会社 |
YJコード |
薬価 |
規制区分 |
|
グラニセトロン内服ゼリー1mg「ケミファ」
(後発品)
|
Granisetron Oral Jelly 1mg"Chemiphar" |
日医工 |
2391002Q1026 |
366.1円/包 |
劇薬, 処方箋医薬品注) |
|
グラニセトロン内服ゼリー2mg「ケミファ」
(後発品)
|
Granisetron Oral Jelly 2mg"Chemiphar" |
日医工 |
2391002Q2022 |
588.2円/包 |
劇薬, 処方箋医薬品注) |
2. 禁忌
4. 効能または効果
抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与及び放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)
5. 効能または効果に関連する注意
5.1 本剤を抗悪性腫瘍剤の投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)に対して使用する場合は、強い悪心、嘔吐が生じる抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)の投与に限り使用すること。
5.2 本剤を放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)に対して使用する場合は、強い悪心、嘔吐が生じる全身照射や上腹部照射等に限り使用すること。
5.3 抗悪性腫瘍剤投与後、本剤の効果が不十分で悪心、嘔吐が発現した場合には、他の制吐療法(注射剤の投与等)を考慮すること。
6. 用法及び用量
通常、成人にはグラニセトロンとして1回2mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
7. 用法及び用量に関連する注意
7.1 本剤を抗悪性腫瘍剤の投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)に対して使用する場合は、抗悪性腫瘍剤の投与1時間前に投与し、癌化学療法の各クールにおける本剤の投与期間は6日間を目安とする。
7.2 本剤を放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)に対して使用する場合は、放射線照射の1時間前に投与する。
8. 重要な基本的注意
抗悪性腫瘍剤投与後、本剤の効果が不十分で悪心、嘔吐が発現した場合には、他の制吐療法(注射剤の投与等)を考慮すること。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 消化管通過障害の症状のある患者
本剤投与後観察を十分に行うこと。本剤の投与により消化管運動の低下があらわれることがある。
9.5 妊婦
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠前及び妊娠初期投与(ラット、0.25〜100mg/kg経口)試験では、100mg/kg投与群で胎児の骨格異常の軽度増加及び雌で協調運動機能低下がみられたが、親動物の生殖能、次世代児の発育・生殖能及び第二世代児に対する影響はみられなかった。胎児の器官形成期投与(ラット、0.25〜125mg/kg経口)、周産期及び授乳期投与(ラット、0.25〜100mg/kg経口)の各試験において、雌雄の生殖能、次世代児の発育・生殖能に影響はなく、催奇性もみられなかった
1)。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。授乳中のラットに
14C標識グラニセトロン塩酸塩3mg/kgを静脈内投与し、乳児に哺乳させた際の乳児の胃(乳汁を含む内容物)中の放射能を測定したところ、投与量の0.5%以下であった
2)。
9.7 小児等
9.8 高齢者
一般に、高齢者には副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。なお、国内で実施された第II相及び第III相臨床試験において、65才以上の高齢者での副作用発現は112例中3例(発熱1例、頭痛2例)であった。
10. 相互作用
10.2 併用注意
セロトニン作用薬 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI) MAO阻害剤 等 | セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクローヌス等)があらわれるおそれがある。 | セロトニン作用が増強するおそれがある。 |
11. 副作用
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(そう痒感、発赤、胸部苦悶感、呼吸困難、血圧低下等)があらわれるとの報告がある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| | 1%未満 | 頻度不明 |
| 過敏症 | | 発疹 |
| 精神神経系 | 頭痛 | |
| 消化器 | 便秘 | |
| 肝臓 | | AST(GOT)、ALT(GPT)上昇等の肝機能検査値異常 |
| その他 | | 発熱 |
14. 適用上の注意
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 包装のまま服用しないように指導すること。
14.1.2 開封後は速やかに服用し、残分は廃棄させること。
15. その他の注意
15.3 がん原性
マウス及びラットに1、5、50mg/kgを2年間経口投与し対照群と比較した。マウスでは50mg/kg群の雄で肝細胞がん、50mg/kg群の雌で肝細胞腺腫の増加がみられた。また、ラットでは5mg/kg以上群の雄及び50mg/kg群の雌で肝細胞腫瘍の増加がみられた。しかし、1mg/kg群(臨床用量の25倍に相当する)では、マウス及びラットとも肝細胞腫瘍の増加は認められなかった。
16. 薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男子20例にグラニセトロンとして2mg(錠1mgを2錠あるいは錠2mgを1錠)を単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった
3)。
| 投与量 | Tmax(hr) | Cmax(ng/mL) | t1/2(hr) | AUC(ng・hr/mL) |
| 1mg×2 | 1.85±0.59 | 9.91±3.33 | 5.05±2.11 | 79.48±48.83 |
| 2mg×1 | 2.05±0.69 | 9.05±3.52 | 5.29±3.34 | 79.61±50.00 |
16.1.2 生物学的同等性試験
グラニセトロン内服ゼリー2mg「ケミファ」とカイトリル細粒0.4%を、クロスオーバー法によりそれぞれ1包(グラニセトロンとして2mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中グラニセトロン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された
4)。
| | 判定パラメータ | 参考パラメータ |
| AUC0→24(ng・hr/mL) | Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | t1/2(hr) |
| グラニセトロン内服ゼリー2mg「ケミファ」 | 61.233±34.868 | 7.842±3.202 | 2.1±0.5 | 4.14±1.47 |
| カイトリル細粒0.4% | 54.633±33.311 | 7.435±3.371 | 1.8±0.8 | 4.01±1.44 |
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.4 代謝
16.4.1 代謝部位
16.4.2 代謝経路
主な代謝は、芳香環7位の水酸化及びN-脱メチル化であった。
ヒト肝ミクロゾームを用いて行なった
in vitro試験の結果では、グラニセトロンの芳香環7位の水酸化及びN-脱メチル化の代謝にはP450(CYP3A)の関与が報告されている
5)。
16.5 排泄
16.5.1 排泄部位
16.5.2 排泄率
(1)日本人における成績
健康成人に、グラニセトロンとして2mgを単回経口投与した際の尿中排泄を検討した。その結果、24時間後の累積排泄率(平均値)は、33.7%であった
7)。
(2)外国人における成績(参考)
健康成人(西欧人)に
14C標識グラニセトロン塩酸塩0.1mg/kgを経口投与した際、168時間後の尿中及び糞中の累積排泄率は、それぞれ投与量の59%及び38%であった
6)。
17. 臨床成績
17.1 有効性及び安全性に関する試験
二重盲検比較試験
8)を含む臨床試験成績の概要は次のとおりである
9)10)11)12)13)14)15)。
抗悪性腫瘍剤投与1時間前にグラニセトロンとして2mgを投与した場合、有効率(有効以上)は83.7%(288/344例)であった。特に、シスプラチン投与前に投与した場合の有効率は81.3%(217/267例)、シスプラチン以外の抗悪性腫瘍剤投与前に投与した場合は92.2%(71/77例)であった。
剤形別では、錠2mg(1mg2錠及び2mg1錠)を投与したときの有効率は82.6%(251/304例)、細粒2mgを投与したときの有効率は92.5%(37/40例)であった。
18. 薬効薬理
18.1 作用機序
ラット又はモルモット脳標本を用いて、各種受容体に対するグラニセトロン塩酸塩の親和性を検討したところ、本剤は5-HT3受容体に対しては極めて高い親和性を示したが(Ki値=0.26nM)、5-HT1(5-HT1A、5-HT1B/C、5-HT1C)、5-HT2、ドパミンD2、アドレナリンα1、α2及びβ、ベンゾジアゼピン、ピクロトキシン並びにヒスタミンH1、オピオイドμ、κ及びδの各受容体に対する親和性はほとんど認められなかった(Ki値>1000nM)。
5-HTによる5-HT3受容体を介した一過性の徐脈(von Bezold-Jarisch reflex)に対する作用を麻酔ラットで検討したところ、グラニセトロン塩酸塩はこの反射を用量依存的に抑制した。
19. 有効成分に関する理化学的知見
19.1. グラニセトロン塩酸塩
| 一般的名称 |
グラニセトロン塩酸塩 |
| 一般的名称(欧名) |
Granisetron Hydrochloride |
| 化学名 |
1-Methyl-N-(endo-9-methyl-9-azabicyclo[3.3.1]non-3-yl)-1H-indazole-3-carboxamide hydrochloride |
| 分子式 |
C18H24N4O・HCl |
| 分子量 |
348.87 |
| 物理化学的性状 |
白色〜微黄色の粉末又は塊のある粉末である。 水に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)に極めて溶けにくい。 |
| KEGG DRUG |
|
20. 取扱い上の注意
20.1 誤用を避けるため、他の容器に移しかえて保存しないこと。
20.2 小児の手のとどかないところに保管すること。
20.3 高温になるところには保管しないこと。
20.4 上に重いものをのせないこと。
20.5 携帯するときは、折り曲げないように注意すること。
22. 包装
<グラニセトロン内服ゼリー1mg「ケミファ」>
<グラニセトロン内服ゼリー2mg「ケミファ」>
23. 主要文献
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24. 文献請求先及び問い合わせ先
文献請求先
日本ケミファ株式会社
安全管理部
〒101-0032
東京都千代田区岩本町2丁目2-3
電話:0120-47-9321
03-3863-1225
FAX:03-3861-9567
製品情報問い合わせ先
日本ケミファ株式会社
安全管理部
〒101-0032
東京都千代田区岩本町2丁目2-3
電話:0120-47-9321
03-3863-1225
FAX:03-3861-9567
26. 製造販売業者等
26.1 製造販売元
26.2 販売元
日本ケミファ株式会社
東京都千代田区岩本町2丁目2-3