医療用医薬品 : ナボール

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医薬品情報


総称名 ナボール
一般名 ジクロフェナクナトリウム
欧文一般名 Diclofenac Sodium
製剤名 ジクロフェナクナトリウムゲル
薬効分類名 経皮鎮痛消炎剤
薬効分類番号 2649
ATCコード D11AX18
KEGG DRUG
D00904 ジクロフェナクナトリウム
KEGG DGROUP
DG01504 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID)
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年10月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ナボールゲル1% NABOAL Gel 1% 久光製薬 2649734Q1050 5.1円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等により誘発される喘息発作)又はその既往歴のある患者[重症喘息発作を誘発するおそれがある。][9.1.1参照]

4. 効能または効果

下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛(筋・筋膜性腰痛症等)、外傷後の腫脹・疼痛

6. 用法及び用量

症状により、適量を1日数回患部に塗擦する。

8. 重要な基本的注意

8.1 消炎鎮痛剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること。
8.2 慢性疾患(変形性関節症等)に対し本剤を用いる場合には、薬物療法以外の療法も考慮すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 気管支喘息のある患者(アスピリン喘息又はその既往歴のある患者を除く)
アスピリン喘息ではないことを十分に確認すること。気管支喘息の患者の中にはアスピリン喘息患者も含まれている可能性があり、それらの患者では重症喘息発作を誘発するおそれがある。[2.2参照]
9.1.2 皮膚感染症のある患者
感染を伴う炎症に対して用いる場合には適切な抗菌剤又は抗真菌剤を併用し、観察を十分行い慎重に使用すること。皮膚の感染症を不顕性化するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。
シクロオキシゲナーゼ阻害剤を妊娠中期以降の妊婦に使用し、胎児動脈管収縮が起きたとの報告がある。また、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ニューキノロン系抗菌剤
レボフロキサシン等
痙攣を起こすおそれがある。痙攣が発現した場合には、気道を確保し、ジアゼパムの静注等を行う。ニューキノロン系抗菌剤が脳内の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体結合を濃度依存的に阻害し、ある種の非ステロイド性抗炎症剤との共存下ではその阻害作用が増強されることが動物で報告されている。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)があらわれることがある。
11.1.2 接触皮膚炎(頻度不明)
使用部位に発赤、紅斑、発疹、そう痒感、疼痛の皮膚症状があらわれ、腫脹、浮腫、水疱・びらん等に悪化し、さらに全身に拡大し重篤化することがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
皮膚皮膚炎、そう痒感、発赤、皮膚のあれ、刺激感水疱、色素沈着光線過敏症、浮腫、腫脹、皮膚剥脱

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
14.1.1 眼及び粘膜に使用しないこと。
14.1.2 表皮が欠損している場合に使用すると一時的にしみる、ヒリヒリ感を起こすことがあるので使用に際し注意すること。
14.1.3 密封包帯法(ODT)での使用により、全身的投与(経口剤、坐剤)と同様の副作用が発現する可能性があるので、密封包帯法で使用しないこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男子の腰背部に、本剤2.5g、5g、7.5gを単回及び2.5g、7.5gを反復経皮適用したときの血漿中ジクロフェナク濃度はいずれも、経口剤25mg単回投与に比べ著しく低濃度であった1)
16.3 分布
<変形性関節症>
経皮適用部直下の皮下脂肪、筋肉、滑膜中には、血漿中ジクロフェナク濃度より高濃度に検出された2)
16.5 排泄
16.1の試験において、尿中排泄率はわずかであった1)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 高齢者
非高齢者と同程度であり、加齢の影響は少なかった1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
二重盲検試験を含む935例の臨床試験結果より、本剤の有効性が認められている3)4)5)6)7)8)9)10)11)12)13)14)15)16)17)18)
疾患名改善率(%)
(中等度改善以上/評価例数)
変形性関節症63.7(135/212例)
肩関節周囲炎60.0(81/135例)
腱・腱鞘炎、腱周囲炎66.9(85/127例)
上腕骨上顆炎66.0(70/106例)
筋肉痛74.6(153/205例)
外傷後の腫脹・疼痛78.0(117/150例)
68.6(641/935例)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
酸性非ステロイド性消炎鎮痛剤の作用機序は、主としてアラキドン酸代謝におけるシクロオキシゲナーゼの活性を阻害することにより、炎症、疼痛等に関与するプロスタグランジンの合成を阻害することとされている。
18.2 抗炎症作用
18.2.1 急性炎症
カラゲニン足蹠浮腫(ラット)、紫外線紅斑(モルモット)で、1%インドメタシン軟膏と同程度の抗炎症作用を示した。また、カラゲニン誘発炎症足中(ラット)のプロスタグランジンE2の産生を有意に抑制した19)
18.2.2 亜急性・慢性炎症
マスタード足蹠浮腫(ラット)、ペーパーディスク試験(ラット)、アジュバント関節炎(ラット)で、1%インドメタシン軟膏と同程度の抗炎症作用を示した19)
18.3 鎮痛作用
酢酸ライジング疼痛試験(マウス)、イースト疼痛試験(ラット)で、1%インドメタシン軟膏と同程度の疼痛抑制作用を示した19)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ジクロフェナクナトリウム

一般的名称 ジクロフェナクナトリウム
一般的名称(欧名) Diclofenac Sodium
化学名 Monosodium 2-(2,6-dichlorophenylamino)phenylacetate
分子式 C14H10Cl2NNaO2
分子量 318.13
融点 280℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(95)に溶けやすく、水又は酢酸(100)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。吸湿性である。
KEGG DRUG D00904

20. 取扱い上の注意

20.1 火気を避けて保存すること。
20.2 合成樹脂を軟化させたり、塗料を溶かしたり、金属を変色させるおそれがあるので注意すること。

22. 包装

250g[25g(ラミネートチューブ)×10本]
500g[50g(ラミネートチューブ)×10本]
1000g[25g(ラミネートチューブ)×40本]
2000g[50g(ラミネートチューブ)×40本]

23. 主要文献

  1. 久光製薬社内資料.吸収、分布、代謝及び排泄に関する資料(2000年1月18日承認、申請資料概要ヘ.III)
  2. 吉田 浩 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 393-405, (2000)
  3. 久光製薬社内資料.臨床試験に関する資料(2000年1月18日承認、申請資料概要ト)
  4. 宗広忠平 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 407-17, (2000)
  5. 真鍋 等 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 419-26, (2000)
  6. 青木虎吉 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 427-43, (2000)
  7. 青木虎吉 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 445-67, (2000)
  8. 青木虎吉 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 469-88, (2000)
  9. 青木虎吉 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 489-503, (2000)
  10. 長屋郁郎 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 505-19, (2000)
  11. 竹光義治 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 521-7, (2000)
  12. 渡辺好博 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 529-38, (2000)
  13. 小野啓郎 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 539-55, (2000)
  14. 岩崎勝郎 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 557-66, (2000)
  15. 高橋栄明 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 567-76, (2000)
  16. 山野慶樹 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 577-85, (2000)
  17. 井形高明 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 587-94, (2000)
  18. 杉岡洋一 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 595-609, (2000)
  19. 久光製薬社内資料.薬理作用に関する資料(2000年1月18日承認、申請資料概要ホ.I)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
久光製薬株式会社 お客様相談室 受付時間/9:00-17:50(土日・祝日・会社休日を除く)
〒135-6008 東京都江東区豊洲三丁目3番3号
電話:0120-381332
FAX:03-5293-1723
製品情報問い合わせ先
久光製薬株式会社 お客様相談室 受付時間/9:00-17:50(土日・祝日・会社休日を除く)
〒135-6008 東京都江東区豊洲三丁目3番3号
電話:0120-381332
FAX:03-5293-1723

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
久光製薬株式会社
〒841-0017 鳥栖市田代大官町408番地

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版