医療用医薬品 : モルヒネ塩酸塩

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医薬品情報


総称名 モルヒネ塩酸塩
一般名 モルヒネ塩酸塩水和物
欧文一般名 Morphine Hydrochloride Hydrate
薬効分類名 モルヒネ系製剤
薬効分類番号 8114
ATCコード N02AA01
KEGG DRUG D02271 モルヒネ塩酸塩水和物
商品一覧 相互作用情報
KEGG DGROUP DG00810 モルヒネ
商品一覧
JAPIC 添付文書(PDF)

添付文書情報 2020年2月 改訂(禁忌・使用上の注意の項の自主改訂) (第12版)


警告 禁忌 原則禁忌 効能・効果及び用法・用量 使用上の注意 薬物動態 薬効薬理 理化学的知見 包装 長期投与医薬品に関する情報 主要文献

商品情報 組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
モルヒネ塩酸塩注射液10mg「シオノギ」 Morphine Hydrochloride「SHIONOGI」 シオノギファーマ 8114401A1112 305円/管 劇薬 , 麻薬 , 処方箋医薬品
モルヒネ塩酸塩注射液50mg「シオノギ」 Morphine Hydrochloride「SHIONOGI」 シオノギファーマ 8114401A2119 1371円/管 劇薬 , 麻薬 , 処方箋医薬品

警告

本剤の硬膜外及びくも膜下投与は,これらの投与法に習熟した医師のみにより,本剤の投与が適切と判断される患者についてのみ実施すること。

禁忌

次の患者には投与しないこと

皮下・静脈内,硬膜外及びくも膜下投与共通

重篤な呼吸抑制のある患者[呼吸抑制を増強する。]

気管支喘息発作中の患者[気道分泌を妨げる。]

重篤な肝障害のある患者[昏睡に陥ることがある。]

慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する。]

痙攣状態(てんかん重積症,破傷風,ストリキニーネ中毒)にある患者[脊髄の刺激効果があらわれる。]

急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制を増強する。]

アヘンアルカロイドに対し過敏症の患者

出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢のある患者では,症状の悪化,治療期間の延長を来すおそれがある。]

ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中又は投与中止後1週間以内の患者[「相互作用」の項参照]

硬膜外投与の場合

注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある。]

敗血症の患者[敗血症性の髄膜炎を生じるおそれがある。]

くも膜下投与の場合

注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある。]

敗血症の患者[敗血症性の髄膜炎を生じるおそれがある。]

中枢神経系疾患(髄膜炎,灰白脊髄炎,脊髄癆等)の患者[くも膜下投与により病状が悪化するおそれがある。]

脊髄・脊椎に結核,脊椎炎及び転移性腫瘍等の活動性疾患のある患者[くも膜下投与により病状が悪化するおそれがある。]

原則禁忌

次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること

皮下・静脈内,硬膜外及びくも膜下投与共通

細菌性下痢のある患者[治療期間の延長を来すおそれがある。]

効能・効果及び用法・用量

効能効果

皮下及び静脈内投与の場合

激しい疼痛時における鎮痛・鎮静

激しい咳嗽発作における鎮咳

激しい下痢症状の改善及び手術後等の腸管蠕動運動の抑制

麻酔前投薬,麻酔の補助

中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛

硬膜外及びくも膜下投与の場合

激しい疼痛時における鎮痛

中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛

用法用量

皮下及び静脈内投与の場合

通常,成人にはモルヒネ塩酸塩水和物として1回5〜10mgを皮下に注射する。また,麻酔の補助として,静脈内に注射することもある。
なお,年齢,症状により適宜増減する。

中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛において持続点滴静注又は持続皮下注する場合には,通常,成人にはモルヒネ塩酸塩水和物として,1回50〜200mgを投与する。
なお,年齢,症状により適宜増減する。

硬膜外投与の場合

通常,成人にはモルヒネ塩酸塩水和物として1回2〜6mgを硬膜外腔に注入する。
なお,年齢,症状により適宜増減する。

硬膜外腔に持続注入する場合は,通常,成人にはモルヒネ塩酸塩水和物の1日量として2〜10mgを投与する。
なお,年齢,症状により適宜増減する。

くも膜下投与の場合

通常,成人にはモルヒネ塩酸塩水和物として1回0.1〜0.5mgをくも膜下腔に注入する。
なお,年齢,症状により適宜増減する。

用法用量に関連する使用上の注意

皮下及び静脈内投与の場合

200mg注射液(4%製剤)は,10mgあるいは50mg注射液(1%製剤)の4倍濃度であるので,1%製剤から4%製剤への切り替えにあたっては,持続注入器の注入速度,注入量を慎重に設定し,過量投与とならないように注意して使用すること。

硬膜外投与の場合

200mg注射液(4%製剤)は硬膜外投与には使用しないこと。

オピオイド鎮痛薬を使用していない患者に対しては,初回投与時には,24時間以内の総投与量が10mgを超えないこと。

硬膜外投与で十分な鎮痛効果が得られず,さらに追加投与が必要な場合には,患者の状態(呼吸抑制等)を観察しながら慎重に投与すること。

くも膜下投与の場合

200mg注射液(4%製剤)はくも膜下投与には使用せず,原則として10mg注射液(1%製剤)を使用すること。

患者の状態(呼吸抑制等)を観察しながら慎重に投与すること。

原則として追加投与や持続投与は行わないが,他の方法で鎮痛効果が得られない場合には,患者の状態を観察しながら,安全性上問題がないと判断できる場合にのみ,その実施を考慮すること。

使用上の注意

慎重投与

皮下・静脈内,硬膜外及びくも膜下投与共通

心機能障害のある患者[循環不全を増強するおそれがある。]

呼吸機能障害のある患者[呼吸抑制を増強するおそれがある。]

肝・腎機能障害のある患者[代謝・排泄が遅延し副作用があらわれるおそれがある。]

脳に器質的障害のある患者[呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を起こすおそれがある。]

ショック状態にある患者[循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。]

代謝性アシドーシスのある患者[呼吸抑制を起こすおそれがある。]

甲状腺機能低下症(粘液水腫等)の患者[呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。]

副腎皮質機能低下症(アジソン病等)の患者[呼吸抑制作用に対し,感受性が高くなっている。]

薬物依存の既往歴のある患者[依存性を生じやすい。]

高齢者[「高齢者への投与」の項参照]

新生児,乳児[「小児等への投与」の項参照]

衰弱者[呼吸抑制作用に対し,感受性が高くなっている。]

前立腺肥大による排尿障害,尿道狭窄,尿路手術術後の患者[排尿障害を増悪することがある。]

器質的幽門狭窄,麻痺性イレウス又は最近消化管手術を行った患者[消化管運動を抑制する。]

痙攣の既往歴のある患者[痙攣を誘発するおそれがある。]

胆嚢障害及び胆石のある患者[胆道痙攣を起こすことがある。]

重篤な炎症性腸疾患のある患者[連用した場合,巨大結腸症を起こすおそれがある。]

ジドブジン(アジドチミジン)を投与中の患者[「相互作用」の項参照]

硬膜外投与の場合

中枢神経系疾患(髄膜炎,灰白脊髄炎,脊髄癆等)の患者[硬膜外投与により病状が悪化するおそれがある。]

脊髄・脊椎に結核,脊椎炎及び転移性腫瘍等の活動性疾患のある患者[硬膜外投与により病状が悪化するおそれがある。]

血液凝固障害のある患者又は抗凝血剤を投与中の患者[出血しやすく,血腫形成や脊髄への障害を起こすことがある。]

脊柱に著明な変形のある患者[脊髄や神経根の損傷のおそれがある。]

くも膜下投与の場合

血液凝固障害のある患者又は抗凝血剤を投与中の患者[出血しやすく,血腫形成や脊髄への障害を起こすことがある。]

脊柱に著明な変形のある患者[脊髄や神経根の損傷のおそれがある。]

重要な基本的注意

皮下・静脈内,硬膜外及びくも膜下投与共通

連用により薬物依存を生じることがあるので,観察を十分に行い,慎重に投与すること。[「副作用」の項参照]

眠気,眩暈が起こることがあるので,本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

硬膜外投与の場合

本剤の使用に際しては,初回投与あるいは導入時から,鎮痛状態が安定し,安全性上問題ないと判断できるまでは,必ず気道確保,呼吸管理等の蘇生設備の完備された場所で,厳重な管理の下に使用すること。

重篤な呼吸抑制が投与から数時間以上経過した後に発現することがあるので,十分に注意すること。

硬膜外腔内留置カテーテルを介した投与により肉芽腫等の腫瘤が生じることがあるので,十分に注意すること。[「副作用」の項参照]

くも膜下投与の場合

本剤の使用に際しては,必ず気道確保,呼吸管理等の蘇生設備の完備された場所で,厳重な管理の下に使用すること。

重篤な呼吸抑制が投与から数時間以上経過した後に発現することがあるので,十分に注意すること。

くも膜下腔内留置カテーテルを介した投与により肉芽腫等の腫瘤が生じることがあるので,十分に注意すること。[「副作用」の項参照]

相互作用

併用禁忌

ナルメフェン塩酸塩水和物
セリンクロ
本剤の鎮痛作用を減弱させることがある。また,退薬症候を起こすことがある。緊急の手術等によりやむを得ず本剤を投与する場合は,患者毎に用量を漸増し,呼吸抑制等の中枢神経抑制症状を注意深く観察すること。手術等において本剤を投与することが事前にわかる場合には,少なくとも1週間前にナルメフェン塩酸塩水和物の投与を中断すること。[「禁忌」の項参照]μオピオイド受容体拮抗作用により,本剤の作用が競合的に阻害される。

併用注意

中枢神経抑制剤
フェノチアジン系薬剤,バルビツール酸系薬剤等
吸入麻酔剤
MAO阻害剤
三環系抗うつ剤
β遮断剤
アルコール
臨床症状:呼吸抑制,低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある。
措置方法:減量するなど慎重に投与すること。
相加的に中枢神経抑制作用を増強させる。
クマリン系抗凝血剤
ワルファリンカリウム
クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがある。機序は不明
抗コリン作用を有する薬剤臨床症状:麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こるおそれがある。共に抗コリン作用を有する。
ジドブジン(アジドチミジン)ジドブジンのクリアランスを低下させる。ジドブジンの代謝が阻害される。
ブプレノルフィンブプレノルフィンの高用量(8mg連続皮下投与)において,本剤の作用に拮抗するとの報告がある。ブプレノルフィンはμ受容体部分的アゴニストである。

副作用

副作用発現状況の概要

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

依存性(頻度不明)

連用により薬物依存を生じることがあるので,観察を十分に行い,慎重に投与すること。
また,連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により,あくび,くしゃみ,流涙,発汗,悪心,嘔吐,下痢,腹痛,散瞳,頭痛,不眠,不安,譫妄,振戦,全身の筋肉・関節痛,呼吸促迫等の退薬症候があらわれることがあるので,投与を中止する場合には,1日用量を徐々に減量するなど,患者の状態を観察しながら行うこと。

呼吸抑制(頻度不明)

呼吸抑制があらわれることがあるので,息切れ,呼吸緩慢,不規則な呼吸,呼吸異常等があらわれた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお,本剤による呼吸抑制には,麻薬拮抗剤(ナロキソン,レバロルファン等)が拮抗する。

錯乱,譫妄(頻度不明)

錯乱,譫妄があらわれることがあるので,このような場合には,減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

無気肺,気管支痙攣,喉頭浮腫(頻度不明)

無気肺,気管支痙攣,喉頭浮腫があらわれるとの報告がある。

麻痺性イレウス,中毒性巨大結腸(頻度不明)

炎症性腸疾患の患者に投与した場合,麻痺性イレウス,中毒性巨大結腸があらわれるとの報告がある。

その他の副作用

 頻度不明
過敏症注1発疹,そう痒感
消化器悪心,嘔吐,便秘,口渇
精神神経系眠気,眩暈,不安,不穏,興奮,視調節障害,発汗
循環器不整脈,血圧変動,顔面潮紅
投与部位発赤,腫脹,硬結,疼痛,肉芽腫等の腫瘤
その他排尿障害,尿閉,頭蓋内圧の亢進,脱力
注1:症状があらわれた場合には投与を中止すること。

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しており,特に呼吸抑制の感受性が高いため,低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら,慎重に投与すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[動物試験(マウス)で催奇形作用が報告されている1)。]

分娩前に投与した場合,出産後新生児に退薬症候(多動,神経過敏,不眠,振戦等)があらわれることがある。

分娩時の投与により,新生児に呼吸抑制があらわれることがある。

授乳中の婦人には,本剤投与中は授乳を避けさせること。[ヒト母乳中へ移行することがある。]

小児等への投与

新生児,乳児では呼吸抑制の感受性が高いため,低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら,慎重に投与すること。

過量投与

徴候,症状

呼吸抑制,意識不明,痙攣,錯乱,血圧低下,重篤な脱力感,重篤な眩暈,嗜眠,心拍数の減少,神経過敏,不安,縮瞳,皮膚冷感等を起こすことがある。

処置

過量投与時には以下の治療を行うことが望ましい。

投与を中止し,気道確保,補助呼吸及び呼吸調節により適切な呼吸管理を行う。

麻薬拮抗剤(ナロキソン,レバロルファン等)投与を行い,患者に退薬症候又は麻薬拮抗剤の副作用が発現しないよう慎重に投与する。なお,麻薬拮抗剤の作用持続時間はモルヒネのそれより短いので,患者のモニタリングを行うか又は患者の反応に応じて初回投与後は注入速度を調節しながら持続静注する。

必要に応じて補液,昇圧剤等の投与又は他の補助療法を行う。

適用上の注意

調製時

低温下では結晶が析出することがあるので,このような場合には体温付近まで加温し,溶解後使用する2)3)

皮下及び静脈内投与時

投与経路

モルヒネ製剤の癌疼痛における臨床使用方法としては経口投与又は直腸内投与が不可能なとき,初めて注射を用いる。

投与速度

急速静注により,アナフィラキシー,重篤な呼吸抑制,低血圧,末梢循環虚脱,心停止が起こるおそれがあるので,静注する場合には緩徐に行うことが望ましい。

硬膜外投与時

調製時

5〜10mLの生理食塩液等に希釈し投与すること。持続投与する場合には,生理食塩液等に希釈し投与すること。

投与時

注射針又はカテーテル先端が,血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。

試験的に注入(test dose)し,注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認すること。

くも膜下投与時

調製時

生理食塩液等に希釈し投与すること。なお,本剤と混合又は希釈する液の種類及び比重により鎮痛効果の持続時間,鎮痛領域(分節性)に違いが生じる可能性があるので,疼痛の種類,患者の状態に応じて適切な希釈液を選択すること。

投与時

髄液の漏出を最小に防ぐために,脊髄くも膜下麻酔針は,できるだけ細いものを用いること。(脊髄くも膜下腔穿刺により脊髄麻酔後頭痛が,また,まれに一過性の外転神経麻痺等があらわれることがある。なお,このような症状があらわれた場合には輸液投与を行うなど適切な処置を行うこと。)

まれに脊髄神経障害があらわれることがあるので,穿刺に際して患者が放散痛を訴えた場合,脳脊髄液が出にくい場合又は血液混入を認めた場合には,本剤を注入しないこと。

アンプルカット時

本品はワンポイントカットアンプルであるが,アンプルの首部をエタノール綿等で清拭してから,カットすることが望ましい。

患者等に対する指導

本剤が不要となった場合には,病院又は薬局へ返却するなどの処置について適切に指導すること。

薬物動態

血漿中濃度

モルヒネ塩酸塩注射液10mg・50mgの持続点滴静注及び持続皮下注の定常状態における血漿中モルヒネ濃度とモルヒネ塩酸塩注射液投与量の関係を図1,2に示す4)

対象:各種がん患者

測定法:HPLC

持続点滴静注

r=0.745(p<0.01)(n=26)

y=0.41x+15.66

図1 血漿中濃度と投与量の関係

持続皮下注

r=0.724(p<0.01)(n=18)

y=0.54x+33.61

図2 血漿中濃度と投与量の関係

分布

モルヒネは骨格筋,腎臓,肝臓,小腸,肺,脾臓,脳に分布する5)。また胎盤を通過し,乳汁中にも検出される。(外国人によるデータ)

代謝

モルヒネは主としてグルクロン酸抱合を受け,モルヒネ-3-グルクロナイド及び薬理活性を持つモルヒネ-6-グルクロナイドに代謝される。

排泄

モルヒネは大部分が抱合体として,24時間までの尿中に約90%,糞中に7〜10%が排泄される。

その他

血漿蛋白結合率:約35%6)(外国人によるデータ)

薬効薬理

薬理作用

中枢神経系

モルヒネ塩酸塩水和物の中枢神経抑制作用は,大脳皮質に始まり,順次下降して延髄・脊髄に及ぶ。
ヒトでは,5〜10mgで運動中枢,意識,知覚に影響することなく痛覚の感受性を減じ,鎮痛の目的に用いられる。
また,呼吸・咳嗽中枢を抑制し,呼吸鎮静作用,鎮咳作用をあらわす。増量に従い,発揚状態から催眠作用があらわれ,もうろう状態に至り,1回30mgで深い睡眠に陥る。この経過中に延髄の嘔吐中枢を刺激して嘔気,嘔吐を起こすことがある。

消化器系

胃腸管の運動を低下させ,止瀉作用をあらわす。また,膵液や腸液等消化液の分泌を減少させる。

循環器系

薬用量では心拍数,血圧にほとんど影響がないか,あっても軽度である。大量では血圧下降があらわれる。

その他

体温調節中枢の抑制作用,瞳孔縮小作用,汗腺を除く外分泌腺の分泌抑制作用等を示す。

有効成分に関する理化学的知見

一般的名称モルヒネ塩酸塩水和物
一般的名称(欧名)Morphine Hydrochloride Hydrate
化学名(5R,6S)-4,5-Epoxy-17-methyl-7,8-didehydromorphinan-3,6-diol monohydrochloride trihydrate
分子式C17H19NO3・HCl・3H2O
分子量375.84
融点約200℃(分解)
性状白色の結晶又は結晶性の粉末である。
ギ酸に溶けやすく,水にやや溶けやすく,メタノールにやや溶けにくく,エタノール(95)に溶けにくい。
光によって徐々に黄褐色を帯びる。
分配係数1.2[pH7.4,1-オクタノール/緩衝液]
KEGG DRUGD02271

包装

モルヒネ塩酸塩注射液10mg「シオノギ」

1mL 10管

モルヒネ塩酸塩注射液50mg「シオノギ」

5mL 5管

長期投与医薬品に関する情報

本剤は厚生労働省告示第75号(平成24年3月5日付)に基づき,投与量は1回30日分を限度とされている。

主要文献


1. Harpel,H.S.et al.,  J.Pharm.Sci.,  57 (9),  1590,  (1968) »PubMed »DOI
2. MH-200 共同社内資料-5(使用上の注意及びその設定根拠),  (2001)
3. MH-200 共同社内資料-7(50mg,200mgの低温・凍結保存試験),  (2003)
4. 山村秀夫ほか,  基礎と臨床,  27 (13),  5403,  (1993)
5. Christopoulos,G.N.et al.,  J.Chromatogr.,  65,  507,  (1972) »PubMed »DOI
6. Olsen,G.D.,  Clin.Pharmacol.Ther.,  17 (1),  31,  (1975) »PubMed »DOI

作業情報


改訂履歴

2019年4月 改訂
2020年2月 改訂(禁忌・使用上の注意の項の自主改訂) (第12版)

文献請求先

主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
塩野義製薬株式会社
541-0045
大阪市中央区道修町3丁目1番8号
0120-956-734

業態及び業者名等

製造販売元
シオノギファーマ株式会社
大阪府摂津市三島2丁目5番1号

販売元
塩野義製薬株式会社
大阪市中央区道修町3丁目1番8号


[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2022/11/24 版