医療用医薬品 : ガランターゼ

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医薬品情報


総称名 ガランターゼ
一般名 β-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)
欧文一般名 β-Galactosidase(Aspergillus)
製剤名 β-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)散
薬効分類名 乳糖分解酵素製剤
薬効分類番号 2331
KEGG DRUG
D03345 β-ガラクトシダーゼ
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年4月 作成(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ガランターゼ散50% GALANTASE Powder ニプロ 2339003B1192 24.1円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

○乳児の乳糖不耐により生ずる消化不良の改善
・一次性乳糖不耐症
・二次性乳糖不耐症
単一症候性下痢症、急性消化不良症、感冒性下痢症、白色便性下痢症、慢性下痢症、未熟児・新生児の下痢
○経管栄養食、経口流動食など摂取時の乳糖不耐により生ずる下痢などの改善

6. 用法及び用量

<乳児の乳糖不耐により生ずる消化不良の改善>
通常、1回0.25〜0.5gを哺乳時同時に経口投与する。
<経管栄養食、経口流動食など摂取時の乳糖不耐により生ずる下痢などの改善>
通常、摂取乳糖量10gに対して1gを食餌とともに投与する。症状により増減する。

8. 重要な基本的注意

8.1 乳糖不耐によると判断される患者に対して使用すること。
8.1.1 乳児の場合は便のpH及び便中の糖を測定し、原則として次の点を基準として使用すること。
・便のpHが5.5以下
・便のpHが5.6〜6.5で、かつ便中の糖が0.5g/dL以上
・便中の糖が0.75g/dL以上
8.1.2 1回の食餌中の乳糖量が、原則としておおよそ20g以上の経管栄養食又は経口流動食を摂取している患者で、下痢、その他乳糖不耐によると思われる症状を生じた場合。
8.2 便性の改善、便回数の減少がみられない場合には、投与を中止すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 本人又は両親、兄弟に蕁麻疹、気管支喘息、他の薬剤に対する過敏症、食物アレルギー等のみられる患者
9.5 妊婦
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
ショック症状、四肢冷感、顔面蒼白、チアノーゼ、下痢、腹部膨満、嘔吐等の症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には直ちに中止すること。なお、症状に応じて輸液、副腎皮質ホルモン製剤の投与など適切な処置を行うこと。
注)製造販売後の調査結果を含む
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%未満
過敏症発疹
消化器便秘、腹部膨満、嘔吐

16. 薬物動態

16.2 吸収
ウサギの反転結紮腸管を使用し、0.05%濃度のβ-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)(9.2単位/mg)を粘膜側に添加し、粘膜側から漿膜側への通過を、酵素活性を指標として検討したとき、150分で1.26%が通過した1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<乳児下痢>
17.1.1 乳児下痢患者を対象とした臨床試験の評価対象701例における有効以上の有効率は次のとおりであった。
疾患名\有効率(%)有効以上
一次性乳糖不耐症100.0(3例/3例)
二次性乳糖不耐症単一症候性下痢症58.2(82例/141例)
急性消化不良症66.1(80例/121例)
感冒性下痢症71.7(142例/198例)
白色便性下痢症84.5(82例/97例)
慢性下痢症56.8(21例/37例)
未熟児・新生児の下痢72.6(37例/51例)
(続発性)乳糖不耐症77.3(41例/53例)
69.6(488例/701例)
<経管栄養食、経口流動食摂取時の下痢>
17.1.2 経管栄養摂取患者226例、経口流動食摂取患者54例の計280例を対象とした臨床試験における有効以上の有効率は次のとおりであった。
疾患名\有効率(%)有効以上
経管栄養摂取患者65.5(148例/226例)
経口流動食摂取患者85.2(46例/54例)
69.3(194例/280例)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
乳糖をグルコースとガラクトースに加水分解する2)
18.2 胃内における乳糖分解力試験
15%市販ミルクにβ-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)0.5gを混合して感冒性下痢症の乳児2名に哺乳させ、直後より胃内容物を経時的に採取して胃内pH並びに乳糖分解率を測定したところ、胃内pHの変動にもかかわらず、120分でそれぞれ52%、73%の乳糖を分解した3)
18.3 乳糖の消化吸収に及ぼす効果
18.3.1 一次性乳糖不耐症患児1名に乳糖負荷試験(LTT)、乳糖・β-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)負荷試験(LLTT)を実施し、最大血糖上昇値(負荷後最大血糖値−負荷前血糖値)を比較したところ、LTTで6mg/dL、LLTTで72.8mg/dLとLLTTで有意の血糖上昇がみられ、乳糖の消化吸収に対するβ-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)の効果を認めた4)
18.3.2 胃切除患者5名にLTT、LLTTを実施し、最大血糖上昇値を比較したところ、LTTで12.4±4.2mg/dL、LLTTで56.0±7.8mg/dLとLLTTで有意の血糖上昇がみられ、乳糖の消化吸収に対するβ-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)の効果を認めた5)
18.4 牛乳中の乳糖分解力試験
市販牛乳200mLにβ-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)0.5g、1.0gを加え、37℃で60分インキュベートし、乳糖分解率を測定したところ、pH4.0で、それぞれ83.8%、99.1%の乳糖分解率を示した6)
18.5 経管栄養食中の乳糖分解力試験
乳糖含有の経管栄養食(1食分560g中、乳糖40g含有)にβ-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)4gを添加し、37℃で60分インキュベート後、乳糖分解率を測定したところ、pH4.0〜5.0付近で約65%の乳糖分解率を示した7)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. β-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)

一般的名称 β-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)
一般的名称(欧名) β-Galactosidase(Aspergillus)
化学名 β-D-Galactosidase
物理化学的性状 ・白色〜淡黄色の粉末である。
・水に僅かに混濁して溶け、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
KEGG DRUG D03345

20. 取扱い上の注意

吸湿しやすいので、開封後は湿気を避けて保存すること。

22. 包装

100g[瓶、乾燥剤入り]

23. 主要文献

  1. 社内資料:ガランターゼ散の薬物動態に関わる資料
  2. 第十八改正日本薬局方解説書, C-1359-C-1363, (2021)
  3. 松田清之 他, 小児科診療, 33 (7), 881-889, (1970)
  4. 渋谷幸彦 他, 代謝, 7 (5), 369-378, (1970)
  5. 溝手博義 他, 薬物療法, 6 (3), 559-563, (1973)
  6. 社内資料:ガランターゼ散の薬効薬理に関わる資料
  7. 田中勇次 他, 薬理と治療, 8 (6), 1863-1872, (1980)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ニプロ株式会社 医薬品情報室
〒566-8510 大阪府摂津市千里丘新町3番26号
電話:0120-226-898
FAX:050-3535-8939
製品情報問い合わせ先
ニプロ株式会社 医薬品情報室
〒566-8510 大阪府摂津市千里丘新町3番26号
電話:0120-226-898
FAX:050-3535-8939

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ニプロ株式会社
大阪府摂津市千里丘新町3番26号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版