○血液凝固第XIII因子低下に伴う縫合不全及び瘻孔
○IgA血管炎における下記症状の改善
<効能共通>
<先天性及び後天性血液凝固第XIII因子欠乏による出血傾向>
1日量4〜20mLを緩徐に静脈内投与する。
なお、年齢、症状などにより適宜増減する。
<血液凝固第XIII因子低下に伴う縫合不全及び瘻孔>
通常、成人に対して1日量12〜24mLを緩徐に静脈内投与する。
ただし、本剤は急性炎症、急性感染の消褪した後で、血清総タンパク、血清アルブミン等に異常が無く、縫合不全、瘻孔が存続し、血液凝固第XIII因子が70%以下に低下している患者に投与すること。なお、5日間投与しても症状に改善が認められない場合には、投与を中止すること。
<IgA血管炎における下記症状の改善>
通常、1日1回12〜20mLを緩徐に静脈内投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
ただし、血液凝固第XIII因子が90%以下に低下している患者に投与すること。
原則的に3日間の投与とする。
後天性血液凝固第XIII因子欠乏症に対して本剤の用量を増減する場合は、関連文献
1)を参考に欠乏の原因(インヒビターなど)についても考慮すること。
8.1 本剤の使用にあたっては疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
8.2 本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HIV、HBV、HCV及びHAVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。また、ヒトパルボウイルスB19についてもNATによるスクリーニングを実施し、適合した血漿を用いている。
その後の製造工程である60℃、10時間液状加熱処理及びナノフィルトレーションは、HIVをはじめとする各種ウイルス除去・不活化効果を有することが確認されているが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。
血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。[
9.1.2、
9.1.3、
9.5参照]
8.3 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
8.4 頻回輸注した場合、患者の血清中に血液凝固第XIII因子に対するインヒビターの発生を否定できないので、観察を十分に行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 新鮮血栓症の患者
9.1.2 溶血性・失血性貧血の患者
ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。[
8.2参照]
9.1.3 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者
ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。[
8.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある。[
8.2参照]
9.7 小児等
低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明または5%以上 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 |
過敏症 | | 発疹、発熱等 | |
消化器 | | 悪心、嘔吐 | |
精神神経系 | | | 頭痛、めまい |
血液 | | | 血小板減少、好酸球増多 |
肝臓 | AST、ALT上昇 | γ-GTP、Al-P、ビリルビン、LDH上昇 | |
腎臓 | | | BUN、クレアチニン上昇 |
その他 | | | 倦怠感 |
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤添付の溶解液(日局注射用水)を注入後、速やかにバイアルを横にゆるやかに振り泡立たない様に溶解する。
14.1.2 他の製剤との混注は避けることが望ましい。
14.1.3 溶解後は直ちに使用すること。
14.1.4 一部を使用した残液は、細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
溶解時に著しい沈殿の認められるものは投与しないこと。
16.1 血中濃度
先天性血液凝固第XIII因子欠乏症患者4例(年齢26〜43歳:平均37.8歳)に本剤16mLを投与し、血中の第XIII因子活性を経時的に測定した。第XIII因子活性が最高値となった時の上昇率(本剤を1国際単位/kg投与したと仮定した時の第XIII因子活性の上昇率)は、0.84〜2.13%(平均1.52%)であった。
各症例について投与後7日目まで第XIII因子活性を経時的に測定し、その理論曲線から生物学的半減期(t
1/2)を求めると、6.9〜13.2日(平均10.1日)であった
2)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
<先天性血液凝固第XIII因子欠乏による出血傾向>
17.1.1 国内臨床試験
先天性血液凝固第XIII因子欠乏患者を対象とした国内臨床試験において、1回あたり16mLを目安として本剤を緩徐に静脈内投与した。有効率は100%(4例/4例)であった
2)。
<血液凝固第XIII因子低下に伴う縫合不全及び瘻孔>
17.1.2 国内臨床試験
消化器外科手術後の縫合不全あるいは瘻孔の患者を対象とした国内臨床試験において、総症例46例に本剤を1日量24mL投与し、効果を判定した。評価可能例38例に対する改善率(中央委員会判定)は、縫合不全で改善率68.2%(15例/22例)、瘻孔で81.3%(13例/16例)であった
3)。
<IgA血管炎>
17.1.3 国内臨床試験
IgA血管炎の患者を対象とした国内臨床試験において、本剤を1日1回、12〜20mL
注)を3日間連続投与し、効果を判定した。解析対象12例でのIgA血管炎重症度スコアの推移において、有意な改善が認められた(Friedmanの順位検定)
4)5)。
注)第XIII因子活性として30〜50国際単位/kgに相当する。
本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与又は処方した場合は、医薬品名(販売名)、その製造番号(ロット番号)、投与又は処方した日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し、使用日から少なくとも20年間保存すること。