医療用医薬品 : カデックス

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医薬品情報


総称名 カデックス
一般名 ヨウ素
欧文一般名 Iodine
製剤名 ヨウ素
薬効分類名 褥瘡・皮膚潰瘍治療剤
薬効分類番号 2699
ATCコード D03AX01
KEGG DRUG
D03283 カデキソマーヨウ素
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年3月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
カデックス軟膏分包45mg CADEX Oint.45mg pack スミス・アンド・ネフュー 2699704M2021 52.6円/g
カデックス軟膏分包153mg CADEX Oint.153mg pack スミス・アンド・ネフュー 2699704M3028 52.6円/g

2. 禁忌

次の患者には使用しないこと
ヨウ素過敏症の患者

4. 効能または効果

褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍)

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 本剤による治療は保存的治療であることに留意し、約2ヶ月間投与しても症状の改善が認められない場合には、外科的療法等を考慮すること。
5.2 本剤は熱傷潰瘍を適応としているので、臨床的に潰瘍がみられない熱傷に対しては、他の適切な療法を考慮すること。

6. 用法及び用量

潰瘍面を清拭後、通常1日1回、患部に約3mmの厚さに塗布する(直径4cmあたり3gを目安に塗布する)。
滲出液の量が多い場合は、1日2回塗布する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 甲状腺機能に異常のある患者
創面から吸収されたヨウ素により症状が悪化するおそれがある。
9.1.2 重症の熱傷の患者
広範囲の使用により、アシドーシスを起こすおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
血清中ヨウ素濃度が著しく上昇するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。長期にわたり広範囲に使用しない。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。長期にわたり広範囲に使用しない。
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 新生児に他のヨウ素系製剤を使用し、甲状腺機能低下症を起こしたとの報告がある。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1%〜1%未満
皮膚疼痛、刺激感、皮膚炎(発疹、水疱、発赤など)、そう痒等

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 外用のみに使用し、経口投与しないこと。
14.1.2 眼科用に使用しないこと。
14.1.3 汚染を防ぐために、塗布の際、容器の先端が患部に触れないように注意すること。
14.1.4 患部を生理食塩液等で洗浄すること。
14.1.5 交換時には本剤を生理食塩液等で十分に洗浄除去すること。
14.1.6 軟膏分包両側のガーゼを取り除くこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 腟内に他のヨウ素系製剤を使用し、血中無機ヨウ素値及び血中総ヨウ素値が上昇したとの報告がある。
15.1.2 本剤はヨウ素含有製剤であるので、多量投与及び長期連用時には甲状腺機能の変動に注意すること。

16. 薬物動態

16.5 排泄
皮膚潰瘍患者における吸収及び排泄(カデックス外用散0.9%使用)
各種皮膚潰瘍を有する患者11例に本剤を1日1回2週間、創傷面に厚さ約3mmの層となるように均一に散布(投与量として0.3〜3g/日)したところ、尿中ヨウ素排泄量は投与期間中有意に上昇したが(P<0.05)、投与終了後3〜7日でほぼ投与前値に戻った(表)。なお、投与中及び投与後の血中蛋白に結合しているヨウ素の濃度に有意な変動は認められず(P>0.05)、本剤投与により損傷皮膚から吸収されたヨウ素は速やかに尿中へ排泄されることが示された。1)
尿中ヨウ素排泄量(mg/日)
投与前1日後3日後7日後14日後投与終了
3〜7日後
0.27±0.241.63±1.113.85±4.132.76±2.572.73±2.470.96±1.19

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(カデックス外用散0.9%使用)
<各種皮膚潰瘍>
各種皮膚潰瘍患者227例について無作為比較試験、一般臨床試験が実施され、その臨床成績は次のとおりである。1)2)3)4)5)6)7)
本剤は1日1回の散布により臨床効果が認められた。
疾患名有効率(有効以上例数/評価対象例数)
褥瘡65.6%(103/157)
熱傷潰瘍93.9%(31/33)
下腿潰瘍64.9%(24/37)
また、各種皮膚潰瘍患者130例における細菌学的検討の結果、使用前に細菌感染が認められた79例中50例(63.3%)に菌の消失、減少又は一部消失が認められた。使用前に細菌感染が認められなかった51例中43例(84.3%)においては、使用終了後も菌の出現は認められなかった。
17.1.2 国内第II相試験(カデックス外用散0.9%使用)
低T3症候群を呈する患者10例(低T3症候群:9例、原発性甲状腺機能低下症:1例)にカデックス外用散0.9%を2週間投与し、甲状腺機能に及ぼす影響を検討したところ、有意な変動は認められなかった。2)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は、有効成分ヨウ素による殺菌作用及びカデキソマー150が有する潰瘍面における滲出液等の吸収による潰瘍治癒促進効果を示す。
18.2 殺菌作用(カデックス外用散0.9%使用)
人工創傷モデルを用いた実験で、黄色ブドウ球菌及び緑膿菌に対し増殖阻止効果を示した。8)
18.3 in vitroにおける潰瘍滲出液の吸収・吸着作用(カデックス外用散0.9%使用)
下腿潰瘍にみられる滲出液に含まれる起炎物質や血漿成分等を吸収・吸着することを示した。9)
18.4 創傷治癒に及ぼす影響
褥瘡ラット、熱傷ラットに対してカデックス軟膏分包を1日1回使用し、治癒日数(表皮形成が完了するまでに要した日数)を検討したところ、対照群に比して有意な治癒日数の短縮が認められた。10)
また、カデックス軟膏分包及びカデックス外用散0.9%のそれぞれ150mg/rat/dayを褥瘡ラット並びに熱傷ラットの創傷部位に適用し、カデックス軟膏分包及びカデックス外用散0.9%の効果を評価した結果、面積比総和(創面積比曲線下面積)の減少及び治癒日数の短縮ともに各同一用量間で同等の効果を示すことが確認された。10)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ヨウ素

一般的名称 ヨウ素
一般的名称(欧名) Iodine
化学名 Iodine
分子式 I2
分子量 253.8
物理化学的性状 灰黒色の板状又は粒状の重い結晶で、金属製の光沢があり、特異なにおいがある。ジエチルエーテルに溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすく、クロロホルムにやや溶けにくく、水に極めて溶けにくい。
KEGG DRUG D00108

22. 包装

カデックス軟膏分包45mg
5g×10枚
カデックス軟膏分包153mg
17g×3枚

23. 主要文献

  1. 石橋康正 他, 臨床医薬, 5 (11), 2271, (1989)
  2. 原 義人 他, 臨床医薬, 6 (2), 295, (1990)
  3. 安西 喬 他, 臨床医薬, 5 (12), 2585, (1989)
  4. 石橋康正 他, 臨床医薬, 6 (4), 785, (1990)
  5. 久木田淳 他, 臨床医薬, 6 (4), 817, (1990)
  6. 堀 嘉昭 他, 西日本皮膚科, 52 (2), 351, (1990) »DOI
  7. 朝田康夫 他, 臨床医薬, 6 (3), 583, (1990)
  8. 村瀬 均 他, 薬理と治療, 24 (4), 815, (1996)
  9. Hellgen L,et al., Absorption effect in vitro of iodophor gel on debris fractions in leg ulcers.Perstorp社 社内資料
  10. スミス・アンド・ネフュー株式会社 社内資料:カデックス軟膏分包のラットを用いた創傷治癒促進効果の検討

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
スミス・アンド・ネフュー株式会社 マーケティング部
東京都港区浜松町二丁目4番1号
電話:03-5403-8930
製品情報問い合わせ先
スミス・アンド・ネフュー株式会社 マーケティング部
東京都港区浜松町二丁目4番1号
電話:03-5403-8930

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
スミス・アンド・ネフュー株式会社
東京都港区浜松町二丁目4番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版