医療用医薬品 : トロンビン

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医薬品情報


総称名 トロンビン
一般名 トロンビン
欧文一般名 Thrombin
製剤名 トロンビン
薬効分類名 上部消化管用止血剤
薬効分類番号 3323
ATCコード B02BC06 B02BD30
KEGG DRUG
D00090 トロンビン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年1月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
経口用トロンビン細粒5千単位 Thrombin Oral Fine Granules 5,000 units 持田製薬 3323001C3064 845.4円/包 生物由来製品, 処方箋医薬品注)
経口用トロンビン細粒1万単位 Thrombin Oral Fine Granules 10,000 units 持田製薬 3323001C1061 1268.6円/包 生物由来製品, 処方箋医薬品注)

1. 警告

本剤は血液を凝固させるので、血管内には注入しないこと。[14.2.3参照]

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤又は牛血液を原料とする製剤(フィブリノリジン、幼牛血液抽出物等)に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 凝固促進剤(ヘモコアグラーゼ)、抗プラスミン剤(トラネキサム酸)、アプロチニン製剤を投与中の患者[10.1参照]

4. 効能または効果

上部消化管出血

5. 効能または効果に関連する注意

本剤は無菌製剤ではないので、外傷に伴う出血や手術中の出血等には使用しないこと。

6. 用法及び用量

適当な緩衝剤に溶かした溶液(トロンビンとして200〜400単位/mL)を経口投与する。
なお、出血の部位及び程度により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

トロンビンの至適pHは7付近であり、酸により酵素活性が低下するので、事前に緩衝液等により胃酸を中和させること1)2)3)。[14.2.214.2.4参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 重篤な肝障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)等網内系活性の低下が考えられる病態を有する患者
微量のトロンビンの血管内流入により、血管内血栓を形成するおそれがある。[9.3.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害のある患者9.1.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.1 併用禁忌
ヘモコアグラーゼ
レプチラーゼ
トラネキサム酸
トランサミン
2.2参照]
血栓形成傾向があらわれるおそれがある。凝固促進剤、抗プラスミン剤及びトロンビンは血栓形成を促進する薬剤であり、併用により血栓形成傾向が相加的に増大する。
アプロチニン
2.2参照]
血栓形成傾向があらわれるおそれがある。アプロチニンは抗線溶作用を有するため、トロンビンとの併用により血栓形成傾向が増大する。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
呼吸困難、チアノーゼ、血圧降下等があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.2 凝固異常(頻度不明)、異常出血(頻度不明)
ウシ由来トロンビン投与により、抗ウシ・トロンビン抗体及び抗第V因子抗体を生じ凝固異常あるいは異常出血が認められたとの報告がある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹、発赤
消化器腹部膨満感、下痢、嘔気、嘔吐
その他発熱、頭痛

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 溶解後は速やかに使用すること。
14.1.2 溶解時に微濁があっても酵素活性に影響はない。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤は適当な緩衝剤に溶かし、経口投与にのみ使用すること。
14.2.2 事前に緩衝液等により胃酸を中和させること。例えば、本剤を経口投与する前に約50mLの牛乳を与え、5分後にトロンビン10,000〜20,000単位を約50mLの牛乳に溶かして経口投与する。なお、牛乳の代わりにリン酸緩衝液等を用いてもよい。ただし、アジ化ナトリウム等の防腐剤を含有している緩衝液は使用しないこと。[7.、14.2.4参照]
14.2.3 内視鏡下で投与する場合には血管内に入らないように注意すること。血液を凝固させ、また、アナフィラキシーを起こすおそれがある。[1.参照]
14.2.4 強酸、強アルカリ、重金属塩及び熱により酵素活性が阻害されるので注意すること。[7.、14.2.2参照]

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内一般臨床試験
上部消化管出血患者73例を対象とした臨床試験において、1回10,000〜40,000単位を適当な緩衝剤に溶解し、経口投与、経内視鏡散布あるいは経胃ゾンデ注入により1日1〜6回、原則として3日間以上投与した。その結果、評価可能な58例中49例に止血効果が認められた。
本剤投与による副作用は認められなかった4)5)6)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
18.1.1 トロンビンは古くから知られている血液凝固因子のひとつであり、血液凝固過程の最終段階、すなわちフィブリノーゲンに直接作用してフィブリンに転化する。従って、血液中にフィブリノーゲンが存在すれば下記の作用機序により出血局所の血液を急速に凝固して損傷血管端を閉塞し、血小板の存在のもとに凝血塊は収縮して血管断端を完全に止血する。
18.1.2 トロンビンはフィブリノーゲンを加水分解して2種のペプチドを遊離し、できたフィブリンは生理的条件下で速やかにゲル化する。このゲルにさらに、活性化されたXIII因子が作用してフィブリン分子を共有結合で結びつけ、安定化したフィブリンを形成する7)
18.1.3 血液凝固速度はトロンビン溶液の濃度に依存する。正常ヒト血漿を用いた試験において、トロンビン1、3、10及び30単位/mLの血液凝固時間は約24、10、6及び4秒であった8)in vitro)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. トロンビン

一般的名称 トロンビン
一般的名称(欧名) Thrombin
物理化学的性状 トロンビン原液は無色澄明又はわずかに混濁した液である。
KEGG DRUG D00090

22. 包装

<経口用トロンビン細粒5千単位>
分包
0.5g×10包
<経口用トロンビン細粒1万単位>
分包
1g×10包

23. 主要文献

  1. Lewis,A.J.et al., Modern Drug Encyclopedia and Therapeutic Index.16th ed., 927, (1981), (Yorke Medical Books)
  2. Osol,A.et al., The United States Dispensatory.27th ed., 1188-1189, (1973), (J.B.Lippincott)
  3. McEvoy,G.K.et al., American Hospital Formulary Service.American Society of Hospital Pharmacists.20, 12.16
  4. 橋本光代 他, 医学と薬学, 27 (1), 110-118, (1992)
  5. 児玉 正, 薬理と治療, 20 (2), 635-641, (1992)
  6. 光島 徹 他, 新薬と臨牀, 41 (2), 220-227, (1992)
  7. 青木延雄 他編, 凝固・線溶・キニン, 1-2,59-71, (1979), (中外医学社)
  8. 持田製薬社内資料:トロンビン液モチダソフトボトル及びトロンビンモチダの正常ヒト血漿を用いた生物学的同等性試験

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
持田製薬株式会社 くすり相談窓口
〒160-8515 東京都新宿区四谷1丁目7番地
電話:03-5229-3906
0120-189-522
FAX:03-5229-3955
製品情報問い合わせ先
持田製薬株式会社 くすり相談窓口
〒160-8515 東京都新宿区四谷1丁目7番地
電話:03-5229-3906
0120-189-522
FAX:03-5229-3955

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
持田製薬株式会社
東京都新宿区四谷1丁目7番地

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版