医療用医薬品 : ビタダン

List   Top

医薬品情報


総称名 ビタダン
一般名 ピリドキサールリン酸エステル水和物
フルスルチアミン塩酸塩
リボフラビン
ヒドロキソコバラミン酢酸塩
欧文一般名 Pyridoxal Phosphate Hydrate
Fursultiamine Hydrochloride
Riboflavin
Hydroxocobalamin Acetate
製剤名 フルスルチアミン塩酸塩・ピリドキサールリン酸エステル・リボフラビン・ヒドロキソコバラミン酢酸塩配合錠
薬効分類名 神経・筋機能賦活剤
薬効分類番号 3179
KEGG DRUG
D04919 リン酸ピリドキサール・フルスルチアミン塩酸塩・リボフラビン・ヒドロキソコバラミン酢酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2024年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ビタダン配合錠 (後発品) VITADAN Combination Tablets メディサ新薬 3179107F1041 10.1円/錠

4. 効能または効果

○本剤に含まれるビタミン類の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦等)
○下記疾患のうち、本剤に含まれるビタミン類の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
神経痛、筋肉痛・関節痛、末梢神経炎・末梢神経麻痺
効果がないのに、月余にわたって漫然と使用すべきでない。

6. 用法及び用量

通常成人1日1〜2錠を経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.2 併用注意
レボドパビタミンB6がレボドパの作用を減弱することがある。末梢でのレボドパの脱炭酸化が促進し、レボドパの中枢への移行が減少することが考えられている。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 頻度不明
過敏症発疹、そう痒感
消化器悪心、嘔吐、食欲不振、胃痛、胃部不快感、腹部膨満感、口渇、下痢
その他不眠、頻尿

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

ビタミンB2により、尿を黄変させ、臨床検査値に影響を与えることがある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
ビタダン配合錠とビタノイリンカプセル50を健康成人男子にビタダン配合錠は1錠、ビタノイリンカプセル50は1カプセル(ピリドキサールリン酸エステル水和物として30mg、フルスルチアミン塩酸塩として54.57mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血清中ビタミンB6濃度及び全血中ビタミンB1濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された1)
各製剤投与時の薬物動態パラメータ
  Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)AUC0-24hr(ng・hr/mL)
ビタミンB6ビタダン配合錠220.7±85.12.2±0.617.2±10.9653.7±173.2
ビタノイリンカプセル50208.7±88.72.2±0.511.6±4.7686.4±201.3
ビタミンB1ビタダン配合錠131.8±23.31.3±0.58.9±2.01206.7±176.2
ビタノイリンカプセル50138.2±22.51.3±0.58.3±1.71184.8±147.9
血清中濃度・全血中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

17. 臨床成績

17.3 その他
17.3.1 国内臨床試験
「いわゆる神経痛」を対象に配合カプセル(フルスルチアミンとしては50mg含有)及び対照薬としてフルスルチアミン50mgカプセル、2.5mg錠をそれぞれ1日2カプセル(錠)、2週間投与し痛みに対する効果を二重盲検比較対照試験により検討した試験において、配合カプセル(フルスルチアミンとしては50mg含有)投与群が痛みの4症状(自発痛、放散痛、運動痛、圧痛)の合計改善度で、対照群に比しすぐれることが認められている2)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
<フルスルチアミン>
18.1.1 ビタミンB1は神経細胞の形態保持上重要であり3)、また、神経興奮伝導4)や神経細胞のエネルギー産生5)に関与している。
フルスルチアミンは、ビタミンB1に比べて消化管からの吸収がよく、高い血中・臓器内B1濃度6)、長い体内貯留性、多量の結合型B1の生成7)等の特性を示し、ビタミンB1の欠乏又は代謝障害が関与する神経機能障害を改善する。
試験的には、神経・筋に対して、神経細胞の増殖促進8)in vitro)、神経再生促進9)10)(ウサギ)、骨格筋活動電位の増加11)(ラット)等の作用が認められている。
<ピリドキサールリン酸エステル>
18.1.2 ビタミンB6は神経細胞、神経線維の形態保持上重要であり、ビタミンB6欠乏により末梢神経系ではスフィンゴリピド合成障害等によると考えられる軸索、髄鞘の変性・崩壊がみられる3)
ピリドキサールリン酸エステルは、ピリドキシンに比べて種々の特性を有する補酵素型ビタミンB612)で、ビタミンB6の欠乏又は代謝障害が関与する末梢神経炎に用いられる。
<ヒドロキソコバラミン>
18.1.3 ビタミンB12は神経細胞特に、核、Nissl物質、原線維の完全な保持に必須のビタミンで、ビタミンB12は欠乏により中枢・末梢神経において神経細胞の萎縮・変性、髄鞘の膨脹を伴う神経線維の腫脹、ついで軸索の破壊、髄鞘の崩壊が起こり神経症状を発症させる3)
ヒドロキソコバラミンは、ビタミンB12であるシアノコバラミンに比べ体内貯留性、持続性13)、補酵素型B12への転換14)等で、よりすぐれた生物学的特性を示し、ビタミンB12の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される神経・筋疾患に用いられている。
試験的には、神経線維の成長促進、glia細胞の増殖促進(in vitro)、神経の再生促進(ウサギ)等が報告されている15)
18.2 フルスルチアミン、ピリドキサールリン酸エステル、ヒドロキソコバラミンの協同作用
神経細胞の増殖及び神経機能と密接な関連をもつ膜の構成成分であるリン脂質の合成促進8)in vitro)、神経の外科的損傷時の再生促進16)(ウサギ)、アロキサン糖尿病の試験的神経炎における神経伝導速度の低下と神経線維の形態学的変化の正常化17)(ラット)等において、フルスルチアミン、ピリドキサールリン酸エステル、ヒドロキソコバラミンの併用が、各単独投与よりもすぐれていることが示されている。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ピリドキサールリン酸エステル水和物

一般的名称 ピリドキサールリン酸エステル水和物
一般的名称(欧名) Pyridoxal Phosphate Hydrate
化学名 (4-Formyl-5-hydroxy-6-methylpyridin-3-yl)methyl dihydrogenphosphate monohydrate
分子式 C8H10NO6P・H2O
分子量 265.16
物理化学的性状 微黄白色〜淡黄色の結晶性の粉末である。水に溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。希塩酸又は水酸化ナトリウム試液に溶ける。0.1gを水200mLに溶かした液のpHは3.0〜3.5である。光によって淡紅色となる。
理化学知見その他 19.1 ピリドキサールリン酸エステル水和物
KEGG DRUG D00006

19.2. フルスルチアミン塩酸塩

一般的名称 フルスルチアミン塩酸塩
一般的名称(欧名) Fursultiamine Hydrochloride
化学名 N-(4-Amino-2-methylpyrimidin-5-ylmethyl)-N-{(1Z)-4-hydroxy-1-methyl-2-[(2RS)-tetrahydrofuran-2-ylmethyldisulfanyl]but-1-en-1-yl}formamide monohydrochloride
分子式 C17H26N4O3S2・HCl
分子量 435.00
物理化学的性状 白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがあり、味は苦い。水、メタノール又はエタノール(95)に溶けやすい。
理化学知見その他 19.2 フルスルチアミン塩酸塩
KEGG DRUG D03321

19.3. リボフラビン

一般的名称 リボフラビン
一般的名称(欧名) Riboflavin
化学名 7,8-Dimethyl-10-[(2S,3S,4R)-2,3,4,5-tetrahydroxypentyl]benzo[g]pteridine-2,4(3H,10H)-dione
分子式 C17H20N4O6
分子量 376.36
融点 約290℃(分解)
物理化学的性状 黄色〜橙黄色の結晶で、わずかににおいがある。水に極めて溶けにくく、エタノール(95)、酢酸(100)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。水酸化ナトリウム試液に溶ける。飽和水溶液は中性である。光によって分解する。
理化学知見その他 19.3 リボフラビン
KEGG DRUG D00050

19.4. ヒドロキソコバラミン酢酸塩

一般的名称 ヒドロキソコバラミン酢酸塩
一般的名称(欧名) Hydroxocobalamin Acetate
化学名 Coα-[α-(5,6-Dimethyl-1H-benzimidazol-1-yl)]-Coβ-hydroxocobamide monoacetate
分子式 C62H89CoN13O15P・C2H4O2
分子量 1406.41
物理化学的性状 暗赤色の結晶又は粉末で、においはない。水又はメタノールに溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。吸湿性である。
理化学知見その他 19.4 ヒドロキソコバラミン酢酸塩
KEGG DRUG D02707

22. 包装

PTP[乾燥剤入り]
100錠(10錠×10)、1,000錠(10錠×100)

23. 主要文献

  1. 社内資料:生物学的同等性試験
  2. 阿部達夫他, 臨牀と研究, 57, 963-971, (1980)
  3. 陳震東, 実験治療, 414, 227-229, (1966)
  4. 糸川嘉則, ビタミン, 49, 415-427, (1975) »DOI
  5. Muralt,A., Ann.N.Y.Acad.Sci., 98, 499-507, (1962)
  6. Mitoma,C., Drug Metab.Dispos., 1, 698-703, (1973) »PubMed
  7. 阿部達夫, 日本臨牀, 20, 1957-1966, (1962)
  8. 成実重彦他, ビタミン, 49, 308, (1975)
  9. 中沢恒幸他, アリナミン基礎文献集, 3, 117-120, (1966)
  10. 桐田良人, 臨牀と研究, 43, 1889-1896, (1966)
  11. 中原正雄他, 新薬と臨牀, 15, 1297-1298, (1966)
  12. 山田弘三, 現代内科学大系 代謝異常(III), 273-309, (1959), (中山書店)
  13. Heinrich,H.C.et al., Klin.Wochenschr., 39, 689-691, (1961) »PubMed
  14. Yagiri,Y., J.Vitaminol., 13, 228-238, (1967)
  15. 中沢恒幸他, ビタミン, 34, 576-586, (1966) »DOI
  16. 中沢恒幸, 実験治療, 414, 230-232, (1966)
  17. 福田尚久他, ビタミン, 49, 308-309, (1975)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966
製品情報問い合わせ先
沢井製薬株式会社 医薬品情報センター
〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
電話:0120-381-999
FAX:06-7708-8966

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
メディサ新薬株式会社
大阪市淀川区宮原5丁目2-27
26.2 発売元
沢井製薬株式会社
大阪市淀川区宮原5丁目2-30

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/08/20 版