2.1 高アンモニア血症の患者[高アンモニア血症が悪化するおそれがある。]
2.2 先天性アミノ酸代謝異常症を有する患者[投与されたアミノ酸が代謝されず、アミノ酸インバランスが助長されるおそれがある。]
2.3 肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者[
9.3.1参照]
本剤は経口栄養摂取が不能又は不十分で、非経口的な栄養管理を必要とする場合に投与すること。
<慢性腎不全>
・末梢静脈投与する場合、通常、成人には1日1回200mLを緩徐に点滴静注する。投与速度は200mL当たり120〜180分を基準とし、小児、高齢者、重篤な患者には更に緩徐に注入する。なお、年齢、症状、体重により適宜増減する。また、透析療法施行時には透析終了90〜60分前より透析回路の静脈側に注入する。生体のアミノ酸利用効率上、摂取熱量を1,500kcal/日以上とすることが望ましい。
・高カロリー輸液法にて投与する場合、通常、成人には1日400mLを中心静脈内に持続点滴注入する。なお、年齢、症状、体重により適宜増減する。また、生体のアミノ酸利用効率上、投与窒素1.6g(本剤:200mL)当たり500kcal以上の非蛋白熱量を投与する。
<急性腎不全>
通常、成人には1日400mLを高カロリー輸液法により、中心静脈内に持続点滴注入する。なお、年齢、症状、体重により適宜増減する。また、生体のアミノ酸利用効率上、投与窒素1.6g(本剤:200mL)当たり500kcal以上の非蛋白熱量を投与する。
腎不全用必須アミノ酸製剤において、これを唯一の窒素源とした場合に高アンモニア血症や意識障害を起こすことが報告されていることに留意し、本剤を投与する場合にも呼名・挨拶への反応性の遅鈍化、自発動作あるいは自発発言の低下等の異常を認めた場合には直ちに投与を中止すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心臓、循環器系に機能障害のある患者
循環血液量の増加により、症状が悪化するおそれがある。
9.1.2 消化管出血のある患者
アミノ酸の過剰蓄積あるいは高アンモニア血症が誘発されるおそれがある。
9.1.3 高度の電解質異常又は酸・塩基平衡に異常のある患者
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者
投与しないこと。アミノ酸の代謝が十分に行われないため、症状が悪化する又は誘発されるおそれがある。[
2.3参照]
9.3.2 肝障害のある患者(肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者を除く)
アミノ酸の過剰蓄積あるいは高アンモニア血症が誘発されるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 乳児、特に新生児及び低出生体重児では、臨床症状、臨床検査値に注意するなど観察を十分行い、投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。一般に種々のアミノ酸代謝が未発達である。
9.8 高齢者
投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
14.1 全般的な注意
14.1.1 使用時には、感染に対する配慮をすること。
14.1.2 注射針や輸液セットのびん針は、ゴム栓の刻印部(凹部)に垂直にゆっくりと刺すこと。斜めに刺した場合、削り片の混入及び液漏れの原因となるおそれがある。また、針は同一箇所に繰り返し刺さないこと。
14.2 薬剤調製時の注意
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 ナトリウムイオン約2mEq/L、酢酸イオン約47mEq/Lを含有しているため、大量投与時又は電解質液を併用する場合には電解質バランスに注意すること。
14.3.2 原則として、連結管を用いたタンデム方式による投与は行わないこと。輸液セット内に空気が流入するおそれがある。
14.3.3 容器の目盛りは目安として使用すること。
14.3.4 残液は使用しないこと。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相試験(末梢静脈投与・透析:用量設定試験)
末梢静脈輸液療法の適応となる慢性腎不全透析患者62例を対象に、低蛋白食療法下で1日1回、本剤200mL及び300mLを2週間以上4週間を越えない期間連日投与した無作為化比較試験を実施した。有効性解析対象症例に対する有効率は、本剤200mL群で75.9%(22/29例)、300mL群で70.4%(19/27例)であったことから、末梢静脈投与での投与量として1日1回200mLが適当であることが確認された。
安全性解析対象症例(合計58例)の副作用発現頻度は、3.4%(2/58例)5件(嘔気2件、嘔吐2件、頭痛1件)であった
3)。
17.1.2 国内第II相試験(末梢静脈投与・非透析)
末梢静脈輸液療法の適応となる慢性腎不全非透析患者28例を対象に、低蛋白食療法下で1日1回、本剤200mLを2週間以上4週間を越えない期間連日投与した臨床試験を実施した。有効性解析対象症例23例の有効率は73.9%(17/23例)で、腎機能を保持しつつ栄養状態の改善が認められた。
安全性解析対象症例26例の副作用発現頻度は、7.7%(2/26例)2件(代謝性アシドーシス1件、鼻閉・鼻汁1件)であった
4)。
17.1.3 国内第III相試験(末梢静脈投与:比較臨床試験)
末梢静脈輸液療法の適応となる慢性腎不全透析患者159例を対象に、本剤(79例)又は対照薬として腎不全用必須アミノ酸製剤(80例)をそれぞれ200mL投与し、比較臨床試験を実施した。本剤の有効性解析対象症例66例の有効率は78.8%(52/66例)で、対照薬の有効率は68.1%(49/72例)であり、対照薬よりも副作用が少なく有用性が高いことが確認された。
安全性解析対象症例71例の副作用発現頻度は、4.2%(3/71例)4件(嘔気2件、悪心1件、頭痛1件)であった
5)。
17.1.4 国内第II相試験(中心静脈投与)
高カロリー輸液療法の適応となる急性及び慢性腎不全患者37例を対象に、本剤400〜600mLと50%ブドウ糖注射液との混合液(非蛋白熱量/窒素比が300以上)を投与した臨床試験を実施した。有効性解析対象症例に対する有効率は、急性腎不全患者で100%(11/11例)、慢性腎不全患者で89.5%(17/19例)であったことから、中心静脈投与での1日当たりの投与量として400〜600mLが適当であることが確認された。副作用は認められなかった
6)。
17.1.5 国内第III相試験(中心静脈投与)
高カロリー輸液療法の適応となる慢性腎不全患者46例を対象に、本剤400〜600mLと50%ブドウ糖注射液との混合液(非蛋白熱量/窒素比が300以上)を投与した臨床試験において、有効性解析対象症例39例の有効率は、84.6%(33/39例)であった。
安全性解析対象症例(42例)の副作用発現頻度は、2.4%(1/42例)2件(血中クレアチニン値上昇1件、BUN上昇1件)であった
7)。
18.1 作用機序
本剤は、慢性腎不全時の低蛋白食療法施行、並びに、有機酸の排泄不良に伴うアシドーシスによる蛋白異化亢進状態に対し、必須アミノ酸含量が高く、蛋白合成及び蛋白異化抑制に働く分岐鎖アミノ酸を高比率とした特殊組成のアミノ酸注射剤であり、腎不全時のアミノ酸代謝及び蛋白合成の促進、筋蛋白の分解抑制等の蛋白代謝を改善することでアミノ酸補給による栄養効果を示す。
18.2 アミノ酸補給効果
18.2.1 低蛋白食摂餌下の慢性腎不全ラットを用いて本剤を12週間腹腔内投与した結果、腎機能を保持しつつ、栄養状態の改善を示した
8)。
18.2.2 急性及び慢性腎不全ラットを用いて本剤を中心静脈投与した結果、高アンモニア血症及び高尿素窒素血症を来たすことなく、投与された窒素が良く利用され、血漿遊離アミノ酸パターンは正常域に近かった
9)10)。
18.2.3 腹膜透析施行慢性腎不全ラットにおける本剤の中心静脈投与は、血漿中蛋白の低下を抑制した
11)。
18.2.4 慢性腎不全イヌへの中心静脈投与において、本剤投与は血漿及び筋中のアミノ酸パターンが正常域に類似し、血漿中尿素窒素を低値に保ちつつ窒素出納を改善した
12)。
20.1 液漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.2 品質保持のためにガスバリア性の外袋で包装し、脱酸素剤を封入しているので、外袋は使用時まで開封しないこと。
20.3 以下の場合には使用しないこと。
・外袋が破損している場合
・外袋内や容器表面に水滴や結晶が認められる場合
・容器から薬液が漏れている場合
・容器を振とうしても溶解しない結晶が認められる場合
・性状その他薬液に異状が認められる場合
・ゴム栓部のシールがはがれている場合
200mL×30袋(プラスチックバッグ)[脱酸素剤入り]