2.1 本剤投与により重篤な副作用がみられた患者[重篤な副作用があらわれる可能性が考えられる]
2.2 本剤の成分又はガドリニウム造影剤に対し過敏症の既往歴のある患者
ガドリニウム造影剤を複数回投与した患者において、非造影T1強調MR画像上、小脳歯状核、淡蒼球等に高信号が認められたとの報告や脳の剖検組織からガドリニウムが検出されたとの報告があるので、ガドリニウム造影剤を用いた検査の必要性を慎重に判断すること。
<効能共通(腎臓造影を除く)>
通常、成人には本剤0.2mL/kgを静脈内注射する。
なお、転移性脳腫瘍が疑われる患者において0.2mL/kg初回投与後、腫瘍が検出されないか、または検出されても造影効果が不十分であった場合には、初回投与後30分以内に0.2mL/kgを追加投与することができる。
<腎臓造影>
8.1 ショック、アナフィラキシー等の重篤な副作用が発現することがあるので、本剤の投与にあたっては、ショック、アナフィラキシー等の発現に備え、救急処置の準備を行うこと。また、類薬において投与開始より1時間〜数日後にも遅発性副作用(発熱、発疹、悪心、血圧低下、呼吸困難等)があらわれるとの報告があるので、投与後も患者の状態を十分に観察すること。患者に対して、上記の症状があらわれた場合には速やかに主治医等に連絡するよう指導するなど適切な対応をとること。[
11.1.1参照]
8.3 通常、コントラストは本剤投与直後から約45分後まで持続する。追加投与によってコントラストの向上が得られるとは限らないので、コントラストが持続している場合は漫然と追加投与しないこと(転移性脳腫瘍が疑われる患者を除く)。
転移性脳腫瘍が疑われる患者への追加投与は、初回投与の結果をみた上で判断すること。[
17.1.3参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 一般状態の極度に悪い患者
診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
9.1.2 気管支喘息のある患者
診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。アナフィラキシーがあらわれることがある。
類薬のガドリニウムMRI用造影剤(ガドペンテト酸ジメグルミン)で、気管支喘息の患者では、それ以外の患者よりも高い頻度でショック、アナフィラキシー等の重篤な副作用が発現するおそれのあることが報告されている。[
8.2、
11.1.1参照]
9.1.3 初回投与時に副作用(重篤な副作用を除く)がみられ、追加投与を行う必要がある患者
診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
9.1.4 アレルギー性鼻炎、発疹、じん麻疹等を起こしやすいアレルギー体質を有する患者[
8.2参照]
9.1.5 両親、兄弟に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、発疹、じん麻疹等を起こしやすいアレルギー体質を有する患者[
8.2参照]
9.1.6 薬物過敏症の既往歴のある患者[
8.2参照]
9.1.7 既往歴を含めて、痙攣、てんかん及びその素質のある患者
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎障害のある患者
診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
本剤の主要排泄経路は腎臓であり、排泄遅延と腎機能を悪化させるおそれがある。[
1.2、
11.1.3参照]
9.2.2 長期透析が行われている終末期腎障害、eGFR(estimated glomerular filtration rate:推算糸球体ろ過値)が30mL/min/1.73m2未満の慢性腎障害、急性腎障害の患者(重篤な腎障害のある患者を除く)
本剤の投与を避け、他の検査法で代替することが望ましい。
ガドリニウム造影剤による腎性全身性線維症の発現のリスクが上昇することが報告されている。[
1.2、
11.1.3参照]
9.2.3 腎障害のある患者又は腎機能が低下しているおそれのある患者(重篤な腎障害のある患者を除く)
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
動物実験(ラット、静脈内投与)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
一般に生理機能が低下していることが多い。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショックを起こすことがある。呼吸困難、失神、昏迷、意識消失、呼吸停止、心停止、全身潮紅、血管浮腫、じん麻疹等のアナフィラキシーを伴うことがある。[
8.1、
9.1.2参照]
11.1.2 痙攣発作(0.1%未満)
発現した場合にはフェノバルビタール等バルビツール酸誘導体又はジアゼパムを投与するなど、適切な処置を行うこと。[
9.1.7参照]
11.1.3 腎性全身性線維症(Nephrogenic Systemic Fibrosis,NSF)(頻度不明)
外国において、重篤な腎障害のある患者への本剤使用後に、腎性全身性線維症を発現した症例が報告されているので、投与後も観察を十分に行い、皮膚のそう痒、腫脹、硬化、関節の硬直、筋力低下等の異常の発生には十分留意すること。[
1.2、
9.2.1-
9.2.3参照]
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
過敏症 | じん麻疹 | ほてり | そう痒、発疹、潮紅 |
循環器 | | | 動悸、血圧低下、血圧上昇 |
呼吸器 | | 咳嗽 | くしゃみ、嗄声、咽喉頭不快感、鼻炎、喘息 |
消化器 | 嘔気・嘔吐 | | 口渇、腹痛 |
精神神経系 | | めまい感、頭痛 | しびれ感、振戦、一過性意識消失 |
血液系 | | | 白血球増加、血小板増加 |
肝臓・胆管系 | | | 肝機能異常、AST増加、ALT増加 |
投与部位 | | 血管痛 | 疼痛 |
その他 | 熱感 | | 血清カリウム増加、気分不良、BUN増加、胸痛、血清鉄低下、血中クレアチニン増加、冷感、多汗、味覚異常、眼の異常、倦怠感 |
14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 脳・脊髄腔内投与は行わないこと。[
1.1参照]
14.1.2 静脈内投与により血管痛があらわれることがある。
14.1.3 誤って血管外に造影剤が漏出した場合には、発赤、腫脹、水疱、疼痛等があらわれることがあるので、注入時に十分注意すること。
14.2 薬剤投与後の注意
1回の検査にのみ使用し、余剰の溶液は廃棄すること。
16.1 血中濃度
健康成人男子に本剤0.1、0.2、0.4
注)、0.5
注)、0.6
注)mL/kg(0.05、0.1、0.2、0.25、0.3mmol/kg)を静脈内投与したところ、血中からの消失半減期は1.09〜1.66時間であった
1)2)。
注)本剤の承認用量は、通常、0.2mL/kg(0.1mmol/kg)、腎臓造影においては、0.1mL/kg(0.05mmol/kg)である。
16.5 排泄
健康成人男子に本剤0.1、0.2、0.4
注)、0.5
注)、0.6
注)mL/kg(0.05、0.1、0.2、0.25、0.3mmol/kg)を静脈内投与したところ、投与後24時間以内に84.8〜106.8%が尿中に排泄された
1)2)。
注)本剤の承認用量は、通常、0.2mL/kg(0.1mmol/kg)、腎臓造影においては、0.1mL/kg(0.05mmol/kg)である。
18.1 測定法
ガドリニウムイオンは常磁性を示し、磁気共鳴現象において水素原子核(プロトン)の緩和を促進し、緩和時間を短縮する能力をもつ。
本剤は常磁性金属ガドリニウムイオンのキレート化合物であり、MRI撮像において縦緩和時間(T1)を短縮することにより組織及び病変部のコントラストを増強する。