医療用医薬品 : プロスタール

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医薬品情報


総称名 プロスタール
一般名 クロルマジノン酢酸エステル
欧文一般名 Chlormadinone Acetate
製剤名 クロルマジノン酢酸エステル徐放錠
薬効分類名 徐放性前立腺肥大症治療剤
薬効分類番号 2478
ATCコード G03DB06
KEGG DRUG
D01299 クロルマジノン酢酸エステル
KEGG DGROUP
DG01591 アンドロゲン受容体拮抗薬
DG02004 プロゲステロン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年12月 改訂(第3版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
プロスタールL錠50mg PROSTAL-L TABLETS あすか製薬 2478001G1143 71.2円/錠 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
重篤な肝障害・肝疾患のある患者[9.3.1参照]

4. 効能または効果

前立腺肥大症

5. 効能または効果に関連する注意

本剤による前立腺肥大症に対する治療は、根治療法ではないことに留意し、本剤投与により期待する効果が得られない場合には、手術療法等他の適切な処置を考慮すること。

6. 用法及び用量

通常、成人にはクロルマジノン酢酸エステルとして1回50mgを1日1回食後経口投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

投与期間は16週間を基準とし、期待する効果が得られない場合には、以後漫然と投与を継続しないこと。

8. 重要な基本的注意

8.1 劇症肝炎等の重篤な肝機能障害による死亡例が報告されているので、投与開始後3カ月までは少なくとも1カ月に1回、それ以降も定期的に肝機能検査を行うこと。[11.1.3参照]
8.2 糖尿病、糖尿病の悪化あるいは高血糖があらわれることがあるので、血糖値や尿糖に注意するなど観察を十分に行うこと。[11.1.4参照]
8.3 ポテンツ低下等があらわれた場合、治療上の有益性を考慮の上、必要に応じ休薬又は他の療法への変更を行うこと。
8.4 クロルマジノン酢酸エステルの投与後に髄膜腫が報告されている。本剤投与中は、頭痛、運動麻痺、視力視野障害、脳神経麻痺、けいれん発作、認知機能の変化等の髄膜腫を示唆する症状に注意し、必要に応じて画像検査を実施すること。髄膜腫と診断された場合は本剤の投与中止を検討すること。投与中止後に髄膜腫が縮小した症例が報告されている。[9.1.315.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心疾患又はその既往歴のある患者
ナトリウムや体液の貯留により、症状が増悪することがある。
9.1.2 糖尿病患者
耐糖能の低下があらわれることがある。
9.1.3 髄膜腫又はその既往歴のある患者
髄膜腫や原疾患の状態を踏まえ、本剤投与の必要性を検討すること。[8.415.1参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎疾患又はその既往歴のある患者
ナトリウムや体液の貯留により、症状が増悪することがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害・肝疾患のある患者
投与しないこと。代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪することがある。[2.参照]
9.8 高齢者
投与の際には投与間隔に留意するなど慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多いため、血中濃度が持続するおそれがある。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 うっ血性心不全(頻度不明)
11.1.2 血栓症(脳、心、肺、四肢等)(0.1%未満)
11.1.3 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害、黄疸(ともに0.1%未満)
本剤投与1〜2カ月後に劇症肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれ、死亡に至った症例が報告されているので、悪心・嘔吐、食欲不振、全身倦怠感等の異常が認められた場合には直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。[8.1参照]
11.1.4 糖尿病、糖尿病の悪化、高血糖(いずれも頻度不明)
昏睡、ケトアシドーシスを伴う重篤な症例も報告されている。[8.2参照]
注)発現頻度は使用成績調査を含む。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
生殖器インポテンス、性欲低下等  
過敏症そう痒発疹等 
肝臓肝機能異常等  
腎臓  BUN、クレアチニンの上昇等
電解質代謝体重増加等浮腫等 
循環器 動悸、息切れ等心悸亢進、胸内苦悶等
血液貧血  
消化器 食欲不振、胃部不快感、口渇等悪心、嘔吐、便秘、下痢、腹痛等
精神神経系  頭痛、眠気等
泌尿器 頻尿等尿道不快感、下腹部痛等
脂質代謝  中性脂肪の上昇
内分泌女性型乳房 血中FSH、LH、テストステロン値の低下、プロラクチン値の上昇
皮膚 脱毛 
その他微熱倦怠感、発汗肥満

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
海外の疫学調査において、クロルマジノン酢酸エステルの6カ月間の累積投与量が360mg超の女性では、360mg以下の女性と比較して髄膜腫の発生リスクが高く(ハザード比4.4(95%信頼区間:3.4-5.8))、累積投与量の増加に伴い発生リスクが高くなるとの報告がある1)。また、クロルマジノン酢酸エステルを使用している女性では、使用していない女性と比較して髄膜腫の発生リスクが高かった(オッズ比3.87(95%信頼区間:3.48-4.30))との報告がある2)。[8.49.1.3参照]
15.2 非臨床試験に基づく情報
ラット、ウサギ及びイヌにおいて精子形成異常が認められるという報告がある。
また、副腎皮質はラット及びイヌでは萎縮するという報告があるが、モルモットでは萎縮しないという報告がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男性に本剤1錠を空腹時に経口投与した結果、最高血中濃度到達時間(Tmax)は5.1時間、血中濃度半減期(T1/2)は10.2時間で、通常のクロルマジノン酢酸エステル錠に比し徐放性の血中濃度推移を示した3)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男性に本剤1錠を摂食時に投与した場合の血中濃度は、空腹時投与に比し最高血中濃度(Cmax)及び血中濃度−時間曲線下面積(AUC)で1.5〜1.8倍と有意に高く、これは主として食事摂取により刺激された胆汁分泌によると考えられた4)
16.3 分布
雄ラットにおける経口投与後の分布は肝臓に最も多く、次に腎臓、副腎、脂肪の順である5)
血漿蛋白結合率は、約99%である6)in vitro:平衡透析法)。
16.4 代謝
多種の代謝物が生成され、2位及び3位のヒドロキシ体が多い。
3β-hydroxy体は、未変化体であるクロルマジノン酢酸エステルの約0.7倍の活性を認めた7)
16.5 排泄
健康成人男性8名に本剤1錠を経口投与した結果、24時間までの尿中への未変化体(クロルマジノン酢酸エステル)の総排泄量は70.7±9.2μgで投与量の約0.14%であった3)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験
(1)二重盲検比較試験
排尿障害を訴える前立腺肥大症患者を対象に、本剤(50mg)1日1回1錠投与の効果についてクロルマジノン酢酸エステル25mg錠1日2回2錠投与を対照として(16週間投与)、二重盲検法で検討した結果、総合判定における有効率は次のとおりであった。副作用発現頻度は21.8%(24/110例)で、主な副作用はインポテンス及び性欲低下12.8%(14/110例)であった8)
 主治医判定委員会判定
本剤(50mg)1日1回1錠70.5%(62/88例)77.3%(58/75例)
25mg錠1日2回2錠55.7%(49/88例)65.2%(43/66例)
(2)一般臨床試験
排尿障害を訴える前立腺肥大症患者に1錠を1日1回朝食後に12〜16週間投与した結果、総合判定における有効率は65.8%(50/76例)であった。副作用発現頻度は8.9%(7/79例)で、インポテンス5.1%(4/79例)、性機能の低下3.8%(3/79例)であった9)10)11)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
テストステロンの前立腺への選択的取込み阻害作用及び5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)とアンドロゲン受容体との結合阻害作用によりアンチアンドロゲン作用を示す。
18.2 アンチアンドロゲン作用(直接的抗前立腺作用)
18.2.1 外因性アンドロゲンに拮抗して、前立腺の肥大を抑制する12)(去勢Wistar系雄ラット)。
18.2.2 内因性アンドロゲンに拮抗して、前立腺を萎縮させる12)(Wistar系雄ラット)。
18.3 テストステロン作用発現に対する阻害作用
18.3.1 前立腺内に選択的に取り込まれ、前立腺細胞レベルで抗前立腺作用をあらわす13)(Wistar系雄ラット)。
18.3.2 前立腺におけるテストステロンの選択的取込みを阻害する13)(去勢Wistar系雄ラット)。
18.3.3 5α-ジヒドロテストステロンとレセプターとの結合を阻害する13)14)(去勢SD系雄ラット;前立腺腹葉細胞)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. クロルマジノン酢酸エステル

一般的名称 クロルマジノン酢酸エステル
一般的名称(欧名) Chlormadinone Acetate
化学名 6-Chloro-3,20-dioxopregna-4,6-dien-17-yl acetate
分子式 C23H29ClO4
分子量 404.93
融点 211〜215℃
物理化学的性状 白色〜淡黄色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。
クロロホルムに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けやすく、エタノール(95)又はジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01299

22. 包装

100錠[10錠(PTP)×10]

23. 主要文献

  1. Nguyen,P.et al., Utilisation prolongee de l'acetate de chlormadinone et risque de meningiome intracranien:une etude de cohorte a partir des donnees du SNDS(Avril 2021 Rapport final), (2021)
  2. Roland,N.et al., BMJ., 384, e078078, (2024) »PubMed
  3. 木下裕三他, 薬理と治療, 16 (5), 2079-2091, (1988)
  4. 木下裕三他, 薬理と治療, 16 (5), 2093-2108, (1988)
  5. 神戸川 明他, 基礎と臨床, 11 (2), 620-628, (1977)
  6. 社内資料:Chlormadinone acetateの肝薬物代謝酵素活性に及ぼす影響と蛋白結合性の検討
  7. Honma,S.et al., Chem.Pharm.Bull., 25 (8), 2019-2031, (1977) »PubMed
  8. 志田圭三他, 臨床医薬, 4 (7), 1145-1164, (1988)
  9. 吉田和弘他, 診療と新薬, 25 (6), 1239-1251, (1988)
  10. 薄井昭博他, 診療と新薬, 25 (5), 923-930, (1988)
  11. 池本 庸他, 臨床医薬, 4 (9), 1723-1729, (1988)
  12. 三枝 衛他, 基礎と臨床, 11 (2), 550-555, (1977)
  13. 伊藤善一他, 日本泌尿器科学会雑誌, 68 (6), 537-552, (1977) »DOI
  14. 山中英寿他, ホルモンと臨床, 26 (1), 89-92, (1978) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
あすか製薬株式会社 くすり相談室
〒108-8532 東京都港区芝浦二丁目5番1号
電話:0120-848-339
FAX:03-5484-8358
製品情報問い合わせ先
あすか製薬株式会社 くすり相談室
〒108-8532 東京都港区芝浦二丁目5番1号
電話:0120-848-339
FAX:03-5484-8358

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
あすか製薬株式会社
東京都港区芝浦二丁目5番1号
26.2 販売元
武田薬品工業株式会社
大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版