医療用医薬品 : フィジオ

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医薬品情報


総称名 フィジオ
薬効分類名 電解質輸液(維持液10%糖加)
薬効分類番号 3319
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年8月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
フィジオ35輸液 Physio35 Injection 大塚製薬工場 3319560A1040 237円/袋 処方箋医薬品注)
フィジオ35輸液 Physio35 Injection 大塚製薬工場 3319560A2038 268円/袋 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 高カリウム血症、乏尿、アジソン病、重症熱傷、高窒素血症の患者[高カリウム血症が悪化する又は誘発されるおそれがある。]
2.2 高リン血症、副甲状腺機能低下症の患者[高リン血症が悪化する又は誘発されるおそれがある。]
2.3 高マグネシウム血症、甲状腺機能低下症の患者[高マグネシウム血症が悪化する又は誘発されるおそれがある。]
2.4 高カルシウム血症の患者[高カルシウム血症が悪化するおそれがある。]

4. 効能または効果

経口摂取が不能又は不十分な場合の水分・電解質の補給・維持、エネルギーの補給

5. 効能または効果に関連する注意

本剤を投与する場合には、患者の尿量が1日500mL又は1時間当たり20mL以上あることが望ましい。

6. 用法及び用量

通常成人には、1回500〜1000mLを点滴静注する。投与速度は、通常成人ではブドウ糖として1時間当たり0.5g/kg体重以下とする。
なお、年齢、症状、体重により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 糖尿病の患者
血糖値が上昇することにより、症状が悪化するおそれがある。
9.1.2 心不全の患者
循環血液量の増加により、症状が悪化するおそれがある。
9.1.3 閉塞性尿路疾患により尿量が減少している患者
水分、電解質等の排泄が障害されているため、症状が悪化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
水分、電解質の過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満頻度不明
注射部位血管痛静脈炎 
肝臓 AST、ALTの上昇 
代謝 低ナトリウム血症 
大量・急速投与  脳浮腫、肺水腫、末梢の浮腫、水中毒、高カリウム血症、血栓性静脈炎

14. 適用上の注意

14.1 全般的な注意
14.1.1 使用時には、感染に対する配慮をすること。
14.1.2 注射針や輸液セットのびん針は、ゴム栓の刻印部(○印)に垂直にゆっくりと刺すこと。斜めに刺した場合、削り片の混入及び液漏れの原因となるおそれがある。また、針は同一箇所に繰り返し刺さないこと。
14.2 薬剤調製時の注意
薬剤を配合する場合には、配合変化に注意すること。
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 血管痛や静脈炎があらわれた場合には、注射部位を変更する、投与速度を遅くする、局所を保温するなど適切な処置を行うこと。
14.3.2 原則として、連結管を用いたタンデム方式による投与は行わないこと。輸液セット内に空気が流入するおそれがある。
14.3.3 容器の目盛りは目安として使用すること。
14.3.4 残液は使用しないこと。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(内科領域)
経口・経腸摂取が数日間不能又は不十分と予測される内科領域の患者149例を対象とした多施設共同並行群間比較試験1)において、本剤又は市販の5%マルトース加電解質維持液(対照薬)を1日当たり1000〜2500mLを3日間静脈内に投与した。
有効性解析対象症例130例(本剤群68例、対照薬群62例)における自覚症状・他覚所見・一般状態、水分バランス、電解質バランス及び糖の利用を指標とした医師の総合評価による本剤の有効性評価は、有効以上が83.8%(57/68例)であった。
副作用の発現頻度は、本剤群で11.3%(8/71例)であり、主な副作用は、血管痛8.5%(6/71例)であった。
17.1.2 国内第III相試験(外科領域)
中等度の手術侵襲を受け、術後数日間経口摂取が不能と判断された患者183例を対象とした多施設共同並行群間比較試験2)において、本剤又は市販の5%マルトース加電解質維持液(対照薬)を35〜50mL/kg/日で術後3〜4日間末梢静脈内に投与した。
有効性解析対象症例164例(本剤群79例、対照薬群85例)における自覚症状・他覚所見・一般状態、水分バランス、電解質バランス及び糖の利用を指標とした医師の総合評価による本剤群の有効性評価は、有効以上が84.8%(67/79例)であった。
副作用の発現頻度は、本剤群で9.4%(8/85例)であり、血管痛であった。
17.1.3 国内第III相試験(外科領域:二重盲検比較試験)
中等度以下の手術後、数日間経口摂取が不能又は不十分と判断された患者182例を対象とした多施設共同二重盲検群間比較試験3)において、本剤又は市販の10%糖加電解質維持液(対照薬)を35〜50mL/kg/日を目安に術後3日間静脈内に投与した。
有効性解析対象症例176例(本剤群88例、対照薬群88例)における臨床症状及び臨床検査値の推移により評価した本剤群の有効性評価は、有効が88.6%(78/88例)であった。
副作用の発現頻度は、本剤群で4.4%(4/90例)であり、血管痛(うち、1例は血管炎を重複)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は水分・電解質の補給・維持、エネルギーの補給効果を示す。
18.2 電解質維持効果
70%肝切除負荷慢性肝障害ラット及び正常ラットを用いて、本剤の電解質維持効果を検討した結果、血漿電解質濃度は、本剤投与により維持された4)5)。また、カルシウム、リンを含有しない10%ブドウ糖加乳酸維持輸液又は5%マルトース加酢酸維持輸液に比べ、カルシウムやリンの低下を抑制した4)
18.3 エネルギー補給効果
手術侵襲ラットを用いて、体重、血液生化学的検査、肝臓検査、尿検査を指標に本剤の栄養学的効果を検討した結果、体重減少は軽度で、血清総ケトン体の上昇、トリグリセリドの低下、肝臓グリコーゲンの低下は抑制された6)。また、正常イヌにおける栄養学的効果を検討した結果、血清総蛋白、リン脂質、総コレステロールの低下、肝臓グリコーゲンの低下は抑制され、10%ブドウ糖加乳酸維持輸液と同等の効果が認められた7)。また、70%肝切除負荷慢性肝障害ラットにおいて、尿中への糖排泄はほとんどなかった4)

20. 取扱い上の注意

20.1 液漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.2 以下の場合には使用しないこと。
・外袋内や容器表面に水滴や結晶が認められる場合
・容器から薬液が漏れている場合
・性状その他薬液に異状が認められる場合
・ゴム栓部のシールがはがれている場合

22. 包装

250mL

20袋 ソフトバッグ

500mL

20袋 ソフトバッグ

23. 主要文献

  1. 越川昭三,他, 基礎と臨床, 27, 767-791, (1993)
  2. 斎藤洋一,他, 基礎と臨床, 27, 793-820, (1993)
  3. 斎藤洋一,他, 臨牀と研究, 73, 2354-2370, (1996)
  4. 禿 英樹,他, 薬理と治療, 20, 4013-4022, (1992)
  5. 禿 英樹,他, 薬理と治療, 20, 4031-4038, (1992)
  6. 阿部俊一,他, 薬理と治療, 24, 1439-1450, (1996)
  7. 坂部真一,他, 薬理と治療, 24, 1451-1461, (1996)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2
電話:0120-719-814
FAX:03-5296-8400
製品情報問い合わせ先
株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2
電話:0120-719-814
FAX:03-5296-8400

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社大塚製薬工場
徳島県鳴門市撫養町立岩字芥原115
26.2 販売提携
大塚製薬株式会社
東京都千代田区神田司町2-9

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版