2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 有鉤のう虫(条虫)症患者[寄生部位によっては、死滅虫体により回復困難な病変(失語症、片麻痺、脳梗塞等の中枢神経障害、眼障害等)を引き起こすことがある。]
2.3 リファンピシンを投与中の患者[
10.1参照]
<肝吸虫症、肺吸虫症>
プラジカンテルとして、1回20mg/kgを1日2回2日間経口投与する。
<横川吸虫症>
プラジカンテルとして、1回20mg/kgを1日1〜2回1日経口投与する。
7.1 1回投与量20mg/kgは、患者の体重に応じほぼ次の錠数になる。本剤は1錠に3本の割線があり、プラジカンテル150mgを含有する4個の錠片に分割することができ、投与量を患者の体重に応じて調整することができるので、できるだけ正確な用量を投与すること。
体重(kg) | 錠数 |
20〜26 | 3/4 |
27〜33 | 1 |
34〜41 | 11/4 |
42〜48 | 11/2 |
49〜56 | 13/4 |
57〜63 | 2 |
64〜70 | 21/4 |
71〜78 | 21/2 |
79〜86 | 23/4 |
7.2 高用量投与(50mg/kg)で、用量の増加率以上に血中濃度が増加したとの報告があるので、用法・用量を厳守すること。
7.3 1日2回投与の場合、昼食後及び夕食後に投与することが望ましい。投与間隔は少なくとも4時間以上とすること。
眠気があらわれることがあるので、自動車の運転、機械の操作等危険を伴う作業に注意させること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.2 腎機能障害患者
9.3 肝機能障害患者
本剤の代謝が低下し、血中濃度が高くなる可能性がある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
相互作用序文
本剤は主にチトクロームP4503A4(CYP3A4)によって代謝される。
薬物代謝酵素用語
CYP3A4
10.1 併用禁忌
リファンピシン(リファジン) [2.3参照] | 本剤の血中濃度が約100%低下することが報告されている。 | リファンピシンにより代謝酵素(CYP3A4)が誘導され、本剤の代謝が促進されるためと考えられている。 |
10.2 併用注意
デキサメタゾン フェニトイン カルバマゼピン | 本剤の血中濃度が低下することが報告されている。 | これらの薬剤が代謝酵素(CYP3A4)を誘導し、本剤のクリアランスを上昇させるためと考えられている。 |
エファビレンツ | 本剤の血中濃度が約75%低下することが報告されている。本剤の効果が減弱するおそれがあるので併用を避けることが望ましい。 | エファビレンツが代謝酵素(CYP3A4)を誘導し、本剤のクリアランスを上昇させるためと考えられている。 |
ヒドロキシクロロキン硫酸塩 | クロロキン(国内未発売)との併用により、本剤の血中濃度が低下することが報告されている。クロロキンと類似の構造を有するヒドロキシクロロキン硫酸塩との併用においても同様に本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 | 発現機序の詳細は不明である。 |
シメチジン リトナビル | 本剤の血中濃度が上昇することが報告されている。 | これらの薬剤が代謝酵素(CYP3A4)を阻害し、本剤のクリアランスを低下させるためと考えられている。 |
イトラコナゾール | 本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)との併用により、本剤の血中濃度が上昇することが報告されている。 | イトラコナゾールが代謝酵素(CYP3A4)を阻害し、本剤のクリアランスを低下させるためと考えられている。 |
16.1 血中濃度
健康成人に20mg/kgを1回又は1日3回
注)経口投与した場合、血中濃度は図のとおりである
5)(外国人データ)。
16.3 分布
ラットに
14C-プラジカンテルを1回10mg/kgを経口投与した実験では、肝、腎、副腎、卵巣及び子宮へ高い移行が認められる。その他の臓器では血中放射能濃度と同程度又はそれ以下である
6)。
16.4 代謝
健康成人に
14C-プラジカンテルを1回14mg/kg及び46mg/kg
注)を経口投与した場合、代謝は非常に速やかで、ほぼ完全に代謝される。尿中には未変化体はほとんど認められない。血中主代謝物は一水酸化体、尿中主代謝物は二水酸化体である
7)(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人に
14C-プラジカンテルを1回14mg/kg及び46mg/kg
注)を経口投与した場合、尿中排泄率はそれぞれ84%、80%であり、いずれも24時間までにその90%以上が排泄される
8)(外国人データ)。
注)本剤の承認用量は1回20mg/kg1日1〜2回である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 一般臨床試験
厚生省「輸入熱帯病の薬物治療法に関する研究班」が症例記録を入手できた日本人症例42例の有効性及び安全性を評価した。肝吸虫症には本剤20mg/kgを1日2回2日間、肺吸虫症には本剤25mg/kgを1日3回2日間
注)又は1日量として25〜50mg/kgの2〜3日間
注)、横川吸虫症には本剤20〜25mg/kgを1日1〜3回1日
注)投与した。研究班が評価した有効性は下表のとおりであった
9)。
診断名 | 有効率 |
肝吸虫症 | 100%(32/32) |
肺吸虫症 | 100%(6/6) |
横川吸虫症 | 100%(4/4) |
計 | 100%(42/42) |
副作用は42例中13例(31.0%)に認められ、主な副作用は発疹3例(7.1%)、下痢3例(7.1%)等であった。
17.1.2 集団治療試験
集団検診で肝吸虫卵が確認された65例(うち61例は横川吸虫卵も確認)を対象に、体重40〜49kgの患者には本剤3000mgを、50〜59kgの患者には本剤3750mgを、60〜75kgの患者には本剤4500mgを3回に分けて1日
注)投与し、本剤の有効性及び安全性を評価した。
本剤投与後1、2、及び3ヵ月の3回検便を行い一度も虫卵を検出しなかったものを治癒と判定した。治癒率は下表のとおりであった。
診断名 | 治癒率 |
肝吸虫症 | 81.5%(53/65) |
横川吸虫症(合併例) | 94.8%(55/58) |
副作用は65例中25例(38.5%)に認められ、主な副作用は頭痛14例(21.5%)、倦怠感11例(16.9%)、嘔気9例(13.8%)等であった
10)。
注)本剤の承認用量は1回20mg/kg1日1〜2回である。