医療用医薬品 : ロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク

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医薬品情報


総称名 ロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク
薬効分類名 メープルシロップ尿症治療剤
薬効分類番号 3279
KEGG DRUG
D08831 特殊粉乳
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年6月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク配合散「雪印」 雪印メグミルク 3279104X2037 14.3円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
メープルシロップ尿症以外の患者[分枝アミノ酸の不足を生じる可能性がある]

4. 効能または効果

メープルシロップ尿症

6. 用法及び用量

通常、本剤を用時に、溶解濃度が15〜20(w/v%)になるように温湯(70〜80℃)に溶解し、よく攪拌後経口投与する。
血中分枝アミノ酸濃度を定期的に測定しながら、本剤の投与量を定める。

7. 用法及び用量に関連する注意

治療開始に際しては、下表の摂取分枝アミノ酸量を一応の目安とし、空腹時血中分枝アミノ酸濃度がそれぞれ2〜5mg/dLの間に維持されるように摂取分枝アミノ酸量を定める1)2)
摂取分枝アミノ酸量(目安)1)2)
年齢摂取分枝アミノ酸量(mg/kg体重/日)
ロイシンイソロイシンバリン
0〜3箇月160〜8070〜4090〜40
3〜6箇月100〜7070〜5070〜50
6〜12箇月70〜5050〜3050〜30
維持量は症例により個体差があるので、特に治療開始1箇月間は連日ないし隔日に血中分枝アミノ酸濃度を測定し、更に臨床症状、体重増加、血清たん白濃度、血色素濃度に留意し、分枝アミノ酸欠乏症状の出現を避ける。治療開始1箇月以後も乳児期は週1〜2回程度血中分枝アミノ酸濃度を測定しながら治療を続けることが望ましい。
不足分の分枝アミノ酸は自然たん白(一般粉乳、牛乳ないし一般食品)の形で補給する。
定期的に身体発育値、DQ、脳波所見等を観察しながら治療を続ける。
本剤の計量は、秤を用いて量ることが望ましいが、簡易的に計量する場合は、添付の計量用スプーンを用いる。計量用スプーンの内容量はスリキリ1杯で約3gである。濃度別調製は下表を参照し溶解する。
調乳濃度(w/v%)秤とり量出来上がり(mL)溶液100mL中の組成
分枝アミノ酸(mg)たん白質(g)脂肪(g)炭水化物(g)灰分(g)エネルギー(kcal)
1515g
(スプーン5杯)
10001.892.579.550.5568.9
1616g10002.012.7410.190.5973.4
1717g10002.142.9110.820.6278.0
1818g
(スプーン6杯)
10002.263.0811.460.6682.6
1919g10002.393.2512.100.7087.2
2020g10002.523.4212.730.7391.8

8. 重要な基本的注意

8.1 新生児期の患者は、代謝機能が未発達なため、連日ないし隔日に血中分枝アミノ酸濃度を測定しながら治療を続けること1)2)
8.2 血中分枝アミノ酸濃度の維持量には症例により個体差があるので、治療開始1箇月間は連日ないし隔日に、血中分枝アミノ酸濃度を測定し、さらに、臨床症状、体重変化、血清たん白濃度、血色素濃度に留意し、分枝アミノ酸欠乏症状の出現を避けること1)2)
8.3 本剤は分枝アミノ酸(ロイシン・イソロイシン・バリン)をまったく含まないので、必要量の摂取分枝アミノ酸はすべて自然たん白質(一般粉乳、牛乳ないし一般食品)で補給すること1)2)
8.4 治療開始1箇月以後も、乳児期は週1〜2回程度、血中分枝アミノ酸濃度を測定しながら治療を続けること1)2)
8.5 定期的に身体発育値、DQ、脳波所見等を観察しながら治療を続けること1)2)
8.6 本剤はビオチン、カルニチン及びセレンを含まないため、当該成分の欠乏症があらわれる可能性があることから、必要に応じて補給すること3)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 Enterobacter sakazakii 及びSalmonella entericaによる患者の健康被害を防止するため、本剤を70〜80℃の湯に溶解する際には、火傷に注意すること4)。本剤を経口投与する際には、適切な温度(37℃付近)まで冷却すること4)
14.1.2 本剤を用いて調製した溶液は、調製後2時間以内に使用すること。調製後2時間以内に使用しなかった場合は、廃棄すること4)
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤の投与に際して、可塑剤としてDEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)を含むポリ塩化ビニル製のフィーディングチューブ等を使用した場合、DEHPが溶出するおそれがあるので、DEHPを含むフィーディングチューブ等は使用しないこと。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
急性期には腹膜透析、高張糖補液などの処置を行ない、血中ロイシン、イソロイシン、バリン濃度が正常範囲に戻った時点で、ロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルクを5症例に使用した5)。何れも早期に発見され、生後2週間以内に治療を開始した4症例では、ロイシン、イソロイシン、バリンの必要量はすべて母乳あるいは人工乳との混合により、症例に合わせてそれぞれコントロールして投与した。その結果、血中ロイシン、イソロイシン、バリン濃度はよくコントロールされ、下痢、低たん白血症、貧血などの副作用は認められなかった。治療が遅れた1症例(本剤による治療開始年齢:7箇月)では、食餌療法を厳重に行った結果、血中ロイシン濃度2〜4mg/dLを維持し、発育は良好であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
分枝アミノ酸の経口摂取量の制限による。

20. 取扱い上の注意

20.1 本剤は室温で乾燥したところに保管し、製造後12箇月以内(使用期限内)に使用すること。
20.2 本剤は直射日光の当たるところや放熱器具のそばなど、温度の高いところでの保管を避けること。

22. 包装

1,200g入り缶(添付のスプーンはスリキリ約3g)

23. 主要文献

  1. 多田啓也ほか, 日本小児科学会雑誌, 81 (9), 840-845, (1977)
  2. 大浦敏明(編), 小児の先天性代謝異常症, 108-113, (1980), (医歯薬出版)
  3. 北川照男ほか, 特殊ミルク情報, 36, 28-40, (2000)
  4. 乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン(世界保健機関/国連食糧農業機関共同作成。2007年):2.1.4 PIF(乳児用調製粉乳)を使用した粉ミルクの調乳等
  5. 北川照男ほか:臨床試験成績(社内資料)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
雪印メグミルク株式会社 ミルクサイエンス研究所 特殊ミルク開発室
〒350-1165 川越市南台1丁目1番地2
電話:049-242-8068
FAX:049-242-8157
製品情報問い合わせ先
雪印メグミルク株式会社 ミルクサイエンス研究所 特殊ミルク開発室
〒350-1165 川越市南台1丁目1番地2
電話:049-242-8068
FAX:049-242-8157

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
雪印メグミルク株式会社
埼玉県川越市南台1丁目1番地2
26.2 発売元
雪印ビーンスターク株式会社
東京都新宿区四谷本塩町5番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/06/18 版