医療用医薬品 : キンダリー

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医薬品情報


総称名 キンダリー
薬効分類名 人工腎臓透析用剤
薬効分類番号 3410
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2025年9月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
キンダリー透析剤AF1P号 KINDALY Hemodialysis Agents AF-1P 扶桑薬品工業 3410508A1036 2048円/瓶 処方箋医薬品注)

4. 効能または効果

慢性腎不全における透析型人工腎臓の灌流液として用いる。

5. 効能または効果に関連する注意

本剤は慢性腎不全に対する通常の血液透析に使用するが、ブドウ糖を含まない製剤であるので、糖代謝異常による高血糖患者で、ブドウ糖を含む透析液の使用では、良好な血糖コントロールの困難な場合に使用すること。[8.1参照]

6. 用法及び用量

通常、A液:(B末水溶液+希釈水)=1:34の希釈・調製比率の重炭酸塩型透析液供給装置を用いて血液透析を行う場合の灌流液として使用する。すなわち、B末を精製水又は注射用水に溶かし、炭酸水素ナトリウム88.2gに対応する容量をとり、これにA液1L及び水を加えて35Lとする。
用量は透析時間により異なるが、通常、灌流液として150〜300Lを用いる。
希釈調製した透析液の電解質濃度(理論値)は次のとおりである。
(単位:mEq/L)
NaKCa2+Mg2+ClCH3COOHCO3
1352.53.51.5106.5830

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤の使用に際しては、定期的に血液検査(電解質、酸・塩基平衡、BUN、クレアチニン、尿酸、血糖等)を行うことが望ましい。[5.参照]
8.2 長期使用する場合には、骨代謝異常があらわれることがあるので、定期的に臨床検査(生化学検査、X線検査等)を行い、活性型ビタミンD3製剤の投与等の適切な処置を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高度の肝障害又は重症糖尿病等による酢酸代謝障害のある患者
酢酸による末梢血管拡張作用、心機能抑制作用により、血圧低下等があらわれるおそれがある。
9.1.2 アルミニウム骨症の患者
骨塩量を定期的に測定し、低下する場合はカルシウム濃度の高い透析液を用いること。骨塩量が低下することがある。
9.1.3 カロリー補給不十分な患者、糖尿病のため食事制限を受けているか又は血糖降下剤投与中の患者
本剤はブドウ糖を含まない製剤であるため、低血糖症状を起こすおそれがある。
9.1.4 透析前の血清カルシウム値が正常値以上を示し、かつ血清リン値が著しく高値を示す患者
異所性石灰沈着症を起こすおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ジギタリス強心配糖体
ジゴキシン
メチルジゴキシン等
ジギタリス中毒を起こすおそれがある。本剤を使用した透析により、血清カリウム値が低下する可能性がある。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
透析療法により次の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には症状に応じて適切な処置を行うこと。
症状
循環器循環血液量の急激な減少による低血圧、ショック症状、血圧上昇
高カルシウム血症血中カルシウム濃度の上昇
カルシウム代謝異常骨代謝異常(骨粗鬆症、骨軟化症、線維性骨炎等)、異所性石灰沈着症
血糖低血糖
不均衡症候群頭痛、悪心、嘔吐、痙攣、意識混濁、不快・倦怠感等

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 透析用水の水質は、(一社)日本透析医学会が定める最新の透析液水質基準を参照すること。
14.1.2 調製時には、以下の点に注意すること。
・A液(電解質溶液)及びB末(炭酸水素ナトリウム)は、各々単独では使用しないこと。
・A液とB末は、直接混合し溶解しないこと。
・A液及び溶解したB末は、濃厚液の状態で混合しないこと。
14.1.3 定められた希釈液として調製すること。
希釈濃度が不正確な場合は、以下のような症状を起こすことがあるので注意すること。
・濃度が高すぎた場合
意識障害、血圧上昇、動悸、頭痛
・濃度が低すぎた場合
意識障害、急激な血圧低下、胸内苦悶、全身倦怠、四肢のしびれ感
14.1.4 使用前に透析液の電解質濃度を測定し、それらが適正であることを確認すること。
14.1.5 透析液の浸透圧比が0.88〜0.94の範囲にあることを確認すること。
浸透圧比は生理食塩液の浸透圧(286mOsm)に対する透析液の浸透圧測定値の比より求める。
14.1.6 透析液のpHは透析用水等の影響で若干の変動があり得るので、使用前にpH7.3〜7.5の範囲内にあることを確認すること。
14.1.7 本剤は用時調製用の製剤であり、希釈調製後の透析液は速やかに使用すること。
14.1.8 残液は使用しないこと。
14.2 薬剤使用時の注意
14.2.1 本剤は注射又は腹膜灌流に用いないこと。
14.2.2 血清浸透圧と透析液浸透圧とのバランスを保つこと。
14.2.3 透析液中の沈殿の有無を透析器前の透析液回路で確認し、沈殿を生じた透析液は使用しないこと。
14.3 薬剤使用後の注意
本剤は他の酢酸含有重炭酸型透析液よりpHが高くなり、炭酸塩が析出するおそれがある。そのため、透析装置、配管等の酸洗浄を頻回に行うことが望ましい。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
本剤による血液透析施行中の腎不全患者56例を対象として、1回に限り酢酸透析液に変更する二重盲検交差試験を実施した。酢酸透析液への転換により56例中34例(61%)で新たに何らかの愁訴が発現し、うち12例(21%)で透析時間を短縮した。愁訴発現例に対する生理食塩液注入量も酢酸透析液使用時で有意に多かった。また、本剤使用時に副作用は発現しなかった1)
17.1.2 国内臨床試験
血液透析施行患者171例を対象とした本剤と酢酸透析液の比較試験の結果、窒素代謝産物の除去、血清電解質の是正については、酢酸透析液使用時と著差なく、透析効果という点では両者に差を認めなかった。
一方、透析中の血圧低下、気分不良、倦怠感等の愁訴発現頻度については、酢酸透析液使用時に比し著明な低下を認めた1)2)3)4)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
透析液は血液透析療法に用いられ、透析液と血液が透析器の透析膜を介して接することで拡散と限外濾過を行い体液の異常を是正する5)

20. 取扱い上の注意

20.1 液漏れ又は粉漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
20.2 以下の場合は使用しないこと。
・A液容器表面(口部等)に結晶が認められる場合
・A液容器から薬液が漏れている場合やB末袋から粉末が漏れている場合
・A液に変色が認められる場合
・A液容器キャップ部の保護シールがはがれている場合

22. 包装

A液・B末×2
(A液 10L(プラスチック容器)1本 B末 882g 1包)×2

23. 主要文献

  1. 水谷洋子 ほか, 人工透析研究会会誌, 13, 539-545, (1980) »DOI
  2. 松田正文, 薬理と治療, 8, 2029-2035, (1980)
  3. 社内資料:重炭酸タイプ透析液キンダリー液AF号の使用経験(1981年6月4日承認,申請資料概要提出資料(10)-4)
  4. 社内資料:キンダリー液AF号(重炭酸透析液)の使用経験(1981年6月4日承認,申請資料概要提出資料(10)-5)
  5. 松村治, 透析療法合同専門委員会編集委員会編:血液浄化療法ハンドブック[2025], 122, (2025), (協同医書出版)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
扶桑薬品工業株式会社 研究開発センター 学術室(9:00〜17:30/土日祝日を除く)
〒536-8523 大阪市城東区森之宮二丁目3番30号
電話:06-6964-2763
FAX:06-6964-2706
製品情報問い合わせ先
扶桑薬品工業株式会社 研究開発センター 学術室(9:00〜17:30/土日祝日を除く)
〒536-8523 大阪市城東区森之宮二丁目3番30号
電話:06-6964-2763
FAX:06-6964-2706

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
扶桑薬品工業株式会社
大阪市城東区森之宮二丁目3番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/10/22 版