医療用医薬品 : ラスリテック |
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総称名 | ラスリテック |
一般名 | ラスブリカーゼ(遺伝子組換え) |
欧文一般名 | Rasburicase(Genetical Recombination) |
製剤名 | ラスブリカーゼ(遺伝子組換え)製剤 |
薬効分類名 | がん化学療法用尿酸分解酵素製剤 |
薬効分類番号 | 3959 |
ATCコード | V03AF07 |
KEGG DRUG |
D05704
ラスブリカーゼ
商品一覧 米国の商品 |
JAPIC | 添付文書(PDF) |
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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ラスリテック点滴静注用1.5mg | RASURITEK | サノフィ | 3959415F1025 | 13084円/瓶 | 劇薬 , 処方箋医薬品 |
ラスリテック点滴静注用7.5mg | RASURITEK | サノフィ | 3959415F2021 | 52019円/瓶 | 劇薬 , 処方箋医薬品 |
本剤投与によりアナフィラキシーショックを含む重篤な過敏症が発現するおそれがあるので、投与終了後も十分な観察を行うこと。また、症状が発現した場合、直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。[「3.副作用(1)重大な副作用」の項参照]
溶血性貧血あるいはメトヘモグロビン血症を起こすおそれがあるので、症状が発現した場合、直ちに投与を中止し適切な処置を行うこと。[「3.副作用(1)重大な副作用」の項参照]
海外臨床試験において、グルコース‐6‐リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損の患者に本剤を投与後、重篤な溶血性貧血が認められている。G6PD欠損又はその他の赤血球酵素異常の有無については、家族歴の調査等十分に問診を行うこと。[【禁忌】の項参照]
次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
グルコース‐6‐リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損の患者又はその他の溶血性貧血を引き起こすことが知られている赤血球酵素異常を有する患者[溶血性貧血を引き起こすおそれがある。【警告】及び「3.副作用(1)重大な副作用」の項参照]
がん化学療法に伴う高尿酸血症
本剤の投与にあたっては、腫瘍崩壊症候群の発症リスクを考慮して適応患者を選択し、既存の支持療法では血中尿酸値の管理が不十分と考えられる場合にのみ投与すること。
がん化学療法後に発症した高尿酸血症の治療における本剤の有効性及び安全性は確立していない。[使用経験がない。]
通常、ラスブリカーゼとして0.2mg/kgを1日1回30分以上かけて点滴静注する。なお、投与期間は最大7日間とする。
本剤は、がん化学療法開始4〜24時間前に投与を開始すること。
投与期間が7日間を超えた場合の有効性及び安全性は確立していない。[使用経験がない。]
臨床症状及び血中尿酸濃度をモニタリングし、本剤の投与を血中尿酸濃度の管理上必要最小限の期間にとどめること。
本剤の初回使用(最大7日間の投与)後に、本剤を再度使用した場合の有効性及び安全性は確立していない。[使用経験が少ない。「2.重要な基本的注意」の項参照]
慎重投与
アレルギーを起こしやすい体質を有する患者[重症の即時型アレルギー反応があらわれるおそれがある。]
重要な基本的注意
本剤は必ず抗悪性腫瘍剤と併用されるため、緊急時に十分対応できる医療施設においてがん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで使用すること。
本剤の投与例に抗ラスブリカーゼ抗体(中和抗体)が発現したとの報告や1)2)3)、海外試験において、抗ラスブリカーゼ抗体陽性の患者に本剤を投与した後、重篤なアレルギー症状が発現したとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、本剤の治療歴がないことを確認して使用すること。
本剤は臨床検査結果(尿酸値)に影響を及ぼすことがあるので、注意すること。[「7.臨床検査値に及ぼす影響」の項参照]
副作用
副作用発現状況の概要
国内の臨床試験において、成人では総数50例中23例(46.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、肝機能障害(AST(GOT)上昇等)6例(12.0%)、アレルギー反応4例(8.0%)、電解質異常(Na、K、Pの異常)4例(8.0%)、悪心・嘔吐3例(6.0%)、注射部位反応(紅斑、硬結等)3例(6.0%)であった。小児では総数30例中6例(20.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、肝機能障害(AST(GOT)上昇等)2例(6.7%)、貧血2例(6.7%)であった。
海外の臨床試験において、成人では総数305例中40例(13.1%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、悪心・嘔吐7例(2.3%)、発熱6例(2.0%)、肝機能障害(AST(GOT)上昇等)6例(2.0%)、腹痛6例(2.0%)、下痢6例(2.0%)、発疹6例(2.0%)であった。小児では総数275例中97例(35.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、悪心・嘔吐38例(13.8%)、発熱28例(10.2%)、頭痛21例(7.6%)、下痢19例(6.9%)、感染(肺炎、敗血症等を含む)16例(5.8%)、腹痛15例(5.5%)であった。(承認時)
重大な副作用及び副作用用語
その他の副作用
5%以上〜10%未満 | 5%未満 | 頻度不明※ | |
血液 | 白血球減少、貧血、溶血、血小板減少、ヘモグロビン減少、APTT延長 | ||
消化器 | 便秘、悪心・嘔吐、食欲不振、心窩部不快感、咽喉頭不快感 | 下痢、腹痛、口内炎 | |
肝臓 | 肝機能障害(AST(GOT)、ALT(GPT)、Al‐P、総ビリルビンの上昇等) | LDH上昇、γ‐GTP上昇 | |
腎臓 | 尿蛋白、排尿困難、血尿 | ||
泌尿器 | BUN上昇、尿潜血陽性 | ||
精神神経系 | 頭痛、めまい | ||
皮膚 | 発疹、そう痒、脱毛、蕁麻疹 | ||
呼吸器 | 低酸素症、胸膜炎 | 呼吸困難、気管支痙攣、鼻炎 | |
筋・骨格 | 四肢痛 | 背部痛、顎痛 | |
代謝及び栄養 | 電解質異常(Na、K、Pの異常) | 血糖上昇、総蛋白減少、アミラーゼ上昇、アルブミン低下 | 電解質異常(Ca、Mgの異常) |
その他 | アレルギー反応 | 注射部位反応(硬結、紅斑等)、発熱、けん怠感、ほてり | 高血圧、徐脈、低血圧、感染(肺炎、敗血症等を含む)、粘膜の炎症、浮腫、疲労感、疼痛、カテーテル留置部位反応(紅斑、出血、疼痛等) |
高齢者への投与
一般的に高齢者では生理機能が低下しているため、副作用の発現に注意し慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、ラット及びウサギではともに心臓及び血管の奇形が認められており、ウサギでは着床後胚損失率、死亡胎児数及び吸収胚数の増加、生存胎児数及び胎児重量の減少、並びに胎児の骨格発生への影響が認められている。]
本剤投与中は授乳を避けさせること。[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない。[低出生体重児に対する使用経験はなく、新生児への使用経験は少ない。]
臨床検査値に及ぼす影響
採取した血液検体を室温に放置することにより本剤が尿酸を分解し、見かけ上の尿酸値が低くなる。正確な測定を行うためには、血液検体をあらかじめ冷却した試験管に入れ、氷浴等で速やかに低温状態にした上で保存し、採血後4時間以内に測定すること。
過量投与
本剤の作用機序から、過量投与により血漿中尿酸濃度の低下や、過酸化水素濃度の増加が考えられる。過量投与が疑われる患者においては溶血性貧血を起こすおそれがあるため十分に注意すること。なお、本剤に対する解毒剤はない。
適用上の注意
本剤は他の併用薬の点滴ラインとは別のラインで投与すること。なお、別のラインが使用できない場合は、本剤投与前に生理食塩液でラインを十分に洗浄すること。
希釈時にブドウ糖液を使用しないこと。
本剤を投与する際には、フィルターを使用しないこと。
本剤を溶解する際には、振とうしないこと。なお、溶解後に著しい沈殿の認められるものは使用しないこと。
生理食塩液と混和した後は速やかに使用し、残液は廃棄すること。なお、溶解及び希釈後にやむを得ず保存する場合には、2〜8℃で保存し、24時間以内に使用すること。
血漿中濃度
健康成人における薬物動態3)
日本人健康成人男性に本剤0.05〜0.2mg/kgを単回で30分間静脈内点滴投与した時の薬物動態パラメータを以下に示す。AUC及びCmaxは用量依存的に増加したが、t1/2z、CL及びVzは用量の増加に伴い増加又は減少する傾向はみられなかった。
血漿中ラスブリカーゼの薬物動態パラメータ
投与量 (mg/kg) | 被験者数 | Cmax (μg/mL) | AUC (μg・h/mL) | CL (mL/h/kg) | Vz (mL/kg) | t1/2z
(h) |
0.05 | 6 | 1.07±0.18 | 23.5±3.79 | 2.17±0.39 | 78.8±17.6 | 25.1±2.84 |
0.10 | 6 | 2.27±0.20 | 46.1±4.12 | 2.20±0.20 | 70.3±6.48 | 22.2±1.59 |
0.15 | 6 | 3.07±0.43 | 53.9±9.63 | 2.88±0.62 | 89.5±17.2 | 21.7±1.42 |
0.20 | 6 | 4.60±1.07 | 79.1±20.1 | 2.68±0.72 | 86.8±22.9 | 22.8±4.43 |
日本人患者における薬物動態
[成人患者の薬物動態]1)
日本人成人患者に本剤0.15あるいは0.2mg/kgを30分間静脈内点滴投与法にて5日間反復投与したときの薬物動態パラメータを以下に示す。
日本人成人患者にラスブリカーゼを30分間静脈内点滴投与したときの血漿中ラスブリカーゼ濃度推移
血漿中ラスブリカーゼの薬物動態パラメータ
投与量 (mg/kg) | 被験者数 | Day1 | Day5 | |||
Cmax (μg/mL) | AUC0-24
(μg・h/mL) | Cmax (μg/mL) | AUC0-24
(μg・h/mL) | t1/2z
(h) | ||
0.15 | 11 | 3.73±1.08 | 45.7±7.54 | 3.95±0.71 | 48.2±9.66 | 22.5±5.8 |
0.20 | 10 | 4.24±1.56 | 59.3±15.8 | 5.13±1.47 | 65.2±22.7 | 16.1±5.6 |
[小児患者の薬物動態]2)
日本人小児患者に本剤0.15あるいは0.2mg/kgを30分間静脈内点滴投与法にて5日間反復投与したときの薬物動態パラメータを以下に示す。
日本人小児患者にラスブリカーゼを30分間静脈内点滴投与したときの血漿中ラスブリカーゼ濃度推移
血漿中ラスブリカーゼの薬物動態パラメータ
投与量 (mg/kg) | 被験者数 | Day1 | Day5 | |||
Cmax (μg/mL) | AUC0-24
(μg・h/mL) | Cmax (μg/mL) | AUC0-24
(μg・h/mL) | t1/2z
(h) | ||
0.15 | 10 | 2.16±0.51 | 28.2±7.27 | 2.49±0.37 | 29.7±6.46 | 11.6±4.96 |
0.20 | 9※ | 2.58±0.43 | 31.5±4.54 | 3.05±0.38 | 38.1±5.64 | 11.2±3.06 |
成人及び小児の造血器腫瘍患者における両臨床試験で、本剤0.15、0.20mg/kgを5日間投与して検討したところ、1日目及び5日目のAUC0-24及びCmaxは2用量間で用量に伴った上昇を示し、血漿中の本剤濃度は初回投与開始後2日目にほぼ定常状態に達した。
[国内臨床試験]
成人の白血病又は悪性リンパ腫患者を対象とした試験では、本剤0.15mg/kg、0.2mg/kgが各25例に投与され、有効率はそれぞれ100%、96%であった1)。
小児の造血器腫瘍患者を対象とした試験では、本剤0.15mg/kg、0.2mg/kgが各15例に投与され、有効率はそれぞれ93.3%、100%であった2)。
有効例の定義を以下に示す。
血漿中尿酸値がラスブリカーゼ初回投与開始後48時間までにエンドポイント(13歳以上の患者:≦7.5mg/dL、13歳未満の患者:≦6.5mg/dL)に達し、かつ最終投与(Day5)開始後24時間まで維持する症例
(注)本剤の承認された1回用量は0.2mg/kgである。
[海外臨床試験]4)
アロプリノールを対照とした第III相比較試験(小児の白血病又は悪性リンパ腫患者)では、27例に本剤、25例にアロプリノールが投与された。投与後96時間までの尿酸AUC(平均±S.D.)を比較した結果、本剤投与群は128±70mg・h/dLであり、アロプリノール投与群の329±129mg・h/dLに比べ有意に低かった(一元配置分散分析、p<0.0001)。なお、本試験では、アロプリノールは1回あたり25〜210mg(中央値100mg)の用量で、平均15.5回、6.3日間投与された。
ラスブリカーゼ投与群及びアロプリノール投与群の血漿中尿酸値推移
〔参考〕臨床試験の概要
試験番号 | 投与量 | 投与方法 | 投与期間 | |
国内 | ACT5080 ARD5290 | 0.15mg/kg又は 0.20mg/kg | 1日1回30分間の静脈内点滴投与 | 5日間 |
海外 | EFC2975 | 0.20mg/kg | 1日1回30分間の静脈内点滴投与 (高尿酸血症が継続している場合又はTLSの危険性が継続している場合は、化学療法開始後72時間までは12時間ごとに投与可能) | 5〜7日間 |
本剤は、尿酸を酸化し、アラントインと過酸化水素に分解することで、血中尿酸値を低下させる。
一般名 | ラスブリカーゼ(遺伝子組換え) |
一般名(欧名) | Rasburicase(Genetical Recombination) |
本質 | Aspergillus flavus由来の尿酸オキシダーゼcDNAの発現により組換え体で産生される、アミノ末端がアセチル化された301個のアミノ酸残基(C1523H2383N417O462S7;分子量:34,151.19)からなる同一のサブユニットの4量体タンパク質 |
KEGG DRUG | D05704 |
ラスリテック点滴静注用1.5mg×3バイアル(溶解液添付)
ラスリテック点滴静注用7.5mg×1バイアル(溶解液添付)
1. | Ishizawa,K.,et al., Cancer Sci., 100 (2), 357, (2009) »PubMed »DOI |
2. | Kikuchi,A.,et al., Int.J.Hematol., 90 (4), 492, (2009) »PubMed »DOI |
3. | 社内資料:日本人健康成人単回静脈内投与試験 |
4. | Goldman,S.C.,et al., Blood, 97 (10), 2998, (2001) »PubMed »DOI |
改訂履歴 |
2012年10月 改訂 |
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業態及び業者名等 |
製造販売 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2021/2/17 版 |