医療用医薬品 : イナビル

List   Top

医薬品情報


総称名 イナビル
一般名 ラニナミビルオクタン酸エステル水和物
欧文一般名 Laninamivir Octanoate Hydrate
製剤名 ラニナミビルオクタン酸エステル水和物吸入粉末剤
薬効分類名 長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤
薬効分類番号 6250
KEGG DRUG
D09547 ラニナミビルオクタン酸エステル水和物
KEGG DGROUP
DG03029 抗インフルエンザウイルス薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。

添付文書情報2019年6月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
イナビル吸入粉末剤20mg INAVIR DRY POWDER INHALER 第一三共 6250703G1022 2179.5円/キット 処方箋医薬品注)

1. 警告

1.1 本剤の使用にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。[5.1-5.4参照]
1.2 インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤の予防使用はワクチンによる予防に置き換わるものではない。

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防

5. 効能または効果に関連する注意

<効能共通>
5.1 本剤はC型インフルエンザウイルス感染症には効果がない。[1.1参照]
5.2 本剤は細菌感染症には効果がない。[1.18.2参照]
.<治療>
5.3 抗ウイルス薬の投与が全てのA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療に必須ではないことを踏まえ、本剤の使用の必要性を慎重に検討すること。[1.1参照]
<予防>
5.4 原則として、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である次の者を対象とする。[1.1参照]
・高齢者(65歳以上)
・慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者
・代謝性疾患患者(糖尿病等)
・腎機能障害患者

6. 用法及び用量

効能又は効果用法及び用量
治療成人ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。
小児10歳以上
10歳未満ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する。
予防成人ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。また、20mgを1日1回、2日間吸入投与することもできる。
小児10歳以上
10歳未満ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 本剤は、1容器あたりラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを含有し、薬剤が2ヵ所に充填されているので、次表のとおり吸入投与すること。[14.1参照]
 治療予防
成人及び10歳以上の小児2容器(計4ヵ所)単回投与の場合
2容器(計4ヵ所)
2日間投与の場合
1回あたり1容器(1回あたり2ヵ所)
10歳未満の小児1容器(2ヵ所)1容器(2ヵ所)
<治療>
7.2 症状発現後、可能な限り速やかに投与を開始することが望ましい。症状発現から48時間を経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。
<予防>
7.3 次の点を注意して使用すること。
・インフルエンザウイルス感染症患者に接触後2日以内に投与を開始する。接触から48時間を経過後に投与を開始した場合における有効性を裏付けるデータは得られていない。
・本剤の服用開始から10日以降のインフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は確認されていない。

8. 重要な基本的注意

8.1 抗インフルエンザウイルス薬の服薬の有無又は種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている。
異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、1)異常行動の発現のおそれがあること、2)自宅において療養を行う場合、少なくとも発熱から2日間、保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じること、について患者・家族に対し説明を行うこと。
なお、転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと、発熱から2日間以内に発現することが多いこと、が知られている。[11.1.3参照]
8.2 細菌感染症がインフルエンザウイルス感染症に合併したり、インフルエンザ様症状と混同されることがある。細菌感染症の場合には、抗菌剤を投与するなど適切な処置を行うこと。[5.2参照]
8.3 本剤投与後に失神やショック症状があらわれたとの報告がある。この失神やショック症状はインフルエンザウイルス感染症に伴う発熱、脱水等の全身状態の悪化に加え、本剤を強く吸入したこと又は長く息を止めたことが誘因となった可能性及び本剤による可能性がある。患者には使用説明書に記載されている吸入法を十分に理解させ、くつろいだ状態(例えば座位等)で吸入するよう指導すること。[11.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者
本剤は、夾雑物として乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しており、アナフィラキシーがあらわれたとの報告がある。
9.1.2 慢性呼吸器疾患(気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患等)を有する患者
患者の状態を十分に観察しながら投与すること。インフルエンザウイルス感染症により気道過敏性が亢進することがあり、気管支攣縮や呼吸機能低下がみられた例が報告されている。[11.1.2参照]
9.1.3 基礎疾患(糖尿病を含む慢性代謝性疾患、慢性腎機能障害、慢性心疾患)を有する患者、あるいは免疫低下状態の患者等
患者の状態を十分に観察しながら投与すること。使用経験が少ない。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
9.7.1 本剤を適切に吸入投与できると判断された場合にのみ投与すること。
9.7.2 幼児へ投与する場合には、患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
9.7.3 低出生体重児、新生児又は乳児に対する有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察しながら投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。[16.6.2参照]

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
失神、呼吸困難、蕁麻疹、血圧低下、顔面蒼白、冷汗等があらわれることがある。本剤投与後に失神やショック症状があらわれた場合には、患者に仰臥位をとらせ安静を保つとともに、補液を行うなど適切な処置を行うこと。[8.3参照]
11.1.2 気管支攣縮(頻度不明)、呼吸困難(頻度不明)[9.1.2参照]
11.1.3 異常行動(頻度不明)
因果関係は不明であるものの、インフルエンザ罹患時には、転落等に至るおそれのある異常行動(急に走り出す、徘徊する等)があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.4 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、多形紅斑(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.5%以上0.5%未満頻度不明
過敏症 蕁麻疹発疹、紅斑、そう痒
消化器下痢胃腸炎、悪心、嘔吐、腹痛、口内炎、腹部膨満、食欲減退、腹部不快感 
精神神経系 めまい、頭痛 
呼吸器  咳嗽(むせ)
血液 白血球数増加 
肝臓ALT上昇肝機能異常、AST上昇、γ-GTP上昇 
泌尿器 尿蛋白 
その他 CRP上昇、尿中ブドウ糖陽性 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
本剤は口腔内への吸入投与にのみ使用すること。[7.1参照]
14.2 薬剤交付時の注意
14.2.1 患者又は保護者には添付の使用説明書を渡し、空の容器によるデモンストレーションも含めて使用方法を指導すること。
14.2.2 本剤は防湿のためアルミ包装されているので、吸入の直前にアルミ包装を開封すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
<成人>
健康成人男性16例にラニナミビルオクタン酸エステルとして20mg又は40mgを単回吸入投与したときの活性代謝物ラニナミビルの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった1)
ラニナミビルの血漿中濃度推移
血漿中ラニナミビルの薬物動態パラメータ
投与量例数Cmax(ng/mL)Tmaxa)(hr)AUC0-tz(ng・hr/mL)t1/2(hr)
20mg819.0±3.14.0(3.0〜6.0)558.0±96.466.6±9.1
40mg838.3±9.84.0(3.0〜6.0)1080±15674.4±19.3
<小児>
4〜12歳の小児のインフルエンザウイルス感染症患者19例にラニナミビルオクタン酸エステルとして20mg又は40mgを単回吸入投与したときの活性代謝物ラニナミビルの血漿中濃度は次のとおりであった。
ラニナミビルの血漿中濃度
投与量例数投与1時間後投与4時間後投与24時間後投与144時間後
20mg812.0±8.117.6±10.05.3±2.70.5±0.8
40mg1121.7±7.732.7±10.09.6±3.02.0±1.1
16.3 分布
16.3.1 組織移行
健康成人男性35例にラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与したときの活性代謝物ラニナミビルの血漿、肺胞粘液及び肺胞マクロファージ中濃度推移並びに薬物動態パラメータの推定値は次のとおりであった2)
ラニナミビルの血漿、肺胞粘液及び肺胞マクロファージ中濃度推移
各測定時点5例(ただし、0.25時間、2時間、3.5時間後の血漿中濃度は35例)
注)血漿中濃度は0.25時間後で1例、168時間後で2例、240時間後で4例が定量下限未満であった。
ラニナミビルの薬物動態パラメータの推定値
試料Cmax(ng/mL)Tmax(hr)AUClast(ng・hr/mL)t1/2(hr)
血漿25.453.582645.7
肺胞粘液3.51×103 4.088.1×103 358.5
肺胞マクロファージ143×103 8.011.2×106 211.0
ラットに14C-ラニナミビルオクタン酸エステル水和物を単回経気管投与したところ、放射能は主な標的組織である気管や肺に高濃度に認められ、肺中放射能濃度は消失半減期23.2時間で推移した。放射能は中枢神経系(脳・脊髄)にはほとんど認められなかった。
16.3.2 蛋白結合率(超遠心法)
ヒト血漿蛋白結合率は、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物では67〜70%、活性代謝物ラニナミビルでは0.4%以下であった(in vitro)。
16.4 代謝
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は、吸入投与後、気管及び肺において加水分解により活性代謝物ラニナミビルに変換されると推測される。
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物及びラニナミビルは、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝試験で主要なチトクロームP450分子種(1A2、2C9、2C19、2D6及び3A4)に対して阻害を示さなかった。また、ヒト培養肝細胞にて、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物及びラニナミビルによるチトクロームP450分子種(1A2、3A4)の誘導は認められなかった。
16.5 排泄
健康成人男性8例にラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与したとき、活性代謝物ラニナミビルの投与144時間後までの累積尿中排泄率は投与量の23.1%であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
クレアチニンクリアランス(CLcr)値により規定された腎機能低下者13例にラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与したところ、活性代謝物ラニナミビルのt1/2に変化は認めず、AUC0-infは、腎機能正常者と比較して、軽度(CLcr:50〜80mL/min)、中等度(CLcr:30〜50mL/min)及び重度(CLcr:30mL/min未満)の腎機能低下者でそれぞれ1.1倍、2.0倍、4.9倍であった3)
16.6.2 高齢者
健康な高齢者(65歳以上)6例にラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与したところ、非高齢者(20〜45歳)と比較して、活性代謝物ラニナミビルのTmax及びt1/2に変化は認めず、Cmaxが0.5倍、AUC0-infが0.8倍であった。[9.8参照]
注)本剤の承認された1回の最大用量は、20mg(10歳未満の小児)及び40mg(成人及び10歳以上の小児)である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<治療試験成績>
17.1.1 国際共同第III相試験(成人)
日本及び海外(台湾、韓国、香港)で実施されたオセルタミビルリン酸塩を対照薬とした国際共同第III相二重盲検比較試験におけるインフルエンザ罹病時間(全てのインフルエンザ症状が「なし」又は「軽度」に改善し、それらが21.5時間以上持続するまでの時間)に対する有効性を以下に示す。無作為化された1,003例の実施国・地域別の内訳は、日本787例、台湾188例、韓国21例、香港7例であった。
主要評価項目であるインフルエンザ罹病時間(中央値)は、ラニナミビルオクタン酸エステル40mg群で73.0時間、対照薬であるオセルタミビル75mg群で73.6時間を示し、差の95%信頼区間の上限(6.9時間)は規定した非劣性限界値である18時間を下回り、1日2回5日間反復経口投与のオセルタミビルリン酸塩に対する単回吸入投与のラニナミビルオクタン酸エステル水和物の非劣性が検証された4)
インフルエンザ罹病時間
投与群ラニナミビルオクタン酸エステル水和物オセルタミビルリン酸塩
40mga) 75mgb)
投与方法単回吸入5日間反復経口(1日2回)
被験者数(例)334336
中央値(hr)[95%信頼区間]73.0[68.4〜80.8]73.6[68.5〜83.3]
中央値の差c)(hr)[95%信頼区間]−0.6[−9.9〜6.9]
副作用発現頻度は、ラニナミビルオクタン酸エステル40mg群で13.1%(44/337例)であった。主な副作用は、下痢6.5%(22/337例)であった。
17.1.2 国内第III相試験(小児)
(1)3〜9歳における成績
3〜9歳の小児を対象とした第III相二重盲検比較試験を、ラニナミビルオクタン酸エステル20mgを単回吸入投与で、対照薬をオセルタミビルリン酸塩(オセルタミビルとして2mg/kg/回を1日2回5日間経口投与)として実施した。主要評価項目であるインフルエンザ罹病時間(咳及び鼻症状の2症状が「なし」又は「軽度」に改善し、かつ体温が37.4℃以下となって、それらが21.5時間以上持続するまでの時間)は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg群で56.4時間、対照薬であるオセルタミビル2mg/kg群で87.3時間であった5)
インフルエンザ罹病時間
投与群ラニナミビルオクタン酸エステル水和物オセルタミビルリン酸塩
20mga) 2mg/kgb)
投与方法単回吸入5日間反復経口(1日2回)
被験者数(例)6162
中央値(hr)[95%信頼区間]56.4[43.7〜69.2]87.3[67.9〜129.7]
中央値の差(hr)[95%信頼区間]−31.0[−50.3〜-5.5]
副作用発現頻度は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg群で8.2%(5/61例)であった。主な副作用は、下痢4.9%(3/61例)、嘔吐3.3%(2/61例)であった。
(2)10〜19歳における成績
10〜19歳の未成年を対象とし、ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mg又は40mgの単回吸入投与による二重盲検比較試験を実施した。主要評価項目であるインフルエンザ罹病時間(全てのインフルエンザ症状が「なし」又は「軽度」に改善し、それらが21.5時間以上持続するまでの時間)は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg群で87.1時間、40mg群で76.0時間(いずれも中央値)であった。中央値の差[95%信頼区間]は−11.1時間[−32.9〜13.0]であり、有意差は認められないものの、40mg群は20mg群と比較してインフルエンザ罹病時間が短かった6)
副作用発現頻度は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg群で3.1%(2/64例)、40mg群で5.4%(3/56例)であった。20mg群では2例で下痢の副作用が発現した。
<予防試験成績>
17.1.3 国内第III相試験(成人及び10歳以上の小児)
(1)単回吸入投与時のインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症患者の同居家族又は共同生活者(10歳以上)を対象として、ラニナミビルオクタン酸エステル40mgを単回吸入投与したときのインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果(10日間)を検討した。また、40mgを単回吸入投与と20mgを1日1回2日間吸入投与したときの発症抑制効果を比較した。
主要評価項目である臨床的インフルエンザウイルス感染症の発症割合は、ラニナミビルオクタン酸エステル40mg単回投与群で4.5%(12/267)、20mg2回投与群で4.5%(12/269)、プラセボ群で12.1%(32/265)であり、ラニナミビルオクタン酸エステル40mg単回投与群はプラセボ群と比較して統計的に有意に低かった(P=0.0015)。また、プラセボ群に対する相対リスク減少率[95%信頼区間]は、40mg単回投与群で62.8%(29.3〜80.4)、20mg2回投与群で63.1%[29.8〜80.5]であり、両群で同程度であった。
ウイルス型・亜型別の臨床的インフルエンザウイルス感染症の発症割合は、ラニナミビルオクタン酸エステル40mg単回投与群、20mg2回投与群、及びプラセボ群で、A型(H3N2)ではそれぞれ4.5%(12/265)、4.7%(12/258)、及び12.4%(32/258)、B型ではそれぞれ0.0%(0/2)、0.0%(0/3)、及び0.0%(0/2)であった7)
臨床的インフルエンザウイルス感染症の発症割合
投与群ラニナミビルオクタン酸エステル水和物プラセボ
40mga)単回20mga)2日間
被験者数(例)267269265
発症被験者数(例)121232
発症割合(%)4.54.512.1
Pb) 0.0015
相対リスク減少率c)(%)[95%信頼区間]62.8[29.3〜80.4]63.1[29.8〜80.5]
副作用発現頻度は、ラニナミビルオクタン酸エステル40mg単回投与群で1.9%(5/267例)、20mg2回投与群で1.9%(5/269例)で、主な副作用は尿中ブドウ糖陽性0.7%(2/267例)であった。
(2)2日間吸入投与時のインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症患者の同居家族又は共同生活者(10歳以上)を対象として、ラニナミビルオクタン酸エステル20mgを1日1回2日間吸入投与したときのインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果(10日間)を検討した。
主要評価項目である臨床的インフルエンザウイルス感染症の発症割合は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg2回投与群で3.9%(19/487)、プラセボ群で16.9%(81/478)であり、プラセボ群と比較して統計的に有意に低かった(P<0.0001)。また、プラセボ群に対する相対リスク減少率[95%信頼区間]は、77.0%[62.7〜85.8]であった。
ウイルス型・亜型別の臨床的インフルエンザウイルス感染症の発症割合は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg2回投与群及びプラセボ群で、A型(H3N2)ではそれぞれ3.6%(16/443)及び17.3%(75/434)、B型ではそれぞれ7.0%(3/43)及び14.0%(6/43)であった8)
臨床的インフルエンザウイルス感染症の発症割合
投与群ラニナミビルオクタン酸エステル水和物プラセボ
20mga)2日間
被験者数(例)487478
発症被験者数(例)1981
発症割合(%)3.916.9
Pb) <0.0001
相対リスク減少率c)(%)[95%信頼区間]77.0[62.7〜85.8]
副作用発現頻度は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg2回投与群で3.1%(17/552例)で、主な副作用は下痢0.7%(4/552例)であった。
17.1.4 国内第III相試験(10歳未満の小児)
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症患者の同居家族又は共同生活者(2〜9歳)を対象として、ラニナミビルオクタン酸エステル20mgを単回吸入投与したときのインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果(10日間)を二重盲検比較試験にて検討した。
主要評価項目である臨床的インフルエンザウイルス感染症の発症割合は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg単回投与群で10.5%(18/171)、プラセボ群で19.4%(33/170)であり、プラセボ群と比較して統計的に有意に低かった(P=0.0232)。
また、プラセボ群に対する相対リスク減少率[95%信頼区間]は、45.8%(7.5〜68.2)であった。
ウイルス型・亜型別の臨床的インフルエンザウイルス感染症の発症割合は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg単回投与群及びプラセボ群で、A型(H3N2)ではそれぞれ10.9%(18/165)及び19.6%(33/168)、B型ではそれぞれ0.0%(0/2)及び当該感染被験者なしであった9)
臨床的インフルエンザウイルス感染症の発症割合
投与群ラニナミビルオクタン酸エステル水和物プラセボ
20mga)単回
被験者数(例)171170
発症被験者数(例)1833
発症割合(%)10.519.4
Pb) 0.0232
相対リスク減少率c)(%)[95%信頼区間]45.8[7.5〜68.2]
副作用発現頻度は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg単回投与群で1.2%(2/171例)で認められた副作用は、軟便、ALT上昇及びAST上昇が各0.6%(1/171例)であった。
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 国内第IV相試験
慢性呼吸器疾患を基礎疾患に有するインフルエンザウイルス感染症患者(20〜77歳)を対象にオセルタミビルリン酸塩を対照薬とした二重盲検比較試験を実施した。
有効性の主要評価項目であるインフルエンザ罹病時間(全てのインフルエンザ症状が「なし」又は「軽度」に改善し、それらが21.5時間以上継続するまでの時間)の中央値は、ラニナミビルオクタン酸エステル40mg群で64.7時間、オセルタミビル75mg群で59.7時間であり、同様の推移で回復した10)
副作用発現頻度は、ラニナミビルオクタン酸エステル40mg群で13.7%(14/102例)であった。主な副作用は、下痢2.9%(3/102例)であった。
注)本剤の承認された1回の最大用量は、20mg(10歳未満の小児)及び40mg(成人及び10歳以上の小児)である。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物はプロドラッグであり、加水分解により活性代謝物ラニナミビルに変換された後、抗ウイルス作用を示す。
ラニナミビルは、A型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制する。
18.2 抗ウイルス作用(in vitro)
ラニナミビルはA型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを低濃度(実験室株IC50:2.32〜38.8nM、臨床分離株IC50:1.29〜26.5nM)で阻害した11)。また、ラニナミビルは、オセルタミビルリン酸塩耐性株(IC50:5.62〜48.9nM)や、インフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルス(IC50:0.41nM)及び高病原性鳥インフルエンザA型(H5N1)ウイルス(IC50:0.28〜2.1nM)に対しても抗ウイルス作用(ノイラミニダーゼ阻害活性)を示した11) 12) 13)
18.3 抗ウイルス作用(In vivo)
A型インフルエンザウイルスのマウス感染モデルでは、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与により、6.6〜660μg/kgで有意な肺中ウイルス力価の減少、21〜190μg/kgで有意な生存数の増加といった治療効果が認められた14)
B型インフルエンザウイルスのフェレット感染モデルで、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与(24μg/kg及び240μg/kg)は、鼻腔洗浄液中のウイルス力価を低下させた14) 15)
また、インフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルスのマウス感染モデルにおいて、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物700μg/kgの単回経鼻投与で有意な肺中ウイルス力価の減少が認められた12)
高病原性鳥インフルエンザA型(H5N1)ウイルスのマウス感染モデルにおいても、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与は、75μg/kg以上の投与量で感染3日後の、750μg/kg以上の投与量で感染6日後までの肺中ウイルス力価を減少させた13)
18.4 耐性
インフルエンザウイルス感染症に対するラニナミビルオクタン酸エステル水和物の効果を検討した国内臨床試験8試験(国際共同試験の1試験含む)で、1,917例の患者から分離したインフルエンザウイルス株において活性代謝物ラニナミビルに対する感受性が低下した株は認められなかった。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ラニナミビルオクタン酸エステル水和物

一般的名称 ラニナミビルオクタン酸エステル水和物
一般的名称(欧名) Laninamivir Octanoate Hydrate
化学名 (2R,3R,4S)-3-Acetamido-4-guanidino-2-[(1R,2R)-2-hydroxy-1-methoxy-3-(octanoyloxy)propyl]-3,4-dihydro-2H-pyran-6-carboxylic acid monohydrate
(2R,3R,4S)-3-Acetamido-4-guanidino-2-[(1S,2R)-3-hydroxy-1-methoxy-2-(octanoyloxy)propyl]-3,4-dihydro-2H-pyran-6-carboxylic acid monohydrate
分子式 C21H36N4O8・H2O
分子量 490.55
融点 約235℃(分解)
物理化学的性状 白色の粉末である。
分配係数 log Pow=0.0(pH7.0、オクタノール/水系)
KEGG DRUG D09547

22. 包装

2容器(2キット)

23. 主要文献

  1. Yoshiba S,et al., J Bioequiv Availab., 3 (1), 001-004, (2011)
  2. Ishizuka H,et al., Antimicrob Agents Chemother., 56 (7), 3873-3878, (2012) »PubMed
  3. Ishizuka H,et al., J Clin Pharmacol., 51 (2), 243-251, (2011) »PubMed
  4. Watanabe A,et al., Clin Infect Dis., 51 (10), 1167-1175, (2010) »PubMed
  5. Sugaya N,et al., Antimicrob Agents Chemother., 54 (6), 2575-2582, (2010) »PubMed
  6. 社内資料:CS-8958第III相試験−未成年(10歳代)のインフルエンザウイルス感染症患者を対象とした無作為化二重盲検比較試験−(2010年9月10日承認、CTD2.7.6.13)
  7. Kashiwagi S,et al., Clin Infect Dis., 63 (3), 330-337, (2016) »PubMed
  8. Kashiwagi S,et al., J Infect Chemother., 19 (4), 740-749, (2013) »PubMed
  9. 社内資料:10歳未満の小児を対象にインフルエンザウイルス感染症発症抑制効果の検証を目的としたプラセボとの無作為化二重盲検比較試験
  10. Watanabe A., J Infect Chemother., 19 (1), 89-97, (2013) »PubMed
  11. Yamashita M,et al., Antimicrob Agents Chemother., 53 (1), 186-192, (2009) »PubMed
  12. Itoh Y,et al., Nature., 460 (7258), 1021-1025, (2009) »PubMed
  13. Kiso M,et al., PLoS Pathog., 6 (2), e1000786, (2010) »PubMed
  14. Kubo S,et al., Antimicrob Agents Chemother., 54 (3), 1256-1264, (2010) »PubMed
  15. 社内資料:フェレット感染モデルにおける抗ウイルス作用(2010年9月10日承認、CTD2.6.2.2)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
第一三共株式会社 製品情報センター
〒103-8426 東京都中央区日本橋本町3-5-1
電話:0120-189-132
製品情報問い合わせ先
第一三共株式会社 製品情報センター
〒103-8426 東京都中央区日本橋本町3-5-1
電話:0120-189-132

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
第一三共株式会社
東京都中央区日本橋本町3-5-1

その他の説明

25.保険給付上の注意

本剤は、「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療」の目的で使用した場合にのみ保険給付されます。

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2020/3/18 版