医療用医薬品 : ジクロフェナクNa

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医薬品情報


総称名 ジクロフェナクNa
一般名 ジクロフェナクナトリウム
欧文一般名 Diclofenac Sodium
製剤名 ジクロフェナクナトリウムゲル軟膏・ジクロフェナクナトリウムローション
薬効分類名 経皮鎮痛消炎剤
薬効分類番号 2649
ATCコード D11AX18
KEGG DRUG
D00904 ジクロフェナクナトリウム
KEGG DGROUP
DG01504 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID)
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2025年4月 改訂(第3版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」 (後発品) DICLOFENAC Na GEL 1%「RAKOOL」 三友薬品 2649734Q1093 3円/g
ジクロフェナクNaローション1%「ラクール」 (後発品) DICLOFENAC Na LOTION 1%「RAKOOL」 三友薬品 2649734Q2049 3円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等により誘発される喘息発作)又はその既往歴のある患者[重症喘息発作を誘発するおそれがある。][9.1.1参照]

4. 効能または効果

下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛(筋・筋膜性腰痛症等)、外傷後の腫脹・疼痛

6. 用法及び用量

<ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」>
症状により、適量を1日数回患部に塗擦する。
<ジクロフェナクNaローション1%「ラクール」>
症状により、適量を1日数回患部に塗布する。

8. 重要な基本的注意

8.1 消炎鎮痛剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること。
8.2 慢性疾患(変形性関節症等)に対し本剤を用いる場合には、薬物療法以外の療法も考慮すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 気管支喘息のある患者(アスピリン喘息又はその既往歴のある患者を除く)
アスピリン喘息ではないことを十分に確認すること。気管支喘息の患者の中にはアスピリン喘息患者も含まれている可能性があり、それらの患者では重症喘息発作を誘発するおそれがある。[2.2参照]
9.1.2 皮膚感染症のある患者
感染を伴う炎症に対して用いる場合には適切な抗菌剤又は抗真菌剤を併用し、観察を十分行い慎重に使用すること。皮膚の感染症を不顕性化するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。シクロオキシゲナーゼ阻害剤を妊娠中期以降の妊婦に使用し、胎児動脈管収縮が起きたとの報告がある。また、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ニューキノロン系抗菌剤
レボフロキサシン等
痙攣を起こすおそれがある。痙攣が発現した場合には、気道を確保し、ジアゼパムの静注等を行う。ニューキノロン系抗菌剤が脳内の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体結合を濃度依存的に阻害し、ある種の非ステロイド性抗炎症剤との共存下ではその阻害作用が増強されることが動物で報告されている。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(じん麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)があらわれることがある。
11.1.2 接触皮膚炎(頻度不明)
使用部位に発赤、紅斑、発疹、そう痒感、疼痛の皮膚症状があらわれ、腫脹、浮腫、水疱・びらん等に悪化し、さらに全身に拡大し重篤化することがある。
注)1%ジクロフェナクナトリウム軟膏における発現頻度
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
皮膚皮膚炎、そう痒感、発赤、皮膚のあれ、刺激感水疱、色素沈着光線過敏症、浮腫、腫脹、皮膚剥脱

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
14.1.1 眼及び粘膜に使用しないこと。
14.1.2 表皮が欠損している場合に使用すると一時的にしみる、ヒリヒリ感を起こすことがあるので使用に際し注意すること。
14.1.3 密封包帯法(ODT)での使用により、全身的投与(経口剤、坐剤)と同様の副作用が発現する可能性があるので、密封包帯法で使用しないこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男子の腰背部に、1%ジクロフェナクナトリウム軟膏2.5g、5g、7.5gを単回及び2.5g、7.5gを反復経皮適用したときの血漿中ジクロフェナク濃度はいずれも、経口剤25mg単回投与に比べ著しく低濃度であった1)
16.3 分布
<変形性関節症>
経皮適用部直下の皮下脂肪、筋肉、滑膜中には、血漿中ジクロフェナク濃度より高濃度に検出された2)
16.5 排泄
16.1の試験において、尿中排泄率はわずかであった1)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 高齢者
非高齢者と同程度であり、加齢の影響は少なかった1)
16.8 その他
16.8.1 生物学的同等性試験
<ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」>
ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」とナボールゲル1%について、健康成人男子の背部に塗布したときのジクロフェナクナトリウムの皮膚への移行量を、角層内ジクロフェナクナトリウム回収量を指標として検証した。得られた両製剤のジクロフェナクナトリウム回収量の平均値の差の90%信頼区間は、生物学的同等性の判定基準log(0.7)〜log(1.43)を満たしていたことから、両製剤の生物学的同等性が確認された3)
<ジクロフェナクNaローション1%「ラクール」>
ジクロフェナクNaローション1%「ラクール」とボルタレンローション1%について、健康成人男子の背部に塗布したときのジクロフェナクナトリウムの皮膚への移行量を、角層内ジクロフェナクナトリウム回収量を指標として検証した。得られた両製剤のジクロフェナクナトリウム回収量の平均値の差の90%信頼区間は、生物学的同等性の判定基準log(0.7)〜log(1.43)を満たしていたことから、両製剤の生物学的同等性が確認された4)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
二重盲検試験を含む935例の臨床試験結果より、1%ジクロフェナクナトリウム軟膏の有効性が認められている5)6)7)8)9)10)11)12)13)14)15)16)17)18)19)20)
疾患名改善率(%)
(中等度改善以上/評価例数)
変形性関節症63.7(135/212例)
肩関節周囲炎60.0(81/135例)
腱・腱鞘炎、腱周囲炎66.9(85/127例)
上腕骨上顆炎66.0(70/106例)
筋肉痛74.6(153/205例)
外傷後の腫脹・疼痛78.0(117/150例)
68.6(641/935例)
17.3 その他
17.3.1 皮膚刺激性試験
<ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール>
健康成人33名(男性12名、女性21名)を対象とした48時間パッチテストの結果、皮膚刺激性は認められなかった21)
<ジクロフェナクNaローション1%「ラクール>
健康成人53名(男性8名、女性45名)を対象とした48時間パッチテストの結果、3例に紅斑が認められたが、いずれも軽微であった22)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
酸性非ステロイド性消炎鎮痛剤の作用機序は、主としてアラキドン酸代謝におけるシクロオキシゲナーゼの活性を阻害することにより、炎症、疼痛等に関与するプロスタグランジンの合成を阻害することとされている。
18.2 抗炎症作用
18.2.1 急性炎症
1%ジクロフェナクナトリウム軟膏は、カラゲニン足蹠浮腫(ラット)、紫外線紅斑(モルモット)で、1%インドメタシン軟膏と同程度の抗炎症作用を示した。また、カラゲニン誘発炎症足中(ラット)のプロスタグランジンE2の産生を有意に抑制した23)
18.2.2 亜急性・慢性炎症
1%ジクロフェナクナトリウム軟膏は、マスタード足蹠浮腫(ラット)、ペーパーディスク試験(ラット)、アジュバント関節炎(ラット)で、1%インドメタシン軟膏と同程度の抗炎症作用を示した23)
18.3 鎮痛作用
1%ジクロフェナクナトリウム軟膏は、酢酸ライジング疼痛試験(マウス)、イースト疼痛試験(ラット)で、1%インドメタシン軟膏と同程度の疼痛抑制作用を示した23)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ジクロフェナクナトリウム

一般的名称 ジクロフェナクナトリウム
一般的名称(欧名) Diclofenac Sodium
化学名 Monosodium 2-(2,6-dichlorophenylaimno)phenylacetate
分子式 C14H10Cl2NNaO2
分子量 318.13
融点 280℃(分解)
物理化学的性状 白色〜微黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(95)に溶けやすく、水又は酢酸(100)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。吸湿性である。
KEGG DRUG D00904

20. 取扱い上の注意

20.1 火気を避けて保存すること。
20.2 合成樹脂を軟化させたり、塗料を溶かしたり、金属を変色させるおそれがあるので注意すること。

22. 包装

<ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」>
50g[1チューブ]×10、60g[1チューブ]×10
<ジクロフェナクNaローション1%「ラクール」>
50g[1ボトル]×10、80g[1ボトル]×10、100g[1ボトル]×10

23. 主要文献

  1. ナボールゲル、ボルタレンゲルに関する資料:ヒトにおける成績(ナボールゲル1%、ボルタレンゲル1%:2000年1月18日承認、申請資料概要ヘ.III)
  2. 吉田 浩 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 393-405, (2000)
  3. 三友薬品社内資料:ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」の皮膚薬物動態学的試験による生物学的同等性試験(2010年7月15日承認、申請資料)
  4. 三友薬品社内資料:ジクロフェナクNaローション1%「ラクール」の皮膚薬物動態学的試験による生物学的同等性試験(2008年7月15日承認、申請資料)
  5. ナボールゲル、ボルタレンゲルに関する資料:臨床成績(ナボールゲル1%、ボルタレンゲル1%:2000年1月18日承認、申請資料概要ト)
  6. 宗広忠平 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 407-417, (2000)
  7. 真鍋 等 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 419-426, (2000)
  8. 青木虎吉 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 427-443, (2000)
  9. 青木虎吉 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 445-467, (2000)
  10. 青木虎吉 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 469-488, (2000)
  11. 青木虎吉 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 489-503, (2000)
  12. 長屋郁郎 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 505-519, (2000)
  13. 竹光義治 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 521-527, (2000)
  14. 渡辺好博 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 529-538, (2000)
  15. 小野啓郎 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 539-555, (2000)
  16. 岩崎勝郎 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 557-566, (2000)
  17. 高橋栄明 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 567-576, (2000)
  18. 山野慶樹 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 577-585, (2000)
  19. 井形高明 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 587-594, (2000)
  20. 杉岡洋一 ほか, 臨床医薬, 16 (4), 595-609, (2000)
  21. 三友薬品社内資料:ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」の48時間パッチテスト(2010年7月15日承認、申請資料)
  22. 三友薬品社内資料:ジクロフェナクNaローション1%「ラクール」の48時間パッチテスト(2008年7月15日承認、申請資料)
  23. ナボールゲル、ボルタレンゲルに関する資料:薬理作用(ナボールゲル1%、ボルタレンゲル1%:2000年1月18日承認、申請資料概要ホ.I)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ラクール薬品販売株式会社 DI室
〒123-0864 東京都足立区鹿浜1丁目9番14号
電話:03-3899-8881
FAX:03-3853-9641
製品情報問い合わせ先
ラクール薬品販売株式会社 DI室
〒123-0864 東京都足立区鹿浜1丁目9番14号
電話:03-3899-8881
FAX:03-3853-9641

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
三友薬品株式会社
東京都足立区鹿浜1丁目9番14号
26.2 発売元
ラクール薬品販売株式会社
東京都足立区鹿浜1丁目9番14号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版