2.1 造血機能の低下している患者[クロラムフェニコール投与後に再生不良性貧血、顆粒球減少、血小板減少等の重篤で致命的な血液障害の発生が報告されている。]
2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.4 骨髄抑制を起こす可能性のある薬剤を投与中の患者[
10.1参照]
<咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、感染性腸炎、中耳炎、副鼻腔炎>
「抗微生物薬適正使用の手引き」
1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
クロラムフェニコールとして、通常成人1回0.5〜1g(力価)を1日2回静脈内注射する。小児には、1回体重1kgあたり、15〜25mg(力価)を1日2回静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
8.1 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.2 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、以下の措置をとること。
・事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
・投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
・投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
8.3 再生不良性貧血があらわれることがあるので、血液検査を行うなど、観察を十分に行うこと。[
11.1.1参照]
8.4 本剤の投与に際しては、定期的に肝機能、腎機能、血液等の検査を行うことが望ましい。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
観察を十分に行うこと。抗生物質投与中にビタミンK欠乏による出血傾向を認めた症例が報告されている。
9.2 腎機能障害患者
クロラムフェニコールの血中濃度が高くなるため、副作用発現の危険性が増加する。
9.3 肝機能障害患者
クロラムフェニコールの血中濃度が高くなるため、副作用発現の危険性が増加する。
9.5 妊婦
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(家兎)で流早産、胎児の生存率の低下等の胎児毒性が報告されている
2)。
9.5.2 妊娠後期の女性に投与する必要がある場合には、胎児への移行を考慮すること。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒト母乳中への移行が認められている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児には投与しないこと。過量投与によりGray syndrome(腹部膨張に始まる嘔吐、下痢、皮膚蒼白、虚脱、呼吸停止等)が発症し、その予後が重篤である。[
2.2、
11.1.2参照]
9.8 高齢者
以下の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
・生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
・ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 再生不良性貧血(頻度不明)[
8.3参照]
11.1.2 Gray syndrome(頻度不明)[
9.7参照]
11.1.3 視神経炎、末梢神経炎(いずれも頻度不明)
長期投与により、視神経炎又は末梢神経炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、視覚の異常、四肢のしびれや異常感等が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 頻度不明 |
血液 | 顆粒球減少、血小板減少症 |
肝臓 | 肝障害 |
消化器 | 胃部圧迫感、悪心、嘔吐、軟便、下痢、腸炎 |
過敏症 | 過敏症状 |
菌交代症 | 菌交代症 |
ビタミン欠乏症 | ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等) ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等) |
14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤1バイアルに添付の日本薬局方注射用水、又は日本薬局方ブドウ糖注射液などの溶解液を加え、静かに振とうして溶解する。
| 加える溶解液の容量 | 注射量 |
1g(力価)1バイアルに対して | 10mL | 全量 |
また調製した注射液を更に適当な静注用溶媒で希釈して投与してもさしつかえない。
14.1.2 本剤の溶液は、元来透明で微黄色を呈するが、溶解後時間の経過したものでは明らかな黄色に変化することがある。しかしこの場合にも効力には影響なく、使用はさしつかえない。ただし絮状物の生じたものの使用は避けること。
14.2 薬剤投与時の注意
血管痛、血栓又は静脈炎を起こすことがあるので、注射部位、注射方法について十分注意し、注射の速度はできるだけ遅くすること(1分間以上をかけて)。
1バイアル(溶解液 日局 注射用水 10mL 1アンプル添付)