医療用医薬品 : ツインライン |
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販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
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ツインラインNF配合経腸用液 | Twinline-NF Liquid for Enteral Use | イーエヌ大塚製薬 | 3259117S1020 | 0.83円/mL |
次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
高度の肝・腎障害のある患者[肝性昏睡、高窒素血症などを起こすおそれがある。]
重症糖尿病などの糖代謝異常のある患者[高血糖、高ケトン血症などを起こすおそれがある。]
イレウスのある患者[消化管の通過障害がある。]
肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者[肝性昏睡が増悪又は発症するおそれがある。]
急性膵炎の患者[膵炎が増悪するおそれがある。]
先天性アミノ酸代謝異常の患者[アシドーシス、嘔吐、意識障害などのアミノ酸代謝異常の症状が発現するおそれがある。]
腸管の機能が残存していない患者[水、電解質、栄養素などが吸収されない。]
一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する。
通常、A液200mLとB液200mLを用時混合し、成人標準量として1日1,200〜2,400mL(1,200〜2,400kcal)を鼻腔チューブ、胃瘻又は腸瘻より胃、十二指腸又は空腸に1日12〜24時間かけて投与する。投与速度は75〜125mL/時間とする。経口摂取可能な場合は1回又は数回に分けて経口投与することもできる。
また、投与開始時は、通常1日当たり400mL(400kcal)を低速度(約50mL/時間)で投与し、臨床症状に注意しながら増量して3〜7日で標準投与量に達するようにする。
なお、年齢、体重、症状により投与量、投与濃度、投与速度を適宜増減する。
小児への投与
約0.4kcal/mLの濃度より投与を開始し、臨床症状を注意深く観察しながら、徐々に濃度を上昇させること。
なお、標準濃度は0.7〜0.8kcal/mLとする。
慎重投与
短腸症候群などの高度の腸管機能障害が予想される患者
長期経中心静脈栄養施行例など消化吸収能が極度に低下している患者
投与前から重度の消化器症状のある患者
高度の手術侵襲があった術後早期の患者
[上記1.〜4.の患者は腸管機能が低下しているため、投与量、投与濃度、投与速度に注意すること。]
重要な基本的注意
本剤はジ及びトリペプチドと遊離アミノ酸を主なたん白源とする低残渣性、易吸収性の消化態経腸栄養剤(エレメンタルダイエット)なので、一般に、未消化態たん白を含む経腸栄養剤による栄養管理が困難な場合に使用するが、このような場合、消化管運動機能を確認しながら、投与量、投与濃度及び投与速度に注意して投与すること。
未消化態たん白を含む経腸栄養剤及び経口食により栄養摂取が可能となった場合には、速やかに切り替えること。
ビタミン、電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので、必要に応じて補給すること。類薬の長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下、爪白色変化、筋力低下等)があらわれたとの報告がある。
経管投与患者においては、投与濃度が濃すぎる又は投与速度が速すぎると、投与終了後にダンピング症候群様の低血糖があらわれることがあるので、投与濃度、投与速度に注意すること(用法・用量及び用法・用量に関連する使用上の注意を参照)。
相互作用
併用注意
ワルファリン | ワルファリンの作用が減弱することがある。 | フィトナジオン(ビタミンK1)がワルファリンの作用に拮抗するため(本剤はフィトナジオンを6.25μg/100mL含有する)。 |
副作用
副作用発現状況の概要
承認時までの成人患者を対象とした365例の臨床試験において133例(36.4%)に副作用が認められた。その内訳は下痢111例(30.4%)、腹部膨満感27例(7.4%)、腹痛23例(6.3%)、嘔気12例(3.3%)、嘔吐4例(1.1%)、腹鳴亢進2例(0.5%)などの腹部症状であった。
また、承認時までの小児患者を対象とした57例の臨床試験において27例(47.4%)に副作用が認められた。その内訳は下痢24例(42.1%)、嘔吐6例(10.5%)、嘔気2例(3.5%)、腹部膨満感1例(1.8%)であった。
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
以下の副作用には別途市販後に報告された頻度の算出できない副作用を含む。
低血糖
投与終了後にダンピング症候群様の低血糖(けん怠感、発汗、冷汗、顔面蒼白、痙攣、意識低下等)があらわれることがあるので、このような症状が認められた場合には適切な処置を行うこと(用法・用量及び用法・用量に関連する使用上の注意を参照)。
ショック、アナフィラキシー様症状
ショック、アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、意識障害、呼吸困難、チアノーゼ、悪心、胸内苦悶、顔面潮紅、そう痒感、発汗等があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
5%以上 | 0.1〜5%未満 | 頻度不明* | |
消化器注1) | 下痢、腹部膨満感、腹痛 | 嘔気・嘔吐、腹鳴亢進 | 便秘 |
過敏症注2) | 発疹等 | ||
肝臓 | 血清AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ-GTP、LAP、LDHの上昇 | ||
糖代謝 | 血糖値の上昇 | ||
血液 | 血小板数、白血球数の上昇 | ||
その他 | 血清TG、BUN、血清カリウムの上昇、血清クロールの低下 |
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、投与量、投与速度に注意して投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
外国において、妊娠前3ヶ月から妊娠初期3ヶ月までにビタミンAを10,000IU/日以上摂取した女性から出生した児に、頭蓋神経堤などを中心とする奇形発現の増加が推定されたとする疫学調査結果1)があるので、妊娠3ヶ月以内又は妊娠を希望する婦人に投与する場合は用法・用量に留意し、本剤によるビタミンAの投与は5,000IU/日未満(本剤2,400mL/日以下)に留めるなど必要な注意を行うこと。
小児等への投与
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
投与経路
本剤は、消化態経腸栄養剤であるため、静脈内へは投与しないこと。
投与方法
経管投与時
分割投与の終了ごとに少量の水でチューブをフラッシングすること。
調製時
本剤は投与直前にA液とB液を混合して速やかに投与を開始し、12時間以内に終了すること。
本剤(A及びB液)の凍結は避けること。また、いったん凍結したものは使用しないこと。
本剤を加温する場合は高温(80℃以上)を避け、未開封のまま湯煎にて行うこと。
開封後は直射日光を避けること。
投与濃度及び投与速度
投与濃度が濃すぎる又は投与速度が速すぎると、投与終了後にダンピング症候群様の低血糖を起こすことがあるので、投与濃度、投与速度に注意すること。
その他
可塑剤としてDEHP〔di-(2-ethylhexyl)phthalate;フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)〕を含むポリ塩化ビニル製の栄養セット及びフィーディングチューブ等を使用した場合、DEHPが製剤中に溶出するので、DEHPを含まない栄養セット及びフィーディングチューブ等を使用することが望ましい。
消化器疾患及び救急領域患者を対象とした臨床試験における栄養改善度は次のとおりであった2)3)4)5)6)。
対象 | 患者 | 臨床試験 | 栄養改善度%(有効以上) |
消化器疾患 | 成人 | 第II相試験 | 100(65/65) |
成人 | 一般試験 | 69.3(97/140) | |
小児 | 一般試験 | 100(48/48)* | |
食道及び胃癌術後 | 成人 | 比較試験 | 92.6(63/68) |
救急領域 | 成人 | 一般試験 | 68.8(22/32) |
空腸カテーテル留置ラットを用いた試験で、乳たん白加水分解物はジ及びトリペプチド又はアミノ酸混合物よりも門脈血中への出現時間が速く、吸収量も多い傾向を認め、また、アミノ酸組成も投与物に近かったことから、乳たん白加水分解物は吸収が速やかで吸収量も多く、バランスよく吸収されることが認められた7)。
消化吸収障害ラットを用いた試験で、乳たん白加水分解物はジ及びトリペプチド又はアミノ酸混合物と同等以上に、体重増加、窒素出納、尿中尿素窒素及び3-メチルヒスチジン排泄量で良好な値を示し、消化吸収が障害された状態でも栄養学的に有効であることが認められた8)。
Thiry-Vella loop作製ラット及び小腸切除ラットを用いた試験で、トリカプリリンは長鎖脂肪酸トリグリセリドよりも吸収及びエネルギー代謝が速やかであり、エネルギー基質として優れることが認められた9)10)。
消化吸収障害ラットを用いた試験で、トリカプリリンは長鎖脂肪酸トリグリセリドよりも吸収率、体重増加、窒素出納で良好な値を示し、消化吸収が障害された状態でも栄養学的に有効であることが認められた11)。
消化吸収障害ラットを用いた試験で、トリカプリリンはデキストリンよりも体重増加、窒素出納、尿中尿素窒素排泄量、筋RNA及びたん白量で良好な値を示し、エネルギー基質として優れることが認められた12)。
小腸切除ラット及び消化吸収障害ラットを用いた試験で、本剤は市販消化態栄養剤と同等以上に体重増加と窒素出納に優れ、低残渣性であり、下痢発生が少ないことが認められた13)14)。
十二指腸カテーテル留置ラットを用いた試験で、本剤の窒素源と糖質は市販消化態栄養剤と同等以上の吸収性を示すことが認められた15)。
ラットを用いた空腸への持続投与試験で、本剤は市販消化態栄養剤と同等以上に胆汁及び膵液の分泌を刺激しないことが認められた16)。
ツインラインNF配合経腸用液
(A液200mL、B液200mL)×12
1. | Rothman,K.J.et al., The New England Journal of Medicine, 333 (21), 1369, (1995) »PubMed »DOI |
2. | 掛川暉夫ほか, JJPEN, 14 (2), 175, (1992) |
3. | 掛川暉夫ほか, JJPEN, 14 (2), 191, (1992) |
4. | 掛川暉夫ほか, JJPEN, 14 (2), 212, (1992) |
5. | 水田祥代ほか, JJPEN, 14 (2), 228, (1992) |
6. | 小林国男ほか, JJPEN, 14 (2), 242, (1992) |
7. | 吉原大二ほか, 薬理と臨床, 1 (5), 305, (1991) |
8. | 中村 強ほか, 薬理と臨床, 2 (3), 161, (1992) |
9. | 林 直樹ほか, 日本栄養・食糧学会誌, 44 (6), 441, (1991) »DOI |
10. | 林 直樹ほか, 薬理と臨床, 1 (5), 297, (1991) |
11. | 中村 強ほか, 日本栄養・食糧学会誌, 44 (5), 377, (1991) »DOI |
12. | 林 直樹ほか, 日本栄養・食糧学会誌, 44 (5), 385, (1991) »DOI |
13. | 中村 強ほか, 薬理と臨床, 1 (5), 249, (1991) |
14. | 中村 強ほか, 薬理と臨床, 1 (5), 271, (1991) |
15. | 吉原大二ほか, 薬理と臨床, 1 (5), 263, (1991) |
16. | 中村 強ほか, 薬理と臨床, 1 (5), 287, (1991) |
改訂履歴 |
2011年6月 作成 (第1版) |
文献請求先 |
株式会社大塚製薬工場 |
業態及び業者名等 |
販売提携 販売提携 製造販売元 |
[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] | 2021/1/20 版 |