医療用医薬品 : ツインライン

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医薬品情報


総称名 ツインライン
薬効分類名 たん白アミノ酸製剤
消化態経腸栄養剤
薬効分類番号 3259
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2022年4月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ツインラインNF配合経腸用液 Twinline-NF Liquid for Enteral Use イーエヌ大塚製薬 3259117S1020 0.91円/mL

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 高度の肝・腎障害のある患者[9.2.19.3.1参照]
2.3 重症糖尿病などの糖代謝異常のある患者[高血糖、高ケトン血症などを起こすおそれがある。]
2.4 イレウスのある患者[消化管の通過障害がある。]
2.5 肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者[9.3.2参照]
2.6 急性膵炎の患者[膵炎が増悪するおそれがある。]
2.7 先天性アミノ酸代謝異常の患者[アシドーシス、嘔吐、意識障害などのアミノ酸代謝異常の症状が発現するおそれがある。]
2.8 腸管の機能が残存していない患者[水、電解質、栄養素などが吸収されない。]

4. 効能または効果

一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する。

6. 用法及び用量

通常、A液200mLとB液200mLを用時混合し、成人標準量として1日1,200〜2,400mL(1,200〜2,400kcal)を鼻腔チューブ、胃瘻又は腸瘻より胃、十二指腸又は空腸に1日12〜24時間かけて投与する。投与速度は75〜125mL/時間とする。経口摂取可能な場合は1回又は数回に分けて経口投与することもできる。
また、投与開始時は、通常1日当たり400mL(400kcal)を低速度(約50mL/時間)で投与し、臨床症状に注意しながら増量して3〜7日で標準投与量に達するようにする。
なお、年齢、体重、症状により投与量、投与濃度、投与速度を適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 小児では、約0.4kcal/mLの濃度より投与を開始し、臨床症状を注意深く観察しながら、徐々に濃度を上昇させること。なお、標準濃度は0.7〜0.8kcal/mLとする。[8.39.711.1.1参照]
7.2 未消化態たん白を含む経腸栄養剤及び経口食により栄養摂取が可能となった場合には、速やかに切り替えること。

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤はジ及びトリペプチドと遊離アミノ酸を主なたん白源とする低残渣性、易吸収性の消化態経腸栄養剤(エレメンタルダイエット)なので、一般に、未消化態たん白を含む経腸栄養剤による栄養管理が困難な場合に使用するが、このような場合、消化管運動機能を確認しながら、投与量、投与濃度及び投与速度に注意して投与すること。[9.1.1参照]
8.2 ビタミン、電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので、必要に応じて補給すること。類薬の長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下、爪白色変化、筋力低下等)があらわれたとの報告がある。
8.3 経管投与患者においては、投与濃度が濃すぎる又は投与速度が速すぎると、投与終了後にダンピング症候群様の低血糖があらわれることがあるので、投与濃度、投与速度に注意すること。[7.111.1.1参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 腸管機能が低下している以下の患者
・短腸症候群などの高度の腸管機能障害が予想される患者
・長期経中心静脈栄養施行例など消化吸収能が極度に低下している患者
・投与前から重度の消化器症状のある患者
・高度の手術侵襲があった術後早期の患者
投与量、投与濃度、投与速度に注意すること。[8.1参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 高度の腎障害のある患者
投与しないこと。高窒素血症などを起こすおそれがある。[2.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 高度の肝障害のある患者
投与しないこと。肝性昏睡などを起こすおそれがある。[2.2参照]
9.3.2 肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者
投与しないこと。肝性昏睡が増悪又は発症するおそれがある。[2.5参照]
9.4 生殖能を有する者
9.5.1参照]
9.5 妊婦
9.5.1 妊娠3箇月以内又は妊娠を希望する女性
投与する場合は、用法及び用量に留意し、本剤によるビタミンAの投与は5,000IU/日未満(本剤2,400mL/日以下)に留めるなど必要な注意を行うこと。外国において、妊娠前3箇月から妊娠初期3箇月までにビタミンAを10,000IU/日以上摂取した女性から出生した児に、頭蓋神経堤などを中心とする奇形発現の増加が推定されたとする疫学調査結果1)がある。[9.4参照]
9.5.2 妊婦(妊娠3箇月以内の女性を除く)
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[7.1参照]
9.8 高齢者
投与量、投与速度に注意して投与すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
ワルファリンワルファリンの作用が減弱することがある。フィトナジオン(ビタミンK1)がワルファリンの作用に拮抗するため(本剤はフィトナジオンを6.25μg/100mL含有する)。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 低血糖(頻度不明)
投与終了後にダンピング症候群様の低血糖(倦怠感、発汗、冷汗、顔面蒼白、痙攣、意識低下等)があらわれることがある。[7.18.3参照]
11.1.2 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
血圧低下、意識障害、呼吸困難、チアノーゼ、悪心、胸内苦悶、顔面潮紅、そう痒感、発汗等があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上0.1〜5%未満頻度不明
消化器注)下痢(32.0%)、腹部膨満感、腹痛嘔気・嘔吐、腹鳴亢進便秘
過敏症  発疹等
肝臓 血清AST、ALT、Al-P、γ-GTP、LAP、LDHの上昇 
糖代謝 血糖値の上昇 
血液 血小板数、白血球数の上昇 
その他 血清TG、BUN、血清カリウムの上昇、血清クロールの低下 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 本剤を加温する場合は高温(80℃以上)を避け、未開封のまま湯煎にて行うこと。
14.1.2 本剤は投与直前に開封し、A液とB液を混合して速やかに投与を開始し、12時間以内に終了すること。
14.1.3 可塑剤としてDEHP〔di-(2-ethylhexyl)phthalate;フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)〕を含むポリ塩化ビニル製の栄養セット及びフィーディングチューブ等を使用した場合、DEHPが製剤中に溶出するので、DEHPを含まない栄養セット及びフィーディングチューブ等を使用することが望ましい。
14.1.4 本剤は、消化態経腸栄養剤であるため、静脈内へは投与しないこと。
14.1.5 経管投与においては、分割投与の終了ごとに少量の水でチューブをフラッシングすること。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相試験
消化器手術の患者78例を対象としたオープン試験2)において、SNN-6010注)を1日400kcalから投与開始し、2日目以降漸増して体重1kg当たり30kcal以上の維持熱量に到達させた後に5日間以上経管投与した。維持期の1日平均投与熱量は1830±280kcalであった。完了例65例において、栄養改善度は100%(有効以上65/65例)であった。副作用発現頻度は、21.9%(16/73例)であり、下痢17.8%(13/73例)、腹部膨満感5.5%(4/73例)であった。
17.1.2 国内第III相試験
食道癌及び胃癌術後の患者196例を対象とした群間比較試験3)において、SNN-6010注)(被験薬)又は市販の経腸栄養剤(対照薬)を経管投与した。術後8日以内に1日400kcalから投与開始し、2日目以降漸増して7日以内に体重1kg当たり30kcal以上の維持熱量に到達させた後に5日間投与した。被験薬群の維持期におけるSNN-6010の1日平均投与熱量は1722±249kcal/日、平均投与速度は93.5±18.7mL/hrであった。
完全解析例(被験薬群68例、対照薬群58例)において、被験薬群の栄養改善度は92.6%(有効以上63/68例)であった。副作用発現頻度は、被験薬群で28.9%(24/83例)であった。被験薬群の主な副作用は下痢24.1%(20/83例)、腹部膨満感9.6%(8/83例)、腹痛9.6%(8/83例)、嘔気6.0%(5/83例)であった。
17.1.3 国内一般臨床試験
(1)消化器疾患の患者171例を対象とした国内一般臨床試験4)において、SNN-6010注)を1日400kcalから投与開始し、2日目以降漸増して体重1kg当たり30kcal以上の維持熱量に到達させた後に5日間以上経管又は経口投与した。維持期の1日平均投与熱量は1560±227kcal、平均投与速度は99.5±30.2mL/hrであった。
完了例140例において、栄養改善度は69.3%(有効以上97/140例)であった。副作用発現頻度は、43.2%(70/162例)であり、主な副作用は下痢34.6%(56/162例)、腹痛9.3%(15/162例)、腹部膨満感8.0%(13/162例)であった。
(2)消化器疾患の小児患者64例を対象とした国内一般臨床試験5)において、SNN-6010注)を0.3kcal/mL前後に調整して投与開始し、2日目以降漸増して日本人の栄養所要量に示されている熱量の75%以上の維持熱量に到達させた後に5日間以上、経管又は経口投与した。維持期の1日平均投与熱量は術後症例80.8±15.1kcal/kg、非手術症例96.7±29.2kcal/kgであった。
完了例48例において、全般改善度は100%(有効以上48/48例)であった。副作用発現頻度は、47.4%(27/57例)であり、主な副作用は下痢42.1%(24/57例)、嘔吐10.5%(6/57例)であった。
(3)救急領域の患者49例を対象とした国内一般臨床試験6)において、SNN-6010注)を1日400kcalから投与開始し、2日目以降漸増して体重1kg当たり30kcal以上の維持熱量を目標として主に経管から原則として24時間持続投与した。維持期の1日平均投与熱量は1607±309kcal、平均投与速度は88.5±14.1mL/hrであった。
完了例32例において、栄養改善度は68.8%(有効以上22/32例)であった。副作用発現頻度は、47.9%(23/48例)であり、主な副作用は下痢45.8%(22/48例)であった。
注)本剤と比較してフィトナジオンの含有量が10倍の製剤であり、フィトナジオン以外の有効成分及び添加剤含量並びに性状は同一

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤は腸管より消化吸収され、門脈あるいは胸管、肝臓を経て全身で代謝され栄養補給効果を示す。
18.2 栄養効果
小腸切除ラット及び消化吸収障害ラットを用いた試験で、本剤は市販消化態栄養剤と同等以上に体重増加と窒素出納に優れ、低残渣性であり、下痢発生が少ないことが認められた7)8)
18.3 窒素源及び糖質の吸収性
十二指腸カテーテル留置ラットを用いた試験で、本剤の窒素源と糖質は市販消化態栄養剤と同等以上の吸収性を示すことが認められた9)
18.4 胆汁及び膵液分泌に対する影響
ラットを用いた空腸への持続投与試験で、本剤は市販消化態栄養剤と同等以上に胆汁及び膵液の分泌を刺激しないことが認められた10)
18.5 乳たん白加水分解物の吸収性及び栄養効果
空腸カテーテル留置ラットを用いた試験で、乳たん白加水分解物はジ及びトリペプチド又はアミノ酸混合物よりも門脈血中への出現時間が速く、吸収量も多い傾向を認め、また、アミノ酸組成も投与物に近かったことから、乳たん白加水分解物は吸収が速やかで吸収量も多く、バランスよく吸収されることが認められた11)
消化吸収障害ラットを用いた試験で、乳たん白加水分解物はジ及びトリペプチド又はアミノ酸混合物と同等以上に、体重増加、窒素出納、尿中尿素窒素及び3-メチルヒスチジン排泄量で良好な値を示し、消化吸収が障害された状態でも栄養学的に有効であることが認められた12)
18.6 トリカプリリンの吸収性及び栄養効果
Thiry-Vella loop作製ラット及び小腸切除ラットを用いた試験で、トリカプリリンは長鎖脂肪酸トリグリセリドよりも吸収及びエネルギー代謝が速やかであり、エネルギー基質として優れることが認められた13)14)
消化吸収障害ラットを用いた試験で、トリカプリリンは長鎖脂肪酸トリグリセリドよりも吸収率、体重増加、窒素出納で良好な値を示し、消化吸収が障害された状態でも栄養学的に有効であることが認められた15)
消化吸収障害ラットを用いた試験で、トリカプリリンはデキストリンよりも体重増加、窒素出納、尿中尿素窒素排泄量、筋RNA及びたん白量で良好な値を示し、エネルギー基質として優れることが認められた16)

20. 取扱い上の注意

20.1 本剤(A及びB液)の凍結は避けること。また、いったん凍結したものは使用しないこと。
20.2 開封後は直射日光を避けること。

22. 包装

24パウチ[2パウチ(A液200mL、B液200mL)×12]

23. 主要文献

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  2. 掛川暉夫 他, JJPEN., 14 (2), 175-190, (1992)
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  6. 小林国男 他, JJPEN., 14 (2), 242-257, (1992)
  7. 中村 強 他, 薬理と臨床, 1 (5), 249-262, (1991)
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  9. 吉原大二 他, 薬理と臨床, 1 (5), 263-270, (1991)
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  12. 中村 強 他, 薬理と臨床, 2 (3), 161-172, (1992)
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  16. 林 直樹 他, 日本栄養・食糧学会誌, 44 (5), 385-390, (1991) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2
電話:0120-719-814
FAX:03-5296-8400
製品情報問い合わせ先
株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2
電話:0120-719-814
FAX:03-5296-8400

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
イーエヌ大塚製薬株式会社
岩手県花巻市二枚橋第4地割3-5
26.2 販売提携
大塚製薬株式会社
東京都千代田区神田司町2-9
26.3 販売提携
株式会社大塚製薬工場
徳島県鳴門市撫養町立岩字芥原115

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/09/17 版