非代償期の慢性膵炎、膵切除、膵嚢胞線維症等を原疾患とする膵外分泌機能不全により、脂肪便等の症状を呈する患者に投与すること。
通常、パンクレリパーゼとして1回600mgを1日3回、食直後に経口投与する。
なお、患者の状態に応じて、適宜増減する。
用法及び用量の調整に際しては、患者の年齢、体重、食事量、食事内容、食事回数等を考慮すること。[8.、
17.1.3参照]
海外において、高用量のパンクレアチン製剤を服用している膵嚢胞線維症の患者で、回盲部及び大腸の狭窄(線維化性結腸疾患)が報告されているので、観察を十分に行い、異常な腹部症状又は腹部症状の変化があった場合には、適切な処置を行うこと。特に膵嚢胞線維症による膵外分泌機能不全患者に対し、1日体重1kg当たりパンクレリパーゼとして150mg(1/2包又は1カプセル)を超えた用量を投与する場合は注意すること。[7.参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
海外において、極めて高用量のパンクレアチン製剤で、高尿酸尿症及び高尿酸血症を生じることが報告されている
1)2)(本剤を含む膵消化酵素製剤はプリン体を含有している)。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.2 薬剤服用時の注意
本剤は砕いたり、噛んだりしないこと。腸溶コーティングの保護が破壊され、口腔粘膜を刺激したり、酵素活性が失われたりする。また、本剤が口内に残らないよう注意すること。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験
非代償期の慢性膵炎又は膵切除を原疾患とする膵外分泌機能不全患者を対象とした二重盲検比較試験(7日間投与)において、パンクレリパーゼ投与前後の脂肪吸収率の差は、プラセボ群で8.5±27.5%、パンクレリパーゼ1,800mg/日群で27.4±19.6%と脂肪吸収率の改善が認められた。副作用発現頻度はプラセボ群16.1%(5/31例)、パンクレリパーゼ1,800mg/日群で18.2%(6/33例)であった
3)。
脂肪吸収率の推移(%)
| 投与群 | 例数 | 投与前 | 投与後 | 差 |
| プラセボ群 | 30例 | 50.2±20.7 | 58.7±22.7 | 8.5±27.5 |
| 1,800mg/日群 | 32例 | 50.8±16.0 | 78.2±14.7 | 27.4±19.6 |
17.1.2 国内第III相長期投与試験
非代償期の慢性膵炎又は膵切除を原疾患とする膵外分泌機能不全患者を対象とした長期投与試験において、79例にパンクレリパーゼ(900〜3,600mg/日
注))を最大52週間にわたり投与した時、BMI、血清総蛋白、アルブミン、プレアルブミン、総コレステロール、トランスフェリン、レチノール結合蛋白の各栄養評価項目は改善・維持される傾向が認められた。副作用発現頻度は47.5%(38/80例)であった。主な副作用は、便秘5例(6.3%)、下痢4例(5.0%)、悪心4例(5.0%)、発熱4例(5.0%)、鼻咽頭炎4例(5.0%)、糖尿病4例(5.0%)であった
4)。
17.1.3 国内第II/III相試験
膵嚢胞線維症を原疾患とする膵外分泌機能不全患者5例(6〜16歳)に対して、患者の体重(体重の中央値24.1kg:15.0〜45.5kg)から計算したパンクレリパーゼ約640〜1,730mg/日(リパーゼ活性:2,500FIP単位/kg/日)を開始用量として1週間投与し、3週後まで1週間毎に投与量を増量し、各患者の至適用量(60〜139mg/kg)である900〜3,600mg/日
注)を48週間投与した結果、いずれの症例も脂肪吸収率の改善が認められた。治療期間中、1例に肛門潰瘍の副作用が認められた
5)。[7.参照]
注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、パンクレリパーゼとして1回600mgを1日3回、食直後に経口投与する。なお、患者の状態に応じて、適宜増減する。」である。
20.1 本剤は吸湿により酵素活性が低下するため、服用直前まで顆粒はアルミ分包、カプセルはPTPシートから取り出さないこと。
20.2 本剤の有効成分はブタの膵臓抽出物を用いているため、原料により、顆粒の製品間に若干の色調変動が認められることがあるが、品質には変化はない。