2.1 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
2.3 血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上又はクレアチニンクリアランスが40mL/min未満の腎機能障害のある患者[
7.4、
9.2.1参照]
2.4 胆のう疾患のある患者[胆石形成が報告されている。]
2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦[
9.5、
9.6参照]
5.1 適用の前に十分な検査を実施し、高脂血症の診断が確立した患者に対してのみ本剤の適用を考慮すること。
5.2 総コレステロールのみが高い高脂血症(IIa型)に対し、第一選択薬とはしないこと。
5.3 カイロミクロンが高い高脂血症(I型)に対する効果は検討されていない。
通常、成人にはフェノフィブラートとして1日1回106.6mg〜160mgを食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。1日160mgを超える用量は投与しないこと。
7.1 総コレステロール及びトリグリセライドの両方が高い高脂血症(IIb及びIII型)には、1日投与量を106.6mgより開始すること。なお、これらの高脂血症患者において、高血圧、喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターを有し、より高い治療目標値を設定する必要のある場合には1日投与量を159.9mg〜160mg注)とすること。
注)159.9mgは53.3mg錠を3錠、160mgは80mg錠を2錠用いる。
7.2 トリグリセライドのみが高い高脂血症(IV及びV型)には、1日投与量53.3mgにおいても低下効果が認められているので、1日投与量を53.3mgより開始すること。
7.3 肝機能検査に異常のある患者又は肝障害の既往歴のある患者には、1日投与量を53.3mgより開始すること。[
9.3.2参照]
7.4 急激な腎機能の悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがあるので、投与にあたっては患者の腎機能を検査し、血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上の場合には投与を中止し、血清クレアチニン値が1.5mg/dL以上2.5mg/dL未満の場合は53.3mgから投与を開始するか、投与間隔を延長して使用すること。[
2.3、
9.2.1、
9.2.2、
11.1.1参照]
7.5 本剤はフェノフィブラートの吸収を高めるため、固体分散体化した製剤であり、本剤106.6mg(53.3mg製剤2錠)は微粉化フェノフィブラートカプセル製剤134mgと、また本剤160mg(80mg製剤2錠)は微粉化フェノフィブラートカプセル製剤200mgと生物学的に同等である。[
16.1参照]
8.1 あらかじめ高脂血症の基本である食事療法を行い、更に運動療法や、高血圧、喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分に考慮すること。
8.2 投与中は血清脂質値を定期的に検査し、本剤の効果が認められない場合には漫然と投与せず、中止すること。
8.3 本剤は肝機能及び肝機能検査値に影響を及ぼし、AST、ALT、γ-GTP、LDH、ALPの上昇、黄疸、並びに肝炎があらわれることがあるので、肝機能検査は投与開始3カ月後までは毎月、その後は3カ月ごとに行うこと。[
11.1.2参照]
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上又はクレアチニンクリアランスが40mL/min未満の腎機能障害のある患者
9.2.2 血清クレアチニン値が1.5mg/dL以上2.5mg/dL未満又はクレアチニンクリアランスが40mL/min以上60mL/min未満の腎機能障害のある患者
9.2.3 腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者
本剤とHMG-CoA還元酵素阻害薬を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、本剤を少量から投与開始するとともに、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。[
10.2、
11.1.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝障害のある患者
投与しないこと。肝障害を悪化させることがある。[
2.2参照]
9.3.2 肝機能検査に異常のある患者又は肝障害の既往歴のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。[
2.5参照]
9.6 授乳婦
投与しないこと。動物(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。[
2.5参照]
9.7 小児等
9.8 高齢者
9.8.1 53.3mgから開始するなど投与量に十分注意すること。特に腎機能については投与中も血清クレアチニン値を定期的に確認するなど注意すること。一般に肝・腎機能が低下していることが多く、また、体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすい。
9.8.2 スルホニル尿素系血糖降下薬(グリベンクラミド等)との併用により低血糖症(冷汗、強い空腹感、動悸等)があらわれるとの報告がある。[
10.2参照]
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、これに伴って急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。[
7.4、
9.2.1-
9.2.3参照]
11.1.2 肝障害(頻度不明)
肝炎や黄疸、AST、ALT等の著しい上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。異常が認められた場合には、減量又は中止等の適切な処置を講ずるとともに、少なくとも1カ月以内に肝機能検査を実施すること。
なお、AST又はALTが継続して正常上限の2.5倍あるいは100単位を超えた場合には投与を中止すること。[
8.3、
9.3.2参照]
11.1.3 膵炎(頻度不明)
重度の腹痛、嘔気、嘔吐、アミラーゼ上昇、リパーゼ上昇等を特徴とする膵炎があらわれることがある。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上 | 0.1〜5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
肝臓 | 肝機能検査値異常(AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇等) | | 肝腫大 | |
皮膚 | | 発疹、そう痒感、蕁麻疹 | 脱毛、光線過敏症 | 多形紅斑 |
消化器 | | 嘔気、嘔吐、便秘、下痢、食欲不振、心窩部痛、胃部不快感 | 腹痛、口渇、腹部膨満感 | 口内炎、鼓腸、胸やけ |
腎臓 | | 腎機能検査値異常(BUN上昇、クレアチニン上昇等) | | |
筋肉 | CK上昇 | | 脱力感 | 筋肉痛、筋痙攣、こわばり感 |
血液 | | 貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値減少)、白血球増多、白血球減少、好酸球増多、血小板増加 | | 血小板減少 |
精神神経系 | | 頭痛、めまい | | ふらつき |
胆管系 | | | | 胆石症、胆のう炎 |
その他 | 抗核抗体陽性 | 全身倦怠感、動悸 | 腫脹、下肢痛、味覚異常 | 浮腫、発熱、勃起障害、頻尿、血中ホモシステイン増加、しびれ感、ほてり |
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 本剤は空腹時に投与すると吸収が悪くなるため食後に服用するよう指導すること。[
16.2参照]
15.1 臨床使用に基づく情報
外国における「軽度の脂質代謝異常を有する2型糖尿病患者」を対象とした無作為化試験の結果、本剤投与群において膵炎及び静脈血栓塞栓症(肺塞栓症、深部静脈血栓症)の危険性がプラセボ投与群より高くなるとの報告がある
1)。
15.2 非臨床試験に基づく情報
マウスの長期投与試験で雄の中間投与量群(60mg/kg)以上において肝細胞癌が、ラットの長期投与試験では、雄の中間投与量群(45mg/kg)以上において肝細胞癌と膵腺房細胞腫瘍及び精巣間細胞腫瘍が認められた。雌のラットとマウスでは、高投与量群(ともに200mg/kg)で肝細胞癌が認められた。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(二重盲検群間比較試験)
高脂血症患者236例を対象に、フェノフィブラートカプセル製剤とクリノフィブラート錠の有効性及び安全性を比較する二重盲検群間比較試験を実施した。本剤159.9mg〜160mgに相当する用量を1日1回夕食後に12週間経口投与したとき、改善率(中等度改善以上)はフェノフィブラートカプセル製剤群76.6%(85/111例)、クリノフィブラート錠群35.1%(40/114例)であり、両群間に有意差が認められた(p<0.001)。
投与前に血清脂質が異常値
注)であった症例の血清脂質の投与12週の変化率(%)は以下のとおりであり、各指標の変化率は、フェノフィブラートカプセル製剤群がクリノフィブラート錠群よりも有意に大きかった(HDLコレステロールのみp<0.05/3、他はp<0.001/3)。
| 総コレステロール | トリグリセライド | LDLコレステロール | HDLコレステロール |
フェノフィブラートカプセル製剤群 | −17.1±1.4(n=78) | −46.8±4.3(n=50) | −24.8±2.2(n=50) | 26.1±5.1(n=20) |
クリノフィブラート錠群 | −5.0±1.2(n=82) | −12.3±5.5(n=52) | −8.5±1.5(n=54) | 9.8±2.8(n=31) |
フェノフィブラートカプセル製剤群の副作用発現頻度は8.6%(10/116例)で、主な副作用は胃部不快感3.4%(4例)、胃もたれ、嘔気、嘔吐、軟便各0.9%(1例)等の消化器症状であった。臨床検査値異常の発現頻度は35.3%(41/116例)であり、主な臨床検査値異常はAST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等であった
11)。
17.1.2 国内第III相試験(二重盲検群間比較試験)
高脂血症患者203例を対象に、フェノフィブラートカプセル製剤とベザフィブラート徐放錠の有効性及び安全性を比較する二重盲検群間比較試験を実施した。本剤159.9mg〜160mgに相当する用量を1日1回夕食後に12週間経口投与したとき、改善率(中等度改善以上)はフェノフィブラートカプセル製剤群81.9%(86/105例)、ベザフィブラート徐放錠群74.7%(71/95例)であり、両群間に有意差は認められなかった(χ
2検定)。
投与前に血清脂質が異常値
注)であった症例の血清脂質の投与12週の変化率(%)は以下のとおりであり、各指標について、両群間に有意差は認められなかった。
| 総コレステロール | トリグリセライド | LDLコレステロール | HDLコレステロール |
フェノフィブラートカプセル製剤群 | −15.2±1.6(n=71) | −41.8±4.5(n=57) | −24.5±2.3(n=47) | 25.7±4.8(n=36) |
ベザフィブラート徐放錠群 | −10.3±1.3(n=69) | −34.6±4.7(n=47) | −17.6±2.4(n=43) | 21.5±4.1(n=28) |
フェノフィブラートカプセル製剤群の副作用発現頻度は3.8%(4/106例)で、副作用は胃部不快感、便秘各1.9%(2例)等の消化器症状であった。臨床検査値異常の発現頻度は41.5%(44/106例)であり、主な臨床検査値異常はγ-GTP上昇、AST上昇、ALT上昇等であった
12)。
注)総コレステロール:220mg/dL以上、トリグリセライド:150mg/dL以上、LDLコレステロール:160mg/dL以上、HDLコレステロール:40mg/dL未満
17.1.3 国内長期投与試験
高脂血症患者281例を対象に長期投与時の有効性及び安全性を確認した。本剤106.6mg〜160mgに相当する用量を1日1回6カ月以上投与したとき、改善率は85.4%(240/281例)であった。
副作用発現頻度は3.9%(13/331例)で、主な副作用は腹痛、嘔気、皮疹、そう痒感各0.6%(2例)等であった。臨床検査値異常の発現頻度は28.3%(94/332例)であり、主な臨床検査値異常はγ-GTP上昇、AST上昇、ALT上昇等であった
13)14)。
17.1.4 特殊な高脂血症に対する試験
(1)家族性複合型高脂血症
家族性複合型高脂血症患者を対象に、本剤159.9mg〜160mgに相当する用量を1日1回6カ月間投与したとき、改善率は90.5%(19/21例)であった。副作用発現頻度は13.0%(3/23例)で、発現した副作用は肝腫大、嘔気、脱力感、全身倦怠感各4.3%(1例)であった
15)。
(2)糖尿病を伴う高脂血症
コントロール良好な糖尿病を伴う高脂血症患者を対象に、本剤159.9mg〜160mgに相当する用量を1日1回6カ月間投与したとき、改善率は85.7%(18/21例)であった。また、インスリン基礎値及び糖負荷後のインスリン値が低下した。副作用発現頻度は9.5%(2/21例)で、発現した副作用は胃痛、嘔気、全身倦怠感各4.8%(1例)であった
16)。
(3)高尿酸血症を伴う高脂血症
高尿酸血症を伴う高脂血症患者を対象に、本剤159.9mg〜160mgに相当する用量を1日1回8週間投与したとき、改善率は78.3%(54/69例)であった。また、投与前に約8mg/dLであった尿酸値が投与8週後には約6mg/dLまで低下した。副作用発現頻度は1.4%(1/73例)で、発現した副作用は皮疹であった
17)18)。
20.1 光により微黄色に変化することがあるので、開封後は遮光して保存すること。
20.2 開封後は湿気を避けて保存すること。