16.1.1 単回投与
健康成人に本剤の750及び1500mg(各群10例)を食後にそれぞれ単回経口投与した時の血漿中アトバコン濃度推移を図1に、薬物動態パラメータを表1に示す
1)。
図1 健康成人男性に本剤の750及び1500mgを食後にそれぞれ単回経口投与した時の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差(各群10例))
表1 健康成人男性に本剤の750及び1500mgを食後にそれぞれ単回経口投与した時の薬物動態パラメータ
| 投与量 | Cmax(μg/mL) | tmax(hr) | AUC0-∞(μg・hr/mL) | t1/2(hr) |
| 750mg | 14.0±3.4 | 4.0(3,8) | 934.4±242.9 | 70.2±11.6 |
| 1500mg | 15.7±5.4 | 4.0(3,10) | 1109.6±646.7 | 59.7±14.1 |
16.1.2 反復投与
HIV患者(9〜19例)に本剤500注1)、750及び1000mg注1)を1日1回食後に反復経口投与した時のCavg,ss(平均値±標準偏差)は、それぞれ11.7±4.8、12.5±5.8及び13.5±5.1μg/mLであり、血漿中濃度は500〜1000mgの範囲では投与量に比例した増加がみられなかった。また、HIV患者5例に本剤750mgを1日2回食後に反復経口投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは21.0±4.9μg/mL、Cmax,ssは24.0±5.7μg/mL、Cmin,ssは16.7±4.6μg/mLであった(外国人データ)。
16.2.1 食事の影響
(1)健康成人16例に本剤750mgを単回経口投与した時のCmax及びAUC
0-∞は食後投与で約2.5〜3.5倍に増加した(外国人データ)。[7.参照]
表2 絶食下及び食後の健康成人男性に本剤の750mgを単回経口投与した時の薬物動態パラメータ
| | Cmax(μg/mL) | tmax(hr) | AUC0-∞(μg・hr/mL) | t1/2(hr) |
| 絶食下 | 3.34±0.85 | 9.6±16.0 | 324.3±115.0 | 75.2±22.5 |
| 食後 | 11.61±3.00 | 4.9±1.7 | 800.6±319.8 | 69.1±19.8 |
(2)HIV患者(19〜21例)に本剤500mg注1)を反復経口投与した時のAUCssは食後投与で280±114μg・hr/mL、絶食下で162±78μg・hr/mLであり、Cmax,ssは食後投与で15.1±6.1μg/mL、絶食下で8.4±3.8μg/mLであった(外国人データ)。[7.参照]
16.2.2 バイオアベイラビリティ
HIV患者9例に本剤750mgを食後に単回経口投与した時の絶対的バイオアベイラビリティは47±15%であった(外国人データ)。
16.3.1 分布容積
HIV患者9例に約37mgを単回静脈内投与注1)した時のVzは0.62±0.19L/kgであった(外国人データ)。
16.3.2 血漿蛋白結合率
In vitroでのヒト血漿蛋白結合率は99.9%超であり、約1〜90μg/mLの範囲で一定であった。
16.5.1 HIV患者9例に約37mgを単回静脈内投与注1)した時のCLは10.4±5.5mL/min、t1/2は62.5±35.3時間であった(外国人データ)。
16.5.2 健康成人4例に14C標識体750mgを単回経口投与した試験において、ほとんどの被験者で投与量の94%以上が糞中に21日間以内に排泄された(外国人データ)。
16.6.1 腎機能低下者
16.6.2 肝機能低下者
16.6.3 小児
小児患者(年齢:3ヵ月〜12歳)注1)11例にアトバコン錠を投与した。成人とほぼ同用量である40mg/kgを投与した時のCavg,ssは14.28〜15.60μg/mL、t1/2は約57〜61時間であった(外国人データ)。
16.7.1 フェニトイン
健康成人12例に本剤1000mg注1)をフェニトイン600mgと単回併用投与した時のフェニトインの薬物動態にアトバコンは影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7.2 リファンピシン
HIV患者13例に本剤750mgを12時間ごと、リファンピシン600mgを24時間ごとに併用経口投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは併用で約53%低下し、t
1/2は約33時間短縮した(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.3 リファブチン
健康成人24例に本剤750mgを1日2回及びリファブチン300mgを食後に1日1回14日間併用経口投与した時の血漿中アトバコンのAUCssは併用で約34%低下し、t
1/2は約14時間短縮した(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.4 スルファメトキサゾール・トリメトプリム
軽度〜中等度のニューモシスチス肺炎を発症したAIDS患者19例に本剤1000mg注1)を1日1回、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(1600mg・320mg)を1日3回併用投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは単独群では10.7±5.9μg/mL、併用群では10.6±7.7μg/mLであった(外国人データ)。
16.7.5 ジドブジン
HIV患者14例にアトバコン錠750mgを12時間ごと
注2)、ジドブジン200mgを8時間ごとに併用投与した時のアトバコンのCmax,ss、Cmin,ss及びCavg,ssはいずれも併用による影響はみられなかった。一方、ジドブジンのみかけの経口クリアランスは併用により約25%低下し、AUCは約33%増加した(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.6 テトラサイクリン及びメトクロプラミド
血漿中アトバコン濃度はテトラサイクリンの併用で約40%低下した
2)。また、血漿中アトバコンのCssは、メトクロプラミドの併用で約58%低下した(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.7 定常状態における血漿中アトバコン濃度と併用薬との関係
有効性を検討した臨床試験2試験において、ニューモシスチス肺炎患者にアトバコン錠750mgを1日3回
注2)21日間経口投与した時の血漿中アトバコンのCssは、アセトアミノフェン、ベンゾジアゼピン系薬剤、アシクロビル、オピオイド系鎮痛薬、セファロスポリン系抗生物質、止しゃ薬及び緩下剤の併用でわずかに減少(7種の併用薬で平均3.8μg/mL以下)し、メトクロプラミド及びリファンピシンの併用で有意に減少(それぞれ平均8.1及び8.9μg/mL)した(外国人データ)。[
10.2参照]
16.7.8 その他の薬剤(血漿蛋白結合率が高く治療域の狭い薬剤)
アトバコンは、高い血漿蛋白結合率(99%超)を示すことから、血漿蛋白結合率が高く治療域の狭い他の薬剤と併用する場合には慎重に行うこと。なお、アトバコンはキニーネ、フェニトイン、ワルファリン、スルファメトキサゾール、インドメタシン、ジアゼパムのin vitro血漿蛋白結合に影響を及ぼさないことから、蛋白結合の結合置換により著しい薬物相互作用が発現する可能性は低いと考えられる。
16.8.1 血漿中濃度と臨床効果の関係
(1)軽度〜中等度のニューモシスチス肺炎を発症したAIDS患者133例にアトバコン錠750mgを1日3回
注2)21日間経口投与した時の血漿中アトバコンのCssは13.9±6.9μg/mLであった。また、血漿中アトバコン濃度と臨床効果との間に相関が確認された
3)(外国人データ)。
(2)軽度〜中等度のニューモシスチス肺炎を発症したAIDS患者69例に本剤1000mg注1)を1日1回、750mgを1日2回、1500mgを1日1回及び1000mg注1)を1日2回経口投与した時のCavg,ss(中央値)は、それぞれ9.6、22.5、18.1及び26.5μg/mLであった。食後のHIV患者5例に750mgを1日2回反復経口投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは21.0±4.9μg/mLであった(外国人データ)。
注1)本剤を治療に用いる場合の承認用量は、成人には1回5mL(アトバコンとして750mg)、1日2回21日間食後に経口投与である。本剤を発症抑制に用いる場合の承認用量は、成人には1回10mL(アトバコンとして1500mg)、1日1回食後に経口投与である。
注2)アトバコン錠は販売されていない。