イフェンプロジル酒石酸塩は血管平滑筋弛緩作用、交感神経α受容体遮断作用などに基づく脳血流増加作用、脳ミトコンドリア呼吸機能の促進による脳代謝改善作用並びに血小板凝集能の抑制による血液性状改善作用の3作用が認められる
6)。
イフェンプロジル酒石酸塩は、脳動脈血流量特に椎骨動脈(イヌ)
7)及びその流域である扁桃核、視床下部、小脳皮質(ネコ)
8)、内耳(モルモット)
9)の著明な血流増加を示す。
脳血管障害患者を対象にした臨床薬理学的検討では、N
2O法
10)、
133Xeクリアランス法
11)、超音波ドプラー法
12)にて全脳及び病巣部局所の血流増加が確認されている。これら循環改善作用は、血管平滑筋直接弛緩作用
7)並びに非選択的な交感神経α受容体遮断作用によると考えられている
13)14)。
イフェンプロジル酒石酸塩は、脳虚血時の乳酸、ATP、グルコースなどの脳組織における代謝異常を改善し(SHRラット)
15)、脳ミトコンドリア機能の低下を改善する(脳梗塞家兎)
16)。
イフェンプロジル酒石酸塩は、ADP、コラーゲン、アドレナリンなどによる血小板凝集を抑制する。この作用は、イフェンプロジル酒石酸塩がセロトニン摂取並びに放出反応を抑制することから、血小板膜の安定化作用によるものと考えられている(健康成人男子:
in vitro)
17)。また、アラキドン酸代謝におけるLASS(Labile Aggregation Stimulating Substance)凝集抑制作用も認められている(ヒト:
in vitro)
18)。さらに、血小板のα
2受容体を介して凝集を抑制することが示されている(健康成人:
in vitro)
19)。
脳血管障害患者による臨床薬理学的検討では、血小板粘着能の抑制の他、ADP等各種の血小板凝集惹起物質に対する抑制作用
18)20)、血小板α
2受容体遮断に基づく血小板凝集抑制作用が報告されている
21)。