医療用医薬品 : アラベル

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医薬品情報


総称名 アラベル
一般名 アミノレブリン酸塩酸塩
欧文一般名 Aminolevulinic Acid Hydrochloride
製剤名 アミノレブリン酸塩酸塩
薬効分類名 光線力学診断用剤
薬効分類番号 7290
ATCコード L01XD04
KEGG DRUG
D02908 アミノレブリン酸塩酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年4月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
アラベル内用剤1.5g Alabel Oral 1.5g ノーベルファーマ 7290007X1031 92051.5円/瓶 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤又はポルフィリンに対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 ポルフィリン症の患者[症状を増悪させるおそれがある。]
2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.515.2.2参照]

4. 効能または効果

悪性神経膠腫の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の可視化

6. 用法及び用量

通常、成人には、アミノレブリン酸塩酸塩として20mg/kgを、手術時の麻酔導入前3時間(範囲:2〜4時間)に、水に溶解して経口投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤を用いた診断では、神経機能に関する情報は得られないことを考慮して切除範囲の決定の参考とすること。
7.2 本剤を用いた診断において偽陰性及び偽陽性を示す部位が生じる可能性があることを考慮し、他の方法による診断や残すべき神経機能も踏まえて切除範囲を決定すること。[14.2参照]

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤投与後少なくとも48時間は、強い光(手術室の照明、直射日光又は明るい集中的な屋内光等)への眼及び皮膚の曝露を避け、照度500ルクス以下注)の室内で過ごさせること。[15.2.3参照]
注)日本産業規格の照明基準総則(JIS Z 9110:2010)では、病院の照度について、病室100ルクス、食堂300ルクス、一般検査室・診察室・薬局500ルクスと規定している。
8.2 肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.115.2.1参照]
8.3 脳の機能的構造に関する深い知識があり、本剤の使用についての十分な知識と悪性神経膠腫の手術の豊富な経験を持つ医師の管理のもとに使用すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心血管系疾患のある患者
収縮期及び拡張期血圧、肺動脈圧並びに肺血管抵抗が低下するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
腎機能障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠ラットに投与した場合、胎児の発育遅延が、また、マウス、ラットの妊娠子宮及び胎児に直接光照射した場合、胎児毒性が生じるとの報告がある。[2.315.2.2参照]
9.6 授乳婦
診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

10.2 併用注意
光線過敏症を起こすことが知られている薬剤:
テトラサイクリン系抗生物質
スルフォンアミド系製剤
ニューキノロン系抗菌剤等
光線過敏症を起こすおそれがあるので注意すること。
特に本剤投与後48時間は、左記薬剤の投与又は食品の摂取を可能な限り避けることが望ましい。
本剤は体内で光感受性物質に代謝されるので、左記薬剤との併用又は食品の摂取により光線過敏症が増強されることが考えられる。
セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品光線過敏症を起こすおそれがあるので注意すること。
特に本剤投与後48時間は、左記薬剤の投与又は食品の摂取を可能な限り避けることが望ましい。
本剤は体内で光感受性物質に代謝されるので、左記薬剤との併用又は食品の摂取により光線過敏症が増強されることが考えられる。
バルビツール酸系全身麻酔剤:
チオペンタール
ポルフィリン合成が促進され、肝障害があらわれるおそれがある。アミノレブリン酸(5-ALA)合成酵素を誘導し、ヘム生合成を増強する。

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害(6.7%)
γ-GTP(6.7%)、AST(4.4%)、ALT(4.4%)、Al-P(2.2%)の増加等を伴う肝機能障害があらわれることがある。[8.215.2.1参照]
11.1.2 低血圧(頻度不明)
手術後も、低血圧が遷延し、昇圧剤の持続投与が必要な症例が報告されている。
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5%以上2〜5%未満頻度不明
一般・全身 発熱悪寒
血液  貧血
精神・神経  脳浮腫、感覚鈍麻、片麻痺、失語症、痙攣、半盲
心・血管  血栓塞栓症、深部静脈血栓症
呼吸器  呼吸不全
胃腸悪心嘔吐下痢
皮膚・皮下組織  光線過敏性反応、光線性皮膚症、紅斑
腎・尿路 血尿 
臨床検査 LDH増加、リンパ球数減少、血小板数減少白血球数増加、血中ビリルビン増加、血中アミラーゼ増加

13. 過量投与

13.1 症状
外国の臨床試験で過量投与(38mg/kg)された1例において、術中に呼吸不全が報告されている。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤1バイアルに水50mLを加えて溶解後、24時間以内に使用する。24時間を過ぎた溶解液は廃棄する。
14.1.2 本剤は経口投与のみに使用し、注射しないこと。
14.2 診断上の注意
プロトポルフィリンIX(PPIX)が赤色蛍光を発することにより、通常での白色光では見分けられない腫瘍組織を認識し切除できるが、偽陰性及び偽陽性を示す場合がある。[7.2参照]

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 動物試験(ラット、イヌ)で代謝物(PPIX)による肝臓障害が報告されている。[8.211.1.1参照]
15.2.2 動物細胞に5-ALAを曝露後、光照射すると遺伝毒性を示すことが報告されている。[2.39.5参照]
15.2.3 マウスへの静脈内投与後に紫外線照射すると光毒性(死亡、炎症性皮膚反応)を生ずることが報告されている。[8.1参照]

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
日本人患者6例に本剤20mg/kgを経口投与したときの血漿中未変化体濃度は、投与後0.83時間に最高濃度34.0mg/Lを示し、消失半減期は2.27時間であった。薬物動態パラメータを表1に示した1)
表1 本剤20mg/kgを経口投与したときの未変化体の薬物動態パラメータ
Cmax(mg/L)AUC(mg・h/L)tmax(h)t1/2(h)
34.0±12.777.1±40.70.83±0.262.27±2.35
16.3 分布
16.3.1 血漿蛋白結合率
限外ろ過法により測定した5-ALAのヒト血漿蛋白結合率は、500〜5,000μg/Lの濃度で12%であった2)in vitro)。
16.4 代謝
本剤の投与後、体内でPPIXに代謝される。日本人患者6例に本剤20mg/kgを経口投与したときの血漿中PPIX濃度は本剤投与後6.17時間に最高濃度351μg/Lを示し、消失半減期は4.91時間であった1)
16.5 排泄
外国健康成人において、本剤投与後12時間までに投与量の30.6%が尿中に排泄された3)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(非盲検試験)
外科的腫瘍切除の適応である悪性神経膠腫患者を対象に、非盲検下で本剤20mg/kgを麻酔導入前3時間に経口投与した。本剤を投与した45例中、WHOグレードIII・IV以外の4例及び腫瘍本体に蛍光が認められなかった3例を除いた有効性評価症例38例において、主要評価項目である蛍光組織の陽性診断率(患者割合)は65.8%(25/38例)、蛍光の強/弱別での強蛍光領域及び弱蛍光領域では、それぞれ94.4%(34/36例)及び65.8%(25/38例)であった。また、蛍光組織での生検組織ごとの陽性診断率は85.6%(190/222検体)、強蛍光領域及び弱蛍光領域では、それぞれ94.4%(102/108検体)及び77.2%(88/114検体)であった。
副作用は11例(24.4%)に認められ、悪心3例(6.7%)、嘔吐、発熱、肝機能異常は各2例(4.4%)であった1)

18. 薬効薬理

18.1 測定法
本剤投与後に体内で代謝されて生成したPPIXが腫瘍組織に集積し、青色光線(400〜410nm)により励起されPPIXが赤色蛍光を発することを利用して、腫瘍組織を可視化する。腫瘍細胞では正常細胞に比べてPPIX生成までの酵素活性が高いこと及びPPIXからヘムを触媒する酵素活性が低いことから、腫瘍細胞では正常細胞に比べてより多くのPPIXが蓄積すると考えられている4)5)
18.2 腫瘍細胞への蓄積性
18.2.1 悪性腫瘍細胞及び正常細胞を用いた5-ALA添加時のPPIX生成量は、正常細胞に比べて悪性腫瘍細胞では顕著に増加し、高い蓄積が認められている6)in vitro)。
18.2.2 担癌ウサギに5-ALAを耳静脈内投与した時のPPIXの脳内分布を検討した試験では、白質、灰白質より腫瘍部で多く認められている7)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. アミノレブリン酸塩酸塩

一般的名称 アミノレブリン酸塩酸塩
一般的名称(欧名) Aminolevulinic Acid Hydrochloride
化学名 5-Amino-4-oxopentanoic acid hydrochloride
分子式 C5H9NO3・HCl
分子量 167.59
融点 約153℃(分解)
物理化学的性状 白色又はわずかに灰色を帯びた白色の結晶性の粉末で、水に溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくい。
KEGG DRUG D02908

22. 包装

1.5g[1バイアル]

23. 主要文献

  1. 社内資料:第III相試験(2013年3月25日承認、申請資料概要5.3.5.2-1)
  2. 社内資料:ヒト血漿蛋白結合率試験(2013年3月25日承認、申請資料概要4.2.2.3-10)
  3. 社内資料:バイオアベイラビリティ試験(2013年3月25日承認、申請資料概要5.3.1.1-1)
  4. Navone NM,et al., Int J Biochem., 22 (12), 1407-11, (1990) »PubMed
  5. Kondo M,et al., Cell Biol Toxicol., 9 (1), 95-105, (1993) »PubMed
  6. Iinuma S,et al., Br J Cancer., 70 (1), 21-8, (1994) »PubMed
  7. Lilge L,et al., J Clin Laser Med Surg., 16 (2), 81-91, (1998) »PubMed

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ノーベルファーマ株式会社 カスタマーセンター
〒104-0033 東京都中央区新川1-17-24
電話:フリーダイヤル:0120-003-140
製品情報問い合わせ先
ノーベルファーマ株式会社 カスタマーセンター
〒104-0033 東京都中央区新川1-17-24
電話:フリーダイヤル:0120-003-140

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ノーベルファーマ株式会社
東京都中央区新川1-17-24

その他の説明

<参考>アラベル内用剤1.5g 体重あたりの投与量換算表
1バイアル(アミノレブリン酸塩酸塩1.5g含有)を水50mLで溶解した後の濃度は30mg/mLである。
体重あたりの投与量は下表を参照すること。
投与量(mL)=体重(kg)×20(mg/kg)÷30(mg/mL)
体重(kg)投与液量(mL)
3523
3624
3725
3825
3926
4027
4127
4228
4329
4429
4530
4631
4731
4832
4933
5033
5134
5235
5335
5436
5537
5637
5738
5839
5939
6040
6141
6241
6342
6443
6543
6644
6745
6845
6946
7047
7147
7248
7349
7449
7550
7651※※
7751※※
7852※※
7953※※
8053※※
8154※※
8255※※
8355※※
8456※※
8557※※
8657※※
8758※※
8859※※
8959※※
9060※※
9161※※
9261※※
9362※※
9463※※
9563※※
9664※※
9765※※
9865※※
9966※※
10067※※

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/09/18 版