医療用医薬品 : スプラタストトシル酸塩

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医薬品情報


総称名 スプラタストトシル酸塩
一般名 スプラタストトシル酸塩
欧文一般名 Suplatast Tosilate
製剤名 スプラタストトシル酸塩カプセル
薬効分類名 アレルギー性疾患治療剤
薬効分類番号 4490
KEGG DRUG
D01423 スプラタストトシル酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年9月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
スプラタストトシル酸塩カプセル50mg「JG」 Suplatast Tosilate Capsules 長生堂製薬 4490016M1082 14.4円/カプセル
スプラタストトシル酸塩カプセル100mg「JG」 Suplatast Tosilate Capsules 長生堂製薬 4490016M2089 15円/カプセル

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

気管支喘息アトピー性皮膚炎アレルギー性鼻炎

6. 用法及び用量

通常、成人にはスプラタストトシル酸塩として1回100mgを1日3回毎食後に経口投与する。
ただし、年齢、症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

高齢者では、低用量(例えば150mg/日)から投与を開始し、増量する場合は患者の副作用及び臨床症状を十分観察しながら行うこと。[9.8参照]

8. 重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤は気管支拡張剤、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤等と異なり、既に起こっている発作や症状を速やかに軽減する薬剤ではないので、このことは患者に十分説明しておく必要がある。
8.2 本剤の使用によりステロイド維持量を減量し得た患者で、本剤の投与を中止する場合は原疾患再発のおそれがあるので注意すること。
8.3 本剤の使用により効果が認められない場合には漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
<気管支喘息>
8.4 本剤は喘息の悪化時ばかりでなく、喘息が良好にコントロールされている場合でも継続して服用するよう、患者に十分説明しておくこと。
8.5 本剤を投与中、大発作をみた場合は気管支拡張剤あるいはステロイド剤を投与する必要がある。
<アレルギー性鼻炎>
8.6 本剤を季節性のアレルギー性疾患患者に投与する場合は好発季節を考え、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 長期ステロイド療法を受けている患者
本剤投与によりステロイドの減量をはかる場合は十分な管理下で徐々に行うこと。
9.3 肝機能障害患者
肝障害が悪化するおそれがある。[11.1.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている1)
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に、生理機能が低下していることが多い。[7.参照]

11. 副作用

11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害
黄疸(頻度不明)、ALT上昇、AST上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、LDH上昇等の肝機能障害(0.1%未満)(初期症状:全身倦怠感、食欲不振、発熱、嘔気等)があらわれることがある。[9.3参照]
11.1.2 ネフローゼ症候群(頻度不明)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満頻度不明
消化器胃部不快感、嘔気、胃痛、下痢口渇、食欲不振、口内炎、腹痛、嘔吐、腹部膨満感、舌のあれ 
精神神経系眠気頭痛、痙攣、振戦、めまい、しびれ 
血液好酸球増多白血球減少 
過敏症発疹、そう痒感蕁麻疹 
肝臓AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇ビリルビン上昇、Al-P上昇 
泌尿器 蛋白尿、頻尿 
その他生理不順、倦怠感・脱力感浮腫、耳鳴、眼瞼乾燥感、発熱、ほてり、鼻出血、味覚異常、口臭動悸、咳、胸部圧迫感

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

本剤の投与はアレルゲン皮内反応を抑制し、アレルゲンの確認に支障をきたすので、アレルゲン皮内反応検査を実施する前は本剤を投与しないこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
スプラタストトシル酸塩からジメチルスルフィドが生じ、口臭が発現することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男子にスプラタストトシル酸塩100mgを経口投与(食後30分)し、血漿中のスプラタスト(塩基)及びその代謝物を測定した。
16.1.1 単回投与
スプラタスト(塩基)及びその脱ジメチルスルフィド体である4-(3-エトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)アクリルアニリド(以下M-1と略す。)の薬物動態パラメータは次のとおりであった2)
 Tmax(hr)Cmax(ng/mL)AUC(0-24hr)(ng・hr/mL)T1/2(hr)
スプラタスト(塩基)3.4±0.539.6±4.4257.0±53.12.8±0.8
M-15.6±0.95.1±2.155.4±32.2
16.1.2 反復投与
1日3回、7日間の反復経口投与におけるスプラタスト(塩基)及びM-1の血漿中濃度は2日目以降ほぼ定常状態を示した2)
16.1.3 生物学的同等性試験
スプラタストトシル酸塩カプセル100mg「JG」とアイピーディカプセル100を、クロスオーバー法によりそれぞれ1カプセル(スプラタストトシル酸塩として100mg)健康成人男子に空腹時単回経口投与して血漿中スプラタスト濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された3)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-12(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
スプラタストトシル酸塩カプセル100mg「JG」540.2±72.098.4±17.22.2±0.44.2±2.2
アイピーディカプセル100548.2±63.497.2±14.12.1±0.33.7±1.1
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.5 排泄
健康成人男子にスプラタストトシル酸塩100mgを経口投与(食後30分)し、尿中のスプラタスト(塩基)及びその代謝物を測定した。単回投与では尿中にスプラタスト(塩基)、M-1及びM-1のメルカプツール酸抱合体が検出され、投与後24時間までの排泄率はそれぞれ投与量の約2.0%、約0.1%及び約2.2%であり、投与後72時間までの総排泄率は投与量の約4.8%であった2)
16.8 その他
スプラタストトシル酸塩カプセル50mg「JG」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成12年2月14日医薬審第64号)」に基づき、スプラタストトシル酸塩カプセル100mg「JG」を標準製剤としたとき、溶出挙動に基づき生物学的に同等とみなされた4)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
気管支喘息、アトピー性皮膚炎及び通年性鼻アレルギーの患者を対象にスプラタストトシル酸塩カプセルを1日300mg投与した、二重盲検比較試験を含む複数の臨床試験を合算した結果、効果判定可能症例は1000例で、有効率(中等度改善以上)は57.5%(575/1000例)であった。疾患別有効率は次のとおりであった5)6)7)8)9)10)11)12)13)14)15)16)17)18)19)20)21)22)23)
疾患有効率(中等度改善以上)
気管支喘息49.2%(183/372)
アトピー性皮膚炎65.8%(241/366)
アレルギー性鼻炎57.6%(151/262)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ヘルパーT細胞からのIL-4及びIL-5の産生抑制に基づく、好酸球浸潤抑制作用、IgE抗体産生抑制作用等により、抗アレルギー作用が発揮されるものと考えられる24)25)26)27)28)
18.2 抗アレルギー作用
18.2.1 実験的喘息抑制作用
受動感作モルモットにおける実験的喘息を抑制した。さらに能動感作マウスにおけるアレルギー性気道収縮反応を抑制し、メタコリンによる気道過敏反応を抑制した29)30)
18.2.2 アレルギー性鼻炎抑制作用
能動感作ラットにおけるアレルギー性鼻炎の鼻粘膜血管透過性亢進を抑制した31)
18.2.3 受身皮膚アナフィラキシー抑制作用
I型のアレルギー反応であるラット及びモルモット同種受身皮膚アナフィラキシー(PCA)を抑制した。なお、II型(ラット逆受身皮膚アナフィラキシー及びモルモットForssmanショック)、III型(ウサギArthus反応)及びIV型(塩化ピクリルによるマウス接触性皮膚炎及びヒツジ赤血球によるマウス足蹠反応)の各アレルギー反応に対する作用はほとんど認められなかった29)32)
18.3 免疫応答等への作用
18.3.1 IgE抗体産生抑制作用
免疫マウスにおけるIgE抗体産生を抑制した。なお、IgM及びIgG抗体産生への影響はほとんど認められなかった。また、免疫マウスにおける脾細胞の低親和性IgEレセプター(FcεRII/CD23)発現を抑制した24)25)26)
18.3.2 好酸球浸潤抑制作用
マウスヘルパーT細胞株(D10G4.1)と抗原のマウス腹腔内移入による好酸球の組織浸潤を抑制した27)
18.3.3 インターロイキン4(IL-4)及びインターロイキン5(IL-5)の産生抑制作用
D10G4.1からのIL-4産生及びIL-5産生を抑制した。また、スギ花粉症患者より得たヘルパーT細胞株においてもIL-4産生を抑制した26)27)28)in vitro)。
18.3.4 ケミカルメディエーター遊離抑制作用
抗原刺激によるラット腸間膜肥満細胞の脱顆粒及び腹腔浸出細胞からのヒスタミン遊離を抑制した。なお、ヒスタミン等のケミカルメディエーターに対する拮抗作用は認められなかった32)33)in vitro)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. スプラタストトシル酸塩

一般的名称 スプラタストトシル酸塩
一般的名称(欧名) Suplatast Tosilate
化学名 (RS)-[2-[4-(3-Ethoxy-2-hydroxypropoxy)-phenylcarbamoyl]ethyl]dimethylsulfonium p-toluenesulfonate
分子式 C16H26NO4S・C7H7O3S
分子量 499.64
融点 86〜90℃
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末である。
水、メタノール又は酢酸(100)に極めて溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けやすい。
水溶液(1→10)は旋光性を示さない。
潮解性である。
KEGG DRUG D01423

20. 取扱い上の注意

アルミピロー包装開封後は吸湿に注意すること。

22. 包装

<スプラタストトシル酸塩カプセル50mg「JG」>
100カプセル[10カプセル(PTP)×10、脱臭剤入り]
<スプラタストトシル酸塩カプセル100mg「JG」>
100カプセル[10カプセル(PTP)×10、脱臭剤入り]
1000カプセル[10カプセル(PTP)×100、脱臭剤入り]

23. 主要文献

  1. 桑田慶三 他, 薬物動態, 7 (4), 399-421, (1992) »DOI
  2. 丁 宗鉄 他, 基礎と臨床, 26 (7), 3199-3215, (1992)
  3. 社内資料:生物学的同等性試験(100mg)
  4. 社内資料:生物学的同等性試験(50mg)
  5. 螺良英郎 他, 薬理と治療, 20 (8), 3179-3195, (1992)
  6. 吉田彦太郎 他, 臨床医薬, 8 (7), 1515-1524, (1992)
  7. 螺良英郎 他, 薬理と治療, 20 (8), 3221-3242, (1992)
  8. 螺良英郎 他, 薬理と治療, 20 (8), 3197-3220, (1992)
  9. 吉田彦太郎 他, 臨床医薬, 8 (7), 1625-1641, (1992)
  10. 馬場駿吉 他, 新薬と臨牀, 41 (7), 1578-1598, (1992)
  11. 螺良英郎 他, 医学のあゆみ, 162 (2), 171-192, (1992)
  12. 吉田彦太郎 他, 臨床医薬, 8 (7), 1643-1657, (1992)
  13. 馬場駿吉 他, 炎症, 12 (4), 379-397, (1992) »DOI
  14. 宮本昭正 他, 薬理と治療, 20 (8), 3277-3290, (1992)
  15. 螺良英郎 他, 新薬と臨牀, 41 (7), 1623-1644, (1992)
  16. 原田昭太郎 他, 臨床医薬, 8 (8), 1955-1971, (1992)
  17. 馬場駿吉 他, 薬理と治療, 20 (8), 3243-3259, (1992)
  18. 大原守弘 他, 薬理と治療, 20 (8), 3261-3276, (1992)
  19. 藤村政樹 他, 薬理と治療, 20 (8), 3291-3305, (1992)
  20. 今村貞夫 他, 皮膚科紀要, 87 (3), 467-478, (1992)
  21. 堀 嘉昭 他, 西日本皮膚科, 54 (6), 1148-1155, (1992) »DOI
  22. 與田順一 他, 新薬と臨牀, 41 (7), 1599-1610, (1992)
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  33. 田島清孝 他, 応用薬理, 43 (6), 531-548, (1992)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
日本ジェネリック株式会社 お客さま相談室
〒108-0014 東京都港区芝五丁目33番11号
電話:0120-893-170
FAX:0120-893-172
製品情報問い合わせ先
日本ジェネリック株式会社 お客さま相談室
〒108-0014 東京都港区芝五丁目33番11号
電話:0120-893-170
FAX:0120-893-172

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
長生堂製薬株式会社
徳島市国府町府中92番地
26.2 販売元
日本ジェネリック株式会社
東京都港区芝五丁目33番11号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/05/21 版