医療用医薬品 : イフェンプロジル酒石酸塩

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医薬品情報


総称名 イフェンプロジル酒石酸塩
一般名 イフェンプロジル酒石酸塩
欧文一般名 Ifenprodil Tartrate
薬効分類番号 1339 2190
ATCコード C04AX28
KEGG DRUG
D01445 イフェンプロジル酒石酸塩
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年8月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
イフェンプロジル酒石酸塩錠10mg「YD」 (後発品) 陽進堂 2190005F1292 5.9円/錠
イフェンプロジル酒石酸塩錠20mg「YD」 (後発品) 陽進堂 2190005F2191 6.1円/錠

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
頭蓋内出血発作後、止血が完成していないと考えられる患者

4. 効能または効果

脳梗塞後遺症、脳出血後遺症に伴うめまいの改善

6. 用法及び用量

<イフェンプロジル酒石酸塩錠10mg「YD」>
通常成人には、1回2錠(イフェンプロジル酒石酸塩として20mg)を1日3回毎食後経口投与する。
<イフェンプロジル酒石酸塩錠20mg「YD」>
通常成人には、1回1錠(イフェンプロジル酒石酸塩として20mg)を1日3回毎食後経口投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

本剤の投与期間は、臨床効果及び副作用の程度を考慮しながら慎重に決定するが、投与12週で効果が認められない場合には投与を中止すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 脳梗塞発作直後の患者
脳内盗血現象を起こすおそれがある。
9.1.2 低血圧のある患者
血圧低下を増強するおそれがある。
9.1.3 心悸亢進のある患者
心機能を亢進させるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.8 高齢者
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

10.2 併用注意
出血傾向をきたすと考えられる薬剤出血傾向が増強されるおそれがある。本剤の血小板粘着能・凝集能抑制作用による。
ドロキシドパドロキシドパの作用を減弱するおそれがある。本剤のα1受容体遮断作用による。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満頻度不明
消化器口渇、悪心・嘔吐、食欲不振、胸やけ、下痢、便秘、口内炎、腹痛 
精神神経系頭痛、めまい、ねむけ不眠
過敏症発疹、皮膚そう痒感 
循環器動悸、立ちくらみ、頻脈、顔面潮紅、のぼせ感 
肝臓AST・ALT上昇 
血液貧血 
その他顔面浮腫、上・下肢のしびれ感 

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
<イフェンプロジル酒石酸塩錠10mg「YD」>
イフェンプロジル酒石酸塩錠10mg「YD」とセロクラール錠10mgをクロスオーバー法によりそれぞれ4錠(イフェンプロジル酒石酸塩として40mg)注)、健康成人男子14名に絶食単回経口投与して血漿中のイフェンプロジル抱合体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された1)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-8(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
イフェンプロジル酒石酸塩錠10mg「YD」112.3±41.647.7±16.41.3±0.31.2±0.2
セロクラール錠10mg119.7±51.050.7±21.01.2±0.31.2±0.2
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
注)本剤の承認された用法及び用量は「通常成人には、1回2錠(イフェンプロジル酒石酸塩として20mg)を1日3回毎食後経口投与する。」である。
<イフェンプロジル酒石酸塩錠20mg「YD」>
イフェンプロジル酒石酸塩錠20mg「YD」とセロクラール錠20mgをクロスオーバー法によりそれぞれ1錠(イフェンプロジル酒石酸塩として20mg)、健康成人男子14名に絶食単回経口投与して血清中のイフェンプロジル未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された2)
 判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-9(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
イフェンプロジル酒石酸塩錠20mg「YD」180.4±23.277.3±8.81.4±0.31.8±0.4
セロクラール錠20mg182.1±26.978.7±12.81.4±0.31.8±0.4
血清中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
ラットに14C-イフェンプロジルを経口投与した場合、投与30分後に最高血中濃度に達し、脳、肝臓、腎臓、筋肉などに分布した3)
16.5 排泄
16.5.1 ラットに14C-イフェンプロジルを経口投与した場合、投与後24時間以内に投与量の約30%が尿中に、約60%が糞中に排泄された3)
16.5.2 健康成人男子3名にイフェンプロジル酒石酸塩10mgを10、20及び40mg、また、脳血管障害患者3例に20及び40mg単回投与した場合、24時間までの尿中への累積排泄率は約20〜30%であった。1群3名の健康成人男子9名に、イフェンプロジル酒石酸塩10mgを10、20又は40mg、1日3回、4又は5日間連続投与した場合、蓄積性は認められなかった4)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
脳血管障害患者を対象とした、プラセボとの二重盲検比較試験における、イフェンプロジル酒石酸塩のめまいの改善率は64%(38/59)であり、プラセボに比し有意に高かった5)。また、めまい患者を対象とした二重盲検比較試験におけるめまい発作、めまい感の改善率は各々84%(41/49)、61%(31/51)であった6)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
イフェンプロジル酒石酸塩は血管平滑筋弛緩作用、交感神経α受容体遮断作用などに基づく脳血流増加作用、脳ミトコンドリア呼吸機能の促進による脳代謝改善作用並びに血小板凝集能の抑制による血液性状改善作用の3作用が認められる。
18.2 脳循環に対する作用
イフェンプロジル酒石酸塩は、脳動脈血流量特に椎骨動脈7)(イヌ)及びその流域である扁桃核、視床下部、小脳皮質8)(ネコ)、内耳9)(モルモット)の著明な血流増加を示す。
脳血管障害患者を対象にした臨床薬理学的検討では、N2O法10)133Xeクリアランス法11)、超音波ドプラー法12)にて全脳及び病巣部局所の血流増加が確認されている。これら循環改善作用は、血管平滑筋直接弛緩作用7)並びに非選択的な交感神経α受容体遮断作用によると考えられている13)14)
18.3 脳代謝に対する作用
イフェンプロジル酒石酸塩は、脳虚血時の乳酸、ATP、グルコースなどの脳組織における代謝異常を改善し15)(SHRラット)、脳ミトコンドリア機能の低下を改善する16)(脳梗塞家兎)。
18.4 血小板機能に対する作用
イフェンプロジル酒石酸塩は、ADP、コラーゲン、アドレナリンなどによる血小板凝集を抑制する。この作用は、イフェンプロジル酒石酸塩がセロトニン摂取並びに放出反応を抑制することから、血小板膜の安定化作用によるものと考えられている17)(健康成人男子:in vitro)。また、アラキドン酸代謝におけるLASS(Labile Aggregation Stimulating Substance)凝集抑制作用も認められている18)(ヒト:in vitro)。さらに、血小板のα2受容体を介して凝集を抑制することが示されている19)(健康成人:in vitro)。
脳血管障害患者による臨床薬理学的検討では、血小板粘着能の抑制の他、ADP等各種の血小板凝集惹起物質に対する抑制作用18)20)、血小板α2受容体遮断に基づく血小板凝集抑制作用が報告されている21)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. イフェンプロジル酒石酸塩

一般的名称 イフェンプロジル酒石酸塩
一般的名称(欧名) Ifenprodil Tartrate
化学名 (1RS,2SR)-4-[2-(4-Benzylpiperidin-1-yl)-1-hydroxypropyl]phenol hemi-(2R,3R)-tartrate
分子式 (C21H27NO2)2・C4H6O6
分子量 800.98
融点 約148℃(分解)
物理化学的性状 白色の結晶性の粉末で、においはない。
酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすく、水又はメタノールに溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
旋光度 〔α〕20D:+11〜+15°(脱水物に換算したもの1g、エタノール(95)、20mL、100mm)
KEGG DRUG D01445

22. 包装

<イフェンプロジル酒石酸塩錠10mg「YD」>
100錠[10錠(PTP)×10]
1000錠[10錠(PTP)×100]
<イフェンプロジル酒石酸塩錠20mg「YD」>
100錠[10錠(PTP)×10]

23. 主要文献

  1. (株)陽進堂社内資料:生物学的同等性試験(錠10mg)
  2. (株)陽進堂社内資料:生物学的同等性試験(錠20mg)
  3. Nakagawa,H.et al., 応用薬理, 10 (2), 283-291, (1975)
  4. 沢田恂 他, 臨床評価, 3 (3), 357-375, (1975)
  5. 沓沢尚之 他, 臨床評価, 4 (3), 419-458, (1976)
  6. 松永喬 他, 耳鼻臨床, 73 (3), 611-627, (1980) »DOI
  7. 水沢英甫 他, 日薬理誌, 71 (6), 597-608, (1975) »PubMed
  8. 萩原彌四郎, 日薬理誌, 71 (7), 709-725, (1975) »PubMed
  9. 橘正芳 他, 耳鼻臨床, 70 (10), 1603-1611, (1977)
  10. 岡田年弘 他, 新薬と臨床, 25 (6), 869-875, (1976)
  11. 貫井英明 他, 薬理と治療, 5 (10), 3107-3116, (1977)
  12. 近藤秀樹 他, 臨床評価, 3 (3), 377-385, (1975)
  13. 水沢英甫 他, 日薬理誌, 70 (7), 785-799, (1974)
  14. 仲澤幹雄 他, 新潟医学会雑誌, 112 (2), 81-88, (1998)
  15. 藤島正敏 他, 臨床と研究, 51 (12), 3532-3536, (1974)
  16. 古見耕一 他, Geriat Med., 13 (11), 1354-1358, (1975)
  17. 安永幸二郎 他, 内科宝凾, 25 (6), 213-219, (1978)
  18. 磯部淳一 他, Geriat Med., 20 (2), 385-393, (1982)
  19. 中村智実 他, 日本血栓止血学会誌, 10 (2/3), 141-148, (1999)
  20. 伊東亨 他, 治療, 60 (7), 1397-1401, (1978)
  21. 竹迫賢一 他, Geriat Med., 25 (4), 591-597, (1987)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
株式会社陽進堂 お客様相談室
富山県富山市婦中町萩島3697番地8号
電話:0120-647-734
製品情報問い合わせ先
株式会社陽進堂 お客様相談室
富山県富山市婦中町萩島3697番地8号
電話:0120-647-734

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
株式会社陽進堂
富山県富山市婦中町萩島3697番地8号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/07/23 版