2.2 本剤又は本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある患者[
9.5参照]
5.1 努力性肺活量が理論正常値の60%未満に低下している患者では効果が期待できないので、投与を行わないこと。
5.2 米国神経学会の勧告では、下記の(1)〜(4)を満たす患者への適用を推奨するとされている。
(1)World Federation of Neurology(WFN;世界神経学会)の基準(他の原因によって進行性筋萎縮となった場合は除く)で“definite”または“probable”であること
(2)罹病期間が5年未満であること
(3)努力性肺活量が理論正常値の60%以上であること
(4)気管切開未実施例であること
通常、成人には本剤を1回1錠、1日2回(朝及び夕食前)、リルゾールとして1日量100mg(本剤2錠)を経口投与する。
8.1 本剤を投与する場合は本剤の有効性及び安全性にかかる以下の事項について、患者又は患者に十分な同意の能力がない場合は代諾者に説明し、本剤投与にあたっての同意を得ること。
・国内第3相二重盲検試験における安全性は18ヵ月の期間で確認された。[
17.1.1参照]
・国内第3相二重盲検試験において、プライマリ・エンドポイントである「一定の病勢進展」又は「死亡」までの期間について、プラセボに対する本剤の有効性は検証されなかった。また、観察期間18ヵ月の使用成績調査における生存率は、国内第3相二重盲検試験と同程度であった。[
17.1.1、
17.2.1参照]
8.2 本剤は肝疾患の既往歴のない患者でも血清トランスアミナーゼ等(AST、ALT、γ-GTP、ビリルビン等)を上昇させることがあるので、本剤の投与に際しては、適応患者の選択を適切に行うこと。なお、本剤投与前及び投与中はALTを含むトランスアミナーゼを定期的に測定することが望ましく、また、ALTの上昇がみられた場合には、より頻回にALTを測定し、必要ならば、投与中止を検討すること。
海外でのALS患者約800例を対象とした試験より、ALTについては約8%に正常値上限の3倍以上、約2%に正常値上限の5倍以上の上昇がみられた。[
2.1、
9.3.1、
9.3.2、
11.1.4参照]
8.3 赤血球数の減少がみられることがあるので、本剤投与前及び投与中は赤血球数を測定することが望ましい。
8.4 増量しても効果の増強は期待できず、また副作用の頻度及び程度が増大するおそれがあるので、定められた用量を守ること。
8.5 本剤の投与中に、めまい又は眠気が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないように注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.2 腎機能障害患者
腎機能が低下している患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
9.3.2 肝機能異常の既往歴のある患者又は肝機能障害のある患者(重篤な肝機能障害のある患者を除く)
肝機能を悪化させるおそれがある。本剤は主として肝で代謝される。[
8.2、
11.1.4参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラット妊娠前及び妊娠初期投与試験において、高用量投与時(15mg/kg/日)に胎児の骨化遅延が、また、ラット及びウサギの器官形成期投与試験において、胎児に軽度の外表及び内臓異常が用量非依存的に認められたとの報告がある。[
2.3参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
9.8 高齢者
副作用の発現に注意すること。一般に生理機能(肝機能等)が低下していることが多い。
11.1 重大な副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 アナフィラキシー(頻度不明)
血管浮腫、呼吸困難、喘鳴、発汗等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.2 好中球減少
重篤な好中球減少(0.1%未満)の報告があるので、発熱が認められた場合には直ちに白血球数を測定し、好中球減少が認められた場合には投与を中止すること。[
9.1.1参照]
11.1.3 間質性肺炎(0.1%)
発熱、咳嗽、呼吸苦等の呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに胸部X線等の検査を実施し適切な処置を行うこと。
11.1.4 肝機能障害(0.2%)、黄疸(0.1%)
11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
| 5%以上注1) | 1〜5%未満 | 0.1〜1%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
肝臓 | AST上昇、ALT上昇 | γ-GTP上昇、Al-P上昇、総ビリルビン上昇 | | | |
消化器 | | 悪心・嘔吐、食欲不振、便秘、下痢、腹痛 | 味覚障害、膵炎注2)、アミラーゼ上昇 | | |
精神神経系 | | めまい | 口内・舌のしびれ感、傾眠、不眠症、うつ、口周囲感覚異常、筋緊張亢進 | 不安 | |
血液 | | 赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値減少 | | | |
腎臓 | | | BUN上昇、尿蛋白上昇 | | |
皮膚 | | 発疹 | そう痒 | | |
循環器 | | | | 頻脈 | |
筋・骨格系 | | | 筋痙攣、背部痛 | | 関節炎 |
その他 | | 無力感 | 頭痛、倦怠感、発熱、浮腫 | 疼痛、頭重 | 体重減少 |
過量投与時に、急性中毒性脳症による昏迷、昏睡、その他の神経系及び精神系の症状、メトヘモグロビン血症が発現したとの報告がある。
14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 本邦の臨床試験において、術後大腸癌に対しカルモフールを併用していた例で死亡例が1例報告されている。
15.1.2 海外の臨床試験において、ヘモグロビン及びヘマトクリット値の減少はリルゾール投与群で多く見られた。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 動物実験(イヌ)において溶血性貧血が報告されている。
15.2.2 多くの遺伝毒性試験が行われており、ほとんどの試験で陰性の結果が得られている。ただし、マウスリンパ腫細胞を用いた一部の試験で陽性の結果が得られている。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人男子8例にリルゾール50mg
注)を空腹時単回経口投与した時の最高血漿中濃度(Cmax)などは下表のとおりであった
2)。
リルゾール50mg空腹時単回経口投与における薬物動態パラメータ
Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | T1/2(hr) | AUC(ng・hr/mL) |
149.46±63.37 | 0.81±0.26 | 5.64±2.23 | 613.12±263.52 |
16.1.2 生物学的同等性試験
健康成人男性にリルゾール錠50mg「AA」とリルテック錠50それぞれ1錠(リルゾールとして50mg)をクロスオーバー法により絶食単回経口投与して血漿中リルゾール濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された
3)。
| AUC0-24(ng・hr/mL) | Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | T1/2(hr) |
リルゾール錠50mg「AA」 | 1035±461 | 334±204 | 0.8±0.5 | 7.5±1.2 |
リルテック錠50 | 1098±464 | 342±180 | 0.9±0.6 | 7.8±1.7 |
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.5 排泄
日本人健康成人男子9例にリルゾール50mg
注)を1日2回13日間反復経口投与(1日及び13日目は1日1回、3〜12日目は1日2回、2日目は休薬、合計22回投与)した時の尿中排泄率は、未変化体として1〜2%、未変化体及びそのグルクロン酸抱合体として16〜25%(最終投与後48時間)であった
4)。
また、海外健康成人男子16例を対象にリルゾール100mgを単回経口投与した時の絶対生物学的利用率は60〜64%であった
5)。
注)本剤の筋萎縮性側索硬化症に対し承認されている用法・用量は100mg/日、1日2回である。