17.1.1 国内第III相試験(LOC115409試験)
核酸アナログ製剤未治療の代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした第III相、多施設共同、ランダム化、実薬対照、二重盲検、並行群間比較試験並びにオープンラベル試験で、二重盲検下で本剤300mg又はエンテカビル0.5mgを1日1回、24週時まで投与し、引き続き非盲検下でそれぞれ48週時まで投与した。24週時及び48週時のウイルス学的、生化学的及び血清学的効果を表1に示す。なお、48週時までにHBs抗原の消失は認められなかったが、48週時のHBs抗原の投与前値からの平均変化量(標準偏差)は−0.208(0.4625)log
10IU/mLであった。
表1 LOC115409試験でのウイルス学的、生化学的及び血清学的効果
| | LOC115409(109例) |
| 評価時点 | 24週時 | 48週時 |
| 投与前HBe抗原 | 陽性及び陰性 |
| 投与前平均HBV-DNA値±標準偏差(log10 copies/mL) | 7.00±1.498(109例) |
| HBV-DNAの投与前値からの平均変化量±標準偏差(log10 copies/mL) | −4.57±1.122(109例) | −4.86±1.353(109例) |
| HBV-DNA陰性化率注1) | 54%(59/109) | 77%(84/109) |
| ALT正常化率注2) | 70%(58/83) | 75%(62/83) |
| セロコンバージョン率注3) | 0%(0/43) | 9%(4/43) |
48週時までの副作用発現頻度は20%(22/109例)であった。主な副作用は、血中クレアチニン増加3%(3/109例)、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、アミラーゼ増加、リパーゼ増加、傾眠及び悪心各2%(2/109例)であった。
17.1.2 海外第III相試験(GS-US-174-0102試験)
主に核酸アナログ製剤未治療の代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした第III相、多施設共同、ランダム化、二重盲検比較試験で、二重盲検下で本剤300mg又はアデホビル10mgを1日1回、48週間投与した後、非盲検下で全例に本剤300mgを192週間投与した。48週時及び240週時のウイルス学的、生化学的及び血清学的効果を表2に示す。なお、本剤に対する耐性ウイルスの出現は240週時点で認められていない。また、肝生検結果において、投与前に肝硬変(Ishak線維化スコアが5以上)であった患者の73.4%(69/94例)が240週時に肝硬変の病期ステージから回復(Ishak線維化スコアが4以下に改善)した(GS-US-174-0102及び0103試験の併合データ)。
表2 GS-US-174-0102試験でのウイルス学的、生化学的及び血清学的効果
| | GS-US-174-0102注4) |
| 評価時点 | 48週時(250例) | 240週時(375例) |
| 投与前HBe抗原 | 陰性 |
| 投与前平均HBV-DNA値±標準偏差(log10 copies/mL) | 6.86±1.308(250例) |
| HBV-DNAの投与前値からの平均変化量±標準偏差(log10 copies/mL) | −4.57±1.347(241例) | −4.65±1.294(295例) |
| HBV-DNA陰性化率注1) | 91.2%(228/250) | 98.6%(291/295) |
| ALT正常化率注2) | 76.3%(180/236) | 85.2%(236/277) |
| セロコンバージョン率注3) | − | − |
48週時までの副作用発現頻度は16.8%(42/250例)であった。主な副作用は、悪心3.2%(8/250例)、頭痛2.8%(7/250例)及び疲労2.0%(5/250例)であった。
17.1.3 海外第III相試験(GS-US-174-0103試験)
主に核酸アナログ製剤未治療の代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした第III相、多施設共同、ランダム化、二重盲検比較試験で、二重盲検下で本剤300mg又はアデホビル10mgを1日1回、48週間投与した後、非盲検下で全例に本剤300mgを192週間投与した。48週時及び240週時のウイルス学的、生化学的及び血清学的効果を表3に示す。240週時までにHBs抗原の消失及びセロコンバージョンがそれぞれ23例及び18例に認められ、それらのカプラン・マイヤー推定に基づく割合は10.8%及び8.9%であった。なお、本剤に対する耐性ウイルスの出現は240週時点で認められていない。
表3 GS-US-174-0103試験でのウイルス学的、生化学的及び血清学的効果
| | GS-US-174-0103注4) |
| 評価時点 | 48週時(176例) | 240週時(266例) |
| 投与前HBe抗原 | 陽性 |
| 投与前平均HBV-DNA値±標準偏差(log10 copies/mL) | 8.64±1.076(176例) |
| HBV-DNAの投与前値からの平均変化量±標準偏差(log10 copies/mL) | −6.17±1.067(160例) | −6.30±1.141(165例) |
| HBV-DNA陰性化率注1) | 68.8%(121/176) | 96.6%(169/175) |
| ALT正常化率注2) | 68.0%(115/169) | 73.4%(124/169) |
| セロコンバージョン率注3) | 20.9%(32/153) | 40.2%(66/164) |
48週時までの副作用発現頻度は30.7%(54/176例)であった。主な副作用は、悪心8.5%(15/176例)及び疲労5.1%(9/176例)であった。
17.1.4 国内第III相試験(LOC115912試験)
ラミブジン+アデホビル、エンテカビル、エンテカビル+アデホビルに効果不良の代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした第III相、多施設共同、オープンラベル試験で、前治療薬がラミブジン+アデホビルの患者にはラミブジン100mgと本剤300mgを、エンテカビル又はエンテカビル+アデホビルの患者にはエンテカビル0.5mgと本剤300mgを1日1回併用投与した。24週時及び48週時のウイルス学的、生化学的及び血清学的効果を表4に示す。
48週時までにHBs抗原の消失は認められなかったが、48週時のHBs抗原の投与前値からの平均変化量(標準偏差)は−0.313(0.3402)log
10 IU/mLであった。なお、48週時におけるHBV-DNAの投与前値からの平均変化量(標準偏差)は、前治療がラミブジン+アデホビルでは−2.88(1.357)log
10 copies/mL、エンテカビルでは−4.33(2.079)log
10 copies/mL、エンテカビル+アデホビルでは−2.66(0.505)log
10 copies/mLであり、48週時におけるHBV-DNA陰性化率は、前治療がラミブジン+アデホビルでは69%(9/13例)、エンテカビルでは40%(4/10例)、エンテカビル+アデホビルでは73%(8/11例)であった。
表4 LOC115912試験でのウイルス学的、生化学的及び血清学的効果
| | LOC115912(34例) |
| 評価時点 | 24週時 | 48週時 |
| 投与前HBe抗原 | 陽性及び陰性 |
| 投与前平均HBV-DNA値±標準偏差(log10 copies/mL) | 5.57±1.739(34例) |
| HBV-DNAの投与前値からの平均変化量±標準偏差(log10 copies/mL) | −3.09±1.432(34例) | −3.26±1.586(34例) |
| HBV-DNA陰性化率注1) | 59%(20/34) | 62%(21/34) |
| ALT正常化率注2) | 60%(9/15) | 53%(8/15) |
| セロコンバージョン率注3) | 0%(0/28) | 0%(0/28) |
48週時までの副作用発現頻度は32%(11/34例)であった。主な副作用は、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加9%(3/34例)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加6%(2/34例)であった。
17.1.5 海外第II相試験(GS-US-174-0106試験)
アデホビル投与中に持続的なウイルス増殖を認めた代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした第II相、多施設共同、ランダム化、二重盲検比較試験で、本剤300mgを1日1回、168週間単独投与した。48週時及び168週時のウイルス学的、生化学的及び血清学的効果を表5に示す。なお、本剤に対する耐性ウイルスの出現は168週時点で認められていない。
表5 GS-US-174-0106試験でのウイルス学的、生化学的及び血清学的効果
| | GS-US-174-0106(53例) |
| 評価時点 | 48週時 | 168週時 |
| 投与前HBe抗原 | 陽性及び陰性 |
| 投与前平均HBV-DNA値±標準偏差(log10 copies/mL) | 6.06±1.430(53例) |
| HBV-DNAの投与前値からの平均変化量±標準偏差(log10 copies/mL) | −3.58±1.290(52例) | −3.79±1.305(44例) |
| HBV-DNA陰性化率注1) | 75.5%(40/53) | 80.4%(41/51) |
| ALT正常化率注2) | 40.7%(11/27) | 68.0%(17/25) |
| セロコンバージョン率注3) | 5.3%(2/38) | 13.5%(5/37) |
168週時までの副作用発現頻度は28.3%(15/53例)であった。主な副作用は、頭痛及び無力症各5.7%(3/53例)であった。
17.1.6 海外第III相試験(GS-US-174-0121試験)
核酸アナログ製剤既治療のラミブジン耐性を有する代償性B型慢性肝疾患患者を対象とした第III相、多施設共同、ランダム化、二重盲検比較試験で、本剤300mgを1日1回、240週間単独投与した。96週時のウイルス学的、生化学的及び血清学的効果を表6に示す。なお、本剤に対する耐性ウイルスの出現は96週時点で認められていない。
表6 GS-US-174-0121試験でのウイルス学的、生化学的及び血清学的効果
| | GS-US-174-0121(141例) |
| 評価時点 | 96週時 |
| 投与前HBe抗原 | 陽性及び陰性 |
| 投与前平均HBV-DNA値±標準偏差(log10 copies/mL) | 6.40±1.826(141例) |
| HBV-DNAの投与前値からの平均変化量±標準偏差(log10 copies/mL) | −4.16±1.785(132例) |
| HBV-DNA陰性化率注1) | 85.8%(121/141) |
| ALT正常化率注2) | 62.0%(49/79) |
| セロコンバージョン率注3) | 10.8%(7/65) |
96週時までの副作用発現頻度は18.4%(26/141例)であった。主な副作用は、疲労3.5%(5/141例)、悪心2.8%(4/141例)及び下痢2.1%(3/141例)であった。
17.1.7 海外第II相試験(GS-US-174-0108試験)
非代償性B型慢性肝疾患患者に対する本剤の臨床効果を評価した第II相、多施設共同、ランダム化、二重盲検比較試験で、112例を組み入れ、本剤300mg、エムトリシタビン200mg・本剤300mg配合剤又はエンテカビル0.5mgを1日1回、最大168週間投与した。48週時のHBV-DNA陰性化率(169 copies/mL未満)は62.8%(27/43例)、ALT正常化率は48.0%(12/25例)であった。
168週時までの副作用発現頻度は22.2%(10/45例)であった。主な副作用は、悪心及び発疹各6.7%(3/45例)であった。